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ポポローグ - (2013/06/26 (水) 01:42:17) の編集履歴(バックアップ)


ポポローグ

【ぽぽろーぐ】

ジャンル RPG(ローグライクゲーム)
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM
発売元 ソニー・コンピューターエンターテインメント
開発元 ジーアーティスツ、シュガーアンドロケッツ
発売日 1998年11月26日
定価 6,090円
配信 ゲームアーカイブス:2007年10月10日/600円
ポポロクロイス物語シリーズリンク


概要

優れたシナリオで好評を博した『ポポロクロイス物語』の続編。
外伝的な内容であり、続編である『II』に直接ストーリーが繋がることはない。しかし完成度の高さは他2作に決して劣るものではない。
キャッチコピーは「『お母さんを返せ!』の次は『お父さんのバカ!』だ」。前作では母の愛がテーマになっていたが、本作では乗り越えるべき父の姿が描かれている。


あらすじ

前回の冒険で氷の魔王を倒し、平和を取り戻したポポロクロイス。ピエトロ王子も冒険に出ることもなく平和な日々を過ごしていました。
しかしそんなある日、城を抜け出したピエトロが空を眺めていると突然黒い影がポポロクロイスを覆い、異世界へと引きずり込んでしまいました。
そこは「夢幻フィールド」と呼ばれる世界でポポロクロイス以外にも様々な世界で構成されていました。
ピエトロが城に戻ると更なる事件が起きていました。なんと異世界の調査にでかけた兵士たちが消息を絶ち、あろうことか国王のパウロまでもが行方不明になってしまったのです!
ピエトロはいなくなった人々を探し出し、この世界の真実を探るために再び旅立つことになるのでした…。


特徴

  • 基本の戦闘システムは前作のそれを踏襲したシミュレーション風のものである。
    • しかし、それ以外の部分は別物と言ってもいいほどに異なる。以下違いを挙げていく。
  • 前作でともに戦った仲間は、それぞれの事情(白騎士は武者修行に出ており行方不明、ナルシアは夢幻フィールドに取り込まれた際魔力を失っている、ガミガミ魔王はナルシアがいないのでついていく気がない)により今回は一緒に冒険してくれず、非戦闘面でのサポートオンリーとなる。ではピエトロ一人の冒険になるかと言うともちろんそんなことはなく、ストーリーを少し進めると頼もしい傭兵を2人まで雇うことができるようになる。
    • 選べる傭兵はストーリーの進行に伴い増えていく。個性豊かなので誰を選ぶかは悩みどころ。
      • 傭兵なので雇う際には金を要求される。基本的にどこまで連れて行っても料金は一律だが、死亡した状態で傭兵所に戻ると本来返ってくるはずの保証金が返金されない。
    • また傭兵だけでなく「旅好きの村人」という4人目の仲間枠がある。
      • ある程度ストーリーを進めると連れて行けるようになる。傭兵との違いは「お金は必要ない」「連れて行くためには本人が生活している町、村まで行く必要がある」「自分の判断で行動する(命令不可)」「レベルアップが早いが、能力はほとんど成長しない」「HPが0になると元の町まで逃げてしまう(蘇生不可)」といった特徴がある。
      • デメリットが目立つ上に戦闘能力が極めて低い場合が多いが、その代り「店で割引」「どこでもショップ」「宝箱出現率アップ」など傭兵が持っていない特殊な能力を持っている。このためうまく使えば極めて有用。ただし、一部なんの能力も持たない本物の役立たずもいる。
      • ちなみに傭兵を雇わなかった場合、最大3人まで連れて行くことができる。戦力的には大幅ダウンなのでネタ以外の何物でもないが。
  • 「ローグ」を名乗っているだけあり、今回のダンジョンは「不思議のダンジョン」方式。
    • ダンジョンごとに出現するお宝や敵の傾向はだいたい決まっているが、実際の構造は入ってみないことにはわからない。このためいつでも新鮮な気分でプレイできる。
      • 一度踏破したダンジョンは出入口のショートカットが開放される為、次回からは短時間で通り抜けることができる。
      • その一方で物語の進行によって閉ざされた扉が開く、新たな空間や階層ができるなどする為、一度クリアしたからといって用無しになるとは限らない。
      • この「常にダンジョンの構造が変化する」ことの理由は本作の舞台が夢の世界であることと関係している。
  • シンボルエンカウント式。敵シンボルに触れると、画面内にいる全ての敵と交戦状態に入る。
    • マップ上の敵の行動パターンは種類ごとに決まっている。こちらのレベルが一定以上あると逃げるように動くものや、積極的に襲ってくるもの、追いかけると逃げ出し、背中を見せると追ってくるものなど。うまく誘導して有利な形で挑みたい。
  • 魔法や必殺技は魔法書と秘伝書で習得するように。
    • レベルアップのみで習得する技もある。またキャラクターごとにどの魔法書、秘伝書が使えるかは決まっている。
  • 装備品に鎧と盾が追加、アイテムの装備が廃止され、より王道的RPGの感覚になった。
    • 武器、鎧、盾、アクセサリーの4項目となり、アイテムは所持しているだけでパーティー全員が全て戦闘中に使用が可能である。
    • その代わりにアイテムは1種類につき9個までしか所持できず、回復アイテムを大量に積んで挑むといった物量作戦は取りづらくなっている。*1
      • 『II』では装備が再び武器、装飾品、アイテムの3項目となり、アイテム所持可能数も1種類につき99個と、『I』とほぼ同様の仕様に戻った。
  • 属性の要素が強化された。
    • 各属性(火、聖など)の強さが明確に数値化され、ステータス画面で確認可能になった。
    • ダメージ表示の際、属性付きのものであればその属性の英単語があわせて表示されるようになった。
    • 「(属性)の種」という、特定の属性を強化するアイテムも登場。

評価点

  • 変わらぬストーリーの完成度の高さ。
    • 前作では母に比べ影の薄かった父・パウロだが、今回は老いた体に似合わぬアクティブさを発揮し夢幻世界を駆け回ることになる。
      • ピエトロにはその理由が明かされることはなく、故に不信を抱くこともある。しかしそれゆえに父子の絆の強さはより深く表現されている。
      • 終盤の展開はやはり号泣もの。
    • 一見明るいファミリー向けのシナリオに見えるが、実は相当エグいシーンもあったり。
      • 本作にも前作同様「四天王」に相当するボスモンスターがいるのだが、シナリオ進行上の障害に近かった前作の四天王と異なり、「人間の負の感情」を元にしているためその影響を受けた町ではその感情が過剰に増幅されるという描写がある。
      • 例えば「欲望」から生まれたモンスターの影響下にある街、「ガバス」には巨大なカジノが存在し、勝者は夢のような生活を送れ、敗者は勝者のために強制労働させられる。大分マイルドな表現にはなっているが、実際にやっていることは賭博黙示録カイジとほとんど同じレベルである。
      • ちなみにピエトロは「子供だから」と言う理由でギャンブルはさせてもらえない。ほっとするような残念なような。
    • 前述の通り『II』には直接ストーリーは繋がらないものの、ポポロクロイス王国の過去が語られる貴重な物語でもある。
      • また、『II』には僅かながらだが所々ポポローグのネタが仕込まれているため、今作をプレイしたプレイヤーはニヤリとすることも。
  • きつすぎる『I』、ぬるすぎる『II』に比べると緊張感のあるほどほどの難易度。
    • 初見ではキツイダンジョンも、装備の選定、傭兵の選出、適度な稼ぎによりかなり楽に突破できるようになる。その辺りRPGとしての本分を忘れてはいない。
    • 前作はエンカウント率の高さに悩まされがちだったが、シンボルエンカウントに変更されたことにより余計な戦闘を回避しやすくなった。
      • しかし前述のとおりエンカウント時には画面内の全てのモンスターと交戦状態に入るので、あまり避けすぎると一回の戦闘で大量の敵と戦う羽目になり、窮地に陥ることも…。
    • この冒険を意外な形でサポートするのがダンジョン中随所に立っている「看板」。どうでもいい情報も記されているが、嘘は絶対に書かれていないので見かけたら確認する癖をつけたい。
      • 特に「危険」と書かれた看板には要注意。その先には大抵そのダンジョンへの初侵入時では、まず手が出ない強モンスターが登場する。どのぐらい強いのかまでは記されていないのが難点ではあるが、とにかく危険と書いてあったら危険なのである。
  • 前作同様、グラフィックレベルは高い。
    • 町や村の細部に至る描きこみも健在。またポポロクロイス城や城下町の構造は前作と全く同じであり、逆に細かい変化に気づきやすくなっている。
      • ただし一部問題のあるグラフィックがある(後述)。
  • 豊富なやりこみ要素。
    • 前作も多かったが今作ではさらに増加している。また、取り逃すと入手できないアイテムもかなり少なくなった。
      • 一例としては、鉱石を集めて最弱クラスの武具を最強になるまで鍛える「伝説の武具」イベント、パーツを集めてロボットの傭兵を完成させるイベント、前作同様のお土産の収集やモンスター図鑑の完成など。
    • さらにクリア後には「夢の王家の迷宮」という本家で言えば「もっと不思議」に相当するやりこみダンジョンが出現する。
      • ここでは前作の序盤の仲間キャラ、ゴンとドンを傭兵として雇うことができるようになる。情けなかった前作と異なり、あらゆる武器種と汎用の秘伝書、魔法書を全て使用可能という強力なキャラ。しかし情けない側面を強調する専用技を持っておりキャラが崩壊しているということはない。
  • 小ネタ、サブイベントも豊富。
    • 「グルメパレス」というモンスターを捕まえていくと能力値を向上させる料理を作ってくれるイベントがあるのだが、これがまんま昔懐かしき「料理の○人」。
      • ドットアニメーションで和・洋・中の料理シーンを完全再現。和食に至ってはお品書きを渡すところまで再現という徹底ぶり。
      • モンスターごとにどの料理人を選べば美味いor普通or不味い料理が出されるかは完全固定されている。美味い、または普通の料理を食べた場合は能力値が向上し、不味い料理を食べた場合は能力値が下がってしまう代わりにお詫びとしてアイテムをくれる。完全に相性の悪い属性を鍛えることのできる唯一の方法であり、上記の「(属性)の種」などがお詫びアイテムに設定されているモンスターもいるなど、やり込み甲斐のあるサブイベントである。*2
      • ちなみに美味い、または普通の料理を食べさせると食べたキャラが反応を示してくれる。傭兵たちの個性が出る数少ない場面でもある。
    • 各地にあるスタンプをカードに押してビンゴを完成させる「スタビン」というイベントがあるのだが、このイベントに関わる人物として、常にピエトロの先をゆく「スタビン○○」(先生や帝王など。進行により○○に入る称号は変わる)という男が登場する。
      • 勝者の余裕からかピエトロにスタンプの場所を教えてくれる。しかし「スタビン帝王」にまで上り詰めた彼は意外な結末を迎えることになる。
    • 宿屋に泊るたびにピエトロの夢に現れる謎のピエロ。
      • 泊らずに進めようと思えば進めてしまうため、無視することも可能。しかしその正体はストーリーに大きく関わるので是非とも見てもらいたい。
    • ピエロの夢を含めて冒険中ピエトロの印象に残った出来事は「ピエトロ日記」に記載される。
      • 期間限定のサブイベントなどもきっちり記録されるので集めがいがある。あとから確認して一個抜けてたりすると、いい感じに脱力してしまうが。
  • 傭兵一人一人をベテランの声優が担当している。
    • 前作同様必殺技、魔法などできっちり技名を叫んでくれる。前作よりキャラクター数も技の数も増えているのに手は抜かれていない。

問題点

  • グラフィックレベルは高いのだが、容量削減のためか所々で手抜きが目立つ。
    • 傭兵が顔以外の胴体のパーツは全ての傭兵で使いまわされているのだが、このせいで全ての傭兵が同じ体型という事態になっている。
      • 特に説明書などのイラストとのギャップが酷いキャラは「メル」と「ザッパ」。メルはイラストでは2頭身ほどの猫のような生物であり、ザッパはカバのような顔(本人曰く、ドラゴンらしいが)をした超肥満体の巨漢。この2名がゲーム中では同じ体型で表現されると言えばどれほど異常かわかるだろうか。
      • また魔法使い系のキャラでも全員が盾を持っている、勝利ポーズや魔法使用ポーズが全員同じなど違和感を感じる場面は多い。
    • 今作では何故かハシゴが存在せず、前作においてハシゴだった所は全て階段に変更されている。
      • 特にギルダの館は樹の上の住居部分に向かって階段が設置されており、前作から比べると些か違和感は拭えない。
    • 宿屋などで泊まる際はピエトロしか寝る姿が映らず、ガバスの物置部屋で泊まるイベントに至っては傭兵達の姿自体が消えてしまってピエトロが起きても話しかけることすらできない。
  • 前作ほどではないが、一部取り返せない要素がある。取り逃し注意。
    • また現在ではおみやげのコンプリートはほぼ不可能になっている。
      • コンプリートのためには本作の体験版が必要なため。ゲームアーカイブス版では一定期間配信されていたが、現在では入手できないためこちらもコンプリート不可。また、そうでなくてもポケットステーションなしでは入手できないおみやげがあるので、PSの周辺機器が使用できないアーカイブス版ではどのみちコンプリートはできなかったと思われる。
      • ただし、ゲーム内のアイテム図鑑はこれらの限定アイテムが記載される場所が設定されていないので、なくても全て埋められる。
  • 伝説の武具は特定の鉱石をダンジョンに潜って回収しお金をかけて強化していくのだが、鉱石自体が割と高値で売れる上ダンジョンに出入りするたびに復活するのでやろうと思えばあっという間に+20まで鍛えられてしまう。
    • 一つだけなら問題ないと思うかもしれないが、このゲームの店には掘り出し物というシステムがあり、ピエトロの装備している武具の数値以下の武具がランダムで出現するので、ピエトロに超強化した伝説の武具を持たせるとあっさり強い武具が買えてしまう。流石に一部の武具は出ないが、数値上かなりの強武具が買えてしまうのでバランス崩壊の危険性がある。
  • 前述のようにクリア後にやりこみダンジョンがあるにもかかわらず「グルメパレス」はオーナーがやる気を喪失していて利用不可であり、クリア後のやりこみプレイに水を差してしまっている。
  • ワープ手段がなくいちいちダンジョン内を通って移動する必要がある。
    • ショートカットなどもあるのだが、わずらわしいことは事実。
    • ポポロクロイス城のみ、「竜の翼」を使うことによって直接帰還することは出来る。
  • ストーリーにおける傭兵の描写が少ない。
    • 入れ替え制の弊害であるのだが、その場にいるはずの傭兵を完全無視してピエトロだけでやり取りが進むため若干の違和感が残る。『II』の終盤にも似たような問題があるが、本作の場合序盤からラストまでこの仕様である。
    • また、ほとんどの傭兵は加入時を除くと個別のイベントが極めて少ない。
      • せめて全員一度は個別イベントがあっても良かったのではないか。特に加入時ですら「なんとなく登場してなんとなく加入した」と受け取れるような一部のキャラは不遇である。
  • この手のゲームの宿命というべきか、キャラクターのバランスは今一つ。
    • はっきり言ってピエトロが強すぎるので、傭兵なしでも割と簡単にクリア出来てしまう*3。致命的な状態異常も即死ぐらいしかないので、対策してしまえば一人旅も割と簡単に出来る(手数が減るので時間はかかるが)。
    • 直接攻撃も魔法攻撃もこなせる「ボリス」*4や初期から高レベルの攻撃魔法を多数使える「ドグマ」などは使いやすいが、「素早さが高い」以外特徴がない「ミーシャ」や戦士系としては微妙な能力の「ダイソン」が2軍行きになりやすい。
      • そこまで絶望的に使えない、というわけでもなく愛情でカバーできるレベルではあるが。
    • 「旅好きの村人」のうち実用に耐えるのが数人しかいない。
      • そのうちの一人、よろず屋の「イムジー」が地味にバランスブレイカー。MP回復アイテムを無限に購入できるのでダンジョンの中でもMP切れを一切気にせず最強魔法連打で進めてしまう。他にもアイテム売却・鑑定もその場で出来、便利すぎる。
      • 次点では宿屋の「ノース」。移動中いつでも宿屋に泊まれる為、回復に関してはイムジー以上にコストパフォーマンスが良い。
  • システムの変更に伴い仕方がない面もあるが、前作の重要アイテム「竜の剣」がピエトロの最弱装備に格下げされている。
    • 『I』『II』において「竜の剣」はピエトロが強くなるに伴って攻撃力が上がり、また「竜の玉(両作とも世界に3つある)」を手に入れると強化されるという特徴があるが、今作ではピエトロがレベルアップしても攻撃力は上がらず、竜の玉も存在しない為、本当にただの最弱基本装備でしかない。
  • 前作では豊富だった戦闘BGMが3,4種類の使い回しになってしまった。これは続編の『II』でも同様である。
  • 少ないが致命的なバグがある。
    • 中でもボリスの声が途切れ途切れに再生されるバグが致命的。せっかくの子安氏なのに……

総評

タイトル通り「ポポロ」で「ローグ」な作品だが、実際にはローグライクのタイトなゲームバランスはほとんど感じられず、ポポロらしい万人向けの印象が強い。
その一方でやりこもうと思えばかなり深いところまで極めることができる通向けの側面も持つ。
「間口の広さ」と「懐の深さ」を併せ持つ稀有な作品であると言えるだろう。


余談

  • 「てつのよろい」といういかにもRPGらしいアイテムがあるが、本作には同時に「アイアンアーマー」というアイテムもある。英語になっただけのように見えるが、実際にはアイアンアーマーの方が性能が高い。間違えて同じような名前のアイテムを出しただけか、何かのネタかは不明。
    • 他にネタアイテムとして「ギルタのつえ」という誰も装備できない謎の武器が存在する。ちなみにストーリーに関わる魔女の名前は「ギル」であるため多分無関係。