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不思議のダンジョン 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ
【ふしぎのだんじょん ふうらいのしれんふぉー かみのひとみとあくまのへそ】
ジャンル
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ローグライクゲーム
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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スパイク
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開発元
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チュンソフト
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発売日
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2010年2月25日
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定価
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6,090円
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風来のシレンシリーズ関連作品リンク
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概要
『風来のシレン』シリーズのナンバリングタイトル4。
南国が舞台ということもあり、これまでの雰囲気とは大きく異なる。
前作の反動もあって発表当初から不安の声が大きく、新要素についてもネガティブな意見を持つ人が多かった。
しかし、発売後に状況は一転。同作では3での不満点が一掃されており、新要素も概ね肯定的に評価され、シリーズの面目躍如となった。
あらすじ
船旅で新天地を目指すシレンとコッパ。しかし船の難破で「カヒタン島」に漂流してしまい、島の住人に「喋るイタチ=モンスター」として怪物使いという名目で処刑される羽目になる。
彼らをかばった心優しい少女「カミナ」によって一命を解かれるも、シレンたちの身代わりとしてカミナが人質にされた。
彼女を解放するには島で呪いの品と言われる「ジャガーの瞳」を神官に渡すことであるという。命の恩人を救うため「カヒタン島」での新たな冒険が始まる。
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時系列は『シレンGB』のエンディングと『シレンGB2?』の間に当たる(公式サイト参照)。
特徴
旧作と大きく異なる仕様および評価点、賛否両論点も含む。
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イラストやグラフィックが『ポケモン不思議のダンジョン』に近いものになった。デフォルメキャラの待機ポーズ、会話時の顔イラストなど。
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テンポがよい。携帯機では間違いなくトップクラス。特に移動速度はシリーズでもトップクラス(『シレンDS2』と同じくらい)。
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速すぎてミスをしかねないという短所もある。速度はオプションで変更できるが、「ふつう」と「はやい」の中間がほしかったという意見も多い。
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食料がおにぎりからバナナに変更
初期の青いバナナは満腹度が50しか回復しないが、壺に入れずに階を下りるとバナナが生長して黄色いバナナ(80回復)そして完熟バナナ(120回復)となり、果ては腐ったバナナになる。
特筆するのはバナナの皮であり、これはバナナを食べた際に出る残骸なのだが、敵に踏ませることでほぼ無力化を図ることができる。
強敵に出会った際にバナナを食べ、皮を踏ませて倒すというプレイングも可能である。
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『外伝?』などと同じく、爆風や炎を浴びたりすると壷に入っていないバナナは焼けて焼きバナナになる。
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焼きバナナは満腹度の回復量こそ物足りないが、HPを回復できるので重宝する。
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これによって腐ったバナナでも火を通せばきちんと食用として利用できる。
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ちなみに「おにぎり」もとあるモンスターのドロップのみで出現するが、今作では腐ったり焼きおにぎりにならない。
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武具成長システム
--通常攻撃で敵を倒すと武具が成長するシステム。成長すると武具が名前を変え、強さや強化限界、印数が増加する。
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成長に必要な「成長度」は敵によって異なり、具体的な数字は表示されないが貯まり具合はアイテム画面で確認可能。
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レベルは8段階存在し、成長に必要な成長度は武具によって異なる。
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弱い武具でも成長すると強力な能力が付与されることもあり、「序盤から弱い武具しか出てこなくてジリ貧になってしまう」という事態が若干解消された。
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タグシステム
--アイテムのほか、村の施設やダンジョンを徘徊するNPCや店主に武具に「タグ」を付けてもらえるシステム。
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これがついている武器は別の道具に変化させられたりしない限りは死んでも村の施設に行けば戻ってくる。
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拾った人間が見返りとして金銭を要求してくることもあるが、初心者にやさしいシステムである。
--ちなみに、ついていなくても死んだときに持っていた武具は浜辺に打ち上げられていたり井戸の底で見つかることもある。
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時間の概念の追加
--ダンジョン内で時間が経過すると昼夜が変化するシステム。
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昼はこれまでのシリーズと同様だが、夜は昼にいたモンスターが消滅し、夜に用意された専用テーブルのモンスターが配置される。
--夜は新アイテム松明を持たないと視界が周囲1マスだけになる上にモンスターから大ダメージを受けてしまい、即死の危険もつきまとう。しかも巻物が読めない。
--夜の敵はほぼ全ての被ダメージを1にしてしまうが、シレンが夜だけに使用できる技によって大ダメージを与えられる。
--夜のモンスターは隣接した生物を手当たり次第に攻撃する。倒しても種族は変化せずに名前の後ろにレベルを示す数字がつくだけだが、2~3回レベルアップすると一撃死が日常になり、非常に危険だが、夜のモンスターが落とすアイテムは確実に祝福される上、通常攻撃で倒せば武具の成長度が貯まりやすくなる(前述の通り技以外の攻撃は1ダメージにされるため、特殊な技やアイテムが無いと難しいが)。
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一部のダンジョンは通常は夜にならないが、あるアイテムを使うと少しだけ夜になる。
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「見渡す」コマンドが追加
部屋全体+部屋の外付近の様子を見ることができる。遠距離攻撃モンスターの有無の確認もできるので、ありがたいシステムである。
未プレイの一部シレンファンからは「ぬるくないか?」という意見もあるが、今作はこれに頼らないとやっていけない局面が多い(杖の魔法弾を無効にするモンスターの存在、遠距離から特技を使うモンスターの増加など)ので、決してぬるくない。
ローグライクRPGの大元である『ローグ』自体がそもそも「部屋全体+部屋の外付近の様子を見ることができる」基本仕様であるため、ある意味先祖返り。
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モンスターのオーラシステムが追加された。
攻撃力アップ、防御力アップ、速度2段階アップの3種類いずれかのオーラをまとったモンスターが現れることがある。
デメリットだけではなく、オーラ付きのモンスターは経験値が2倍という見返りがある。
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ダンジョンの仕掛けが追加された。
今までも同じフロアに長居しているとダンジョンから追い出されるものが存在したが、今作はそれに数種類の仕掛けが追加。デメリット(床アイテムの消失など)が目立ち、変化のたびにメッセージなどが出るものが多いのでややテンポを損ねているため評判が悪いものも多いが、攻略に利用できるものも存在する。
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部屋の伸縮・・・一定の周期で部屋の大きさが変化する。変化した際に壁に巻き込まれると、生物はダメージを受けてワープさせられ、アイテムは壁に埋もれる(壁を壊すか移動してくれれば取り出せる)。
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マグマ・・・一定の周期で地面からマグマが噴出し、噴出したマスの周囲8マスのアイテムを消滅させたり、生物に炎系のダメージを与える。
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津波・・・発生前に地震と共に予告メッセージが流れ、数10ターン後に津波が発生し、フロアの地形が変化。生物やアイテムの位置も変化し、メッキしていない武具は傷み、食料は腐ってしまう。
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デビル出現・・・発生前に「怪しい気配がする」という予告メッセージが流れ、数10ターン後にうめき声と共にBGMがおどろおどろしいものに変化し、強力なひとくいデビル系のモンスターが発生するようになる。かなりの強力(かつ見た目が怖い)モンスターだが経験値も成長度も高く、高確率でアイテムを落とすためリスクとリターンが釣り合っている。
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HP回復速度が最大HPに反比例するようになった。
具体的に言うと、最大HPの少ない序盤はかなりの勢いで回復するので死ににくくなったのだが、
中盤(最大HP150越え)になると2ターンに1しか回復しないようになったので、中盤以降のHP管理が今まで以上にシビアになった。
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「アイテムストックが増えた分、攻撃を受ける前に道具で対処しやすくなったので問題ない」という意見もある。
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薬草や弟切草などのHP回復アイテムを、最大HPを増やすためだけに使ってほしくないという意図があってのことだが、一部ダンジョンの仕様に合わせてこうなったという説もある(スタッフは否定している)。
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参考までに、ここまでの『トルネコ』『シレン』シリーズでは「1ターン毎に最大値の1/150が自然回復」である。
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徘徊NPCの種類、数が豊富になった。
攻略を有利にしてくれるだけでなく、演出もSFC以上になり飽きさせない。おやじから救助を依頼されるイベントは特に必見である。
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旅仲間が強力かつ使いやすくなった。
打たれ弱いという短所はあるが、敵に全ツッパして犬死にせず、常にシレンの側にいるようになったので扱いやすい。
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特に「バナナ王子」という仲間が炎や水で即死することを含めてもバランスブレイカーである。彼が死んだら即終了のダンジョンがあるのだが、「如何に彼を守るか」ではなく、「如何に彼に頼るか」という立ち回りを求められる。
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一人だけ敵に自分から向かっていく仲間がいるが、他の仲間に比べ攻撃力が群を抜いて強く、敵が強くなる階層まで行ったら勝手にはぐれてしまうため使い勝手は良い。
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任意で入れるチュートリアルダンジョンが追加された。1回クリアする度にアイテムを貰えるので、初心者にはありがたい。
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フェイの問題+倉庫番を足したようなパズル石像の洞窟が追加された。1回クリアする度にアイテムを貰える。
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本編以外のダンジョンが豊富になった。
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ストーリーがとても短くなり、クリア後すぐに「もっと不思議」などの隠しダンジョンに潜れるようになった。
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シナリオは前作で不評の嵐であった加藤正人氏が手がけている。
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『3』を黒歴史としない方向性をあまり良い目で見ない人も少なくないが、前作と比べれば良好なシナリオ。
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ダンジョンに失敗しても、選択肢ですぐに再挑戦できるようになった。
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『トルネコ2?』『トルネコ3』や『シレン外伝』(Win) などでは採用されているが、過去の『シレン』シリーズではなぜか採用されていない仕様でもあった。
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未識別の道具に名前を付ける際、過去に入手したアイテムから手早く名前を付けられるようになった。
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『シレンGB2』以来の採用で、これまた「便利なのになぜ採用されないのだ?」と言われ続けてきた仕様の復活である。
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上画面に壺の中身が表示されるようになり、いちいち「見る」を選ぶ手間が省けるようになった。
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道具図鑑が追加された。
いつでもどこでも、過去に入手したアイテムの説明を見られる。『シレン2』『シレン外伝』の装備かけと異なり、全アイテムを記録することができるのでよりやりこみ性が上がった。
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モンスター図鑑が追加された。アイテム図鑑と同様のメリット、やりこみ性である。
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モンスターの説明はサブカルチャーネタがほとんどなので、賛否が分かれるところである。
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インターフェイスも考えられており、夜の技はXボタンを2回、メッセージ履歴はB+Y、「みわたす」はB+XあるいはB+Lという操作によってすばやく実行可能。
問題点および短所
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難易度が非常に高い。上級者でも充分辛いが、シレン暦が浅く立ち回りに慣れない初心者には、非常に厳しいバランスになっている。
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中盤(20F前後)から一部の敵の攻撃力が激増し、単に殴って倒すだけではゲームオーバーになりやすい。回復の遅さもあり、戦闘回避が重要な要素となっている。特にギャザー種(攻撃力がかなり高いだけでなく、巻物や杖の効果どころか前述のバナナの皮すら無力化してくる)に通路で挟まれたら成す術なくやられてしまうことも。
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ヤンピー種やフィアーラビ種など、厄介な能力を持つ敵も多いが、こちらは装備と立ち回りで何とかなるレベルであるが、初見だとどうしてもやられてしまう。
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一応エンディングに辿り着くまでは、タグシステムにより鍛えたアイテムを紛失しにくいことも相まって「盾を鍛えまくってゴリ押し」が効くのだが。
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それゆえ敵の居場所が分かる「透視の腕輪」(「気配察知の腕輪」)などの価値が大幅に増え、これを入手できるか否かで難易度が大きく変わる。これを「腕輪ゲー」と揶揄する人も多い。
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フリーズを含むバグが多い。
再現性のあるフリーズから再現性のないフリーズまで様々ある。詳しくはこちら(外部リンク)を見るといい。
フリーズしただけで強制ゲームオーバーかつメイン装備を失ってしまうので、あまりにも致命的すぎる問題点である。
フリーズ以外でも、冒険回数リセットバグなど履歴の不具合も痛い。
一方で、再現性のあるフリーズを除いて一度もフリーズしたことがないというプレイヤーも多いようである。
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細かいところで不便な点が目立つ。
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蔵(道具を使えない、『トルネコ』シリーズや『シレン3』と同じ仕様の倉庫)と倉庫(道具を使える倉庫)の位置が遠く、移動が煩わしい。
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保存の壺の中身と足下のアイテムを交換することができない。
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前述の再挑戦機能の有無と同様、旧作の良かった仕様を最新作で搭載しない悪癖が出てしまったともいえる。
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持ち帰ったンバマ、ンバルーン(アイテムに化けているモンスター)が識別されない。
倉庫を使えば判別は可能だが、非常に面倒。
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祝福された矢類(石・札)、呪い(封印)の矢類、普通の矢類をまとめることができず、道具欄かかさばってしまう。
祝福された矢類を使用するうちに祝福は解除されるが、まとめる手段としては非常に面倒。
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夜システム、自然回復の仕様の変更などは今でも物議を醸すことが多く、これらの要素が原因で本作に難色を示す人もいる。
総評
多少の粗はあれど、バナナや装備成長などの新要素やゲーム自体の快適さが多くのプレイヤーから高く評価されており、安心して遊べる。
初週の売上は4万本と振るわなかったが、最終的には10万弱と3とほぼ同様の売り上げになった。
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奇しくもファミ通レビューでは『3』と同等の35点であった。
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『3』には難色を示していたシレンファンのタレント・伊集院光氏も、今作はtwitterで絶賛している。
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『不思議のダンジョン 風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス』(2010年12月9日発売)という続編が出ている。『4』に様々な調整や新ルールダンジョンが加わった形となっており、出来自体はなかなかのものだが、前作から一年にも満たない間隔での発売だった点ではあまりいい目で見られていない。