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ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 - (2013/05/11 (土) 09:16:01) の編集履歴(バックアップ)


ゼルダの伝説 ムジュラの仮面

【ぜるだのでんせつ むじゅらのかめん】

ジャンル アクションアドベンチャー

対応機種 ニンテンドウ64
発売元 任天堂
開発元 任天堂、エスアールディー
発売日 2000年4月27日
定価 単品:5,800円
メモリー拡張パック同梱:7,800円
配信 バーチャルコンソ-ル
2009年4月7日/1,200Wiiポイント
周辺機器 要メモリー拡張パック
分類 良作
ゼルダの伝説シリーズ関連リンク

概要

第2の3Dゼルダ。前作『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の直接の続編(ゼルダシリーズで続編と明言されている作品は少ない)だが、ストーリー的な繋がりはかなり薄い。
所謂、パラレルワールド・外伝的な扱いであり、前作を知らなくても特に問題はない。

舞台は「タルミナ」と言われるハイラルとは別次元の世界。前作のラストで別れる事になったナビィを捜して旅を続けていたリンクは、ひょんなことからタルミナに迷い込んでしまう。そこは3日後には月が落ちてきて滅びてしまう世界で、リンクは「最初の日」への時間逆行を繰り返しながら、世界に広がる謎を解き明かしていく。 俗に "3日間システム" とも呼ばれるこのシステムは、謎解きを(ゲーム内での)3日以内に解いてセーブ=初日に戻ることを意味し、この3日間を利用した謎解きやイベントが多い。

ニンテンドウ64版は遊ぶためにメモリー拡張パックが必要。同機器の同梱版と非同梱版の両方が生産された。現在最も手近に遊べるVC版は特別に必要なものは何もないので未体験の方はこちらで。 なお、このメモリー拡張パック、ゲーム中のとあるムービーのためだけに必要だという情報がある。

ゲーム内容

本作の軸になっているのは前述の「3日間システム」と、装着することで謎を解く「仮面」のシステム。多くのゲームエンジン・システムを前作から流用しているが、以前からあったポリゴン・アクションなどには多少の強化がみられる(特に本作は大人リンクにならないので、子供リンクで出来るアクションが一気に増えている)。新しく操作できる+3(4)種類の新リンクがあるので、総合的に見ればはかなり「出来ること」は増えている。

多くの登場人物の外見・ポリゴンも前作で登場した人物と同じである(コッコねえさん→アンジュなど。行動や性格・立場は全く違うことが多い。もちろん完全新規のキャラもいる)。この部分は額面的には手抜きに見えるが、このゲームをプレイし終わったらそんな感想を抱くプレイヤーは一人もいないだろうと思われる。

本作には前作に比べるとダンジョンが少ない。逆に町や人々の作り込みが比べものにならないほど細かく、サブイベントが本筋に絡むことも非常に多い。また、雰囲気も前作のような統一感ある西洋風とは違い、オリエント風でごった煮的なものになっている。つまり本作はサブイベントの豊富さ、ゼルダとしては異色の雰囲気、仮面や三日間制限などのシステムなどから、まさに外伝としての色を濃くした3Dゼルダなのである。

細かな特徴

  • お面・仮面を付けることによって変化するゲーム性。
    • 仮面でデクナッツ・ゾーラ・ゴロン(+?)に変身できる。それぞれ特徴が違い、攻略に直結する。
    • 面白いのは「水のダンジョンはゾーラ」などといったダンジョンの攻略だけでなく、サブイベントなどにもこれらが影響することである。
      • たとえばゾーラやゴロンは大人なので他人に舐められないで話ができる。デクナッツや普通のリンクは子供なので同じ子供に人気がある…など。
      • ある条件を満たすことにより手に入る最後の変身仮面はその圧倒的な戦闘能力もさることながら、今までにないダークな雰囲気を漂わせるリンクの姿に多くのプレイヤーを驚かせた。この姿のリンクは非常に人気が高く後のシリーズで再登場させてほしいという声は多い。
    • 上記の変身する物以外にも様々な種類がある。移動が速くなるウサギ頭巾、爆弾の代わりになるバクレツお面など。数が数なのでイベント1個消化したらお終い、という使い捨ても少なくないが、攻略の補助になるなど単なる収集要素なわけではない。
  • 高い難易度
    • ゼルダシリーズの中でも特に難易度が高いのが本作。
      • 本作のダンジョンはややマリオ的。動く床など、タイミング調整や操作テクニックを求められる仕掛けが多い。
      • 最初のダンジョンからして前作の応用テクを求められる。
    • ダンジョンの数は少ないが、そもそも攻略しなければならないマップの広さ的には前作とあまり変わらない。
      • また、1つ1つのダンジョンの完成度が高く、特に後半の2つのダンジョンは初見ではとても難しい。
    • いずれのダンジョンもダンジョン全体をダイナミックに動かす仕掛けがあるのが特徴。特に4つ目のダンジョンはプレイヤーの想像の斜め上を行く変化を見せる。
    • 多様すぎるサブイベントは簡単なものから難しいものまであるが、難しいものは根気がいる謎解きが待っている。
    • ダンジョンの数の少なさは、即ちストーリー本筋で入手できるハートの器の少なさも意味する。積極的にサブイベントをこなさなければライフ不足で苦労することになる。
      • 総じて、サブイベや収集要素を含めた完全クリアまでに要する難易度・労力を考えるとゼルダ史上でもかなり高いレベル。攻略本や攻略サイトが無ければ1人で完クリするのは厳しい、とまで言われた。
  • 異質な雰囲気
    • 今度のゼルダは、怖さがあるというのは本作で使われたコピーだが、ほんとに怖い。
      • その「怖さ」というのは単なるパニックホラー的恐怖ではなく、不気味さからくる生々しい怖さである。恐怖童話を読み進めるかのような、他のゲームでは味わえない感覚が楽しめる。
      • ちなみに、CMの方も怖い。
    • ゼルダと言えば正統派ファンタジー、というイメージが強いが本作の雰囲気はむしろダークファンタジーのそれである。
      • そもそも主人公が「呪われた仮面の力を借りて冒険を進める」という時点でかなり王道を外している。
+ CM動画

  • もの凄い作り込み
    • サブイベント関連での作り込みが凄い。クリエイターがこのゲームを愛しているのが伝わってくるレベル。
    • 全てのアイテムを集めて完全クリアしたプレイヤーも、ムジュラの世界全てを見たとは限らない
      • 例えば、本作のサブイベントの1つのキーとなっているカップルは実は「あの人」を交えた三角関係だった、とか、天文台から平原に意味深な模様が見える、などと知っているプレイヤーがどれだけいるかはかなり怪しい。ゲームを進めるためのヒントを教えてくれるキャラは居るが、それに従うだけの一本道なプレイでは分からない事実がある。
  • 世界観も異質。
    • 全体的に王道ファンタジーの感覚を崩さなかかった前作に比べると、本作はオリエンタルかつごった煮といった雰囲気で統一性はまるでない。
      • 特に3つ目のダンジョン、「グレートベイの神殿」は近年のゼルダでもほぼ見られない機械的なダンジョン。ダンジョン自体の難易度の高さも相まって印象は非常に強い。
    • 今回はサブイベントが充実ということもあって登場人物は非常に個性的。意味不明な変なキャラも多い。
      • 中でも一際異彩を放っているのが自称・妖精の生まれ変わりで緑色の全身タイツという出で立ちのヘンタイおじさん「チンクル」だろう。そのファンシーな格好や特徴的過ぎる言動は多くのプレイヤーにインパクトを与え、後のシリーズでもちょくちょく登場し、遂にはスピンオフ作品で主役を務めるほどの人気者となった。
    • 世界観を彩るBGMも良質。
      • 前作からの流用も好評であるし、本作初登場の曲にも良曲が多数含まれる。「ロックビルの神殿」などは表、裏どちらも完成度が高い。

セーブと時間制限について

このゲームでセーブを行うには「時の歌」を使用し時間を最初の日に戻す必要がある。イベントやダンジョン等の仕掛けもリセットされ、それを問題点と指摘されがちであるが、重要アイテムやダンジョンへの道を切り開くための歌は無くならないので、セーブする時はそれらを取得してから行えば、それまでのイベントや仕掛けをショートカット出来る。イベントを起こさずにそのままダンジョンを攻略しても、そのイベントの事件は解決した事になるのでご安心を。

時間制限のあるシステムだが、「時の逆さ歌」「時の重ね歌」と呼ばれる「時の歌」をアレンジした歌を演奏すれば、時間の流れを遅くしたり、次の6時まで一気に時間を進める事が出来る。これを利用すれば、ダンジョン攻略やイベント進行がラクになるはず。

このゲームでは、時間を戻してセーブした回数も記録される(ただしGCゼルダコレクション版にはない)。じっくりと腰を据えて遊ぶ余裕があれば、いかに時間を戻す回数を少なくしてクリア出来るかにも挑戦してみてはいかがだろうか。

因みに日本国外版とGCのゼルダコレクション版では、中断セーブが可能になっている。

難点

  • ダンジョンの難易度に対してボスが弱い。
    • 前作に比べボス敵が弱い傾向にある。基本的にどのボスも「正攻法」とされる攻略法より楽な倒し方があるためか*1
      • ラスボスはさすがに手強いが、お面をコンプリートしていると、直前に公式チートアイテムが入手可能。前述の通りコンプリートは楽ではないが、手に入れるとラスボスすらほぼ作業と化すとんでもないアイテムである。
    • ちなみに3日間システムにより、歴代のゼルダでも珍しく、ボスとの再戦が可能。一度ボスを倒したダンジョンでは入口にボスへのワープゾーンが作られるので、途中の仕掛けを無視して再戦できる。

総評

異質な雰囲気や高い難易度が原因で敬遠されるためか、前作に比べるとそこまで認知度は高くないが、完成度は全く劣っていない。
ゼルダファンの中には前作やその正統続編である『トワイライトプリンセス』『風のタクト』よりも高く評価をする者もいる。
万人向けではないが、当時任天堂が傾倒していた「ゲームらしいゲーム」を体現しきった作品といえる。
3日間システムという、これ以後に現れるリアルタイムゲームを先駆したかのような革新性もある。

余談

  • テレビ東京のTVチャンピオンの似顔絵王選手権で、任天堂の今村孝矢が参戦。紹介時には、この作品のモンスターデザイン担当をあげていた。今村の結果は決勝までは残れた。