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魔導物語1-2-3 - (2013/07/11 (木) 07:12:51) の編集履歴(バックアップ)
魔導物語1-2-3
【まどうものがたり いっちょうめにばんちさんごう】
※このシリーズは様々な機種で移植・アレンジ・続編タイトルが作られているものの、その殆どは大幅な新システムを導入した作品は少なく、同じシステムで違うストーリーが展開されていく事が多い。
よって、本項目では(システムの異なる一部の作品を除き、)続編タイトルは下の項目で紹介するものとする。
概要
ウィザードリィ形式の3Dダンジョン型のロールプレイングゲーム。
元々はDiskStationというマガジン式の季刊ディスクゲームに収録されたミニゲームの一つであり、
好評につき、新エピソードを追加して単品商品化したゲームである。
そのため、同シリーズはRPGでありながら、スケールの大きい展開ではなく、ミニマムなダンジョンRPGとしての印象が強く、
RPGでありながら気軽に遊ぶ事ができるシリーズとなっているのが特徴。
このタイトルと派生したパズルゲーム「ぷよぷよ」の成功により、同シリーズはコンパイルの看板タイトルとして確立していく。
基本システム
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ウィザードリィ形式の3Dダンジョン
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1フロアが8×8マスのマップを4方向に移動しながら探索していく3Dダンジョン探索型のRPG。主人公が移動する空間は最初から最後までダンジョンで占められており、買い物もダンジョン内で行う。出現する敵を倒したり、謎を解きながら脱出を目指す。
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マップはオートマッピングシステムを採用し、いつでもマップを表示して位置を確認する事が可能。
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ファジー・パラメーターシステム
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同シリーズの顔とも呼べるシステム。主人公の体力や魔力の増減、状態異常がHPやMPといった数値では表示されず、言葉やキャラの表情、音楽で表現される。例えば体力が十分あるときは「げんきいっぱい」だが、体力がわずかになると「もうすぐ、ばたんきゅ~」などと表現される。
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このアバウトな表現が戦闘に緊張感を与えており、あとどれくらいで倒れるか・魔力がどれだけ使えるかなどを常に意識しながら戦闘を進める必要がある。
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戦闘システム
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主人公と敵との1対1の戦いになる。主人公か敵のどちらかが体力が無くなるまで戦闘を続けるのが基本。一部のアイテムを除き、基本的な攻撃手段は魔法のみであり、敵によって炎と氷(後シリーズには雷も追加)の二つの属性を使い分けて攻撃する。
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基本的な攻撃魔法は魔導力を消費しないが、大半の魔法は上級魔法ということで、使うと魔導力を消費する。また、敵ごとに弱点が設定されているので、炎と氷のどちらに弱いかを見抜くことが勝利への早道となる。
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この他、アイテムの中には戦闘中で装備しておくと自動的に攻撃や補助を行ってくれる杖やキャラもいる。
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戦闘に勝利した際の経験値もまた数値では表示されない。画面の外周にちりばめられた宝石が埋まっていくという形で経験値量を表している。この宝石を経験球と呼び、これらが全て埋まるとレベルが上がり、同時に体力と魔導力も全て回復する。得られる経験値は主人公と敵とのレベル差によって決まり、主人公のレベルが上がると弱い敵を倒しても経験値が段々少なくなってくる。
あらすじ
ここでは、原作として位置づけられている「MSX版魔導物語1-2-3」を記載する。
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エピソード1
将来、魔導師になる子供を育成する「魔導幼稚園」。今日は、その魔導幼稚園の卒園試験の日。この試験を受けられる子はたった一人だけだった。
それがプレイヤーの操作する6歳の女の子(後のアルル・ナジャの事)である。
クラスのお友達の声援を受けて、女の子はイリュージョンモンスターが待ち受ける卒園試験の塔に挑戦する。
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エピソード2
少女は16歳になり、本格的な魔導師になるため「古代魔導スクール」を目指す為に旅をしていた。
ある日のこと、道中で妖しい目つきをした魔導師、シェゾ・ウィグィィに出くわす。
闇の魔導師と名乗るその男(少女曰く、ヘンタイ)は、少女の秘められた才能に目をつけ、その魔力を吸い取ろうとスリープの魔法をかけてしまう。
気がつくと見知らぬ牢獄に幽閉されていた少女は、「いろけ(自称)」で門番から鍵をだまし取り、脱出を試みる事に。
その途中で、ミイルと名乗る魔物との契約により、少女はライラの遺跡に眠る秘宝「ルベルクラク」を探す事になる。
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エピソード3
ライラの遺跡で、不思議なモンスター「カーバンクル」と友達になった少女は古代魔導スクールへの旅を再開する。
だがしかし、今度は闇の貴公子「サタン」との結婚を夢見る綺麗なお姉さん「ルルー」が少女に難癖をつけてきた。
なんでも、カーバンクルはサタンとの婚約の印らしく、サタンと結婚したのかと勘違いしたらしい。
ルルーの手下の「ミノタウロス」に追いかけられた少女はなんとか逃げ出すが、いつの間にか、迷いの森へと入り込んでしまう…
特徴
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タイトルの「物語」に嘘偽りのない、一人称視点で語られるメッセージの数々
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このシリーズでは、冒険中に出くわした出来事や戦闘中の様子、与えた攻撃や受けたダメージ量、残りの体力表示なども、全て主人公が語るように表示されるため、ゲーム全体が小説を読んでいるかのような感覚でプレイ出来る。
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主人公の少女、アルル・ナジャを中心とし、それらを取り巻く登場人物とのくだらなくも微笑ましい、かけあい漫才とも呼べる独特の会話がとても楽しく、ゲームクリアまで楽しめる。
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可愛らしいSDキャラが織り成す親しみやすい作品イメージ
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キャラクターのデザインは基本的にリアル頭身とSDサイズの両方が状況に合わせてによって使い分けられているが、特に戦闘モードではSDサイズで表示される事が多く、戦いでありながら殺伐としたイメージが殆どなく、気楽に戦闘を楽しめる。
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雑魚モンスターは可愛らしくデフォルメされたモンスターが多い。世界中の伝承から引用したモンスターが多いが、その多くはコミカルなアレンジを施されている。
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戦闘中の行動も攻撃だけでなく、例えば「らっきょう」を渡して許しを求めてきたり、嘘泣きをはじめてみたり、他のモンスターが突然乱入して、先に現れたモンスターを突然食べてしまったりと、攻撃と関係のない行動がバラエティ豊かである。
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また、どう見ても子供がコスプレしているだけとしか思えない女の子型のモンスター(ドラコケンタウロス、ウィッチなど)も人気が高い。
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こういった要素がとても楽しく、戦闘中はまるで園児達の演芸会を見ているかのような微笑ましい気分になれる。
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ゲームプレイを賑やかにしてくれる「マジカルボイス」システム
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当時のMSXではまだまだ珍しい技術だったサンプリングボイスを導入しており、魔法発動や戦闘中は敵も主人公もよく喋るためとても賑やかである。
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これらSDキャラのイメージやサンプリングボイスなどの特徴は、「ぷよぷよ」にも引き継がれる事となる。
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難易度は優しくないがとっつき安い構成で仕上がっているダンジョン構成
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特徴的なファジー・パラメータシステムも解りやすい言葉と表情で表示され、すぐに把握出来るようになるため、そこまでシビアなシステムでもない。
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ダンジョンはただ単に迷路を突破するだけの複雑怪奇なものではなく、仕掛けを解いて行くパズル形式のダンジョンである場合が多い。
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仕掛けの難易度はそこまで高くなく、マップも広くない。オートマッピング形式なのでマップを埋めるのが楽しくなっている。
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階段の位置などは上下のフロアと位置が一致しているのが恒例で、全マップを完成させた時は一本の管状になっている。作り手のセンスの良さが光る。
難点
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オートマッピング形式であるものの、何故か肝心な「階段」のアイコンが表示されないという不親切な部分がある。
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魔法は予想以上に大量に魔力を消費するものが多く、体力回復の「ヒーリング」でさえ半分近く消費する。その為、ゲーム中は魔力のジリ貧になりやすい。
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本作の戦闘のキモは、攻撃力を高める「ダイアキュート」をいかにして倍掛けできるかがカギなのだが、敵の攻撃力が大きいため「数ターン身を削って撃つ」が基本になる事も多い。それ故に体力もジリ貧になりやすい。
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「スリープ」や「ブレインダムド」等の間接攻撃魔法は、かかっても1ターンで切れる事も多いなど、信用度が低くあまり活用する機会がない。魔力消費も多く逆に苦戦する羽目になる事が多い。
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最強魔法である「ジュゲム」は高度すぎて失敗する事がある、という設定なのだが、失敗の確率の方が多く、また弱点設定になっていない敵も多い為やはり信用度が低すぎる。
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手軽に元の場所へと瞬時に移動する手段に欠けるため、お店の部屋に戻りたい時など、徒歩で移動せざるを得ない為、「戻り」の部分においてはかなり面倒。
総評
3Dダンジョン自体が遊び手を選ぶRPGなのだが、本作は個性的で親しみ安いキャラクターを採用した事で、ウィザードリィ系を敬遠していたゲームユーザーにも受け入れられる窓口の広いゲームとなった。
ほのぼのとした雰囲気とは裏腹に、戦闘モードや体力、魔力消費が激しく手軽に回復できないシビアな面が目立つものの、慣れればすぐにクリアーできるお手軽な内容の為に何度でも遊びたくなる良作である。
現在、キャラクター権利関係で新作や復刻版の機会に殆ど恵まれないシリーズであるが、ぷよぷよファンならずとも遊んでみて損のない良作である。
各シリーズの紹介
本シリーズはコンパイル社内のスタッフが作っているものが殆どであるが、ほぼ同時期に全く別のチームが作っているという事が頻繁だった為、
同じエピソードでありながら全く違うシナリオや作風になっているものが多い。それはアルルを始めとした登場人物の性格も同じで、それが魔導物語の良い所だと見るファンは多い。(コンパイルスタッフによって著されたムック本「魔導大全」でも、「魔導物語は、複数のパラレル・ストーリーがあるといえるでしょう」という旨が書かれている。)