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STEINS;GATE - (2012/09/12 (水) 12:18:14) の編集履歴(バックアップ)


Steins;Gate

【しゅたいんず・げーと】

ジャンル 想定科学ADV
対応機種 Xbox360
発売元 5pb.
開発元 5pb.
ニトロプラス
発売日 2009年10月15日
定価 通常版:7,140円
限定版:9,240円
廉価版 プラチナコレクション
2011年6月15日/2,960円
科学アドベンチャーシリーズリンク

神をも冒涜する12番目の理論
それは、 俺たちが手にした偶然の産物



概要

  • 5pb.とニトロプラスのコラボレーション企画「科学シリーズ」の第2弾。
  • 数多の偶然によって出来上がってしまった「タイムマシン」を巡る、人類の未来を委ねられてしまった中二病青年の物語が秋葉原を舞台に繰り広げられる。
    • 前作『CHAOS;HEAD』と同じ世界観だが、前作のネタはシナリオの本筋にほとんど関係ない。
  • 基本的にはオーソドックスなアドベンチャーゲームだが、選択肢ではなく携帯電話の操作によってストーリーの展開が変わる。
  • 驚異的な口コミの広がり。
    • 最終的にADVゲームでは大ヒットとも言える出荷数5万本を突破した。
  • Ever17 -the out of Infinity-』同様、未プレイの者に対してネタバレ回避が広く推奨される作品である。以下の文にも多数のネタバレが含まれているため、目を通す際は充分に注意されたい。
    • コミカライズ等のメディアミックスを見る事はおろか、ネットで情報を検索する事すらあまり推奨されていない。特筆すべきは、公式サイトがネタバレ満載で未プレイ者の閲覧が推奨されていない珍しい作品でもある。
  • 2010年8月28日にWin版が、2011年6月23日にPSP版2012年5月24日にPS3版が発売された。この手の作品には珍しく追加要素は控えめである。

特徴

  • 99%の科学と1%のファンタジー。
    • 本作のテーマである「タイムトラベル理論」に説得力をつける為、出来る限りリアリティを出している。
      • 現実にあるタイムトラベル理論はもちろん、その周辺の用語に至るまで現実のものを用いている。また、かつて話題になった「ジョン・タイター」事件や実在する欧米の研究機関(流石に名前は少し変えてあるが)が話の中核になっている。
      • 特に店舗名まで含めてすさまじく現実に忠実な秋葉原の町並みは圧巻。
      • 充実したTIPS。作中用語からネットスラングまで幅広く取り揃えております。
  • 絶賛される声優陣・BGM
    • 特に主人公を演じた宮野真守のギャグ・シリアスあらゆるシーンにおける熱の入れ様は、スタッフから「宮野さんあっての『シュタインズ・ゲート』」とのお墨付きを貰うほど。
    • 主題歌は本作の企画・原案者である5pb.代表取締役・志倉千代丸」によって作詞作曲されているため、ネタバレ満載となっている。ちなみにやり込めばOPの演出も実はネタバレがかなり入ってることがわかる。初見ではまず気付かない(わからない)ので安心して欲しい。
    • 一方、BGMは「Infinity」シリーズでおなじみの元KID社員・阿保剛によるもの。特にタイトルBGMである「GATE OF STEINER」が高く評価されている。ちなみに、サウンドテストモードが有るにも拘らず本作のサントラ発売時は各地で即日売り切れになった。
  • 止め時が見つからない構成力
    • 海外ドラマを参考にして作られているため、絶妙な「山場」で章区切りされる。伏線の貼り方・回収も巧妙。
    • 特に本作のメインともいえる6章以降は徹夜プレイ者が続出したとか。
    • 基本的にメインルートは一本道で、ギャルゲーというよりは一昔前のアドベンチャーゲームに意図的に似せてある。
  • 強烈な感情移入度
    • 上記の声優の演技や構成力はもちろん、本作独自のシステム「フォーントリガー」もそれに拍車をかけている。
      • 本作では本編中に選択肢が存在しない。代わりに携帯電話に出る・出ない、メールの返事を選択する・返事しないなどという選択で物語が分岐していく。
      • ただ選択肢を選ばされるのではなくどうしても携帯をいじる必要があるというところがポイントであり、たった1通のメールで過去が改変されそれまでの思い出が「なかった事」になる重大な選択肢では「自分で選んでいる」という感情が湧く。
    • バッドエンドは「自分が選択したせいでこうなった」という後悔の念も残る。特に「地下鉄」「ゲル」「手紙」は、プレイヤーのトラウマになっている。詳細は実際にその目で見て欲しい。

口コミの変遷

  • 発売前後はさほど大きな期待はなく、静かな流れだった。
  • 発売から数週間するとネット上での口コミが広がっていった。
  • 初週1万本で2010年1月には出荷数5万を超えたと言う脅威のジワ売れ。
    • 一見少なく思えるが、360ソフトは初週に総売上の9割以上を売り上げるのが普通である。まして360のADVゲームは「2万売れれば大ヒット」と言われているので、いかに口コミ評価が凄かったかがわかる。
    • 結果として発売1ヶ月で売り切れ続出、中古にも出回りにくいという事態に。

問題点

  • ゲーム前半より、以下に列挙する様々な要因から来るハードルの高さから、人を選ぶ傾向がある(この辺りは利点にも欠点にもなりうる)。
    • 主人公・岡部倫太郎の中二病言動がとにかく痛々しくウザ過ぎる。
      • 自らを「狂気のマッドサイエンティスト・鳳凰院凶真」と名乗り、携帯電話を片手に「―それが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択か。エル・プサイ・コングルゥ」とノリノリで独り言。こんな言動を延々と続けるわけで、ウザさを覚えないわけが無い。
      • しかし、設定面でもテーマ性でも「岡部が中二病である必然性」はしっかり存在する。中盤では中二病状態で無くなり、むしろ終盤では鳳凰院凶真が格好よくすら見えてしまう。
      • 岡部以外のキャラもやたらと濃く、「立ち絵のあるモブキャラ」は皆無。いかにもギャルゲ的な女子(男の娘含む)が多いのに恋愛沙汰はほとんど無し、と色々な意味でギャルゲーっぽくない。
    • 過剰ともいえるネットスラング。
      • 登場キャラの多くがオタクもしくは匿名掲示板ユーザーであり、人によっては平気でネットの流行語をべらべらしゃべる。その手の言葉になれていない人にとっては苦痛。
      • 特に橋田至(通称ダル)という、主人公岡部の親友は日常的にネットスラングを使い「~だお」とやる夫のような口調で喋るのがデフォ。容姿も典型的な「ピザオタ」である。
    • 難解な科学知識。
      • 文系、下手したら理系の専門外の人間にすら非常にわかりにくい。一応、TIPSでフォローされているがそれでも厳しい。
    • ギャルゲっぽいADVなのにギャルゲっぽくないキャラデザ。
      • 本作のキャラデザインを担当したのはMGSシリーズのサブキャラクターデザイン、『ブラック★ロックシューター』などで知られるhuke。独特な目の描き方とテクスチャが特徴。
      • この絵師を選んだのは「もっとユーザーの層を広げたい。いい意味でギャルゲーっぽくしたくない」という意図的なものだったらしい。
  • シナリオ面における問題点
    • 一部回収されていない伏線がある。
      • 「90%回収してネット上の議論のためにいくつか回収しなかった」とコメントされているが…。
    • 設定面で細かい矛盾がちらほらある。例:血縁関係であるはずの人物同士の血液型が合わない*1、とある方法で過去改変出来るかどうか微妙など。
    • テキストに若干量の誤字が有る。伏線の張り方が秀逸な作品故、シナリオの考察を楽しむプレイヤーからは残念がられた。有料ダウンロードコンテンツを適用する事で(演出強化のついでに)大部分が修正される。
    • メインヒロイン2名に対して、サブヒロインの扱いが結構おざなり。
      • サブヒロインのEDはメインルートから分岐する形になるため、仕方ないと言えば仕方ないのだが。
    • トゥルールートに行くのが難しい。
      • メールで分岐するというシステム上、どういう風に進めたらいいのかノーヒントではかなりきつい。
      • その一方で、1周目からいきなりトゥルールートに行けてしまう。そんな事になってしまったら、諦めてそれが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択だったとでも思うしかない。
    • ややご都合主義の傾向がある上、やりつくされてる観のあるタイムトラベル・ループジャンルなので先の展開がある程度予想できてしまう。
      • 予想外の展開も少なく無いが、あまりに斬新などんでん返しを期待すると肩透かしを食らうかもしれない。
      • 全体的な雰囲気から洋画の名作「バタフライ・エフェクト」を思い出す人も多いとか。
    • オートセーブ、任意セーブ共に個別に削除が不可能なため、特に前者は周回プレイを繰り返すとトゥルーエンドへ向かうフラグを立てた状態なのか、そうでないのかが非常に解りにくい。どうしても消したい場合はXbox360本体の管理画面から一括で削除するしかないが、システムデータとセーブデータは分別されていない為、プレイ時間やクリアフラグ等も全て消える。セーブデータ(記憶)も無かった事にしてはいけないという事なのだろうか。

総評

人によっては「神ゲー」になりえる秀作。 本作は、Ever17のADVゲーム史に残るどんでん返しのような強烈な要素があるわけではなく、全体的に既視感を覚える人も少なくない。
むしろ、欠点が霞む位の強烈な利点を持っているような作品と違い、致命的な隙の見当たらない完成度の高さが最大の特徴である。
総じてありきたりな部分を徹底的に突き詰め、完成度を出来る限り上げた作品と言えるだろう。
様々なメディアミックス化が進む中、今後の評価はどう上下するのか。その動向に注目したい。
2010年7月30日にはTCG『Lycee』において5pb.が参戦する状況になり、その際に本作も参戦したことで知名度の上昇に繋がるのか期待されるところでもある。

余談

2011年4月より本作のTVアニメの放送が始まった(BD/DVDも完結)。アニメでも岡部倫太郎のあのウザさは健在である。
そして、アニメ最終回では「劇場版製作決定」のアナウンスが表示されたが、現在のところ、いつ上映開始なのかは不明である。(2012年頃との情報あり)

なお本作はWin版(発売:ニトロプラス)、PSP版(発売:角川書店)と移植されているが、Win版は何故か多数のバグが存在している。修正パッチはちゃんと配布されているのだが、それでも若干残っている状態である。
PSP版は目立ったバグは無いので、携帯機で遊びたい人はオススメである。