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ワイルドアームズ 2nd IGNITION - (2011/08/29 (月) 13:17:37) の編集履歴(バックアップ)


ワイルドアームズ 2nd IGNITION

【わいるどあーむず せかんどいぐにっしょん】

ジャンル RPG
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 メディア・ビジョンエンタテインメント
発売日 1999年9月2日
定価 7,140円
備考 ゲームアーカイブス:2007年11月28日より配信/600円
ワイルドアームズシリーズリンク

概要

  • 荒野が広がり、緩やかに衰亡していく世界『ファルガイア』を舞台としたRPGワイルドアームズの続編。
  • 今作もファルガイアを舞台にしているが、前作とは全く別の世界である。
  • それどころかどちらかといえば王道的なファンタジー世界であった前作と比べて雰囲気や文明レベルはかなり異なる。
    • 機動要塞や鉄道などが存在するある程度科学の発達した世界観。一方で魔法やガーディアン(精霊のようなもの)も存在する。
    • 熱いシナリオ・少年漫画的な台詞回し(特にッ!)が売りなのはこのシリーズ全てにいえる特徴。
  • システムとしては、敵とのエンカウントそのものを任意で排除することができる「エンカウントキャンセル」が取り入れられた。
    • 「ザコ戦で全逃げする人はそもそも戦闘自体が煩わしい筈だ」→「なら戦闘自体をキャンセル出来れば良いんじゃね?」という発想に基づいて作られている。ただし味方よりも敵のレベルがかなり高かったり、不意討ち(強制エンカウント)が発生した場合の戦闘はキャンセル出来ない。
    • 手ごたえのあるダンジョンの謎解きはこのシリーズの売りの一つであり、その都合でダンジョンの中を何度も往復する機会が多いため、面倒な戦闘を回避できるこのシステムはプレイヤーから有難がられた。
    • 本作には一度倒したモンスターのデータが登録されるやり込み要素「怪獣図鑑」が存在するのだが、この図鑑に登録済みか否かをエンカウント前に自動で判別可能(=一度も倒していない敵とだけ戦える)という親切設計。おまけに連続使用制限は一切ない。
    • このシステムは以降の作品にも実装されたが、その全てで何らかの連続使用制限が加えられている。

ストーリー

かつてファルガイアを焔の朱に包みこんだ災厄があったという。人々は英雄『剣の聖女』と彼女の持つ剣『アガートラーム』に希望を託し、彼女は自分の命と引き換えに焔の災厄を封じ込め、ファルガイアを救った。
それから長い月日が流れ、剣の聖女と焔の災厄の話は数多くある物語の一つとして人々に語り継がれ、残されたアガートラームは権威の象徴となっていた。
しかしファルガイアは再び危機に陥る。テロリスト集団『オデッサ』がファルガイアの覇権を手にするため各地で動き出したのだ。
相次ぐモンスターの凶暴化や、オデッサの脅威に対抗するためタウンメリア王国によって"an Awkward Rush & Mission Savers"、通称『ARMS』と呼ばれる特殊部隊が組織される。
主人公アシュレーはそのメンバーの一人に選ばれ、ARMS結成の記念式典に出席するのだが、そこではオデッサの暗躍によって人に魔物を取りつかせる実験が行われアシュレーもそれに巻き込まれてしまった。

散りばめられた数々の特撮ネタ

 本作最大の特徴として、あらゆる要素がプロデューサー金子彰史氏の趣味の塊(往年の特撮&アニメ(特にヒーローもの、ロボットもの)であることが挙げられる。

  • まず作中冒頭でのオデッサの実験と式典会場にあったアガートラームの影響によって主人公アシュレーはナイトブレイザーという変身ヒーローになってしまう。
  • オデッサの実験によって壊滅したあとに再結成されるARMSだが、そのノリが戦隊ヒーローものの正義の組織そのまま。
    • 更にARMSの本拠地ヴァレリアシャトーは変形して空飛ぶ乗り物になる。
  • 途中退場するとはいえ敵組織であるオデッサの幹部チームで、前作でのナイトクォーターズにあたるコキュートスの面々も特撮の悪の幹部の皆さんとほぼ同じノリ。メンバーも、美形で凄腕の忠臣、筋肉バカ兼常識人、ボスに対して愛憎入り乱れ過ぎな紅一点、狂気むき出しの真性快楽殺人鬼、と素敵な面子揃いである。
  • 着ぐるみ怪獣みたいなモンスターたち。ウルトラマンの怪獣や仮面ライダーの怪人、キカイダーの敵メカをモチーフにしたと思われるデザインの敵も見受けられる。
    • アガチオンという敵は変身すると赤青黄白黒のいずれかの色のバージョンになり、戦隊ヒーローを意識している。
    • サンダードレイクという敵は普段は透明で雷属性の攻撃を当てると姿を現す。この特徴はウルトラマンの怪獣ネロンガが元ネタ。
    • シリーズ最強の隠しボス『ラギュ・オ・ラギュラ』のデザインは黄色と黒のカラーリングボディや角などから、初代ウルトラマン最強の怪獣ゼットンが元ネタ。必殺技1000000000000℃もゼットンの吐き出す火球の温度が一兆度という設定から。
  • ボス戦にはいるとき、画面が切り替わり赤背景にボスのシルエットが映され『科学班総括(自称)トカ その助手ゲー』などと解説と名前がつく、明らかにウルトラマンを意識している。ボスによって演出時のカメラワークやテロップの位置が異なるなど凝りぬかれている。
    • 攻略本の開発者インタビューによると、身長や体重、出身地も入れたかったらしい。
  • 何度となく相対する敵キャラ、トカとゲーというコンビのモチーフは宇宙猿人ゴリのゴリとラー。
    • 公式攻略本では何とこの二人を主役にしたオマケ漫画が掲載されていた。
      • 本編中でトカは「ブルコギドン」という単語をよく発しているが、実は隠しボスの一体のことを指している。このブルコギドン、隠しボスなので意外と強い。
  • 技などの一部の元ネタも特撮関係からとられている。一例としてラストバトルで主人公が使用する技アークインパルスの元ネタは時空戦士スピルバンから。
  • 後半の主人公たちの乗り物になるドラゴン『ロンバルディア』もドラゴンとはいっているもののどう見ても変形メカである。

 まるで作品を私物化しているかの様だが、シリーズ独特の台詞回しや作中のテーマ『英雄』にマッチしており、現在は比較的好意を持って受け入れられている。

  • しかし「現在は」とあるように、発売当時は(2chも含めて)批判的な意見もかなり多く見られた。この辺りについては「ワイルドアームズ 2ndイグニッション コンプリートガイド」(エンターブレイン刊)に掲載されているスタッフインタビューなどからも窺い知れるので、興味がある方は一読してみるのも良いだろう。
  • この作品の評価の割りに、近作の不振やインタビュー関係もあるものの金子彰史氏自身の評価が芳しくない理由でもある。

英雄とは

  • ワイルドアームズ2nd IGNITIONは、比較的良作の多い同シリーズの中でも特に最高傑作だといわれることが多い。その理由は作中で一貫したテーマ「英雄」とそれにまつわる数々のイベント、登場人物たちの心情描写が印象的できわめてドラマチックなことである。
    • ヒロインのマリナは戦闘メンバーではなく、主人公の故郷タウンメリアでアシュレーの帰りを待っている。RPGでヒロインといえば大抵一緒に行動できるものなので珍しい。*1
      • 世界を救うことに使命感と遣り甲斐を感じるアシュレーとアシュレーが危険な任務につくことを嫌い故郷に戻ってくることを望むマリナ二人の葛藤や、アシュレーは自分が魔物にとりつかれてナイトブレイザーになったことをマリナに隠す様などはヒーローもの定番の描写であるものの、それらはアシュレーがラストで英雄に対して出した答えにつながっている。ヒロインが非戦闘能力者で一般人だからこそ行える名イベント。
    • ラストバトルの演出。かつて世界を焔の災厄に包んだ魔物ロードブレイザー。アシュレーに取り付くことでナイトブレイザーになる力を与え、彼が戦いを繰り返すことで力を取り戻し復活を遂げる。ロードブレイザーは言う、元々ただの人だったアシュレーに自分を倒す力はない。英雄がいないこの世界は自分に滅ぼされると…
      • 詳細は省くがそれに対して応じ返すアシュレーの問答、英雄とはなにか彼が導き出した答え、今まで力を貸してくれた人たちからの声援などが交わされるラストバトルの演出は「感動したエンディング」「泣けるラストバトル」といった話題に度々引き合いに出され、必殺技「アークインパルス」や戦闘曲「バトル・VSロードブレイザー」など相まって、ファンからはシリーズ最高の名イベントとされている。

その他の評価点

  • WAシリーズの定番であるゲーム開始時(データロード時)のOPアニメムービーに加え、本作(及び「WA3」)ではゲーム中断時にもアニメムービーが流れるようになった。本作のそれは全てProduction I.Gによる製作であり、(特にDisc1版のOPは)歴代シリーズ中でも屈指の高評価を得ている。
    • Disc1版OP主題歌『WILD ARMS 2nd IGNITION ~どんなときでも、ひとりじゃない~』はヒロイン・マリナの心情を表現したものであり、作中テーマ『英雄』に対して主人公が導き出した答えにも通じている。歌い手の麻生かほ里氏、及び作曲家のなるけみちこ氏を代表する名曲。
      • ラストバトル曲『バトル・VSロードブレイザー』は『どんなときでも、ひとりじゃない』のメロディーをアレンジしたもので、ラストバトル演出に華を添え、感動を与えるのに一役買っている。
  • 手ごたえのある謎解き。グッズ(ダンジョン進行のためのお助けアイテム)を駆使した謎解きの数々はシリーズの中でも特に難易度調整がとれていると評価されている。
  • 寄り道要素の多さ。特にとあるグッズを使って戦える隠しボスたちは隠しボス相応の歯ごたえのある強さがあり、数も多い。
  • 本作の『ラギュ・オ・ラギュラ』がシリーズ中最強だという声も多い。電撃プレイステーションの「印象に残ったラスボス・隠しボスTOP10」の読者コーナーでは、「LV99でも運が無いと勝てない」などの理由と共に、 一位 にランクインしていた。
    • また発売が1999年ということにちなんでか、同じく『魔王アンゴルモア』がかなり強めに調整されている。ラギュ・オ・ラギュラが(運頼みながら)完封する手段があるのに対し、こちらは正攻法しかないため、アンゴルモアの方が強い、というプレイヤーもいる。

問題点

  • 敵味方共にキャラクターのモーションが異常にゆっくりしていて戦闘のテンポが恐ろしく悪い。前後作「WA(無印)」「WA3」の戦闘がテンポ良く進むため余計に際立つ。
  • 味方の性能が総じて高い上にHP回復が容易なことが原因だが、雑魚敵が弱く戦闘が単調になりがち。ただしボスは高火力だったり複数部位に分かれていて攻撃回数が多いものが多いため(特に隠しボスは)ザコよりも幾分手ごたえはある。
    • とはいえエンカウントキャンセル(上述)により大半のザコ戦は無視可能で、更に要所でラッキーカード(獲得経験値増加アイテム)を使えばレベルにも困らないなど、体感的な単調さはあまり大きくない。
    • 作中で強敵扱いされているボスの大半がプレイヤーの体感的には非常に弱いのもネック。まるで苦戦している気がしないうちに、主人公が負けを認め戦闘終了してしまうシーンまである。せめてみんな弱いのならまだしも、時々妙に強いボスが唐突に登場したりするため一貫性に欠けている。
  • ラストダンジョンの仕様が非常に極悪。
    • ラストダンジョンの前半には全体即死技を使う雑魚が多数存在するので、運が悪いと突然全滅してしまう事もある。
    • それだけならまだいいのだが、ラストダンジョンには雑魚敵と強制エンカウントする扉が多数ある。そのせいで上記の雑魚敵と何度も強制的に戦わされる事になる。
    • マップを移動するとエンカウントする扉が復活してしまい、セーブに戻るともう一度戦いなおす事になる。もし1ギミルコインの残りが少なければここを突破するのにかなりの運が必要になる。
      • 更に本作のラスボスは初見殺し要素を持つ。しかし戦力を整えるために外に出ようにもにも、この強制エンカウントエリアを通る必要がある。
  • ラストバトル・ロードブレイザー戦は屈指の名イベントとされているが、ロードブレイザー自体はイマイチ大物っぽくない*2上にかなり弱い(というより主人公が強くなりすぎている)。グラフィックもラスボスらしさが欠けており、しかも妙に善玉っぽい。*3
  • エフェクトがあまりカッコ良くなく、使い回しも多い。故にグラフィック周りの演出効果を強化した上でのリメイクを強く待望されている。
    • 電撃オンラインのリメイクして欲しいゲームランキングでも、FF7やサガフロンティア、聖剣伝説3などの大作に続いて9位にランクインしている。
  • 一部の重要なシステム周りが説明不足。外部からの情報なしで、ティムやカノンの能力を理解できた人がどれほどいるのだろうか。全体的には親切設計なのだが、それだけに説明のないまま放置された不親切要素も際立ってしまう。
  • キャラのグッズが6×3の18個(前作は4×4の16個)と増加している割に、そのダンジョン限りの使い捨てがある。
    • 隠しキャラのマリアベルの物ですら街中のギミックなどへの使い道があるのにも関わらず、カノンのジャンプシューズだけは「入手したダンジョンの床を踏み抜く」以外の使い道がない。