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FOREVER BLUE 海の呼び声 - (2012/10/06 (土) 15:52:46) の編集履歴(バックアップ)


FOREVER BLUE 海の呼び声

【ふぉーえばーぶるー うみのよびごえ】

ジャンル ダイビングアドベンチャー
対応機種 Wii
発売元 任天堂
開発元 アリカ
発売日 2009年9月17日
定価 5,800円


あらすじ


環太平洋を中心とした広範な範囲に「竜の歌」という伝説があった。
この不思議な伝説に興味を抱き、
南太平洋パオウル共和国へと大学を休学して訪れた主人公は、
ひょんなことから世界的海洋冒険家ジャン・エリックが営むRARダイバーズサービスで働くことになった。

そしてその初日……
ジャン・エリックの孫娘であり、
唯一の社員であるオセアンヌとのダイビングの途中、
彼女の持つペンダントが不思議な音を出した。
その途端、ザトウクジラが暴れ出す不可思議な事件が起こる。
(公式サイトから引用)


概要

  • 任天堂が送るダイビングアドベンチャーゲームの2作目。
  • Wiiの特徴を生かした操作で各地の海へ潜り、プレイヤーのスタイルに合わせて様々なダイビングを楽しむことができる。
  • 前作のゲーム性を純粋に強化し、ボリュームを大幅に増加したものとなっている。
  • また前作ではシナリオはほぼ空気であったが、今作では存在感のあるものとなっており特にサブストーリーが非常に充実している。
  • 舞台が大幅に広がったため、それに合わせて淡水魚をはじめ生物の数が大幅に増えた。
    • 熱帯魚、深海魚、イルカやクジラなどの海の生物は勿論、アザラシなどの海獣、ペリカンなどの海鳥といった近海に生息する動物も含めた総勢300種類以上の生き物が登場する。
      • マンタ、ジンベイザメ、マナティ、ホッキョクグマ、シーラカンス、ピラニア、リュウグウノツカイなど有名どころの生き物はほぼ揃っている。

特徴

  • 主人公はRARダイバーズサービスとして仕事をこなす傍らで、世界中の水域で見られる不思議な伝説「竜の歌」の謎を追っていく。
    • メインストーリーはいわばチュートリアルであり、ストーリーを進めるごとに新たなシステムが使えるようになったり行動範囲が広くなっていく。
    • 今作では南太平洋、エーゲ海、北極海、南極海、アマゾン川、紅海の6つの海域を探索でき、それぞれ住んでいる生き物や環境が異なる。
      • 潜水前に休憩して時間を進めることでナイトダイビングも可能。夜間でしか見られない魚、起きないイベントもある。
      • マップの完成度に応じて報酬を貰えるため、好きに探索していてもお金に困らない。
      • また海底にはサルベージ品が埋まっていることがあり、マルチセンサーで捜索することにより引き上げて報酬に変えることができる。
      • ある程度ストーリーを進めると水族館の展示を任され、来場者数に応じて報酬をもらうことができるようになる。
    • ストーリーを進めたり、拠点であるナインボール島でアクションを起こしたりすることでサブストーリーが展開されることもある。
      • ナインボール島では装備の購入や図鑑の閲覧のほか、称号をつけ変えたり写真をアルバムに登録したり、イルカを訓練したりできる。

システム

  • Wiiリモコンのポインターを用いた操作で海域を探索し、生き物や特定地点を注目し、様々なツールを駆使することで多様なアクションが起こせる。
    • ダイビングにはNPCやイルカのパートナーを連れていくことができ、それぞれ便利な特徴を持っている。
      • 例えばイルカを連れて行けば捕まえて泳ぐことで泳ぐ速度が大幅に上がるなど。サルベージ向きや生き物鑑賞向けの特徴を持つパートナーもいるため目的に応じて使い分けるのがいい。
  • 生き物に注目すると図鑑に載せることができる。種類によってはエサを与えたり写真を撮ったりすることで追加情報が与えられる。
    • 図鑑に載せた生き物は水族館に展示することができる。
  • 生き物だけでなく、珊瑚の隙間や海底の巣穴など注目して拡大できるポイントが設定されているところもある。そう言った場所にはクマノミやオハラエビ、クリオネといった小さな生き物がいたり、収集物の一つである星座コインが落ちていたりする。
  • 餌を与えると魚が集まって来たり、食べるリアクションをしたりする。またその時にリモコンを振ると撫でることができ、撫でるのに適した生き物(イルカや海鳥、海獣類など)ならば鳴き声を返したり首を振ったりとリアクションを返してくれる。
  • PULSARを持つと生き物に向けて電磁波を撃つことができ、さながら3Dシューティングめいたことができる。
    • 電磁波を生き物に撃ち込むと弱った魚を治療したり、興奮している鮫を落ち着かせたりして危険を回避できる。
    • 多くの生き物を治療すると環境団体から報酬を貰えるなどメリットもある。
  • カメラで生き物の画像を撮影することができる。ただ映すだけでなく、明度を調整したりぼかしを入れるなどのカスタマイズが可能で実にプロカメラマン仕様。
    • 出版社などが要求している写真を送ることで報酬を貰える。
  • 海笛はクジラやイルカに対して使うと鳴き声を返してくれる。時にはこれを使ってクジラを誘導するなどの使い方をする場面も。
  • マルチセンサーはいわゆる探知機。海中に埋まっているサルベージ品を探すのが主な用途だが、遺跡の材質を調べるなどの謎解きの助けにも使う。
  • 水中ペンはマップに目印をつけることができる。最後に描いた目印はセーブデータに反映される。

評価点

  • 美しいグラフィック
    • Wiiの中ではかなりレベルが高い。魚ごとの特徴がはっきりとわかる描写や海域ごとの壮観な風景などは見る者を圧倒する。
    • 海中に沈んだ古城や南極海の氷の洞窟などはもはや芸術。沈没船や海底遺跡などの被造物の描写も素晴らしく、海の浪漫をたっぷりと味わえる。
  • 壮大な音楽
    • 美しいコーラスや海の深さ、広さを感じさせる旋律などはグラフィックとの相乗効果もあって非常に聞きごたえがある。
  • 雰囲気ゲーとしての良さ。
    • 珊瑚礁の華やかさや暗黒に包まれた深海の恐怖感、遠洋の何もなさによる喪失感、氷の海の冷たさやアマゾン川の濁りや生ぬるさが上記のグラフィック、音楽、演出などからよく伝わってくる。
  • 破格のボリューム
    • 6つの地域に300種類を超える生き物、200種類ものサルベージ品、全100個の星座コインと数量的な収集要素は前作の比ではない。
    • 一つ一つ説明が丁寧に書かれており文章量だけでも相当なもの。テキスト自体も冗長過ぎず簡潔過ぎず、時には遊び心も交えた質の高いものである。
    • 場所や時間帯、条件によっては異名のついたレアな大物(レジェンド)に出会うことができる。中にはクラーケン、シーサーペントといった伝説の生き物、アノマロカリス、チョッカクガイといった既に絶滅している古生物まで存在するためコレクションも熱い。
      • 自分のプライベートビーチを作ることができ、自分の好みの配置物を置くことで、魚が集まってくる。
      • 更に収集要素の集め具合やストーリー進行などにより称号を手に入れることもでき、これもかなりの数がある。
  • メイン、サブともにシナリオの出来が良い。
    • 地域性や考古学の専門知識を生かした適度なリアリティや上手く組み込まれた伏線、システムを生かした謎解きなど先が気になる作りになっている。
    • メインストーリーは短いが、サブストーリーの充実具合が大変なもので、むしろこちらが本編といってもいいほど。
    • ムービーも豊富に取り入れられており、マンタの群れの回遊やマッコウクジラがダイオウイカを狩る場面など生き物マニアが唸るシチュエーションが用意されている。
  • 全体的にユーザーライクな作り。
    • メインストーリーの中にチュートリアルが丁寧に仕込まれており、シチュエーション的な不自然さもなければ不親切さも見当たらない。
    • 周回プレイこそできないが、膨大なやり込み要素は全て選択肢による分岐や取り逃し、ストーリー進行による取得条件喪失などによる取り返しがつかないものが存在しない。
    • インターフェース面も万全で、マップは見やすく、ストーリー進行がわからなくなってもNPCの聞いたりメモを見たりすれば一目瞭然で、潜水中に戻りたくなったらコマンド一つで船に戻れる。
    • 鮫などの危険生物も存在し、主にPULSARで撃退することになるが噛まれても空気が減るだけで死んだりはしない。
      • この辺りは普通のゲームだとぬるいという批判になるだろうが、癒しゲー・雰囲気ゲーの側面が強いゲームであるため「気軽に探索できる」というメリットのほうが大きい。そもそも前作では鮫だろうがダイオウイカだろうが無傷で触り放題だった。
  • 自由度も高く、多くのやり込み要素や多彩な報酬の獲得手段、サブイベントのお陰で好きなようにプレイしてもシステム的に厳しいといったことはない。
    • RARダイバーズサービスの仕事をこなして業界NO1を目指すもよし、ひたすら収集要素をコンプリートするもよし、サルベージで一獲千金を狙うもよし、プライベートリーフや水族館を好きにいじくりまわして箱庭作りを楽しむのもよし、サブストーリーをひたすら追ってシナリオを味わうのもよし、気ままに海を泳いで癒されるもよし、とにかく遊び方の幅が広い。

問題点・賛否両論点

  • 操作性にやや難がある。
    • リモコン操作で常にポインターを進行方向に向けていないといけないため、長時間海に潜っていると手首が疲れてくる。
    • 生き物を撫でるためには一度餌コマンドを選択し、その上でリモコンを振らなければならないため二度手間。
    • コマンドはポインターで選択しなければならないため、いきなり鮫に襲われた時などでポインターがなかなか定まらないと無駄に空気を減らす羽目になることも。
    • 陸上の操作は全く走らないため遅い。
      • もっともそんなに陸では活動できないことと、注目したい対象にポイントを合わせるだけでアクションができるのでそれほど気にならないが。
  • ロードが若干気になる。
    • 舞台が切り替わった時や別のマップへ移動する時、陸地へ上陸する時などにロードが十秒ほど挟まれる。
  • ところどころで「人間がこんな勝手な事を…」といったような内容のセリフを登場人物が語る。
    • それ自体は悪いことではないが、説教臭く感じる人も。

総評

  • 快適さと自由度、そしてボリュームを兼ね備えたダイビングゲームとして前作を凌駕している。
  • リアリティの面から見れば省略されすぎている感はあるものの、ゲームとしてのお手軽さや面白さを優先したと考えれば納得できるものである。
  • システムやシナリオ、グラフィック、音楽など多くの面で完成度が高く、紛れもない名作といえる。