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マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~ - (2010/08/20 (金) 22:22:36) の編集履歴(バックアップ)


マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~

【まりーのあとりえ ざーるぶるぐのれんきんじゅつし】

ジャンル 新感覚RPG
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 ガスト
発売日 1997年5月23日
定価 5,800円

あらすじ

マリーことマルローネは、錬金術師を目指してザールブルグの王立魔法学校(アカデミー)に通う少女。しかし、彼女の成績はアカデミー始まって以来最低最悪。
このままだとマリーは卒業できない! 彼女の師であるイングリド先生はその状況を見るに見かね、一つの課題を出した。
それは、「5年間錬金術の店を経営しながら勉強をし、何か一つ高レベルのアイテムを作ること」。その間の成果がよければ卒業を認めるというものだった。
かくしてマリーは城下に錬金術のお店(アトリエ)に移り、卒業目指して奮闘することになったのである。

世界を救うのはもうやめた!

  • 当時は無名どころか、芳しくない出来のADV「火竜嬢」を世に出したことで駄メーカー扱いされていたガストが突如として発表した意欲作。
  • 剣と魔法の世界を舞台にしたRPGにも関わらず、主人公はドラゴンを退治したり、魔王にさらわれたお姫様を救い出す必要はない。この世界の住民の一人となって錬金術を使って生活していくという内容。
    • そのためRPGというよりは錬金術士シミュレーション、といったほうがしっくりくる内容だが、エンカウントによる戦闘やレベルアップによる成長、アイテムや装備などRPGに必要な要素は全て揃っている。
  • そんなゲームが果たして面白いのか? と疑問を抱くだろうが、これがよくできている。

錬金術の生活スタイル

  • ボリュームの割には自由度の高い内容なのでプレイヤー次第であるが、基本的には錬金術の工房(アトリエ)でアイテムを作ることを主軸にゲームが進行する。
  • プレイヤーはマリーを操作して、アイテムを作るために必要な知識、素材、設備などを集めてアイテムを作る。
  • 最初は錬金術士としての実力が低く設備も少ないので作れるものは少ないし、レベルも低いので遠出もしずらく素材も集まらない。
    • しかし簡単な調合を繰り返して経験を積み、作ったアイテムを売ることでお金を稼ぎ冒険者を雇うことで遠くて危険な場所の素材集めも容易になる。
      • 基本的にマリーは普通の女の子であるため最初の頃はRPGの主人公にしては弱っちい。序盤は遠出の際に冒険者を雇うのは必須である。
  • 書物を買ったり図書室で読んだりすることでアイテムのレシピを集められ、作れるものが増える。
    • 書物やアイテムを作るために必要な設備は高額で、図書室は錬金術士として一定以上の実力がなければ入らせてもらえない。そのため最初から強力なアイテムを作って楽することはできない。
  • このように通常のRPGのように敵と戦って経験値を手に入れ、レベルを上げて強くなりお金を稼ぐのとは違い、調合を繰り返して錬金術士としての実力を上げ、作ったものを売ることでお金を稼ぐことでマリーは強くなっていく。
    • 戦闘力に関しては普通のRPGのように戦ってレベルを上げることで強くなるのだが、ゲーム内期間が5年に決まっている上にマップを移動するために日付を消費するため経験値稼ぎが有限である。そのため上記のような強化をするのがセオリーである。
      • 5年の間を錬金術そっちのけで戦士としての修行に費やし、敵を倒しまくってレベルを上げマリー無双をすることだってできる。そのようなゲームコンセプトから外れた成長法を取ってもバッドエンドにならないエンディングまである。

5年間を彩る様々な要素

  • ただ単に禁欲的に錬金術士の腕を磨くだけでは現在のような一大シリーズの原点にはなりえなかっただろう。(もちろんプレイヤー次第でそういうプレイもできる。)このゲームはサブキャラクターやそれに伴うイベントが豊富なのだ。
  • 親友のシアをはじめ、ライバル的存在の優等生クライス、冒険者宿で出会う冒険者たち、武器屋の主人やアカデミー関係者など多くの人間と関わることになる。
  • 彼らはそれぞれの生活・仕事をしているだけでなく各個にサブイベントが存在する。また仲がよくなれば個人的にアイテム製作の依頼を持ちかけてくることもある。
    • 特にシアの病気イベントはサブイベントではあるが錬金術を極めるためには不可欠なイベントである。
  • キャラクター関連だけでなく、のみの市が開かれればレアなアイテムが購入できたり、騎士団が討伐の遠征に出かければモンスターのエンカウント率が低くなり遠出が楽になったりとゲーム進行の役に立つものが多い。
  • また、ストーリーを進行していくと妖精さんを雇うことができる。妖精さんは雇うことでマリーの代わりに調合したり素材を集めてきてくれる。雇うには高額なお金がかかるがプレイを大幅に楽にしてくれる。
  • また素材を収集できる場所によってはボスがいることもある。非常に強いが彼らを倒すことで強力な素材を手に入れたり、エンディングのフラグを立てることができる。
    • マルチエンディングであり、プレイスタイルに合わせて変わるエンディングは魅力的。一度クリアしても別の楽しみ方ができる。
  • 上記の要素は起こすも無視するもプレイヤーの自由。これらのおかげで5年という年月のあちこちにアクセントがついている。

その他の評価されている点

  • 桜瀬琥姫によるキャラクターデザインはファンタジー色が強く、美麗で人気がある。
    • 前述の妖精さんやドラクエでいうスライムにあたる雑魚敵「ぷにぷに」はその可愛らしいデザインからシリーズのマスコット的存在になり、後のシリーズではパーティーキャラクターに昇進するまでに至った。
  • 音楽も良質。のんびりとした安らげる曲が多い一方でボス曲はとてもかっこよかったりする。
  • ロードが皆無、また睡眠することで一気に期間を飛ばすこともできテンポは快適。

問題点

  • 後続作品に比べてサブイベントやボリュームが少ない。システムもまだ発展途上で薄味な感がある。
    • ゆえにサブイベント自体はそれなりにあってもフラグをきちんと立ててないと途中でなくなってきて飽きがくる。
  • 戦闘のバランスが悪い。本作の戦闘では素早さが最重要視されており、素早さのちょっとの差でも高い方が先に攻撃できるようになっているので、かなり低い序盤は文字通りリンチを喰らい、逆に高くなった後半になると、相手に攻撃の機会さえ与えないこともある。
    • また、戦闘で貰える経験値はパーティ全員に振り分けられる訳ではなく、敵に攻撃したキャラだけに与えられるので、前述の通り素早さが低いキャラや打たれ弱く前線に出し辛いキャラは、かなり育ちにくい。
    • 他のパーティメンバーが戦闘でしかレベルが上げられないのに対し、マリーは錬金術でもレベルが上がり、またイベントで強力な武器が手に入るため、前述の通りまさにマリー無双ができるほどのキャラになる。そのため、彼女が戦闘バランスを崩しているとも。
  • 序盤から行ける材料採取地の一つ「ヴィラント山」は強敵が数多く潜み、いわゆる初見殺しである。しかもここにしかないアイテムがいくつかある。
    • ただしカノーネ岩などの初級材料は他の採取地でも入手可能なので、必ずしも序盤から行く必要は無く、逆にあえて危険を冒すことで序盤から高額なグラセン鉱石を稼げるというメリットもある。
  • もっとも、これらの問題点は処女作ならではであり、システムは後続作品でだんだんと完成度を上げていく。
  • ゲームとは関係が少ないが、絵師の桜瀬琥姫とガストとのトラブルで醜聞を残した。

総評

  • それまでのRPGとは一線を画したゲーム性で話題となり、一定のファンを獲得することに成功した。
  • この作品はガストという中小企業の認知度を上げ、後に十作以上も続くアトリエシリーズの礎となった。
  • この作品自体の移植やリメイクも何度かなされている。

その後の展開

  • 翌年に本作の続編「エリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士2~」が発売され、正式にシリーズ化された。本作と「エリー」、3作目の「リリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金士3~」など、ザールブルグを舞台とした作品群は「ザールブルグシリーズ」と呼ばれている。また、ここから、以降のまとまった作品群を「(舞台の名前)シリーズ」としていくようになった。

余談

ある雑誌では、親友キャラのシア(初期レベル0)を最大のレベル50にまで育てる、という冗談みたいな企画が存在した。
だがその企画にけっこうな参加者があったためか、本作のセガサターン移植版及びプレステ逆移植では、マリーとシアのレベルを50にした時専用のエンディングが追加されることになった。