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高機動幻想 ガンパレード・マーチ - (2013/05/18 (土) 03:57:42) の編集履歴(バックアップ)


高機動幻想 ガンパレード・マーチ

【こうきどうげんそう がんぱれーど・まーち】

ジャンル シミュレーション
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 アルファ・システム
発売日 2000年9月28日
定価 5,800円
プレイ人数 1人
配信 ゲームアーカイブス:2010年9月22日/600円
分類 良作


ストーリー

1945年。突如として出現した「黒い月」と、正体不明の生物「幻獣」によって、第2次世界大戦は意外な形で終結を迎えることとなった。
ただ人を狩る人類の天敵、幻獣。人はそれが何であるかを理解する前に、まず自身の生存のために、天敵と戦うことを余儀なくされたのである。

それから、50年。
人類は圧倒的な戦力差の前に敗北を続け、遂にユーラシア大陸から消滅。人類の生存圏は南北アメリカ大陸の一部、アフリカ南部、そして日本のみとなっていた。
1998年、幻獣は遂に日本上陸を開始。九州南部の八代における、陸軍のほぼ全力にあたる48万の人類と1000万の幻獣軍との戦いは、焦土作戦により一応は人類側の戦術的勝利に終わるが、同時に30万以上の将兵の損耗という壊滅的な損害を被る事になった。

1999年、日本国国会において二つの法案が可決される。
一つは、九州中央に位置する熊本県を要塞化しての絶対防衛線の設置。もう一つは、14歳から17歳までの徴兵規定年齢に達していない子供たちの強制召還。
学籍のままかき集められた「学兵」の数は十万人。これを即席の兵士として熊本要塞に投入し、本土防衛のための「大人の兵士」が練成されるまでの時間を稼ぐ……。
これら少年兵のほとんどが99年中に死亡すると、政府はそう考えていた。

物言わぬ幻獣との戦争に飲み込まれた子供達。その内の一人、「5121戦車小隊」に配属された人型戦車のパイロット候補生の少年を主人公として、物語は幕を開ける。


概要

  • 正体不明の怪物と戦うウォーシミュレーションと、仲間たちと愛や友情を育む学園シミュレーションを融合させた、PS1末期の意欲作。
  • 開発期間が長引き過ぎたため、デバッグは不完全、多数の未使用データを収録したままの状態で発売されたため、ファンから完全版を求める声があがっている(ただし、SCEにその意向はなし。後述)。
    • 「売れる見込みは極小」と判断したSCEからの広告費が何と「0円」。さらに発売までに取り上げたゲーム誌は「電撃プレイステーション」のみ。だが「ほぼ口コミのみ」で充分ヒットと呼べる売上を記録。
    • ネット各地でゲームファンから知名度の高いゲームサイト運営者などに同作を高く評価したものが多く、より口コミを広めさせる要因となった。
    • 竹井10日の『東京皇帝☆北条恋歌』など、「ガンパレ」の影響を受けた作品も多い。
    • 想定外のヒットだったため、関連商品の展開はかなり遅速なものとなった。

特徴

  • 特筆すべきはその自由度の高さ。ゲームの一応の目的は「幻獣が休眠状態に入る5月の自然休戦期までの生存」という、世界観を反映した絶望感に溢れたものなのだが・・・
    • 人型戦車のエースパイロットを目指すもよし、体一つで戦場を駆ける歩兵となるもよし、小隊指揮官となって采配を振るうもよし、整備員その他の後方配置について部隊運営の円滑化をはかるもよし、クラスメイトとの友情を深めるのもよし、アルバイトに精を出すのもよし、気になるあの子を狙うのもよし、二股三股を掛けるもよし、ハーレム(逆ハーレムも可)を作るのもよし、クラスメイト2名の仲を取り持つ仲人となって彼らのいちゃつく様子を生温かく見守るもよし、気に入らん奴の悪いうわさを流したり殴りかかったり配置転換で飛ばしてもよし、テストでカンニングするのもよし、万引きするのもよし、発言力を高めて影の実力者を目指すもよし、猫と遊ぶのもよし ……と、様々なプレイスタイルに対応している。
  • パッケージを開けてまず驚くのは総ページ数120にも及ぶ異様に分厚い説明書であろう。懇切丁寧すぎるほどのプレイ解説と、「学園生活満喫マニュアル」というプレイ方法以外の楽しみ方を紹介したパートが載っているためである。
  • ゲーム内期間は1999年の3月4日から5月10日まで。プレイヤーはその間、「学園パート」と「戦闘パート」の二つのパートを繰り返し、熊本での激戦を生き延びていく。

学園パート

  • 通常は熊本市中心部の「尚敬高校」を中心として、授業・訓練・仕事を行いながらNPCとの交友を深める「学園パート」が展開される。
  • プレイヤーキャラ(PC)の能力向上を行えるのはこのパート。「訓練」を行うことによって、「体力・気力」「運動力」「知力」「魅力」等の各種能力値を高めたり、戦車操縦に必要な「戦車技能」、整備士になるために必要な「整備技能」等の各種技能の取得、ランクアップが出来る。
    • 「知力」が高ければ成績や特定部署の仕事効率が良くなり、「魅力」が高ければNPCから好かれやすくなる。技能は取得することで特定の行動が出来るようになるほか、ランクアップすることで能力補正が高まったり、行動の成功率が上昇する。文字通り、己を鍛えることで出来ることが増えるようになる=ゲームが楽しくなるのである。
      • もちろん「一切訓練をしない」という選択肢もある。その分プレイはきつくなるが、努力次第でどうととでもなるバランスであるのが魅力。
      • 各訓練を行う場所が妙に凝ったものになっている。運動力は鉄棒での懸垂、戦車技能は戦車備え付けのシミュレーター、魅力はトイレの鏡の前でポージング、等。
  • 配置部署に応じた「仕事」もこのパートで行う。仕事を行うことで部隊の状態を向上させ、後述の「発言力」を獲得することが出来る。
    • 戦車兵は自分の愛機の調整を行い、整備士は機体を修理する。指揮官と事務官は情報処理等の雑務をこなし、衛生官は部隊の衛生状態をチェックする。歩兵は自らの体を鍛え、無職なら何もすることがない。
      • このゲームでは無職と呼ばれる、配置につかないあぶれ者になることも可能なのである。また訓練と同じく「職務放棄」という選択肢もある。無論、楽にゲームをクリアしたいのならちゃんと仕事をする、無職ならほどほどに他部署を手伝うか配置申請をすることをお勧めする。
  • 主要NPCは生徒21人、教官3人、猫一匹。彼らにはそれぞれ個別に所持品の好みや行動の志向、他NPCとの相性などが異なるAIが搭載されており、独自の判断によって活動する。そのためNPCどうしの間にも人間関係が構築され、これを観察(ストーキング)するのも楽しみの一つである。
    • PCとNPCには「愛情評価・友情評価」という二つのパラメータが用意され、これらは「提案」を行い、人間関係に働き掛けることで変動していく。
      • ある程度親密になったNPCからは、そのNPCが習得している提案・戦闘コマンドを教えてもらう事ができる。
      • 提案の例:「好きなものは?」「あの人はどこ?」等の質問から、「一緒に訓練(仕事)しよう」「デートに行こう」等の誘い、「無視する」「喧嘩を仕掛ける」等の非友好的なもの、「何か交換しよう」「お金を貸して」等のアイテム関連のものまで多数。
    • 提案は「発言力」を消費して行う。発言力はその名の通り「部隊内での発言力」であり、仕事や訓練、戦闘でいい評価を出すことで貯まっていく、いわば他人に働きかけるために使う通貨のようなものである。行動によってはマイナスになることも。
      • 発言力は司令部に各種要請をする「陳情」でも消費される。新兵器の配備陳情には莫大な発言力が必要となる。
    • マップには存在するキャラの状況等に応じて「場の雰囲気」というものが存在し、それに応じて行動に制約が出たりする。例えば同一マップ内に教師や司令がいれば「真面目な雰囲気」になり、「デートに行こう」等の仕事・訓練に関係ない提案ができなくなる。なおキャラの中には場の雰囲気に関係なく行動できる、いわゆる「空気が読めない」者もいる。
      • また雰囲気によってNPCとの会話内容も変化する。特に注目すべきなのは、マップ内に親密なNPCと2人きりになった場合の「Hな雰囲気」時の会話。流石に直接的な内容ではないが、18禁な事が行われているとしか解釈しようのない台詞がバンバン飛び出してくる。なおこの雰囲気は相手が同性であっても発生させることが可能である…。
    • NPCと親しくすることで、様々な便宜を図ってもらえたり、新たな提案コマンドや戦闘コマンド(後述)が入手できることもある。勿論NPC一人一人にはそれぞれの物語が用意され、様々なイベントを追う事が出来る。
      • 多彩なNPCが揃っており、キャラ人気も非常に高い。アンソロジーコミックや4コマ漫画が何冊も出ていることからもそれが伺える。
      • ちなみにこのゲーム、大量の裏設定が用意されている事で設定マニアの間では有名なのだが、これがかなりの鬱、あるいは倫理的にかなりヤバめのものが多くみられる。もちろん裏設定なのだから無視して問題ないのだが、ゲームにはまってしまうとその辺も知りたくなるのが人情というもの。調査は自己責任で。
+ NPCの裏設定の例
  • ぽややんとした人物だが、実は軍のラボラトリで被検体にされており、処分される直前に職員と他の被検体を皆殺しにして脱走してきた。
  • 何時も明るい人物だが、過去に親から虐待を受けていたことから様々なトラウマを抱えている。
  • 軽薄そうな人物だが、実は死体に憑依して数千年生き続けている精神寄生体。
  • 母性的な笑みを絶やさない人物だが、実は重度のジャンキーであり、脳内麻薬を異常分泌させる違法プログラムを持ち歩いている。
  • そもそもこのゲーム中には生物学的にヒトと呼べるキャラが一人しか存在しない。
  • 訓練・仕事・交友のどれにも当てはまるのは「自ら行動すること」。
    このゲームは、「自ら外部に働きかけていくこと」が何よりも重要であり、それこそがプレイを楽しくする秘訣なのである。

戦闘パート

  • 主人公が配属されている「5121独立駆逐戦車小隊」は、「高機動・高汎用性を誇る人型戦車を中核として各戦区の応援に回る部隊」、いわば「火消し部隊」である。
    • そのため、「学園パート中に予告なしに招集→出撃」という流れで戦闘パートに突入する。
      部隊の性質上常に緊急出動となるため、「招集→ブリーフィング→装備選択→最終確認→出撃」といった、おなじみの出撃シーケンスは存在しない。このためプレイヤーには、常日頃から部隊兵力をチェック、変更するとともに、PCの状態を万全にしておくことが求められる。
      • 出撃するのはパイロット、司令、スカウト(歩兵)部署についているラインオフィサー(前線要員)。整備士や事務官といったテクノオフィサー(後方要員)達は、戦闘推移のダイジェストを閲覧することになる。
  • 戦闘はターン制シミュレーション方式だが、幾つかの点で一般的な方式と異なる。
    • ヘックスのようなマス目がなく、ドット単位で行動位置を決定する。また、幾つかの遮蔽物が存在する戦場もあり、攻撃の回避や敵の誘引に活用できる。このゲームでは、攻撃範囲に敵を入れる、あるいは逃れるための、ユニット個々の「機動」が重要視されるが、その最大の要因となっている要素である。
      • 段差による射線障害の影響は非常に大きい。多少の段差の影になっただけで射撃武器が使えなくなる事も。自信が無ければ市街戦では射線障害の影響を受けない格闘武器や範囲武器を使用するのが無難。
    • 1ターン内は「ステップ」と呼ばれる細かい動作単位で区切られており、ターンの初めに戦闘コード(所謂「たたかう」「ぼうぎょ」「にげる」)を入力していくことによって行動が決定する。
      • 例えば、「射撃(GAGW)」→「走る(GFFG)」→「回避(VG)」の順で行動を行う場合、GAGW GFFG VG の、計10ステップが必要となる。
      • ステップはユニットの装備状態によって4~10まで変動する。当然少ないと1ターン中に取れる行動が少なくなる。ステップは「機動力の差」を表わしているのである。
      • 直前のコードの末語と、新しく入力するコードの頭語が一致していれば、それらを重複させてコードを短縮することが出来る(例:「走る(GFFG)」→「射撃(GAGW)」の場合、GFFGAGWとなり、G一つを省略可能)。
      • また未修得の戦闘コマンドでも、入力したコードがその戦闘コマンドのコードと一致すれば、その未修得の戦闘コマンドでの行動が発生する。例えば「すり足(WG)」未修得の状態で「向きを変える(TW)」→「走る(GFFG)」を入力すれば、向きを変えると走るの間にすり足が行える。
    • 強力な装備を用いてのごり押しも可能であるが、まともにやるならある程度の先読みが求められるシステムである。ちなみにコードは入力後もキャンセルが可能。
    • なお前述した戦闘コードを入力するモード以外に「安全・自動モード」と呼ばれる、ターン開始時に「移動」「攻撃」といった大雑把なコマンド入力をするモードもある*1。ただし細かい指示ができないため、はっきり言ってこちらのモードの方が難易度が高く、危険である
  • 友軍・敵軍共に、(周辺戦域も合わせた)総戦力の20パーセントを失うと撤退を開始する。どちらかが全滅するか完全撤退すると戦闘は終了となるので、撤退する敵を見逃さずにより多く墜とせるかがプレイヤーの腕の見せ所となる*2
    • 「軍楽」技能を所持していると、戦闘中にランダムで「突撃行軍歌」を歌うイベントが発生する(歌わない選択肢もある)。歌いだすと友軍の能力が上昇し、歌いきると戦局と関係なく敵も味方も撤退不可能になる。撃墜数稼ぎにはうってつけであるが、それだけ自分が死ぬ危険も高まるもろ刃の剣である。
  • これらの独特のシステムによって、本作は他のシミュレーションとは一線を画す高い自由度を獲得している。遊び方は千差万別、説明書のスタッフ後記やプレイ日記からもそれが読み取れる。
    • 高威力だが一発しか打てないバズーカを4本も6本も持って出撃、大型幻獣を確実に潰すバズーカ職人。
    • 二刀流で行動コマンドを駆使し、1ターン内に合計6回もの斬撃を繰り出す阿修羅。
    • 煙幕弾とジャミングで的確に相手を封殺していく堅実派。
    • 幻獣の行動パターンを読み切り、僅か1~2ドット差の機動で敵の攻撃を完全に封じる超上級者。 などなど……。
  • なお、PCが戦死するとゲームオーバーになる。そして5121小隊のNPCが戦死した場合、そのNPCは以後、一切ゲーム中に登場しない。

一日の終わり

  • 戦闘パートが発生せずに日常パートを終えた、あるいは戦闘パートが終了(もちろんPCが生存している場合)した場合、その日の部隊運営の推移と、人類側と幻獣側の戦力バランスをチェックすることが出来る。なお、セーブは各種チェックの終了後に行える。
    • 今作で戦場となる熊本県内は12の戦区+熊本市中心部の7戦区に区切られており、ある戦区における人類・幻獣双方の戦力は、「前日からの戦力回復の度合い・隣接する戦区の友軍の戦力状況・その日の戦闘結果」によって変動する。
    • 人類側の優勢と戦闘の割合は反比例する。つまり劣勢になればなるほど連戦を強いられ、加速度的に戦局が悪化していくことになる(ただし戦闘が発生するか否かは前日終了時にランダムで決定される)。その逆もしかり。
      • 特定の期日までに人類側の戦力が幻獣側を大きく下回っていた場合、熊本の放棄が決定され、5月10日に撤退戦イベントが発生する。
    • 5121小隊は、司令の部署にあるキャラの決定に応じて各線区を転々としていく。この司令の決定にもある程度傾向があり、人類勢力と幻獣勢力が拮抗した地区を優先する者や、人類側が全滅した激戦区に突撃する者もいる。自分が司令ならば決定権は自分にあるが、撃墜数を稼ぎたいならばどの人物を司令に据える(陳情で部署移動させる)かも重要となる。

ゲームの終了条件

  • 5月10日終了時点でPCが生存していた場合、ゲームクリア。エンディングはS、A~Eの計6ランクで判定される。
    • Sランクエンドは唯一5/10以前に発生させられる、所謂「ベストエンディング」であるが、発生には特定の条件が必要である。
    • ランクに応じて、次周回への引き継ぎ要素もあり。

二周目以降

  • 二周目以降では四人のNPCをPCにして、新たな「マーチ」を始めることが出来るようになる。
    • 一周目では発生しなかったイベントも解禁されるほか、序盤のチュートリアルイベントが削除され、完全に自由な物語を進められる。
  • なお、全生徒NPCをPCに指定できる裏技(通称、「22人プレイ」)が存在するが、これは開発元のアルファ・システムが発売元のSCEに無断で仕込んだ、ろくにチェックも行われていないワケありプログラムである。バグも潜んでいるので、実行は自己責任で。
    • 著作権者に無断で仕込まれたという性質上、基本的にこの裏技のやり方は「不特定多数の目に触れるホームページ等での公表は不可」となっている。ただし「22人プレイ」でググれば普通に出てくる*3。また、デバッグしていない割にはゲーム進行に影響が出るほどの重篤なバグは、「あるキャラをPCに選んだ場合にのみ発生するイベントにおける1つ」と、1周目と比べると非常に少ない。ただしそのバグは「ゲーム最終日の5月10日まで毎日延々とイベントが再起し続ける」という本当に致命的なものであるので注意。

難点・賛否両論点

  • 「バグゲー」と言われても仕方がないほどバグが多い
    • 特にチュートリアルも兼ねている1周目のプレイでは、メインメンバーが出揃う前やチュートリアルイベントが終わる前に余計なこと(特殊なイベントの発生条件を満たしてしまう、など)をするとまずゲームが止まったり挙動がおかしくなったりする。
    • バグが多い分、そのバグを利用(?)した裏技も多い。「陳情の次周持ち越し」「無限移動」「土曜日の時間巻き戻し」など。当然使いすぎるとゲームバランスを崩したり、場合によっては進行に不具合が生じる事もあるので注意。
  • CVには業界の大御所声優から、当時有望な成長株で現在では押しも押されぬ人気声優などが大勢参加し、非常に豪華なのだが、1周目のプレイでは聞くことができない。プレイ中「説明書やエンディングのスタッフロールで出てくるこの声優達は一体どこで喋っているのか?」と疑問に思ったプレイヤーも多く存在した。
    • 2周目以降のプレイで解禁されるが、一部イベントや一緒に訓練・仕事をした時などごく限られた状況でしか喋ってくれない。「声優の無駄遣い」と言われることも…。
  • オープニングのCGムービーが蝋人形のような出来。
  • 戦闘以外にイベントだけで死ぬNPCがいる。
    • 個別イベントの選択肢を間違えると翌日に死ぬ(というか消される)、PCも一緒に処断されてゲームオーバー、「食糧難」イベントが発生している時に栄養失調で死ぬ、など。ネタばれ防止のために名前は挙げない。
  • 愛情値が高い状態にある異性NPCが2人いるポイントに入ると「争奪戦」が発生し、対象から嫌われるのはもちろん雰囲気が悪化して部隊の運営に大きな支障をきたすことに。これ自体は雰囲気を盛り上げる要素であるし、技能習得で確率が下げられるので、特に問題(?)はないのだが……。
    • そのイベントがある女性NPCと発生した場合、彼女と接触すると高確率で刺殺されてゲームオーバーにされてしまう。後年「ヤンデレ」という言葉が生まれたときにもプロトタイプとして話題になった。
    • 問題となるのはこの刺殺イベントの発生条件にある。「感情が嫉妬状態にあるこの女性NPCと会話する」と発生する、すなわち彼女が嫉妬状態になるとフラグが立っていることになる。*4しかもPC以外が原因で彼女が嫉妬状態になった場合でも、何も関係ないはずのPCが刺殺されてしまうのだ。
  • 前述の通り、ネットで次々と裏情報が明かされ、マニア層から大きな反響をよんだ。
    • 他方で作品の内容を覆しかねない矛盾した情報も少なからずあり、批判も少なくなかった。この件は以後のシリーズ作で顕著なものとなる。
    • 本作内にも一部不明な伏線が残されている。本作だけならまだ脳内で好きなように補完して楽しめるが、他作品と関わってくるとなると……*5
  • パッケージが非常に地味
    • 多彩な登場人物たちもこの作品の魅力の一つであるが、そのようなキャラをアピールするためのイラストやゲーム中に登場する立ち絵・一枚絵といったものは一切パッケージイラストには存在しない。いわゆる「ジャケ買い」したプレイヤーはほぼ皆無と推定される。ゲーム誌などで殆ど宣伝されていないににも拘らずよくヒットしたものである。

本作の楽しみ方

本作の楽しみ方には、通常の「なりきりプレイ」「縛りプレイ」はもちろん、「他人のリプレイ鑑賞」という、一風変わったものも存在する。
NPCの独自行動によって予期し得ない偶然が発生したり、なおかつその偶然をある程度制御できる学園パート。
自分の腕前がダイレクトに反映される、ストイックな戦闘パート。
この二つが絡みあうことで、同じプレイヤー、同じプレイスタイルでも、同じ展開はまず起こらないドラマ性の高さを持っているのが本作である。
ネット上のプレイ日記を巡ってみれば、それこそ多種多様の「マーチ」を知ることができる。是非、「風を追うもの」となり、本作に挑戦してみてほしい。


その他

  • 前述の「無断で入れたプログラム(裏技モード)」の関係でリメイク及びゲームアーカイブス配信は絶望的と思われていたのだが、何と2010年9月22日、唐突にゲームアーカイブスで配信開始。値段も600円と安価なのでこの機会に是非。
    • アーカイブス版公式ページにはバグの説明が延々と並ぶという珍しい光景を見ることができる。また、「22人モード」も変わらずプレイできる。
      • ただし22人プレイは自分のクリアデータで行う事が出来ない。またPS版と比べて若干フリーズの確率が高め。戦闘デモは切っておいた方がいい。
    • ちなみにPS版の新品は今でもAmazonにて普通に(定価で)購入できる。 分厚い説明書はPSPではとにかく読みにくいので、こちらも検討してもいいだろう。
  • 唯一発売前に特集した電撃プレイステーションのメディアワークスが出版した「電撃ガンパレード・マーチ」が唯一の攻略本なのだが、この攻略本は一般の書店では取り扱っておらず、出版社サイトでの通販が唯一の入手方法である。さらにお値段も税込3,300円とかなりの高額。内容はゲームの攻略法の他、ゲームの設定に関する情報が非常に充実(むしろこっちがメインとでも言うべき内容である)しており、ファンならば必携の内容といって問題ない。
    • ただし裏設定に関しては「レベル3(このゲームのみで分かる設定)」までとなっており、それ以上の「レベル4(他のゲームなどとも併せて分かる設定)、レベル5(後付け設定)」は記載されていない。そのため、ダミーの情報までしか載っていないものもある。あの猫がただの猫であるはずもなし。
    • 2010年現在は絶版となっており、現物はネットオークションなどで中古本を購入する以外入手方法は存在しない。
      ただしps storeではデータ書籍版として「電撃 ガンパレード・マーチ 復刻版」が950円で販売されている。購入すると、特殊なセーブデータも共にダウンロード可能となる。
  • 現在でも榊涼介氏によるノベライズがなされている。その巻数は何と35巻以上に及ぶ(ゲームのラノベは長くても3、4巻程度で終わるのが定説)。
    • 1作目は別の作者が書いているが、強行スケジュールとメーカー側からの資料提出拒否のために単なるリプレイ小説となってしまい、不評だったため交代、という形である。当該作者にとっては不幸な話だが。
    • ↑に対して、2作目以降を担当した榊氏は、ゲームのキャラクターの性格を作中でよく再現しており、上述の裏設定も匂わせる程度の描写に抑えているため、ファンからの評価も良い。そのため大長編となり現在も年に数巻の新刊が発売される。
      • 2013年4月時点では、35巻が刊行(上記の別作者版、芝村氏との共著、世界観を共有する『ガンパレード・オーケストラ』シリーズを除く)。これは『同名義によるシリーズもの』としてはスレイヤーズ、矢島氏版テイルズシリーズら化け物クラスに次ぐ巻数である。
    • 原作で描かれる範囲である5月10日時点は10巻程で終わり、それ以降は独自の展開のために小説版独自のキャラが多数登場する。相互関係などが解らなくなったらここを参照。
  • コミック版(全3巻)は電撃から発売。
    • 作画の力不足と、ややちぐはぐな展開から評価は低め。
  • 『ガンパレード・マーチ ~新たなる行軍歌~』は本作のアニメ版である。
    • こちらは世界観の奥やキャラの裏設定と言ったものをあえて無視した作風になっており、原作ファンの間では賛否両論。話自体はよく出来ており、こちらから入ったファンからはアニメ・ゲーム共に好評を得ている。そもそも「原作通り」にアニメ化するのは放送期間の尺の都合や放送コードに確実に触れる設定から考えてほぼ不可能と考えているファンが多数である。
  • 後にシステムが深く共通している『絢爛舞踏祭』、続編として『ガンパレード・オーケストラ』三部作がリリースされたものの、前述の裏情報ネットコミュニティの方面に傾倒しすぎた結果、『マーチ』未プレイ者はおろか、裏情報を知らない経験者も完全においてけぼりな世界観が形成されてしまい、双方共にクソゲーオブザイヤーにノミネートされる事となってしまった(それだけが問題というわけではないが)。
    • 本作の開発の中心人物である芝村裕吏氏は、『無名世界観』という多元宇宙的な世界観を下敷きとして、表面的には全く接点がなさそうな『GPM』『式神の城(アルファ・システム製STG)』『幻世虚構 精霊機動弾(PS1のガンシュー)』といった、自身が手掛けた作品を裏で関連させる手法を使うことで知られる*6。TRPG『Aの魔法陣』を初めとしたこの取り組みはディープな設定マニア達から深い支持を集めたが、後年の『GPO』の失態や芝村氏の不手際も相まって、現在は自然収束してしまっている。
      • 上記の小説版がオリジナル展開から大長編となっていることを考えると、氏の発言はある意味では正しい。もっとも本来意図した意味ではないだろうが。
  • ファミ通2000年10月6日号のクロスレビューでは31点を獲得。シルバー殿堂入りを果たしている。