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ファイナルファンタジーX - (2013/09/20 (金) 00:51:50) の編集履歴(バックアップ)


ファイナルファンタジーX

【ふぁいなるふぁんたじーてん】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売・開発元 スクウェア
発売日 2001年7月19日
定価 9,240円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:12歳以上対象
※アルティメットヒッツ版で付与されたレーティングを記載
廉価版 MEGA HITS!:2003年1月16日/5,040円
アルティメットヒッツ:2005年9月8日/2,940円
(X-2とのセット「アルティメットボックス」も同時発売/5,880円)
分類 良作
ファイナルファンタジーシリーズ関連作品リンク


概要

ファイナルファンタジーシリーズの10作目。原点回帰をテーマとした前作とは正反対に、既存のFFの世界観やシステムが一新された。


主な特徴

全般

  • 従来の中世ヨーロッパ風のファンタジー世界観や『VII』『VIII』のような近未来的な世界観ではなく、アジア文化をモチーフとしたSF世界。
    • プレイ開始直後こそVIIやVIIIの様に、文明が発達した大都市の一市民という従来と変わらない近未来を匂わせる。しかしとある出来事に巻き込まれることで文明が後退した世界に飛ばされ、最終的にビサイド島に行き着くのだが…。
      • 雰囲気をはじめとして住居、宗教観、寺院、住人の衣装、生活模様など文化を徹底しており、寺院関係では梵字やサンスクリットに似たような文字を使ったりとオリエンタルな世界観を表現している。
    • 世界観のみならず召喚士の衣装が特徴的。特にユウナの衣装が振袖、袴、袋帯、ブーツと日本の風習や古来の衣装をモチーフとしている。
  • シリーズとしては初となる、キャラクターボイスの採用。イベントシーンは当時珍しかったフルボイスで進行。戦闘時でもボイスがある。
    • 当時素人だった声優もいるが、『XII』のヴァンやDS版『IV』のセシルほど酷い人はいない。
    • 主人公・ティーダ役には青年俳優であった森田成一氏を起用。森田氏の声優デビュー作品であり、現在では人気声優として活躍する同氏が、声優として活動するきっかけとなった作品と言っていいだろう。
      • 森田氏は『VIII』でゼルのモーションを担当した人でもある。本作でも声だけでなくティーダのモーションも担当。
    • 本作では、各キャラの名前は主人公ティーダや召喚獣を除いて固定されている。任意の名前を設定できるそれらのキャラに関しては、名前で呼ばれることが無い。
      • 続編である『X-2』ですら一度として名前で呼ばれることがなく、ティーダは「キミ」「お前」等でしか呼ばれない。音声で呼ばれたのは『キングダムハーツ』が初で、FFシリーズでは『ディシディア ファイナルファンタジー』まで待つことになる。
      • この仕様に関しては、ドラゴンクエストシリーズなどのように「主人公=プレイヤー」という一体感を持たせたかったがためとも考えられなくはないが、本作は主人公が自分の意思を持って喋り行動するので、その点は今一つ疑問である。単純に、「キャラの名前を任意で設定できる」という伝統を残しておきたかったのではないかとも考えられる。
      • 『X-2』以降のシリーズのナンバリング作品では、オンラインゲームを除いて各キャラの名前は完全に固定されるようになる。
  • 映像技術
    • 「フェイシャルモーション」という技術により、ムービー外のキャラクターにも細かい表情がつけられるようになった。これにより、イベントシーンの表現力が大幅にアップ。
      • 当時の技術では限界があったのか、表情の変化はそれほどではない。しかし、そこはカメラワークなどで上手く誤魔化せているためあまり違和感は無い。
    • フィールドもフル3D化され、「アクティブフィールド」というシステムにより街中とモンスターのいるエリアとの一体化が可能になったり、キャラクターのいる位置によって元々のカメラワークに加えて常時自動的にカメラワークが調整される技術が実現可能になった。
      • システム自体も非常に洗練されており、障害物でキャラが見えなくなるなどカメラワークの悪い箇所は全く存在しない。
  • 音楽
    • 植松伸夫氏単独作曲ではなく、仲野順也氏、浜渦正志氏との共作になった。
  • シームレスイベントバトル
    • ハードスペックの向上により、今作から暗転やロード無しでイベント後そのまま戦闘に入れるという、ボス戦でのシームレスな移行が実現された。
      • 一部のボスでは戦闘中に「話す」コマンドで話すことが出来るが、その会話でも暗転や場面の切り替わりといったものは一切起こらない。
      • 現代でもこのようなシステムを導入したRPGはそれほど多くない。

ゲームシステム

  • ワールドマップが廃止され、隣接するエリア間を移動する形になっている。
  • 戦闘システム「CTB(カウント・タイム・バトル)」
    • ATB(アクティブ・タイム・バトル)をターン制にしたようなシステムで、感覚的には『FFT』の戦闘が近い。
    • 各コマンドによって、次に行動順がまわってくるまでの時間が異なる。全体的に、強力な行動ほど次の順番が遅くなる傾向にある。
    • 敵味方の行動順が一覧表示されており、後々の行動順を踏まえて戦い方を組み立てやすくなっている。
    • 後に、類似の戦闘システムを持ったRPGが多く登場するようになり*1、PS2のRPGにおけるコマンド式戦闘システムの主流とも言える形になった。
      • ただし、似たような戦闘システムは本作以前にもそれなりに存在していたため、一概に本作の影響であると言い切る事もできない。
    • 同時に戦えるメンバー数は最大3名だが、控えのメンバーとは戦闘中にいつでも交代できる。
  • シリーズ伝統の召喚獣の位置づけが「強力な魔法」ではなく「パーティメンバーの代わりに戦う」というものになっている。
    • これにより、従来のシリーズと比べて召喚獣の使い勝手が大幅に向上。召喚獣たちはパーティキャラよりステータスが高めに設定されているので、単純にボス等の強敵主との戦いへ力として運用したり、ある時は強力な攻撃への盾として活用する事も出来る。
    • 召喚獣をパーティとして運用できるだけでなく、ストーリーの進行により育成も可能となるので、ゲーム終盤で主人公達より力不足になってしまうという事も無くなった。
    • 召喚獣を召喚し、強力なオーバードライブ技を使ってもらってまた別の召喚獣を召喚するという「召喚ボンバー」という戦闘方法が編み出された。何も考えずに力押しでも勝つことが出来るが、終盤ボスではこういった戦法への対策手段を持っているので通用しなくなる。
    • 従来に比べて、魔法などのエフェクトの演出時間は短めになっている。召喚獣の召喚時などの演出も、IX同様に短縮することが可能。
  • 成長システム「スフィア盤」
    • レベルの概念がない独自の育成システムで、乱暴にいってしまえば、すごろくを進め、マスのアビリティやステータスが獲得できるというもの。戦闘によってAP(本作の経験値にあたるもの)を獲得していき、それによってコマを進めていく。すごろくのサイコロのようなランダム要素はない。また一方通行ではなく、一度通った道を戻ることも出来る。
    • キャラを成長させるタイミングや、どの能力を成長させるか・成長させないかといったことがプレイヤーの任意に委ねられており、低レベル進行などの制限プレイ(縛りプレイ)に配慮したような作りになっている。
    • スフィア盤は全キャラで共通の盤面を用いる。キャラごとに初期位置が異なり、キャラ別に決められたルート上を進めていくような作りになっている。
      各キャラのルートは、途中で小さな分岐(寄り道)はあるもののほぼ一本道であり、普通にゲームをクリアするまでならスフィア盤の進め方で迷うことはまずない。
      キマリというキャラだけはルート選択の自由度が高くなっている。
    • ある程度ゲームを進めると、スフィア盤上の他のキャラのルートや未知の領域に進入できるようになり、育て方の自由度が非常に高くなる。
    • キャラ別に、スフィア盤上の一度通過したことのあるルートや、発動済みのスフィア(マス目)は明るく光るようになっている。
      これにより、キャラクターの強さを「数値」やグラフではなく、スフィア盤上の明るさや色の規模といった「絵」である程度把握できるようになっている。
    • このシステムにより、開発側が「このイベント到達時点で想定される成長具合」を明確化してモンスターのパラメータなどを設定したこともあって、本作の戦闘バランスはシリーズでも比較的安定しているほうである。
    • 最終的には、スフィア盤の「何も無いマス」を新たにステータス上昇マスに変更したり、既存のマスを消してより強力なマスに書き変えたりすることができたりと、盤そのものをカスタマイズすることが可能になる。これにより、キャラクターをとてつもなく高いステータスまで成長させることができる。
  • アビリティ及び武器防具のシステム
    • 武器や防具には様々な効果を持った「オートアビリティ」が付加されるようになった。
    • 本作の武器防具は「アビリティをセットするための入れ物」のような扱いである。従来と違って、武器防具には攻撃力・防御力などのパラメータは一切設定されていない。
    • アビリティの種類には属性の耐性といった基本的なものからエンカウント自体を無くすという超便利な物、更にはHPやMPの上限を底上げするものまである。
  • 改造
    • ゲーム中盤辺りから行えるようになるシステムで、一定数のアイテムを消費する事によって、武器や防具に任意のアビリティを追加できる。
    • 素材さえあれば自分の好きなようにカスタマイズする事が出来るため、戦略性の向上に一役買っている。
      • 無限に追加する事は出来ない。武器や防具の空きスロットに追加する方式なのでバランスは取れている。
    • 更には終盤には完全に改造専用に特化した武器がとある店で売られるため自由度の高さに更に拍車をかけることとなる。
  • FFシリーズ恒例の本編とはあまり関係が無いミニゲームも健在。
    • 中でも「ブリッツボール」は想像以上に奥深い本格的なゲーム性や高い戦略性などから一躍有名になった。他にもチョコボ操作の訓練などといったミニゲームから延々と雷を避けるだけという作業ゲーなど様々。

その他

  • 難易度は低いと見なされがちだが、モルボル、シーモア、オーバーデスなど強敵・強技も多く、モンスター訓練場には異様なほどHPとダメージがインフレしたボスが登場する。一番強いのでHP1000万。
    • 「七曜の武器」が各キャラに用意されていることで、バランスを全方位に尖らせることで保っている。この武器は最初は弱いが強化すると非常に強力になる、所謂最強武器である。どのくらいかと言うと9999のカンストを振り切って数万ものダメージをたたき出すほど。無論本編ではバランス崩壊であるため、裏ボス相手に用意された武器と言える。実際、最終段階まで強化するのはミニゲームなどをこなす必要があり、ある程度苦労する。
      • また近年のFFお馴染みのチート級の連続攻撃やクイックトリックの鬼性能もあるため実際はそれほど時間をかけずに倒せる。特に訓練場最後の敵は「HPの数値が高いだけのデクの坊」と歴代の裏ボスでも最低クラスとの酷評を受けている。体感的に見ても訓練所を勝ちあがっていく途中の敵の方がそのモンスターよりも梃子摺る場合がほとんど。
    • またダメージだけでなくHPやMPの上限も上記の「改造」を利用して限界突破のアビリティをつければ従来から更に1桁増える。が、オリジナル版ではクイックトリック連打の傍ら敵のターン直前に召喚獣を身代りにする戦術で押し切れるのでそれ程重要ではない。
  • クトゥルフ神話を想起させられるあるボスのグロさ(と初見殺しぶり)はFFの中でも『VIII』のラスボス最終形態と一二を争い、トラウマになった者も多い。

評価点

  • ストーリーはCMから恋愛要素ばかりが注目されがちだが評価はかなり高い。
    • 序盤こそギャグ感が強く、主人公の性格が痛いと思うかもしれないが実際はかなりシリアスな内容で、後半になるにつれ宗教紛争などの厳しい現実と甘い幻想の選択など重いテーマを持ち合わせているストーリーへと変わっていく様は実に見事。投げっぱなしになっている伏線もほぼなく、ただ重いだけでは終わらせない奥の深く感動的な構成になっている。
    • それが頂点に達するエンディングのシーンは素晴らしいの一言。もちろん、エンディング以外にも見せ場は多い。
  • キャラクターボイスにより、イベントシーンや戦闘の臨場感が高まっている。
    • そのシリアスなストーリー性故に名言も多く「私『シン』を倒します。必ず倒します。*2は有名。他にも「これはお前の物語だ。」や「泣くぞ すぐ泣くぞ 絶対泣くぞ ほら泣くぞ」などといった名言も。
  • キャラクターも人気が高く、特にヒロインのユウナはシリーズトップクラスの人気を誇る。
  • グラフィックはPS2初期の作品とは思えない程にレベルが高い。
    • 特にムービー部分の『IX』からの進化は凄まじく、今見ても見劣りしない。特に「水の質感」は必見である。
    • この点も上記のシナリオのインパクトや印象をより強める効果としてしっかり働いている。特に「異界送り」という儀式のムービーの美しさは当時のプレイヤーを驚かせた。
  • 音楽も「シーモアバトル」、「ザナルカンドにて」、「襲撃」など名曲が多い。
  • シームレスバトルの採用により、物語と戦闘の一体感を出す事に成功しており、ユーザーを物語へと一気に引きこむスパイスとして大いに機能している。
  • 戦闘ではそれまでのFFの宿命とでも言うべき問題点であった「魔法などのエフェクトが長すぎる」と言った問題点が解消され、戦闘テンポが劇的にスムーズになった。ただし下手に削りすぎて地味になっているわけではなく、しっかり派手さも健在。魔法のSE等も聞き応えのあるものが多い。
  • 全体的にロード時間が短く、快適にプレイできる。「Playstation BB Unit」を用いれば、ロード時間を更に短縮できる。

問題点・賛否両論点

  • 主人公が名前で呼ばれない。「名前を変更できなくてもいいからティーダと呼んで欲しかった」という意見も。
    • ゲーム序盤のあるNPCとの会話ではしっかりと「ティーダ」と読んでくれる場面が一応存在する。
  • 戦闘システムがATBからCTBに変更されたことへの賛否。
    • 戦略性などはしっかり残されているものの、『IV』以降受け継がれてきた戦闘でのリアルタイム性がなくなったことには今でもなお批判の声がある。
      • 後の『X-2』や『XII』や『XIII』でリアルタイム性のあるシステムが導入されたことは、今作での批判が少なくなかったことを思わせる。
    • ただしその一方で、リアルタイム性特有の煩わしさがなくなったことや、SFCからPSまで引き継がれてきたATBシステムをあえて変更したということを評価する声も少なくはない。
  • スフィア盤による成長システム
    • 人によってはやや複雑で手間に感じられる面もあり、従来のようなレベルアップによる自動成長の方が快適で良いという意見もある。
    • 全キャラで1つの盤を共有している関係上、完走するまで育て上げると全員が同じステータスになってしまうという欠点がある。
    • また、ステータスで優劣が付かなくなるため、固有技の性能の格差が目立つ。連続攻撃が優秀なティーダやワッカが異常なダメージを叩き出す反面、キマリなどは補助でも攻撃面でも中途半端になりがち。
      • もっとも、そこまで育てるにはかなりやりこまなければならないため、通常気になることではない。
      • ただしキマリは適性の敵が特にいないということ、スフィア盤のスタート地点の都合上実用に耐える育成が難しいということ、オーバードライブ技の性能があまり高くないことから、序盤から中盤でも中途半端さを感じることがいくらかある。一応各種やりこみ等ではむしろ重宝することが多いのだが。
  • 以前のPSシリーズ等に比べ色違い等の敵が多く、雑魚敵のバリエーションが少ない。
    • 「エレメント系・プリン系」などにはルールー、「鳥系・羽虫系」などにはワッカ等、役割分担を意識したシステムであるが故でもある。また終盤の敵は同種族でも、以前より巨大であるなど工夫は見られる。
    • ただしモンスター訓練場の強敵が、ほとんど既存のモンスターやボスの色違いであることには批判の声もある。おまけなので別にいいという声もあるが。
    • 訓練場最強のモンスターも例外なく既存のボスの色違い。当時の攻略本や雑誌ではモザイクなどで姿が隠されていることが多かったため、拍子抜けしたプレイヤーも多い。
  • 武器・防具といった装備品の整理機能がない。
    • キャラクター別に分かれていないこともあり、非常に散らかりやすい。装備・売買時は探すだけで一苦労する。
    • インターナショナル版で改善された。
  • 戦闘における一部の敵味方の行動(モーション)が緩慢で時間が掛かり、戦闘のテンポを悪くしている。
    • 特にルールーの通常攻撃モーションの遅さはよく指摘される。彼女は魔法が主体なのでやりこまない限り、通常攻撃をする局面は多くないのだが。
  • その戦闘で1ターンも行動していないキャラはAPを獲得できないという仕様のため、各キャラをまんべんなく育てたければ、戦闘中にいちいち各キャラに交代して、「防御」などの適当な行動を1回ずつ取らせなければならない。
    • キマリはともかく、それ以外のキャラは全員をしっかり育てていかないと、後々きつくなる。
    • 本作のパーティメンバー数は、中盤までは大体6人、中盤以降は7人であり、毎回の戦闘で一人1回ずつ行動させるのは面倒臭い。
    • その戦闘で勝つことだけを考えるなら、大体3~5人程度のキャラで十分戦える。そもそも交代する必要がないこともある。
  • ムービー、イベントシーンをスキップできない。
    • 音声を部分的にスキップできるシーンもあるが効果は微々たるもの。イベントシーンはあちこちに存在するので2周目以降だと特に気になる。
  • ムービーの完成度が高い故に、通常のゲーム画面との違和感(差)が大きい。
    • ムービー以外で主要キャラクターにはイベント用と戦闘用の2種類のグラフィックが用意されている。
      イベント用のグラフィックは上述の「フェイシャルモーション」により表情豊かだが、戦闘用のグラフィックはほぼ無表情で、グラフィックそのものもやや粗い。
      イベントシーンではこの2種類のグラフィックが混在していることが多い。
+ 左:戦闘用グラフィック、右:イベント用グラフィック

  • フィールドマップの削除とマップの一本道化。
    • これまでもシナリオに沿わないと進めないことは少なくなかったものの、本作ではマップまで一本道化されている。最近ではこのことについての批判が多い。
    • ただしこれは「召喚士の旅」というシナリオを重視したがための措置でもある。また「ミヘン街道」の新道・旧道などの分岐等は多くはないものの用意されており、「レミアム寺院」のような隠されたマップや隠し宝箱などもあり探索の楽しみがなくなったわけではない。
  • 全部で7種類存在する最強武器「七曜の武器」及び、それらをパワーアップさせるアイテムの中に、入手難度が異常に高いものがいくつかある。
    • ミニゲームをやり込まねばならず、運や根気が要求されるものもあるが、苦労に見合うだけの性能ではある。
  • ラスボス戦の問題
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  • 本作のラストバトルは「究極召喚獣 → 各召喚獣との連戦 → ラスボス」という3つのパートに分かれているのだが、最初の究極召喚獣以外は負ける要素の無いイベントバトルであり、究極召喚獣が実質的なラスボスとなっている。
    • 究極召喚獣を倒した後のバトルでは常時リレイズ(自動復活)状態になるので、まず負ける要素が無い。
    • 全体的に戦闘のテンポが悪く、時間が掛かってしまう。
      • 召喚獣をどれだけ育てたかによるが敵の攻撃力が高めな上に、こちらの攻撃を結構な確率で回避してくる。更にお供の2体の敵が定期的に召喚獣やラスボスのHPを回復させたりする。しかもこいつらは何度倒してもすぐに復活してしまうので本当にウザい。
      • 召喚獣を一体ずつ召喚しては撃破、ということを繰り返さなければならず、作業的。
      • ラスボスの攻撃に至っては割合ダメージ攻撃である「グラビジャ」程度しか使用せず、こちらを殺す気が感じられない。ただし、これは重力を扱うというラスボスの設定、『シン』とラスボスの関係や貧弱なラスボスに今まで苦しめられていたことなどが表現されており、一概に問題点とは言えない。

総評

ストーリーの質はシリーズトップクラス。近未来とアジア文化を融合させたようなFFのイメージを覆すような世界観、主人公の精神的成長やプレイヤーに想像の余地を残していることなどが高く評価される一方で最初から最後まで倒すべき目的が一貫していること、嫌味のないキャラクター達など分かりやすさも兼ね備えている。

ゲーム部分としては武器の改造やカウントタイムバトルなどが他のRPGにも影響を与え、美しいグラフィックやシームレスバトルなど、シナリオ以外の部分にも名作となりえる要素が満遍なく配置されており、高い評価を受けている。


ファイナルファンタジーX インターナショナル

【ふぁいなるふぁんたじーてん いんたーなしょなる】

発売日 2002年1月31日
定価 8,140円
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
※アルティメットヒッツ版で付与されたレーティングを記載
廉価版 アルティメットヒッツ:2007年1月25日/2,940円
分類 良作

追加・変更点

  • 音声が英語になった。それに合わせ、人名や召喚獣が英語表記になり、作中の用語や台詞が多少変更された。
    • エンディングのスピーチ等大きく変更された部分もある。
    • ゲーム中の文字や字幕の選択が可能。日本語・英語の2種類から選択できる。(字幕のみ英語にすることはできない)
  • ゲームバランス調整。
    • オリジナル版では弱過ぎると酷評されたオメガウェポンが、大幅に強化された。
    • アビリティ関係ではオリジナル版で猛威を奮ったクイックトリックの行動速度が半減(条件によっては実質3分の1ぐらい)、消費MPも増やされ弱体化した、それでも依然として裏要素における主戦力であることには変わらない。クイックトリック弱体化により訓練所(及び後述の追加ボス)の難易度がかなり上がっている。
    • オリジナル版では必要無かったHP限界突破であるが、追加されたボスはHP限界突破がないと話にならないと言えるため極めて重要になった。
  • 新アビリティ、新スフィア盤追加。
    • スフィア盤はゲーム開始時に、オリジナル版と新バージョンのどちらを使用するかを選ぶ。
    • 新バージョンのスフィア盤では、ルート選択の自由度が大幅に広がり、最初から色々な進め方ができるようになっている。
      • これによってオリジナル版とは多少異なるゲームバランスになるので、オリジナル経験者も楽しむことが出来る。
      • ただし、スフィア盤の盤面の都合で極限まで育て上げるならオリジナル一択となってしまう。
  • 一部の仕様が快適化された。
    • 武器の並び順を変更できるようになった、一部の場所にセーブポイントが追加設置された など。
  • 新たな敵、ヘレティック(ダーク)召喚獣とデア・リヒターの追加。
    • ダーク召喚獣はゲーム終盤になれば世界各地に出現するようになる。これにより、無印版にはなかったいくつかの弊害が発生している(詳しくは後述)。
      • いずれもゲーム本編には関係無い、やり込み要素的な位置付けで、ゲームクリアだけを目的とするならほぼ無害なもの。
      • デア・リヒターのHPは驚異の1200万*3である。強敵なので心してかかろう。
  • ダーク召喚獣の出現による弊害
    • いくつかの地域に立ち寄ったり道を通過しようとしただけでダーク召喚獣と遭遇し、場合によってはそのまま強制的に戦闘に突入する。
      ダーク召喚獣はラスボスを遥かに上回る強さ*4であり、キャラをかなり強化していないと即全滅させられてしまう。当然ながらラスボスと対等に渡り合える能力では100%死が見える。
      • そのため、ラスボス戦前に各地を寄り道するようなプレイヤーにとっては脅威の存在であり、事前情報も無いため、やや不親切。
    • 「試練の回廊のアイテム」「特定のオーバードライブ技」「特定の隠し召喚獣」「特定の七曜の武器をパワーアップさせるアイテム」の入手時期が遅くなる可能性がある。
      • ダーク召喚獣の出現前にこれらを入手しておかないと、以降はダーク召喚獣を倒さなければ入手できなくなってしまう。
        ダンジョンの初回攻略時に入手しておかなければいけないものも多い。
    • またビサイド村入口で登場する「ヘレティック・ヴァルファーレ」には不満の声が多い。
      • 思い出深い旅立ちの地であるにも関わらず、足を踏み入れようとしたら登場→全滅となるなど。倒すまでビサイド村での会話などもできない。