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電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム - (2013/05/08 (水) 05:07:29) の編集履歴(バックアップ)


電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム

【でんのうせんきばーちゃろん おらとりお・たんぐらむ】

ジャンル アクション
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 アーケード(Ver5.2&5.4:MODEL3、Ver5.66:NAOMI)
販売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼働開始日 1998年
分類 良作
電脳戦機バーチャロンシリーズリンク

※この項目では、MSBS5.2から最新版の360版5.66まで全てを扱う*1



概要

1996年の発表以降、セガ上層部の思惑とは裏腹に『電脳戦機バーチャロン』は大ヒットを巻き起こし、多くのロボットファンを虜にした。
そしてその大ヒットから約2年。様々なゲームが現れては消えていくゲームセンターに、再びバーチャロンは現れる。
2年の歳月を経てチャロナー(バーチャロンを好む人々)の前に帰ってきたそれは、当時最高峰のグラフィックと圧倒的なスピード感を得て、チャロナーたちに新たな熱気を起こさせる。
新たな限定戦争、舞台は地球圏全域。その名はオラトリオ・タングラム

通称は「OT」「オラタン」。


評価点

  • 機体の増加とリデザイン
    • カトキハジメ手掛ける全11機のデザイン・ディテールはグラフィックの向上によりさらに緻密になり、機体ごとに細かく書き込まれている。
    • どの機体も個性豊かな外見をしており、ヒロイックな看板機体に全身火器の歩く弾薬庫、果てはどっかの女神様を彷彿とさせる女性型機体やドリルと万力を装備した超重量型機体などバリエーション豊か。
      • 後にアップデートで隠し機体一機と新型機3機が追加され、最終的には15機を選択できるようになる。
+ Select your machine.
  • 高汎用性標準機体 MBV-707-G テムジン
    • 剣・ライフル・長距離砲に変形する万能武器『スライプナー』と相手の攻撃をかき消すボムを装備した、初心者から上級者まで広く愛される万能型機体。死に技が少なく、様々な相手に安定した戦闘力を発揮できる。
    • 必殺技は『ブルー・スライダー』『ブリッツ・トーネード』。前者は巨大なサーフ・ボード上に変形したスライプナーに乗って相手を追尾しながら突撃する強力な技で、後者はスライプナーで回転斬りを見舞う。
    • ヒーロー然とした主人公機的なスタイルも非常に人気が高い。背部スラスターの追加ではったりも十分。
  • 高性能光学兵器装備重攻機体 HBV-502-H8(RVR-75) ライデン
    • バズーカとグランドボム、そして一撃必殺の両肩のレーザー発振器が特徴の重量級バーチャロイド。動きの鈍重さや一癖ある武装から中級者向き。重量級ながら手札が豊富で、相手を追い込んで必殺の攻撃を叩き込む詰将棋的な戦い方が持ち味。
    • ジャンプ中にスタートボタンを押すことで「残存体力の9割&全Vアーマー」と引き換えに全VR中最速の機動力を得る「装甲排除(アーマーパージ)」が可能。ロマンあふれる逆転技として人気がある。
    • こちらもいかにも『重量級』といったスタイルが人気で、コトブキヤのプラモシリーズにも名誉ある一番手として選ばれたほど。
  • 超格闘対応型機体 RVR-39 アファームド・ザ・バトラー
    • マッスルな外見とビームトンファーが特徴の近接特化機。近接可能距離が全機体中最も広く、サブマシンガンとボムも『近接への布石』と考えれば優秀。いかに近接まで持ち込むかが鍵の機体だが、近接攻撃の性能自体はあくまで上の中程度。ただし、近接の威力とダウンを奪ってからの選択肢は全機体中屈指のものがある。
    • 特殊コマンドでライダーキックのような飛び蹴りや、オーラーを纏ってハイパー化ができるが、実用性は薄い。しかしその「漢」らしさからネタとして愛するプレイヤーも多い。
  • 超火力強化型機体 RVR-33 アファームド・ザ・ストライカー
    • 実弾武装を多く搭載した、火力に重点をおいた万能機体…のはずだったが、特に秀でた部分がなく、悲しいかな弱機体の位置にある。特にライデンに対してはステージにもよるが「ほぼ詰んでいる」とまで言われる。設置型のミサイルや振りの速いコンバットナイフを使った近接が特徴。
    • ライダーパンチのような突進技や、兄弟機のバトラー同様のハイパー化が可能だが、こちらもロマンの域にある。
  • 高機動型可憐機体 RVR-14 フェイ-イェン・ザ・ナイト
    • 可憐な少女の姿を模した軽量型機体。軽量型のスタンダードというべき性能を持ち、扱いやすく手数に優れる。火力こそ低いものの、後述するターボ攻撃による「ダウンを奪う性能」に優れており、本作のゲームスタイルと相性が良い機体とされている。近接攻撃も優秀で、火力の無さ以外はまとまった性能を持つ。
    • HPが50%を切ると『ハイパー化』し、体が金色に輝く。この時は火力が爆発的に強化され、逆転の可能性が大きく広がる。
  • 多目的火器装備満載機体 SAV-326-D/9 グリス・ボック
    • 「歩く武器庫」と揶揄される、全身火器の重装型機体。相手の武器をかき消すナパームから主力武器のミサイル、バウンドする爆弾やグレネードランチャーにマシンガンと、実弾火器をこれでもかと搭載し、弾幕をこれでもかと展開する姿はまさにアクションシューティング界の大往生
    • なんと小型の大陸間弾道弾まで搭載している。自身すら巻き込むその爆風はゲーム中トップクラスの威力を誇る。
  • 高機動型可変機体 RVR-42 サイファー
    • 可変機構を採用し、戦闘機形態に変形できる軽量機。多方向に投げ放つエネルギーダガーやバルカン、特徴的な軌道のホーミングレーザー(通称フォースビーム)など、打撃力には欠けるが手数に優れる。変形して突っ込む突撃技も実装。
    • その手数の多さと機動力により、「リードを取ったら後はタイムオーバーまでそのリードを守る」という本作のゲーム性と相性が非常に良い機体。しかし「紙飛行機」と呼ばれるほど装甲が薄いのが最大の弱点。2005年の全国大会で優勝した全一プレイヤーはサイファーを使用していた。
  • 超重装甲突撃型機体 RVR-68 ドルドレイ
    • ドリルと万力を装備し、火炎放射やドリル射出などの奇抜な攻撃手段で戦う機体。全機体中最も厚い装甲を誇り、半端な攻撃は容赦なく弾き返す。
    • 機動力は低いが、2つの突進技を移動に用いることでそれをカバーする戦術が確立されてからは愚鈍とも言い切れなくなった。
  • 氷雪魔法系神聖機体 SGV-417-I エンジェラン
    • 女神を模したフォルムが印象的な機体。実体装甲は薄いがVアーマーが強力で、遠距離からの攻撃は結構な確率で弾いてくれる。ただ装甲の薄さに比べて機動力が低い、Vアーマーを無視する攻撃を受けると脆いなど、一癖ある性能を持ち、扱いは難しい。
    • 氷の魔術のような攻撃を多数持ち、ドラゴンを召喚したり、背中から天使の翼を生やす(!)など、攻撃内容も個性的。
  • 怨恨呪詛的暗殺機体 RVR-87 スペシネフ
    • 死神を模した機体で、線の細さや屈んだ姿勢が特徴。線の細さ通りの軽装甲だが、それを持って余りある地上機動力を持つ。武装はほぼ単発系で、一撃の重みに優れる。
    • 相手を長時間追尾する霊魂や、縦方向への回避が困難で与ダウン性能も高い衝撃波、翼を変形させて投げ放つ弾消し性能の高いブーメランなど、いやらしい攻撃が多い。
  • 難解系多機能型試作機体 XBV-819-tr4(tm2)(ts/b) バル・バドス(バロス/ケロス)
    • 両手を切り離して設置し、そこから攻撃が可能という特異な攻撃方法を持つ機体。さらに両足からも小型の砲台を展開して設置が可能。扱いは難しいが、使いこなすと他の機体には不可能なトリッキーな戦術が可能となる。
    • コミカルな動作や数々の小技から『芸人機体』と揶揄される。また、ステージによって下半身などを換装するという変わった特徴も持っている。

以下、M.S.B.S.5.66からの追加機体。

  • 超指導力強化型機体 RVR-12 アファームド・ザ・コマンダー
    • 指揮能力に優れた機体で、テムジンのマイナーチェンジ的な性能を持つ…といえば聞こえはいいが、テムジンに比べて劣る部分が多く、テムジンの下位互換に甘んじている弱機体。
    • 大型のマチェットを近接武器に用いる割に近接能力が低い・火力が低いなど、調整ミスとしか思えない弱さは多くのプレイヤーの涙を誘う。
  • 経済性重視型光学兵器装備機体 SBV-328-B シュタイン・ボック
    • グリス・ボックの兄弟機で、光学系の兵器に身を包んでいる。他の機体の特徴的な光学兵器に似た攻撃を用いる。
    • しかし元となった機体に比べて様々な面で弱体化しており、弾幕も張れない。器用貧乏という言葉がぴったりの性能である。
  • 旧式改良強化要努力機体 MBV-04-10/80sp 10/80 SP
    • 一世代前の機体を改修・強化したという設定で、所謂「公式ハンデ」機体。一部の動作に制限がかかっており、性能差を埋めるためには並々ならぬ努力が必要。
    • ただキレのある操作感や一部の射撃兵装など光る点もあり、弱機体ではあるが愛用するパイロットも多い。
  • 動きの自由度が向上
    • ジャンプから空中ダッシュ、ダッシュ中に向きを変えられるバーティカルターン、ダッシュ旋回に各種キャンセル、近接攻撃可能範囲でのみ発動できるクイックステップ…スピード感とあいまって動きの自由度では全シリーズイチであろう。
    • 様々な動作をダッシュやジャンプなどでキャンセルできるので、他のゲームよりも目立った硬直が少なく、慣れるとほぼノンストップで機体を動かせるようになる。
  • Vアーマーやターボショットを初めとする数々の新要素の追加
    • Vアーマーは本体の装甲とは独立したバリアのようなもので、相手の弱い攻撃を弾き返してくれる。
    • ターボショットはツインスティックのターボボタンと攻撃を同時に押す事により出せる強攻撃。右ターボショットと左ターボショットが存在し、右ターボは威力の高い攻撃を、左ターボは主にVアーマーを削る能力を持つ。
    • 更に近接攻撃可能な範囲で右ターボ攻撃を繰り出すと、相手のガードを弾いてダウンさせる特殊攻撃「ターボ近接」を発動可能。
      • ターボ近接には特徴的なモーションが多く、フェイ・イェンの「ビンタ」「ヒップアタック(しかもハートのエフェクトが飛び散る演出付き)」ドルドレイの「掴み投げ」、ライデンの「フラグメントクロー(両肩のレーザー発振器を展開して零距離でエネルギー波を叩き付ける)」などカッコイイものからコミカルなものまで機体によって様々な動きを見せてくれる。
    • 他にもダッシュスライド攻撃や、各種機体ごとに搭載された個性豊かな必殺技など、各機体の攻め手のバリエーションは爆発的に増加し、同じ機体でも使い手によりバトルスタイルに差が生まれた。
  • 格闘戦の熱い駆け引き
    • 前作では近接攻撃は一部の機体を除いてほとんど上級者が用いるロマン技であったのに対し、今作では近接戦闘の自由度も大幅に増加。各機体近接攻撃の発動範囲は前作より長めに設定され、ほとんどの機体が近接を要所要所で狙っていけるようになった。
    • 「ダウン追撃」「クイックステップ近接」「ダッシュ近接」など、近接攻撃のバリエーションも大幅に増加。ダッシュ近接やターボ近接、ダウン追撃… 一瞬で機体が交差し、近接攻撃が炸裂する。上級者の近接戦は一瞬の隙を差し合う凄まじいもので、プレイヤーも観る側も白熱した戦いが楽しめる。
    • 近接攻撃やクイックステップはダッシュなどでキャンセルすることができ、そこから「近接を仕掛けると見せかけて…」といったフェイントも可能。
  • 音楽は相変わらず、プレイヤーの心を突いてくる名曲ぞろい。
    • ライデンステージの「into the crimson」、サイファーステージの「zodiac empathy」など、ステージに合わせた名曲は熱い戦いを演出する。
  • バージョン5.66からはドリームキャストのビジュアルメモリに対応し、家庭用(後述)で機体色をエディットした機体が使用できるようになった。
    • 自分の愛機をゲーセンで使える。腕利きのプレイヤーを示す証にもなった。

難点

  • 複雑すぎる操作やシステム
    • ただでさえ初心者はゲームスピードとシステムに振り回される。そこに前作の比ではない複雑な操作を要求され、新規客の定着を阻む原因となった。
      • プレイヤー格差を生み出した元凶であり、このゲーム最大の特徴でもある。一概に否定することは出来ないが。
    • 初心者の壁として立ちふさがるのが「クイックステップとダッシュの使い分け」。この二つはコマンドが同じなのだが、かといって「近接可能範囲ではダッシュコマンドが自動的に~」というわけではなく、近接可能範囲でも普通にダッシュが出る。使い分けは慣れるまでかなり難しく、初心者と中級者を分かつ壁となる。
  • 稼働初期はバランスが悪かった。Vアーマーの効力が強く、射撃主体の機体は苦戦を強いられたのである。
  • 一般的には最新版の5.66が最高のバランスと言われているが、それでもやはりゲームバランスが練り込まれていない感はある。機体紹介の項を見てもらえればわかると思うが、すこしやり込むとわかるような弱機体が多い。また、強機体も強機体でえげつない。
    • プレイヤーの腕前がかなり反映されるゲームであり、ゲームバランスはある程度プレイヤーに左右されることになる。それでもステージによってはほぼ詰む組み合わせが存在するなど、やはりゲームバランスの根底の部分にある程度の問題はあると言わざるを得ないだろう。5.6においても大した調整が成されなかったのは残念としか言いようがない。
      • 特に5.66追加機体の弱さはプレイヤーの涙を誘った。一応『公式ハンデ』である10/80は弱くて当然なのだが…。
      • ステージ「Space Dock」はその障害物の配置から機体によって有利不利が決まりやすく、プレイヤーからも機体によっては「クソゲー」と揶揄される。
+ 強機体について
  • ライデン
    • 相手を絡めとる電磁ワイヤーや、敵の射撃を相殺するバズーカやグランドボムなど、機動力の低さという欠点を引いてもおつりが来る手数の多さを誇る。2発同時発射武器の発射数を1発にする代わりに消費エネルギーを半減するテクニック「ハーフキャンセル」と、レーザーの偏差射撃テク「置きレーザー」を習得したプレイヤーが使うと、攻防ともに強力かつ嫌らしい機体と化す。
      • ちなみに、バージョンアップ前はグランドボムが「回避されても相手とY軸が合った瞬間に爆発し、連続した火柱を発生させる」仕様となっており、さらに強かった。
  • グリス・ボック
    • 「弾幕」を作れるほどの火力と中堅クラスの機動力を併せ持ち、爆風が壁を抜ける籠り対策の武器や、ワンチャンスを物に出来る大火力武器も持つ。武器のゲージ効率も良く、ジャンプ・ダッシュしながら間断なく武器を連射する特殊テク(俗に『DOI-2』『ムーミン』などと呼ばれる)を使えば延々と弾幕を生成して相手を寄せ付けない(相手にもよるが)。
      • 上級者のグリス・ボックは本当におぞましい弾幕を展開してくる。公式大会の超上級者のプレイを見た開発スタッフに「他の機体の動きに関してはスタッフも想定できた、だがグリスの動きだけはこちらの想定を超えている」と言わしめたほど。
  • スペシネフ
    • 地上機動力の高さから相手と距離を取りやすく、攻撃も高火力なものが揃う。相手を長時間追尾する鬼火や、弾速と与ダウン性能の高い衝撃波などでチャンスをものにしやすく、鎌が壁を抜けるので壁をある程度無視できるという強力な特徴も持つ。近接戦闘能力も高く、リードさえ奪ってしまえばこちらのもの。特にターボショットの弾速・誘導は驚異的で、機動力の低い機体だと回避不能なシチュエーションも存在する。
    • その性質から、重量型機体、特にライデンの天敵とされる。
  • フェイ-イェン・ザ・ナイト
    • ダウン性能と機動力に優れ、『相手をダウンさせてちまちまリードを奪って逃げる』という戦術が強力。万が一リードを奪われてもハイパー化すれば逆転も十分に狙え、近接戦なら通常時でも強力。
    • 一応ハイパー化までは射撃武器に決定打が少ないため、大きくリードを広げにくいという欠点はある。そこを突いた「ハイパー化させずに時間切れを狙う」「ハイパー化するギリギリの体力から一気に殺し切る」という戦術は今や対フェイ-イェンの基本である。
  • ほか、高性能な前ダッシュ攻撃(通称『前ビ』)を軸に全体的に武器性能の高いテムジン、本作のゲーム性と戦術がマッチしているサイファー、砲台の設置場所によっては「ほぼ避けられない攻撃」を撃つことができるバルシリーズなどは全国使用率も安定していた。
+ 弱機体について
  • アファームド・ザ・ストライカー(以下ST)
    • 「扱いやすい」という点では優れているが、秀でているとされる射撃性能に穴があり、気軽に振っていける武装もなく、全体的な機動力も低め。ダメ押しとばかりにダウンしやすい。相手を追い詰めても転倒してリードを奪われたが最後、絶望的な鬼ごっこがスタートし、たいていは逃げ切られて終わってしまう。一応前ダッシュは速いのだが、それでもライデンのバックダッシュに追いつけない。
      • この弱体化は、家庭用ネット対戦で本機が猛威を振るった影響とされる*2。当時、あるプレイヤーが「何故ストライカーにあのような調整を?」と質問した際の開発者の回答「数値は変えてない」は、プレイヤーの間での流行語になると共に、全国のST使いを失望させた。
      • 解説でも述べたが、特にライデンとの相性は絶望的。その相性差たるや「『STでライデンに勝った』だけで拍手喝采」というレベル。
  • アファームド・ザ・コマンダー(以下C)
    • ほとんどテムジンの下位互換。武装は扱いやすいのだが「打撃力を欠く」「気軽に振れる武装がない」「ゲージ効率が悪い」「近接性能が落ちている」と、常識があるならありえないパラメータ調整をされている。近接性能はなんと攻撃範囲以外、モーションを共有するST以下。射撃も悪くはないのだが、ダッシュ攻撃の回頭性能が低く、なかなか辛いものがある。そのマチェットは飾りか?
    • 唯一、機動性などの基本性能ではテムジンに勝っている。格闘ゲームを知るプレイヤーからは「テムジンがリュウならCはダンだ」と揶揄される。
  • エンジェラン
    • 基本戦術が「事故待ち」 ……というのは流石に大袈裟だが、こちらから当てられる武装に乏しく、機動力も装甲に見合わない低さなので、リードを取ることが難しい。火力もゲーム中1,2を争う低さなので、リードを奪っても不安がつきまとう。各種攻撃による連携は強力だが、連携を理解している相手には簡単に対策されるレベルで「凶悪」というほどのものではない。
    • 「漕ぎ」という特殊テクのおかげで、前方以外の機動力はとてつもなく高い。一度リードを奪えば迎撃戦に持ち込んで有利な展開に持っていけるが、遠距離にも隙がない相手に対してはそれも厳しい。
  • この他、5.66追加機の一つであるシュタイン・ボックもかなり中途半端なバランスの機体であり、扱いにくい。
+ おまけ
  • 10/80sp
    • 言わずと知れた公式ハンデ機体であり、空中ダッシュなど、オラタンで追加された基本操作を封じられた所謂「ひとりだけ擬似前作」な機体。各種キャンセルの隙が短く機動力も高いが、装甲がやや弱めでVアーマーにも頼れない。射撃は光るものはあるが、打撃力を欠く。
    • そのため必然的に接近戦を仕掛けることになるのだが、当然相手もそれを見越して立ちまわってくるため、勝利するためには高いプレイヤースキルと柔軟な判断能力が要求される。
  • 超越系破綻機体 アジム
    • 隠し機体。全身を結晶体で構成した、バーチャロイドとはまた異なる結晶戦闘体。
    • 全機体中最薄の装甲に加えて体力が常に減っていくという冗談ではない性能で、「やられる前にやる」という戦術を必然的に求めてくる。通常のバーチャロイドと似ても似つかない奇抜な武装を多数有し、戦闘中に自機の攻撃力・機動力・Vアーマーの性能を調整できる「レベルアップ」や、ステージ上に設置することで瞬間移動を可能にする「ワームホール」、さらに相手のすべての攻撃を弾き返しながら前進する「バキュラ」や、体力と引き換えに広範囲を攻撃する自爆など、他の機体のセオリーはほとんど通用しない。
    • 他にも「旋回性能が高すぎて制御困難」「一部の攻撃手段が相手の体力を回復させてしまう」などプレイヤーを突き放すかのような異端児であり使い手は極端に少なく弱機体の認定を受けているが、攻撃力アップ最大値からの火力や、いやらしい各種攻撃はさばきにくく強力。極端な強さと弱さが同居する機体と言えよう。
  • 削り合いの戦闘
    • 前作から受け継いだ欠点だが、やはり賛否両論。プレイヤーの回避技術が高くなればなるほど、冗談抜きで攻撃は滅多なことでは当たらなくなる。ワンチャンスを物に出来るかで勝敗が決まる極端な戦闘は今でも意見が分かれる。
    • 上位プレイヤーともなるとわずか5%未満の体力リードであっても守勢に回り、リードを守りきって勝ちを狙うという戦術も珍しくない。このゲームの最大体力値は『100%』である。
  • ドルカスの後継機がいない
    • ドルドレイは前作のドルカスと全く方向性が違うマシンだったので、ドルカス愛用者は泣く泣く機種転換を迫られる事に…。
  • その他
    • 現在でこそ受け入れられ、名作と評されている本作だが、稼働当初はあまりに先鋭化しすぎたシステム、デザインが賛否両論の嵐を呼んだ。
      現在でも初代バーチャロン(OMG)の熟練プレイヤー達からは『OMGにはあった「3D空間の自由度」からくる「詰将棋感」が、高速すぎるオラタンには無い。機体が常に線で繋がれているようだ』とも評されている。実際オラタンに馴染めずOMGに逆戻りしたプレイヤーも少なからず存在し、本作の稼働期間とインカムもOMGに届くことはなかった(二年間も現役だったOMGが凄すぎたともいえる)。

後の展開

  • バージョン5.4稼働中、ドリームキャストに移植された。
    • バージョンは5.4を調整した5.45の他、条件を満たすと5.2もプレイ可能である。
    • ゲーム自体は良移植の部類に属するもので、機体のカラーエディットや当時導入されたばかりのネット対戦が売りだった。ソフト単独ではプレイバリューは若干薄く、対戦ツールとしての側面が強い。しかし今の通信環境とは比べものにならないラグのひどさ、恐ろしく高額の電話料金から、対戦環境は良好とは言いがたかった。
      • 1人プレイでは視認性の低いフォグモード等の「縛りプレイ」モード、5.45クリア後の隠しムービーといった要素がある。
    • 後にゲーム誌の付録として「カスタマイズディスク」が登場。これは5.66の機体をエディットすることが出来るツールで、これにより5.66のエディット機がゲーセンで使えるようになった。しかしその頃、5.66の家庭用移植がついに叶う事はなかった。
  • その後、三作目『フォース』が発売されるが、オラタンとは全く方向性の異なる作品だったため、フォースを受け入れられなかったパイロットたちは、全国に細々と点在する筐体に通い続ける日々を送った----。
  • しかし2008年末、チャロナーたちの間に衝撃が走った。オラタン5.66エディションのXboxLIVE ARCADEでの移植が決定したのである。新たな限定戦争の火蓋が切って落とされ、10年前より遥かに快適になったネット対戦の場にチャロナーたちが集った。カスタマイズ機能、リプレイ、ハイデフへの対応…あくまで配信ソフトの域を出ない機能拡張ではあったが、5.66のほぼ完全な移植であるということだけで、チャロナーたちには十分だった。
    • ただし、5.66の厳密な完全移植でない事が後に有志の手により判明。5.66をベースに微調整を施した「5.66 360仕様」とでも言うべきものらしい。
    • 後日、配信専用ソフトにもかかわらず専用コントローラー(ツインスティック)がホリから3万円で発売された。
  • このXBLA版は2009年度ダウンロードランキングで堂々の一位を記録する快挙を成し遂げた。ただ、それでも採算面はかなりきわどいものだったらしく、360版フォースはパッケージでの販売となっている。
  • 本作発売の頃からバーチャロンのメディアミックス展開が目立つように。
    • あまり市場には出回らなかったが、アクションフィギュアが当時発売していた。
    • 模型誌に外伝ストーリーが載ったり、ドラマCDが出たりと、後のアーマードコアを連想させるメディアミックスを見せた。外伝ストーリーの機体の模型も当時発売していた。
    • 現在は新たな模型のシリーズが発売され、スペシネフやフェイ=イェンなどが続々立体化。ついに限定戦争が3次元へと進出。
    • また世界設定が深く掘り下げられるようになり、雑誌や設定資料で語られる深い設定は、その辺りに拘るファンを深く引き込んでいった。

総評

3Dアクションシューティングの、1つの頂点に達した作品と言ってもよい。
その暴力的なスピード、ステージや武器を生かした駆け引き、一瞬のチャンスを巡っての攻防……。 オラタンは一種の3Dアクションシューティングの到達点を一部のゲーマーに提示していたと言っても過言ではないだろう。その快感は素晴らしいものであり、他のアクションシューティングではそう味わう事は出来ない。

しかしその一方でゲームは過度に複雑化し、新規客を受け入れる土壌は無くなり、前作のファン離れを起こしたことも事実である。そういう意味ではこのゲームは「失敗だった」ともいえる。
後に発売されたシリーズ第三作、フォースはゲームスピードを大幅に落とし、操作形態も簡略化が行われた。チームバトルという環境を考慮しての調整もあろうが、オラタンは、やはりある意味では「行き過ぎてしまった」のだろう。

とはいえ、その行き過ぎた部分に惚れ込んだ人間もまた、決して少なくない。あなたもあの戦場を駆けるバーチャロイドに魅せられたのなら、ぜひコントローラーを握って欲しい。今は昔に比べてハードルも低くなった。無論、このゲームを楽しめるようになるまでの道のりは決してやさしくない。だが……。

貴方がバーチャロイドをモノにした時、タングラムは間違いなく新しい世界への道を開いてくれるはずだ。


余談

  • 開発段階では相手のバーチャロイドを投げる「投げ」というシステムも存在した(稼動前の雑誌にて情報・スクリーンショットなどが掲載されていた)が、没になった。一応ドルドレイのRTCW近接(相手の正面・背面にヒットさせれば二種類の投げ技が発生する)に名残を残している。
  • 初代バーチャロンのセガサターン移植に際してのゴタゴタや、当時のセガの不安定な経営状況に影響され、開発陣の中でもずれが生じるなど万全の態勢で開発が進んだとは呼べない状況であったらしい。「偉大な前作」を超えるべくスタッフは奮闘するが、それでもやはり前作の壁は大きく、苦労したという。
    • ドリームキャストへの移植もやはり見切り発車という部分が大きく、さらにVer.5.66の「あと一歩感」からくるユーザーの批評は厳しかった。この状態は次作フォースの開発に際しても暗い影を落とすことになってしまったと、Xbox360版フォース・限定版付属の冊子内においてプロデューサーの瓦氏は述懐している。