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Fate/stay night - (2012/12/22 (土) 02:43:48) の編集履歴(バックアップ)


Fate/stay night

【ふぇいと/すていないと】

ジャンル アドベンチャー(ビジュアルノベル)
※DVD版
対応機種 Windows 98~XP
開発・発売元 TYPE-MOON
発売日 CD版:2004年1月30日 / DVD版:2006年3月29日
定価 【Win】8,800円(CD・DVD共通)
レーティング ソフ倫:18歳未満禁止
備考 CD初回版には設定資料集「Fate/Side material」付属
オフィシャル通販特典に小冊子「Fate/side side materiale」付属
Fateシリーズ関連作品リンク

WARNING!!!!!!!

本作は移植版である『Fate/Stay night [Réalta Nua]』を除き、18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。


概要

有限会社ノーツのゲームブランド「TYPE-MOON」の第1作。同名の同人サークルでビジュアルノベル『月姫』を製作したメンバーによる商業ベースの処女作である。
『月姫』と同様にビジュアルノベル形式のゲームであり、「18禁のアダルトゲーム」というカテゴリに属してはいるが性的描写は控えめであり、どちらかというと「ストーリー、設定面に比重を置いた伝奇活劇物」の色合いが強いゲームである。
後年発売されたファンディスク『Fate/Hollow ataraxia』も合わせた販売累計は約40万本にも及び、アダルトゲームの実販売数が集計されるようになってからは(2011年時点でも)最高の売上を誇っている*1。そのヒットの余波は凄まじく、本作発売当時はコミケを筆頭とする同人誌即売会をFate一色で埋め尽くし、普段アダルトゲームをプレイしない層にも「名前くらいは聞いたことがある」ほどの知名度を獲得した。

発売前の状況

Leafのビジュアルノベル3部作や、Keyの『Kanon』『AIR』等のヒットにより、アダルトゲーム界隈には「ストーリー重視のノベルゲー」のブームが生まれていた。ノベルゲーはシナリオやテキストの質が最重要であり、ゲーム制作の技術・製作費用・ノウハウ等があまりなくても高評価を狙える作品が作れるため、同人界隈からでもブームに乗れるような土壌が徐々に育まれていった。
このような状況下で同人界隈から注目を集めた作品の1つが同人サークル「TYPE-MOON」の第1作『月姫』である。
『月姫』は同人界隈では異例とも言えるヒットを飛ばし、同人作品でありながら商業ベースでコミック版や設定本、アンソロジー集が出版、関連作品として同人格闘ゲーム『MELTY BLOOD』(後に商業化)が製作される等、商業・同人問わず二次創作の題材として長らく重宝されることとなった。
その余勢を駆りつつ、TYPE-MOONは第2作『Fate/stay night』を発表。当初は『月姫』と同様の同人作品であり、TYPE-MOONの集大成を目指すことを目標に製作されたが、製作途中で「作品の規模が同人の枠に収まらない」と判断し、商業ベースに活動をシフトさせ、度重なる発売延期の末に発売された。

ストーリー

現代。我々の生きる世界の裏で、かつて歴史の表舞台から追放された「魔術」をはじめとする異能の術は、人々の目を逃れて今なお存続していた。

日本の冬木市に住む主人公の衛宮士郎は、穂群原学園に通いながら日常を過ごしていた。
世話焼きの後輩である間桐桜、テンション高めでおっちょこちょいな隣人にして教師の藤村大河、堅物気味だがよき友人である柳洞一成…そんな人々に囲まれ、士郎は「正義の味方になりたい」といういささか奇妙な志と、「強化」と呼ばれるちょっとした魔術を扱える点以外は、概ね日常の側にいる人間として学生生活を謳歌していた。

しかし、彼の日常は、ある日突然非日常へと転落する。
夜の学校で偶然目撃した、青い槍兵と赤い外套の男。尋常ならざる力で戦う二人の異形を目撃した士郎はその戦いに巻き込まれ、青い槍兵に刺殺されてしまう。しかし士郎は学園でその名を広く知られる優等生、遠坂凛によって蘇生され、一命を取り留めた。
士郎はワケも分からぬまま一度帰宅するものの、執拗に彼を追い続けた青い槍兵により再び命を狙われる。
必死に防戦するが力量の差はいかんともしがたく、止めを刺されようとしたまさにその時、彼の前に一人の美しい剣士が現れた。

「問おう 貴方が私のマスターか?」

それは「聖杯戦争」と呼ばれる、万能の願望機を巡る戦いの幕開け。
士郎は「剣の騎士」のサーヴァント、セイバーを偶然とはいえ召喚してしまったことで、否応なくこの戦いに身を投じる事となる。
7人のマスターと、7騎のサーヴァント。
彼らの聖杯に込める願いをかけた戦いが今、始まる。

  • プレイヤーは基本的に主人公「衛宮士郎」の視点を軸に物語を追体験していくことになる。途中で出現する選択肢の選び方次第でストーリーが変化し、エンディングも変わる。
    • ストーリールートは主に3つあり、それぞれサブタイトルと話の核になるヒロインが異なる。ただし、それらは初めから全て自由に選択できるわけではなく、一つのルートをクリアするごとに順次解放されていく仕組みになっている。このため、ゲームの進行は、 多彩な BAD・DEADエンド行きを除けば、実質一本道といっても差し支えない。ただし、第2ルートと最終ルートではGOOD・TRUEのどちらかのエンディングに最終的に分かれるようになっているため、エンディングは計5つとなる。
  • 上記のとおり、ストーリーの骨子は、『仮面ライダー龍騎』・『ローゼンメイデン』等に見られる「自分の願いを叶えるために、人間離れした能力を持つ者同士が戦う」という、アニメ・ゲーム等の業界ではポピュラーな展開である。しかし、シナリオ担当の「奈須きのこ」氏による一癖も二癖もある文章により、既存のそういった作品とはまた異なる趣になっている。
    • 独特なファンタジー用語解釈や当て字による造語を用いたテキストと、重めで「厨二病*2テイスト」全開な表現が最大の特徴。「きのこ節」とも呼ばれている。
  • 前作である『月姫』及び同作者による小説『空の境界』とは世界観が繋がっている。

評価点

キャラクターの魅力

  • どのキャラクターも独自の個性を持ち、良い味付けがなされている。メインキャラといえる「7人のマスターと7騎のサーヴァント」は誰もが人気が高い。
    • サーヴァントの1人であるアーチャー(男)に至っては、人気投票でメインヒロインの1人を差し置いて3位にランクインしたことがある。
    • マスター・サーヴァント以外のキャラもしっかりキャラクターが練り込まれている。本編ではあまり出番のないキャラでもファンディスクではしっかりエピソードが与えられており、埋没しているキャラがほとんどいない。
      • 中でも、ヒロインの1人であるセイバーの人気は凄まじく高く、人気投票となるとFate勢でまず1位に輝くほどである。この為、奈須きのこは 「そんなに金髪美人が好きか」 と叫んだとか*3

戦闘時の演出

  • 複数の攻撃エフェクトCGを連続して切り替える、立ち絵を躍動感ある動きで移動させる等して、アニメーションとビジュアルノベルの間に位置する臨場感の妙を生み出している。
    • それまではカットイン、小コマ、ホワイトアウトなどの基本的な演出が殆どだったADVにおいて、特に戦闘シーンを含む臨場感のある演出は頭打ちに近かった。そのような情勢で生み出された本作の演出は、ADVにおける新しい演出の形を示したと言える。
      Fate発売以降、いわゆるバトルありの作品においてFateに倣った演出を行う作品も出たことから、その影響の大きさが伺える。

一服の清涼剤「タイガー道場」

  • 本編では殺し合いをしているため全般的に雰囲気は重く、当然ながら生死を分ける場面で選択肢を間違えたら即死→バッドエンドとなる。
    すると「タイガー道場」という本編と全くテンションの異なる救済コーナーが出てくるのだが、その趣向がやけに凝っている。
    • 基本的にはバッドエンドの原因をプレイヤーに告知してくれるコーナーなのだが、メインは明らかにタイガー&ブルマ(それぞれ本編に登場するキャラによく似た誰か)のはっちゃけたショートコントである。
      その内容は、ネタばれ上等、メタ発言全開、よそのゲームのネタまでありとカオスの極み。バッドエンドごとに作られているため種類も多く、全てコンプリートすると見られる特典映像までついている。「(褒め言葉として)スタッフは力を入れる所を間違えてるだろう」と言われることも多い。
    • アダルトゲーム界隈では選択肢過多やバッドエンド過多は批判されがちなのだが、本作の場合はタイガー道場を緩衝材にすることで好意的な評価に昇華することに成功している。

賛否両論点・問題点

主人公の性格

  • 先にも少し触れたが、プレイヤーは士郎と視点や心情を共有しつつ選択肢を選んで物語を進める。しかし、彼は無個性型の主人公ではなく作中のヒロインをして「歪んでいる」と言わしめたほどの強烈な性格の持ち主である。そんな彼に自己を投影できるプレイヤーや、彼をある程度容認して物語を進められるプレイヤーには問題ないが、馴染めない人には相当厳しい。
    • 彼の変化や成長も物語の重要な要素であり面白い部分でもあるのだが、それを見れるのは物語の中盤…つまり、20時間近くプレイしてからである。
    • 個性派主人公のゲームは概ね人を選ぶものなので、好みの問題と割り切って考えられることもある。

一部キャラに関しては批判的な意見が多い

  • 独自の個性を悪い方向で発揮しているキャラも多少いる。特に間桐家の人々は全員アクが強い。
    • その代表がワカメの蔑称で呼ばれる「間桐慎二」である。設定上は主人公の学友なのだが、弱者を見下したり乱暴する描写が目立つ上に、主人公に対して高圧的な態度をとってくる。唯我独尊が透けて見える一方で権威主義な傾向があり、作中で何度もサーヴァントの威を借りるシーンが存在する。いわゆる、小悪党の外道。
    • こんな性格になった理由は某ルートで明らかになるが、それでも「同情の余地はない」という意見が大勢である。
+ ネタバレ
  • プレイヤーに嫌われる悪役というのはある意味で長所でもある。にもかかわらず彼が何故これほどの批判に晒されるのかと言えば、ルートの一つの最終決戦において、この小悪党を主人公達がわざわざ助けねばならないため。嫌いな人はもちろん、そうでない人にとってもカタルシスの大きな欠如が問題となる。他のルートで救出するのはヒロイン格な為になおさらである。
    • そのルート以外では、中盤あたりで無残に散っているのが、彼を嫌いな人にとっては救いといえる。もっとも、この手の外道悪役が死ぬシーンは、プレイヤーの溜飲を下げたりカタルシスを得たりするためには、むしろ必然ともいえるのだが。

テキスト・シナリオに癖がある

  • テキスト量が多い。全てのルートをクリアするのにかかる時間は平均でも60時間以上と言われており、ノベルゲーとしてはかなり長い方である。
    • 後発の『レアルタヌア』ではフルボイスが実現しているのだが、ボイススキップをしなかった場合プレイ時間はさらに膨れ上がる。
  • 好意的に受け止めた人が多い一方で、厨二病*4かつ回りくどい表現で構成されるテキストの連発に否定的な評価を下す人も多かった。
    • もっとも『幽遊白書』や『BLEACH』等の週刊少年ジャンプの大ヒット漫画でも使われている手法であり、それを百も承知で作られた本作にとっては当然の結果である。ちなみにアンチが多い点も本作品と共通している。
  • そんなテキストで構成されているので当然と言えば当然だが、シナリオへの評価も毀誉褒貶が激しい。中でも「Heavens feel」と題された、本編最終ルートは是非を問う論争が絶えない。
+ Heavens feel詳細
  • 簡単にまとめると、今までの話の流れと全く毛色の異なる展開が目白押しのルートである。
    他の2ルートを否定するような展開である点、全体的な雰囲気が暗い、カタルシスのある要素が少なめな点などが主に評価を分けている。
  • 物語の中盤で、このルートのヒロインが抱えている重大な真実と絶望(加えて、暗躍する黒幕の存在)が初めて明かされる*5。詳細は伏せるが、その内容は18禁であること以上にインモラルかつ凄惨なものである。これのせいで映像化は厳しいのではないか*6、とまでもいわれるほど。賛否の分かれる最大の原因がここにある。
  • ヒロインの隠された真実を知ると、他のルートで自分なりの答えや幸せを見出した主人公及びそのパートナーのエンディングでは、彼女は真実を秘めたまま救われずに終わる可能性を暗示させられてしまう。要するに、今までのハッピーエンドに泥が塗られてしまう*7
  • そして、ヒロインの真実を知った主人公(≒プレイヤー)はそれまでの2ルートで見せた信念とは全く正反対の決断をさせられる事になる*8のだが、それはこれまでのシナリオの主人公を全否定するような物であり、他ルートの主人公に共感していたプレイヤーにとっては受け入れがたい展開である。
    • 彼女に対してプレイヤーが愛着を持ち難い流れで決断を迫られる事になることも、受け入れにくさを助長している。
      彼女は他の2ルートでスポットライトの当たる機会が少なく、中盤あたりで事実上フェードアウトしていた。HFルートに入ってからも、件のシーンの直前までは話の中心にいなかった。それが突然、「彼女のために重い決断をし、信念を曲げなくてはならない」となるのでは、承服できないのも無理からぬところである。
    • その時に見せる彼女の変貌/豹変ぶりも、このルートにおいて外す事はできないほど有名。詳細はさけるが、これについていけないプレイヤーも少なくなかった。
    • ちなみに、正反対の信念自体は話の流れに齟齬が生じるようなものではない。むしろ「一番人間らしい選択である」と言う声もある。それをプレイヤーに納得させる仕掛けが足りなかった、と言うのが問題点であろう。
  • 主人公と件のヒロイン以外のキャラに関しても、それまでとは役回りが大きく異なっている。特に以前のルートでメインとなったヒロインの一人は、最終ルートにも関わらず洗脳されて敵に回る上に絶対に助けることが出来ない*9
  • そういった展開を乗り越えてたどり着いたグランドフィナーレが「主人公はヒロインを助ける事しか出来ない」と言う、微妙な後味を残すものである。他のルートにある「主人公がヒロインを助け、仲間を救い、信念も貫く完璧なハッピーエンド」は存在せず「たった一つの大事なもののために全てを捨てる」ルートともいえるが……。
    • もちろん、ヒロインの負った真実がそれだけ過酷と言う事ではあり、一つの結末としてそこまで問題がある訳ではない。しかし、 60時間以上プレイして来ての、最終ルートの 結末としては、消化不良を感じるプレイヤーが多いのも仕方のない所と言える。最終ルートでさえなければ、あるいは最初から選択自由なマルチシナリオであったなら、その評価も多少は違うものだったであろう。
      • 製作側にしてみれば、最終ルートだからこそのどんでん返しで、プレイヤーの意表を突きたかったのかもしれない。
        実際にその点を評価し、好意的に受け止めているプレイヤーは少なくない。
        一方で、HFルートまでに数十時間プレイしてきて愛着も沸いて来たキャラとシナリオの、突然の方向転換についていけないプレイヤーもまた少なくない。
      • また、最終ルートで、全ての謎が解明されるため、「本ルートのトゥルーエンディングが本作の真のエンディング」と思うプレイヤーも少なくない*10ことも付記しておく。
  • こういったわけで、本作の話題になると大抵HFルートの話に発展し、「Fateは好きだがHFルートは嫌い」「HFルートのせいでFateは嫌い」「FateではHFルートが一番好き」といった具合に様々な評価が噴出するのである。
    • 尚、ルートへの賛否がヒロイン人気にも影響したのか、HFルートのヒロインにはメインヒロインなのに初期の人気投票でアーチャー(男)や自身のサーヴァントにすら負けたという、ある意味一番救いようのない過去がある。
      • それでも6位なので、人気が全く無いと言う訳ではない。また、アーチャーは非常に人気の高いキャラである*11ため仕方ないと言えば仕方ない。何より人気が上位に及ばなかった背景にはそもそも全体的に出番が少ないからと言う、ルート賛否や彼女のキャラクター性と直接関係ない理由もある。
      • 実際、その後の人気投票では大きく票をのばしている*12

イリヤが非攻略キャラであること

  • 彼女はシナリオ上でも重要な位置を占め、ファンの人気も高い。そのため、彼女が非攻略対象であることには首を傾げる者も少なくない。
    • ただ実は、当初イリヤルートは「4番目のルート」として存在していたが、製作の長期化・同人から商業への作品仕様変更*13に伴ってボツになってしまい、展開の一部がHeavens Feelルートに統合されたという経緯がある。TYPE-MOONは大手ブランドの割に人員がそれほど多くないため、マンパワー的に限界があると考えられる。
    • その後DVDリマスター版や全年齢版(PS2)、分割DL版が出された際も結局追加されることはなかったが、これもまた、前述のマンパワーの問題に加えて一度HFルートに統合してしまったため新ルートとしての追加は難しいという事情もあるだろう。
      • しかし、そういった事情を鑑みてもなお、ファンにとっては「ルートを追加して欲しい」と言う意見が絶えない重要キャラではある。ファンの希望もTYPE-MOONの事情も、どちらも納得がいくものなので難しい。
    • なお、イリヤ同樣に、マンパワーの事情で自身のヒロインルートがカットされたキャラとしては『月姫』の弓塚さつきがいる*14*15。彼女も、「発売予定の月姫リメイクでルートを追加する」と確約されていながら、リメイクのPV発表まででさえ発売から12年の月日を要している。まして発売はいつの事になるか。
  • 余談になるが、主人公の姉代わりの女性も攻略不可能であるため、一部の紳士達はがっかりしたとか。もっとも、ゲーム中のおまけで「お前のルートなんぞプロット段階からないがな」ときっぱりと否定されているが。

キャラクターの見せ場

  • 各キャラクターの見せ場はルートごとに分散されているため、ルートによっては殆ど活躍せずにフェードアウトすることがある。全ルートで活躍するのは主人公と遠坂凛だけ。
    • また、その遠坂凛のルート「Unlimited Blade Works」は「主人公ルート」とも言えるほど主人公にスポットが当てられたルートであるため、彼女の「ヒロインとしての出番」は少ない。「主人公の仲間としての出番」なら十分なので、決してキャラとして冷遇されている訳ではないが、その辺りが後述の「実用性」面での批判に繋がっているとも言える。

本来の意味での実用性

  • エロ要素は殆どないに等しい。そのため「実用性」を期待した層からはあまりいい評価は得られなかった。
    • ただし、これは発売前から予想されていたことであり、本作発売前に「エロゲーだがエロの比重が重くない」作品もチラホラ現れていたため仕方の無いことだと言えるか。また、「燃える」「感動する」という部分にシナリオの力点が置かれているため、「半端なエロ要素のせいで燃えに浸れない」とエロ要素が邪魔扱いされることもある。
      • 特に第1ルート最初のエロシーンは、作中でも随一の燃えシーンの後に挿入されるため、脱力感が半端ない。エロ要素を入れるのは仕方ないにしても、タイミングを選べなかったのか。
    • ちなみに、TYPE-MOONがアダルトゲームとして作品を作っている理由は、無名の同人サークルであった月姫発売当時、「とりあえず手に取ってもらうにはエロがある方がいいだろう」と判断したからである。最初からエロスメインで製作しているわけではないのだから、そこに「実用性」を求めても仕方のないことなのかもしれない。
    • また、「アダルトゲームでなければ商業流通に乗せづらい」という、PCゲーム業界の裏事情にも留意したい。有名メーカーの作品ならともかく、同人時代の名声があったとはいえ、当時は新規ブランドに過ぎなかったTYPE-MOONの作品は、エロが無ければ「売れない」どころか「売らせてもらえない」事態になっていた可能性も高い。

総評

本作品はビジュアルノベルとしては高い評価がなされていることが多い。
それは後述する関連作品の多さにも現れている。
めくるめく奈須ワールドに魅せられた方や、テンプレ通りのファンタジーな作品に飽きた方には、是非オススメしたい。

移植

Fate/Stay night [Réalta Nua]

【ふぇいと/すていないと れあるたぬあ】

対応機種 プレイステーション2
Windows XP~7

※PS2版
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Fateルート
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UBWルート

※Win・DL版
HFルート
開発元 ノーツ(TYPE-MOON)
発売元 角川書店
発売日 【PS2】2007年4月19日
【Win・DL】
Fateルート:2011年12月23日
UBWルート:2012年1月
HFルート:2012年2月
定価 【PS2】通常版:7,140円 / 限定版:9,240円
【Win・DL】各ルート2,940円
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
廉価版 PlayStation2 the Best:2009年6月1日/2,940円
備考 PS2限定版にはPSP用ソフト『トラぶる道中記』が付属
Win・DL版はAmazon専売

実質本作の一般向け(CERO:C相当)版。なお、[Réalta Nua]とはアイルランド語で「新しい星」を意味する。
一部のキャラを除きTVアニメ版準拠でフルボイス化が実現している他、CGやBGM、タイガー道場等が追加されている。
ストーリーもヤバめの表現がマイルド調整されている点とラストエピソードの追加以外は目だった改変は行われておらず、致命的な不具合や改悪点も無いため、総じて良移植に分類されるだろう。ただし、「追加されたラストエピソードは蛇足」とする意見が多い。

  • PS2限定版にはPCファンディスク『Fate/Hollow ataraxia』のミニゲーム『トラぶる花札道中記』の移植であるPSPソフト『とびだせ!トラぶる花札道中記』がオマケとしてついてくる。PC版同様ゲームバランスは良くないが、こちらもフルボイス化されているなど、おまけのファンアイテムとしては十分な出来ではある。
  • 2011年12月23日から『[Réalta Nua]』を各ルートごとに分割、再編集したものがamazonにてダウンロード販売開始。

余談

その後の展開

  • 公式には「ファンディスクである『Fate/Hollow ataraxia』をもってFate関係の展開を終了し、新作に取りかかる」とアナウンスしていた。しかし、その後もTVアニメ、家庭用移植、漫画、派生ゲームとFate関係の展開ばかりが続き、新作『魔法使いの夜』は2012年まで発売延期を繰り返したため、「Fateばかり作ってないで新作を出せ」とファンから度々言われていた。
    • ただし、いわゆる曲芸商法ではなく、あくまで派生作品やメディアミックスの展開である。
    • また、Fate関連作品も延期を繰り返していたため、新作の延期は一概にFateのせいとは言い難い。それよりも、前述したTYPE-MOONのマンパワー不足とライターの遅筆が原因であろうという見解の方が有力である。

月厨

  • 以前よりは減ったものの、TYPE-MOONと全く関係の無いコミュニティーにまでしゃしゃり出て『月姫』や本作を持ち上げ、他作品を貶める発言を繰り返す輩が少なからず存在する。TYPE-MOONの盲信的なファンである彼らは「月厨」または「型月厨」と呼ばれ、「EVA儲」「ガノタ」「ハルヒ厨」「東方厨」等と同様に、多くの人々に忌み嫌われている。
  • というのも、Fateの人気が出始めた頃、月厨達がFateの話題を見境なく始める→過剰反応する型月アンチが現れる→両者不毛な罵り合い開始の流れで、Fateに関係の無い数多の掲示板やファンサイトが荒らされたためである。
  • そういった事情ゆえ、ネットコミュやサイト上でTYPE-MOONの話題を出すと、それがごく普通の話題であっても招かれざる客を呼び寄せてしまい、場が荒れてしまう可能性がある。そうなった場合、悪いのは荒らした連中だが、一番迷惑がかかるのは無関係な人たちである。
  • 全ての作品に言える事だが、ファン活動は話題を出しても構わないコミュニティに限るべきである。TYPE-MOONの話題を扱うときは、特にこの点に注意することを心がけよう。