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三國志V - (2012/08/12 (日) 11:42:05) の編集履歴(バックアップ)


三國志V

【さんごくしふぁいぶ】

ジャンル 歴史シミュレーションゲーム
対応機種 PC-9801
発売・開発元 光栄
発売日 1995年
定価
三國志シリーズリンク

概要

三國志シリーズの5作目。
バランスの取れたシステム、印象深いBGM、様々な陣形を駆使したテンポの良い戦争などから、未だに「シリーズ最高傑作」の声が多い名作。

システム

  • それまでのシリーズで登場した要素(外交・担当官・武将の特技など)の集大成となっている。
  • 新要素としては名声によるコマンド総数の増減と、戦争における陣形の導入がある。
  • 名声は君主自身が持つ評価であり、一年の最初に行う評定での目標達成・民忠誠度の上昇・歴史イベントなどで上昇し、評定での目標失敗・徴兵・略奪・歴史イベントなどで下がる。
    • 名声が一定量に達すると1か月の命令回数が増える(最大10回)、巡察などでプラスになるイベントが起きやすい、などの効果がある。
    • 徴兵・略奪などは名声を大幅に下げるが、名声0でも命令回数は3回確保できるので暴君に徹することも可能。ただしマイナス面が多くなるので、かなりリスキーなプレイを要求される。
  • 戦争時の舞台の概念に「陣形」が追加。
    • 武将によってそれぞれ使える陣形は違っており、平地型・山岳型・水上型の全12陣形が存在する。
    • それぞれの陣形には様々な特色があり、例えば「突撃」・「一斉」が可能なもの、特定の地形で機動力の高いもの、兵士が死亡せず「負傷兵」にとどまる率の高いものなどがある。これらを上手く用いるのも戦いのコツとなり、武力が高い武将だけでなく、陣形を多く持つ武将を起用するなどの手も肝心。
    • また同盟を結んでいる他国と共同で新兵器を「開発」することにより、陣形の基本性能を強化することも可能。
    • 戦場で敵の部隊を撃破する、「修行」で在野武将から陣形を教わる、武将が寿命で死んだ時にその息子に特定の確率で伝授される、などで低確率ながら習得できることもある。
  • 各武将のステータスに「勇名」が追加された。これも「修行」や戦場での勝敗など、様々な行動・イベントによって変動していく。
    • これまでのシリーズと違い、配下武将は部隊兵士数に上限がある*1。デフォルトだとたったの8000しか兵を持てないため、戦場で最大限の働きをすることが難しい。「勇名」を稼ぐことにより「将軍位」に任命することができ、これによって持てる兵士数の上限が上がってゆく。
      • なお、任命できる将軍は数に上限があり、しかもかなりシビア(大体兵士が1000増えるごとに2~4枠)であるために、有能な武将が増えれば増えるほど壮絶な将軍任命争いが発生する。
    • 値が高いと部隊の攻撃力・防御力に有利な修正がかかったり、一騎打ちで有利になりやすいという隠れた仕様があり、先の「陣形」と合わせて「お気に入りの武将を育てて活躍させる」というやり込み要素が前作よりも増加している。
  • 嫌いな武将フラグ
    • 本作から「一定条件を満たすと当該武将がプレイヤー君主に絶対に仕えなくなる」という、いわゆる「嫌いな武将フラグ」が登場する。本作は当システム初採用だったこともあり、中盤が人材不足になり易い等まだまだ未成熟だったが、後年の作品では定番の要素として洗練されていく。

評価点

  • 難易度的にも遊びやすく、システムも複雑すぎず簡単すぎない程度でバランスが良い。間口の広さと奥深さが両立されている。
    • 新要素の陣形、名声はそれほど意識しなくても(よほどの弱小勢力から始めなければ)十分クリアは可能。
    • システムそのものも比較的シンプルな割にはメリハリがきいており、戦略性を従来作品よりも高めている。
  • 多数ある陣形や特殊能力、勇名の補正、将軍位による兵力増強などの要素により武力が低い武将でもやり方次第で戦争で活躍できるようになった。
  • 服部隆之氏による音楽も秀逸。これまでとは気色の違う音楽ながらクオリティは高く、通常戦争時の「竜戦」、対蜀戦BGM「華龍進軍」はシリーズ屈指の名曲とされている。
    • また初期の方のシナリオから始めないと聴けないが、対董卓戦BGM「鬼道の将」、対呂布戦BGM「狼将」も人気である。
  • シリーズで初めて184年「黄巾の乱」のシナリオが登場した。
    • 「幻術」「妖術」の特技を使いこなす張角三兄弟、曹操・袁紹などを配下にしている何進、劉備三兄弟を配下にしている劉焉など、このシナリオしか見られない君主と配下は一見の価値あり。
  • 歴史イベントが多数追加された。
    • 特にシナリオ2の「反董卓連合」「長安遷都」から連動して起こる「連環の計」全4回は見もの。
  • レスポンスやグラフィック、インターフェースなどその他の面も高いレベルでまとまっており、全体的な完成度は高い。

批判点

  • 一部の特技が反則的な性能。そのため特殊武将(左慈・南華老仙など)が強すぎる。
    • 「幻術」*2・「妖術」*3・「仙術」*4が凶悪。特殊武将はこれらを最初から使用可能で、さらに全陣形を使える。よって本作において特殊武将は、かなり便利な(敵に回せば「ズルい」)仕様である。
    • 一応弱点はあり、武力が非常に低いので攻撃を食らうと脆い。また立場的には「短期バイト」的な扱いであり、一定期間で必ず在野武将に戻るため、配下としては扱いにくい。
    • 一部の特殊武将は前項の凶悪特技が使えるようになるアイテムを持っており、戦争で捕えた場合にアイテムを手に入れることができるため、成功すれば一気に凶悪な武将が出来上がる。
  • 特殊武将の影に隠れる形だが、呉軍の武将もなかなか手ごわい。
    • 「水計」*5を所持する武将が多く、さらに「水陣」*6、「水神」*7を有している武将が多いので、水辺で呉軍と戦うと翻弄される危険性が高い。呉の地形には水が多いため見た目以上の堅固さを誇っており、従来に比べ呉軍は(CPU同士の戦争ですら)かなり滅亡しにくい。
    • これまで地味だった呉軍に「自分たちの戦術による活躍の場」を与えた、と評価する向きもある。
  • 敵からの計略が本当にウザイ。
    • とにかくCPUは流言(民忠誠度&武将忠誠度低下)やら作敵(戦場での寝返り約束)やら駆虎(次季節に武将が100%反乱)やらを、行動回数のあらん限り吹っかけまくってくる。「官渡の戦い」シナリオあたりでは、場合によっては開始後しばらくすると、曹操・袁紹がお互いをそっちのけでプレイヤー君主目掛け、ありったけの計略を何ヶ月にも渡って連続して続けてきたりともう滅茶苦茶。
    • 後述の『三国志DS3』において他の問題点は概ね対策されているが、この計略連発だけはイマイチ解消されていない。
  • 「武将引き抜き」時の仕様が非常にシビア。
    • 今作では引き抜かれない忠誠度、及び相性差の条件・範囲が非常に狭く高く設定されている。余程相性が近くない限り、忠誠度100以外の武将は(親族や、先述の嫌悪武将等でない限り)登用できる可能性がある為、引き抜きが非常に強力。人間だと成功するかしないかは軍師の助言に頼るしかないのだが、CPUはこの仕様を悪用して「絶対に成功する時のみ」引き抜きをかけてくる。
    • しかも忠誠度を上げる「褒美」コマンドを行えるのは一命令の度に一人ずつのみ。序中盤は少ない行動回数を割いて褒美をあげる事になるのだが、上記の計略乱発も相まって褒美が追いつかなくなるのがほとんど。加えてCPUは戦争後に登用した武将を狙って片っ端から武将を引き抜きするため、中盤は武将の頭数が不足しやすい。
    • 忠誠度を100にしても上記の流言地獄で忠誠度を下げられたうえで登用される可能性もあるため安心できない。
      • CPUの戦略画面で馬が自国に走ってくる度に絶望感を覚えた人も多いのでは。
  • 戦争時における、防御側援軍の優遇
    • 本作の戦争では、隣接する都市から5日毎に援軍を呼ぶことができるが、攻撃側は戦場の端に配置されるのに対し防御側については城や関の周辺といった激戦区に最初から配置できる。
    • しかも配置したその日に行動が可能であるため、攻撃側が城を囲んだ状態で援軍が来た場合、そのまま援軍に背後を突かれて壊滅的被害を受ける可能性がある。
    • 援軍が来る前に城から距離をとることである程度は対処できるが、初見殺しであることは否定できない。

その後の展開

  • 後にパワーアップキットが発売された。
    • シナリオの追加、歴史イベントの追加(「桃園の誓い」もPUKでシリーズ初めて採用された)など更に遊びこめる内容となっている。
  • Win・PS・SSなどにも移植された。
  • DSの『三國志DS3』もこの作品が基となっている。
    • 「英雄バトルロード」(武将を編成して、様々な条件下の戦いを勝ち抜いていく。武将の強化も可能)、「英雄集結」シナリオ、各種SP武将の追加など、良質な移植ともなっている。