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ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
【どらごんくえすとふぉー みちびかれしものたち】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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プレイステーション ニンテンドーDS
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発売元
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【PS】エニックス 【DS】スクウェア・エニックス
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開発元
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【PS】ハートビート、アルテピアッツァ 【DS】アルテピアッツァ
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発売日
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【PS】2001年11月22日 【DS】2007年11月22日
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価格
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【PS】7,140円 【DS】5,490円
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廉価版
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アルティメットヒッツ 【PS】2006年7月20日/2,625円 【DS】2010年3月4日/2,940円
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ドラゴンクエストシリーズリンク
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※プレイステーション版を移植したニンテンドーDS版もほぼ同様の内容のため、2機種併せてこの項目で解説。
概要
DQIVのリメイク作品。リメイクにあたりさまざまな点が変更・追加された。
PS版は当時の最新作『VII』のゲームエンジンを流用して作られたが、フリーズなどの不具合はほとんど発生しない。
また、ムービーは一切使われていない。
後のDS版はPS版をベースにして移植されている。
変更・改善点
シナリオ・キャラクター
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ストーリーに変更が加えられている。
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PS版のみ、各章の冒頭に主人公達のエピソードを追加されている。
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旅立ちの前の主人公の話である序章と、本来のラスボス撃破後に真の敵と戦う第六章が追加された。および、それに伴う裏ダンジョンが追加された。
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『VII』で初登場した仲間との会話機能が追加され、キャラ造形が掘り下げられた。
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しかし初登場だった『VII』のキャラと違い、『IV』のキャラは(4コマ漫画などの影響もあってか)FC時代からのイメージとは違うとして批判するファンも多かった。
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パーティキャラの多さを生かし、キャラ同士を絡ませた会話などが用意されている。
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VIIに登場した移民の町が登場。
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FC版で伏線として何の意味もなさなかったキャラや、一時的に仲間になったキャラ、イベントで登場したキャラなどのその後がフォローされている。システムはVIIとほぼ同様だが、キャラクターの交換はできない。
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『トルネコの大冒険』シリーズから逆輸入される形で、トルネコの息子に名前(ポポロ)が付いた。
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ピサロに公式デザインが設定された。
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銀髪・長髪・黒服・美形などのデザインの原型となったのは91年発売の小説ドラゴンクエストIV(著・久美沙織)のピサロである。
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FC版ではずっと仲間になるドランが第六章を進めると別れてしまう。
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FC版ではバグ未使用でもドランと二択でずっと仲間に出来たルーシアが、天空城に初到着した際に確実に別れてしまう。
戦闘
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AIシステムに「命令させろ」が導入。第五章においての各キャラへの命令が可能になった。
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このため戦闘難易度が低下。AIシステムは強化された。
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FC版ではやたら高かったエンカウント率も大幅に低下した為、フィールド移動やダンジョン等の難易度は下がった。3D化の副作用でマップが極端に狭くなった影響もあり、次の町までモンスターと殆ど遭遇することなく通過できてしまう。
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しかし、裏を返せばその分低いレベルでボスに到達してしまうとも言える。ボスのステータスが上方修正されていることもあり、キングレオ戦やラスボス戦を筆頭に一部ボス戦の難易度が(「命令させろ」追加にも関らず)FC版に比べて格段に上がっている。
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FC版では5章ラスボスに到達する頃にはレベルが40近くになり、勇者がギガデインとベホマズンを習得済。しかしPS版での到達レベルは30強といったところで、ミネアがフバーハを覚えているかどうかも微妙な状態。その為、そのまま戦うと戦闘難易度が俄然違ってくる。
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勝てないならレベル上げが必要。レベルを上げればきちんと勝てる。
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FC版で出来た味方同士に攻撃するパーティアタックが削除された。
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モンスターが追加された。
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FC版でデータ上に存在するものの没にされて出現しなかった一部の海のモンスターが出現するようになった。
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それ以外のモンスターは主にVIIから輸入されたものが多く追加された。
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隠しボスに「エッグラ」「チキーラ」などが追加された。
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戦闘中の呪文等の効果が一定のターンで切れるようになった。
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FC版ではトルネコと並ぶ馬車要員(ベンチウォーマー)とされたミネアが全般的に強化された。
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FC版では致命的なまでに上がらなかったHPも普通に上がるようなった。
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キアリーを覚えるようになったため、毒の息を吐くグリーンドラゴンの出現するダンジョンでもパーティメンバーがクリフト一択ではなくなった。
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PS版になって敵のブレス攻撃が激しくなったことにより、ミネアの専売特許であるフバーハがより一層重要になった。
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ミネアのみ使える「銀のタロット」の効果が変更、戦闘中の効果がより有効なものに変わった他、占いもしてもらえる。五章でタロットを使うことが可能になったこと自体、画期的なテコ入れだったりもする。
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逆にFC版でのスタメン常連であり最強キャラとも言われたアリーナは弱体化した感がある。
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HPの成長率は明らかに下がっている。FC版では同レベルの勇者より上だがPS版では勇者より下、ハッキリ言ってかなり打たれ弱い。
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到達レベルが全般的に下がったことにより素のステータス成長率の高いアリーナがその分かなり割を喰らったことも原因。レベルに比例する会心率の低下にもそのまま繋がり、キラーピアス無双もやり辛くなっている(DS版では会心率の計算式自体も下方修正)。
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他、ブライも「命令させろ」の登場によって、補助呪文を有効活用できるようになり、マーニャと役割の差別化ができるようになった。
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マーニャとの使い分けが可能になったが、相変わらずマーニャの方が遥かに人気。装備の貧弱さやステータスの差はそのままなので、戦闘力格差を完全に是正するには至っていない。
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ちなみにそのマーニャの方は、レベル45に達するとタガが外れたかのように各ステータスが爆発的に伸び始めるという謎の強化を施された。
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FC版でもその傾向はあったのだが、リメイクで大きく強化されている。
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そのせいか高レベルでのステータスは、HPはアリーナを大きく上回り、ライアンやトルネコに次ぐ高さになる。力もライアンやトルネコの次点になり、前衛でも戦えるスーパーキャラに(これについては賛否両論)。
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勇者の呪文からモシャスが削除され、ホイミと特技の「ギガソード」が追加された。
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ブライにはレミラーマが追加された。またトルネコは「しのびあし」「タカのめ」「たからのにおい」「くちぶえ」といった特技を使用可能になった。
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仲間になるNPCキャラの能力が一部変更されている。
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『V』以降と同様、メタル系の敵に聖水を使っても1ダメージしか与えられなくなった。
グラフィック・音楽
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マップの3D化。
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町・城・ダンジョン・塔などは平行投影で表されており、L・Rボタンで360°回転させられる。これにより、死角に階段を隠すなどのこともされた。
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一方サブキャラグラフィックは2Dのままなので、特定の角度でグラフィックを切り替えるやり方で対応している。
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なおDS版のフィールド画面は3Dでは無く2Dとなっている。
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マネマネがモシャスで変身した場合、メンバーのリアルな姿が見れる。
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音楽のアレンジ
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重厚感があり、非常に聴き応えの良いアレンジとなっている。
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ボス戦での専用曲、ピサロのテーマ曲など新規BGMも追加された。
その他
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VIIで初登場したモンスター図鑑が追加。
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獲得経験値やゴールド、落とすアイテム、モンスター達のモーションが見られる。
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VIIでは1ページずつしかめくれなく抜けがわかりにくい仕様だったが、目次が登場し抜けがわかりやすくなった。
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すべてのモンスターをコンプリートすれば、30万枚ものコインがもらえる。
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「小さなメダル」の景品システムが、VIIに準じたものに変更された。
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戦歴の追加。戦闘数、勝利数、逃走数、一撃最大ダメージ、称号などが表示される。
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ちなみにPS版はチートを使って短期クリアすると「うらわざ改造王」という不名誉な称号がもらえる…のだが、かなりタイムアタックをやりこむとチートを使わなくてもこの称号が出てしまうとか。
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DS版では「ツンデレプリンセス」など、当時の流行語を用いた称号が一部存在する。
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他にDS版ではGB版ロト三部作で追加された「中断の書」も追加させているが、GBC版IIIとは違い改善点として中断の書と冒険の書を別々のデータで作る事ができる。
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DS版では下の画面にプレイヤーが表示され、町やダンジョンでは上の画面にもフィールドが表示される。カメラの回転を利用すれば、PS版よりも広い視野を確保出来る。ワールドマップでは上の画面に地図が表示される。
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タッチパネルの使用を意識したアイコン表示のウィンドウレイアウトが採用されているが、タッチ操作には未対応。
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DS版移植において追加・変更された要素は後に発売されたDS版V・DS版VIでも採用されている。
問題点
基本的に元作品の問題を改善しているため不満点はほぼ無い。しかし妙に引っかかるところはある。
仲間キャラ・戦闘関連
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第六章において、ラスボスであったはずのピサロが仲間になる。本編のラスボスが仲間になる一連の流れがストーリーを根底から覆してしまうものであるため、現在でも議論の対象となっている。
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能力も非常に高く、呪文特技にも攻撃から補助回復まで無駄に恵まれているため、他の仲間の個性を殺してしまう。クリフト、ミネア、ブライの立場が危うくなった他、ライアンやトルネコは本当に立つ瀬が無くなった。
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ちなみに6章のラスボスとは、ピサロを連れていないと戦えない。馬車を連れて行くこともできないため、好きなメンバーで最終決戦に臨むことが不可能になっている。
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なおピサロが同行が必須になるのは、実質的に六章の最終決戦だけである。余分なザコと遭遇しなければ、ラスボスと一回戦うだけで彼の出番が終了することも珍しくない。やりこみのためストーリーから離れ、裏ダンジョンを連れまわしでもしない限り。
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その裏ダンジョンを周回クリアすることで得られる報酬が、ピサロを更に強化するための装備品なので、やり込みプレイヤーにとっては延々とピサロが無双していた印象ばかり強くなる。レベルを上げれば上げるほど、ただでさえ強いピサロが輪をかけて強くなっていくことも一因。
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新たに特技が追加されているものの、そもそも特技というジャンル自体が元のFC版には存在しなかった。特技を使えるのは勇者とトルネコ、VIIからの使い回しモンスターとピサロだけであり、世界観を壊す原因になっている。
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トルネコの特技「口笛」や「宝の匂い」などは問題ないが、ピサロの特技は他のキャラの戦力価値にまで影響してしまう。
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そもそもピサロは特技を覚えなくとも十分強く、おまけに敵として対峙していた際には使ってこなかった技ばかりで、蛇足感が否めない。武器のスペシャリストであろうライアンはまったく特技を使えないので、不公平感もある。
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クリフトは「どんな相手・どんな状況でも一定確率でザキ系呪文を唱える」「アリーナを優先して回復する」というAIが組み込まれた。
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FC版では学習するとザキ系無効の敵には使わなくなるが、リメイクでは何度ザキ無効の敵と戦っても使ってしまう。
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この「無駄ザキ、無駄ザラキ」になるような仕様は、スタッフが意図的に取り入れた、とのこと。
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もちろんボスにもザキを使うし、仲間が瀕死でもザキを優先することもある。挙句の果てには相手にマホカンタがかかっていてもザキを使って自滅するので、FC版よりも悪化している。
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「命令させろ」で回避可能だが、絶妙なタイミングでの回復呪文がAIの魅力であるだけに惜しい。
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PS版ではトルネコの特殊行動「敵の宝箱を奪う」が滅多に発動しなくなった。
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FC版では5章になると出現しなくなるモンスターが複数存在したが、PS版ではあるダンジョンで再び戦えるようになっている。しかし、4章に登場する2種類のザコだけは出現せず、PS版でも5章では完全に戦えなくなる。
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図鑑コンプリートの為の救済策にしては、なぜこの2体だけが抜けているのかがわからない。
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DS版のみ、レベルの高いアリーナの会心の一撃の発生確率が目に見えて分かるほど低くなった。
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物理攻撃キャラとしてライアンとの性能差を埋める為の調整かとも思われるが、会心の一撃を連発するのがアリーナの魅力の一つでもあり、あまりにも安易な調整と言わざるを得ない。会心率はそのままでちからを下げたら少しはマシになったのかもしれない。
第六章関連
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裏ダンジョンはVIIのダンジョンマップのつぎはぎであり、登場するモンスターもまるまるVIIのモンスターの使い回しである。攻撃方法もVIIのものそのままで、IVオリジナルのモンスターの使えなかった特技を当たり前のように使ってくるため、世界観が合わない。
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ちなみにIVはもともとDSではなくGBでリメイクされる予定があったらしく、GB版IIIのROMの中にIVのモンスターメダルのデータが存在する(IIIからIVにメダルを送れるという構想があった模様)。その中に、FC版には登場しないモンスターのメダルが13種類あるのだが、それらのモンスターは前述の海のモンスターと違い復活しておらず、その後のシリーズでも再利用されていない。VIIの使い回しではなく、こちらを採用した方が遥かに良かったと思うのだが…(参考…No.179~191がそれに当たる)。
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よほど不評だったのか、DS版の再リメイクでは裏ダンジョンの構造がオリジナルマップに練り直されている。しかし出現モンスターの方はそのまま。
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第六章のラスボスは本来すでに一度倒した相手である。いつの間に蘇っていたのか説明がない。
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第六章ラスボス自体はすでに悪党(頭に小がつく類とはいえ)と判明しているのだが、ピサロを連れて行かないと何故か戦えない。キーマンであるピサロも、ラスボスと戦う理由は私的な意味合いが強い。結果、敵側の権力争いに勇者が使われているという状況に。
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ちなみに第六章自体は、かつてのFC版にて容量の都合で削られてしまったシナリオであると言われているが、事実は不明。GB版のメダルに、リメイク版でのラスボスは無かったことを考えると、まったく別のストーリーが存在した可能性も高い。
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裏ダンジョンと同じようにオマケとして追加された、本筋とは別枠の存在ととらえればいいのかもしれない。FC版と同様の展開を選べば従来通りに第五章までで完結するし、また一度はこちらのエンディングを見ない限り、六章へと分岐することもできないので、六章の展開に納得できないのならば、六章をプレイしないという選択肢がある。
その他の問題点
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DS版のフィールドBGMは演奏中に戦闘に入ると途切れた部分からではなく最初から再生されてしまう。ランダムエンカウント仕様と相まってDS版から入ったユーザーはBGMの全貌を知らない人も多い。
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六章以外では移民の町以外シナリオやイベント上の追加はまったくない。そのため一~四章がミニイベント程度の内容で、本番の五章もあっさり気味というFC版からのボリューム不足感はそのままである。
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カジノがやや調整不足。FC版と比較して能力値や戦闘パターンに修正が入ったモンスターは数多く存在するが、格闘場での倍率はFC版と同じ。そのため一部倍率的には大穴なのに鉄板に近い確率で勝つモンスターがいる組み合わせがかなり存在する。
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移民の町は、特定の移民を集めると特殊な町に発展するが、この移民の選定に首を傾げるものがある。
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農場である「グレートファーム」を作る上で必要な移民に馬・牛・豚が含まれているのに鶏は含まれなかったり、城である「キングキャッスル」を作る上で兵士は必要だが戦士・メイド・貴婦人は不要だったり。
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特殊な町の条件に関係無い職業が幾つもある為、紛らわしいだけの死に設定となっている。
総評
VIIをベースにした本作は多く変更点が出たが、無難に纏まったリメイクとなった。
問題点で触れている事も、ほとんどはFC版を極めた人や、やりこむ人ぐらいにしか縁がなく、普通に楽しむ上で特に気になるほどではない。
グラフィック・インターフェース面の大幅向上、裏ダンジョン追加など見るべき点も多く、細かい部分を気にしなければ、より導かれし者たちの冒険を楽しむ事ができるだろう。
ただ、6章の内容について、及びオリジナルから引き継いだボリューム不足感については、やはり個人個人で評価の別れる所である。
その後
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VI以降、開発に関わってきたハートビートは2002年に解散した。そのため、本作はハートビートの遺作となった。