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ファイナルファイトONE - (2013/05/24 (金) 02:23:57) の編集履歴(バックアップ)


ファイナルファイトONE

【ふぁいなるふぁいと わん】

ジャンル ベルトスクロールアクション
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 カプコン
開発元 サン・テック
発売日 2001年5月25日
定価 5,040円
プレイ人数 1~2人
セーブデータ システムデータ1つ(オートセーブ)
周辺機器 通信ケーブル対応(通信協力プレイ)
ファイナルファイトシリーズリンク


概要

ベルトスクロールアクションゲームの傑作と名高い、『ファイナルファイト』のゲームボーイアドバンス(以下「GBA」)向け移植作品。
パッケージイラストはSNKから移籍してきた森気楼(しんきろう)氏が担当している。

本作はアーケード(以下「AC」)版の移植と言うよりも、スーパーファミコン(以下「SFC」)向けに移植された『ファイナルファイト』と『ファイナルファイト・ガイ』の要素を『ガイ』をベースに1つに落とし込み、かつ追加要素を加えた完全版とする方が近い。
追加要素のほとんどが、プレイ中の総撃破数が規定値を超えると解禁される仕様となっており、詳細に関しては後述する。

本項では『ファイナルファイト』という作品そのものに関しては触れないので、それに関してはAC版の紹介ページを参考にして欲しい。


本作における追加要素

※上に書いた本作の立ち位置上、主にSFC版との比較になる。

『ストリートファイターZERO3』版コーディーとガイ
『ストリートファイターZERO3』(以下『ZERO3』)のコーディーとガイが『ZERO3』の時間軸(本作より未来)から『ファイナルファイト』の時間軸にタイムスリップで飛ばされてきた設定で登場し、プレイヤーキャラクターとして使用可能になる。
この2名は通常仕様よりも攻撃力・防御力共に強化されており、特にコーディーの攻撃力は凄まじいことになっている。
なお、この2名にはステージクリア時のクリア表示がなく、代わりに『ZERO3』の勝利デモ(グラフィック・台詞)が再現される。
それぞれコーディーは50人以上、ガイは500人以上の敵を倒すと解禁される。
ゲーム中では通常のコーディーおよびガイと区別を図るため、「Z-CODY」「Z-GUY」と表記されており、本項ではそれに準じて『ZERO3』仕様のコーディーとガイに触れる際は「Zコーディー」「Zガイ」とする。
ボス戦前の掛け合い
プレイ中、ボスが登場する際に、プレイヤーキャラクターとボスとの掛け合いシーンが挿入される。
これによってより深く物語の背景が見えてくるようになっている。
前述の『ZERO3』版の2名にも専用の掛け合いシーンが用意されており、中にはSFC版で存在していたある裏技*1を示唆する台詞があったりする。
ラウンドセレクト
800人以上の敵を倒すことで、どのステージから始めるかをオプションで設定出来るようになる。
これによって、特定ステージを練習したり等のプレイがしやすくなる。
カラーセレクト
1300人以上の敵を倒すことで、登場する5人のキャラクターのカラーバリエーションが3種類追加され、オプション設定でデフォルトのカラーリングと合わせて4色から選ぶことが出来るようになる。
ラピッドパンチの追加
2000人以上の敵を倒すことで、オプション設定で攻撃ボタンを押しっぱなしすることで自動で連打させることが出来るようになる。
これまでだと連射機能付のコントローラーを別に用意したり等しないと出来なかったことがフォローされた形となる。
中断セーブの実装
ステージをクリアするごとに自動セーブをする仕様となっている。
これにより、ステージ途中で電源を切っても、次回電源投下時にそのステージの冒頭から再開することが可能となっている。
なお、再開は強制ではなく、中断データは無効になるが、通常通り最初からやり直すことも出来る。
エリア間移動演出の復活
SFC版では全てブラックアウトで処理されていたエリア間の移動演出が復活し、また、冒頭のダムドがジェシカを連れ去るシーンもしっかり再現されている。
ただし、一部AC版と比した際に削除されたままになっているものがある。
「インダストリアルエリア (INDUSTRIAL AREA)」の復活
SFC版では(恐らく容量あるいはハードスペックの制限からか)削除された、AC版のステージ4であった「インダストリアルエリア」が復活したことで、本作はAC版同様に全6ステージ構成となっている。
Zコーディーはこのステージのボス・ロレントとの掛け合いシーンで「以前はこの道は飛ばして近道した」(意訳)と発言していたりする。

評価点

良好な操作性

  • 携帯機というハンディキャップもものともしない操作性の良さで、十分に『ファイナルファイト』の雰囲気やその爽快感を楽しむことが出来る。
    • 加えて、前述のラピッドパンチの搭載によって、より操作しやすくなっている。パンチはめも簡単。

SFC版より強化された個所

  • SFC版でオミットされていた要素も復活している。
    • キャラクターは「コーディーかハガー(SFC版『ファイナルファイト』)」または「ガイかハガー(『ガイ』)」のように、2名のうちのどちらかしか選べなかったが、本作ではちゃんと3人が登場しており、更に前述の追加キャラクターが用意されている。
      • 更に、本体とソフトが2本ずつと通信ケーブルは必要になるが、SFC版でオミットされていた2人協力プレイも可能になっている。
    • 繰り返しになるが、インダストリアルエリアが復活している。
      • SFC版でしか触れたことがなかった人にとっては新鮮な気持ちで楽しめるだろうし、AC版からプレイしていた人にとっても完全再現ではないにしても家庭用ハード、それも携帯機でAC版『ファイナルファイト』の全ステージが気軽に楽しめるようになったことは喜べる点ではないだろうか。

画面内に登場する敵の数の増加

  • SFC版では敵が画面内に一度に3人までしか出現しなかったが、本作では難易度によっては最大6人の敵が一度に出現するようになった*2
    • AC版はかなりの高難易度を誇っており、SFC版の仕様はハードルを下げたと評価も出来る部分もあるが、AC版をやり込んでいたプレイヤーには物足りない部分もあった。
      • だが、本作の最高難易度である「SUPERHARD」では一度に6人も敵が出て来る上に、敵の攻撃力も高いので、AC版に決して見劣りしないシビアなプレイも可能。

賛否両論点

ボスとの掛け合いシーン

  • まず何よりも単純に「テンポが悪くなる」という問題がある。
    • 掛け合いシーンを挟むために一旦画面が止まってしまうので、アクションゲームにおいて重要なテンポがどうしても阻害されてしまう。
  • 掛け合いシーンで表示されるグラフィックの雰囲気がそれまでのものとは異なるので、違和感が強い。
    • 更に、ZコーディーとZガイの他に『ZERO3』に登場しているソドム(ステージ2ボス)とロレント(ステージ4ボス)の4人のグラフィックは、本作とはまた雰囲気が異なる『ZERO3』のものをそのまま流用しているため、更に違和感が強烈。
  • とはいえ、テンポの悪化は避けられないが、スキップは可能となっており、内容も特にZコーディーとZガイの掛け合いの中には人によっては笑えるかもしれないものが含まれているし、デフォルト3名の掛け合いは物語の背景が見えるものとなっている。
    • スキップだけではなく、オプションでシーンの挿入自体の有無を選べれば、もう少し好印象で迎えられたのではないだろうか。
      • ただ、シーン自体の有無を選べるようにすると多くのプレイヤーが設定でカットしてしまうことも考えられるため、スキップは出来るようにしつつ、シーン自体の有無を選べるようにしなかったとも見ることも出来るかもしれない。…捻くれた見方ではあるが。

AC版の移植ではなくSFC版ベースの完全版

  • 残機追加、無敵化などのアイテムがあるのは嬉しいところだが、AC版に比べると演出が変わったり削られたりしている点もある。一部敵の攻撃パターンも違う。
    • とはいえ、ゲーム的に大きく劣っているということではなく、こちらはこちらで楽しむことが出来るだろう。

問題点

隠し要素の解禁の単調さと不親切さ

  • 全ての隠し要素の解禁がとにかく敵を倒すだけになってしまっているため、どうしても単調になってしまう。
    • もっとも、プレイ中に奇っ怪な行動をしたり、無茶苦茶難易度の高い条件を満たしたり等しないと解禁されないというのでは折角の要素も楽しめずに投げ出されてしまうこともあり得るため、その意味では落とし所としては妥当とも言えるか。
  • 要素が解禁された時に通知がされず、いつの間にか解禁された状態になっているというのも不親切と言わざるを得ない。
    • 一応、オプション画面から出る時に現在の総撃破数と次の要素の解禁に必要な撃破数は表示されるのだが、本作はオートセーブで当然オプションの設定も保存されるため、そう頻繁にオプション画面に移行するかと言われると首を捻らざるを得ない所がある。
      • ゲームオーバー時などゲームプレイの邪魔にならないタイミングで内容まで出さなくとも、何かしらの要素が解禁されたことが解るようにするだけでも印象は違ってくるのではないだろうか。

音質が悪い

  • GBAの音源の問題という部分もあり、音自体もパペパプーだったり、聞くに堪えないほどの雑音レベルであったりということはなく、一応雰囲気は出ている。
    • だが、チープさは否定出来ず、AC版やSFC版をプレイしているプレイヤーからはおろか、本作が初『ファイナルファイト』であるプレイヤーからも好意的に見ている者が皆無ではないが、やはりあまり好意的ではない意見の方が多く見られる。

インダストリアルエリア

  • AC版のインダストリアルエリアステージ開始直後の火炎地帯は、開始地点から縦軸をずらさずに移動すれば火炎のダメージを受けずに戦えたのだが、本作では開始地点が変動したことでそうは行かなくなった。
    • また、火炎地帯で下から噴き出す炎の当たり判定も異様に大きいのか、炎と炎の合間を縫って歩いたはずが燃やされたり、炎の近くにいる敵に攻撃を当てていたらなぜか燃やされたり等、難易度がやや理不尽な上がり方をしている。
  • ステージBGMがステージ1の曲に差し替えられている。
    • 本来流れるはずの曲はサウンドテストで普通に聴くことが出来るため、なぜゲーム中に採用しなかったのか、疑問が残る。
    • SFC版ではステージは削除されたものの、別の場面で工場エリアのBGMを聴くことができた。しかし、GBA版ではその部分をAC版準拠のBGMに戻しているため、結果的に全く流れることがなくなってしまった。

エリア間移動演出復活の弊害

  • ステージ1の地下道エリアはプレイヤーがドアをぶち破って進入する演出が挟まれる。
    • しかし、この演出の間にも敵はプレイヤーが出て来るドアの方に向かってくる上、侵入するプレイヤーの側はドアをぶち破った後も地下道に進入完了するまで操作を受け付けない。
      • つまり、操作を受け付けるようになった時には敵がすぐ目の前にいるような状態になってしまうため、理不尽に開幕ダメージを貰ってしまうこともある。
      • 更に、その時向かってくる中には攻撃力がとても高い敵がいるため、開幕早々大ダメージを受けてしまうことも…。
    • ちなみに地下道を抜けた先の市街地も同様だったりする。
      • 実際の所はどちらも落ち着いて対処すれば問題ないのだが、慣れるまでは開幕必殺技(メガクラッシュ)で敵を散らせてから安全に位置取りを試みた方が良い。メガクラッシュでも体力は微量減るが、敵から攻撃を貰うよりは遥かにダメージは少ない。

飽きやすい

  • アクションゲームではある意味避けられない宿命ではあるが、隠し要素解禁の単調さも合わせて飽きを呼びやすい部分がある。
    • とことんまで突き詰めるとやり込める部分もあるのだが、逆にそこまでやり込まないような特にライト層には、クリアしてかつ隠し要素を一通り解禁してしまうとやることが無いと見えてしまってもおかしくない。
  • 倒した敵の数は4ケタまでしか記録されず、9999でカンスト。
    • この数字は見た目以上に簡単に達成出来てしまう値であり、「どうせなら5ケタまで欲しかった」という声もある。

1カートリッジプレイに非対応

  • 通信協力プレイをするためにはそれぞれが本体とソフトを持ち合わせる必要がある。
    • GBAのDLプレイ用RAM領域が1.5Mbitしかないため、1カートリッジプレイが出来ないのは仕方ないのだが、それでもやはり『ファイナルファイト』の魅力でもある協力プレイのハードルが高くなってしまっている点は残念な所である。

総評

GBAという携帯機でありながら、『ファイナルファイト』という作品の持つ爽快感や魅力を損ねることなく移植した傑作と言える作品である。
細かい点を突き詰めると気になる点がない訳ではないが、移植作品としては勿論、一つの作品としても十分な完成度を誇っている。
それまでの移植作品と異なり、携帯機向けの作品であるので、持ち出して外でも気軽に楽しめる点も魅力。

しかしながら、SFCや他のハードでも達成し得なかった「AC版の完全移植」とは本作も違い、前述のとおり「SFC版ベースの完全版」と言うべき仕様になっているので、AC版の完全移植を望む人にはプレイステーション2向けに発売されている『カプコンクラシックスコレクション』をお薦めする。


余談

海外版について

本作は海外向けにも発売されており、SFC版同様に敵キャラクターである「ポイズン」と「ロキシー」の2人が「シド」と「ビリー」というキャラクターに差し替わり、その他にもアイテムやグラフィックなどに変更が加えられている。
しかし、SFC版では「スラッシャー」とされていたダムドと「カタナ」とされていたソドムがなぜか日本版と同じ名前に戻されている。
その他、難易度の設定も日本版では「EASY」・「NORMAL」・「HARD」・「VERY HARD」・「SUPERHARD」の5段階となっているが、海外版では「VERY EASY」・「EASY」・「NORMAL」・「HARD」・「VERY HARD」の5段階となっている。
難易度の仕様自体はそのまま読み替え(日本版の「NORMAL」が海外版の「EASY」に相当)となるため、どちらもデフォルト設定は「NORMAL」となっているが、同じ「NORMAL」でも海外版の方が難易度が上昇している形となる。
表示するテキストが日本版に比べて増えるためか、オープニングデモとエンディングデモのBGMが日本版から差替え*3となっている。
ちなみに、『ストリートファイターZERO』は海外では『ストリートファイターALPHA(アルファ)』となっているため、本作の追加要素である「Zコーディー」と「Zガイ」はそれぞれ、「α-CODY(アルファ・コーディー)」と「α-GUY(アルファ・ガイ)」表記となっている。
ゲーム内容的な意味ではまさしくどうでも良い事だが、日本版でボスを倒した時の断末魔の叫びが雑魚敵に、逆に日本版で雑魚敵を倒した時の断末魔の叫びがボスに使われている。