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ルーンファクトリー3 - (2013/04/10 (水) 12:14:17) の編集履歴(バックアップ)


ルーンファクトリー3

【るーんふぁくとりーすりー】

ジャンル ファンタジー生活ゲーム
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 マーベラスエンターテイメント
開発元 ネバーランドカンパニー
発売日 2009年10月22日
定価 5,229円
プレイ人数 1人(通信時1~3人)
通信機能 ニンテンドーWi-Fiコネクション
DSワイヤレスプレイ対応
レーティング CERO:A(全年齢対象)
ルーンファクトリーシリーズリンク

ストーリー

 ある嵐の夜のこと。ちょっと鄙びた町、シアレンスに金色の毛をしたモンスターが迷い込んだ。
町の住人のとある少女は、意識を失って倒れた彼をベッドに寝かせて看病する。
 …だが、目を離した隙に彼の姿は忽然と消え、それと入れ替わるかのように金髪の少年が町の入り口に立ち尽くしていた。
記憶を失くしているというその少年は、町長の取り計らいもあって、町のシンボルである大樹の中に造られた家に住むことになるが…

概要

  • 長くシリーズの息が続くシミュレーションゲーム『牧場物語』のスピンアウト作品。(Wii版『フロンティア』も含めれば「ルーンファクトリー」のタイトルとしては4作目。)
    • 牧場物語に剣と魔法の要素を加え、独特の世界観に仕上がっている。牧場経営・ダンジョン探索・各種生産・町人との交流等、できることが多岐に渡っており、一言で表現するならば公式ジャンルで銘打っている通り「ファンタジー生活ゲーム」。1作目2作目はバランスやバグなどで問題が多く、本作も残念な出来になるのではないかと危惧されていたが、いざ蓋を開けてみると、名作・良作と呼ぶに値する完成度であった。
    • 過去の作品から大幅にインターフェイスの改善とアクションの高速化を実現しており、「3から入ると1と2はストレスが溜まってゲームにならない」と言われるほど。

ゲーム進行

  • ダンジョンの奥に潜むボスを倒し、町に発生する事件を解決することによって主軸となるストーリーは進行していく。
  • 住人毎のサブストーリーのようなものがあり、各々の個人的な依頼を達成するという形で進行させていく。この依頼は住人の主人公に対する好感度と直結しており、好感度が高まるに従って新しい依頼が追加される。アトラス社のP3P4の「コミュ」システムと似たような作りである。
  • 細かく頻繁にセーブポイントが設置されている。自宅の他に、ダンジョンの入り口*1や、内部でも要所要所でセーブが可能。更にダンジョン入り口や自宅へ一瞬でワープする魔法を、ゲーム序盤で自動的に獲得できる。携帯機で遊ぶゲームとしては、地味にありがたい配慮。

戦闘パート

  • 典型的なARPG。爽快感を重視した作りで難易度は低く、武器種や魔法を好みで選んで戦える。また、物足りない人の為にハードモードも用意されている。(ゲーム開始直後でなくとも、任意のタイミングでモード切り替え可能)
  • 使用可能な主な武器種は片手剣・両手剣・双剣・斧・ハンマー・槍・杖。これに加えて農具(ジョウロ・クワ等)、条件付きであるが拳も使える。チャージ攻撃、ダッシュ攻撃、更に所謂必殺技的な「ルーンアビリティ」を駆使して敵を蹴散らしていくのは快感。ルーンアビリティの種類は豊富で、使用武器による制約も少なく、自分に合ったスタイルで戦闘することができる。
  • ペット(仲間にしたモンスター)の中には主人公がその背中に騎乗して戦闘できるものもある。この場合、攻撃はペットの能力を活かした攻撃が発動できる。(例えばドラゴンに跨って火炎ブレスで敵を掃討する等)これも戦い方に幅を持たせる要素の一つとなっている。
  • 連れている住人やペットの戦闘力を大幅に強化する道具が用意されている。この道具のおかげで、この手のアクションRPGにありがちな「パートナーのNPCがお荷物」となり難く、気軽に連れ歩くことができる。

生産パート

  • 分類すると畑作、畜産、釣り、料理、鍛冶、装飾、調合の7つから成る。
  • 本作はダンジョンで拾った装備よりも自分で製作した装備の方が遥かに強いことが普通であり、その点で鍛冶・装飾の重要性は高い。ダンジョン探索で素材集め→強力な装備を作製する→ダンジョン探索…といった具合で、探索とのリンクがダイレクトに成立しているのである。
  • 一方で、探索で必要となる回復アイテム等を作製するための料理・調合は畑作・畜産・釣りと密接に関わっており、あらゆる要素が無駄とはならず、有機的に結合していると言えるだろう。
    • 特に畑作に関しては、収穫の際にステータス・スキルLVのランダム上昇というボーナスを加えることによって空気化が防がれている。
  • さらに、今作ではほぼ全ての行動に「スキルLV」が存在し、それらが上昇することにより主人公の能力が上昇していく。これにより釣りや町人との会話だけをし続けていても戦闘が有利になっていく。
    • ただ移動するだけでも「歩行スキル」レベルが上がっていく。など、スキルレベルの種類の豊富さは秀逸もの。
  • また、強い武器や有益な道具を作るためとはいえ、上記のやり込みを厭う者も当然いる。そうした人でも心配はいらない。高価だが武器屋で掘り出しものと称して、或いはランダムでフィールドに配置される宝箱から、高レベルなアイテムが手に入るからである。そのため、やり込みが強制されることは決してない。また、そうしたバランス悪化を嫌うのであれば利用しない道もある。
  • このシリーズの目玉である農業に関しても様々な改善がなされ、非常に快適になった。
    • 前作に比べて主人公のアクションが軽快になり、耕す、水を蒔く、作物を収穫する等の動作がスムーズになった。
      • このおかげで前作までは非常に面倒だった農耕作業が高速化&効率化し、一度に大量の作物を育てても苦労することが少なくなっている。またタネメーカーが廃止され、鎌で作物を刈り取ることで直接種を回収することができるようになった。前作までと違って種の数は増やせなくなった代わりに作業が大幅に効率化し、さらに刈り取ることで作物の質が1段階向上するボーナスが得られるように。
      • しかも前作ではある程度シナリオを進めて上位の農具を手に入れなければ撤去できなかった切り株と大岩が初期状態の農具でも撤去できるようになり、最序盤からかなり自由に畑を利用できるようになった。
    • 仲間モンスターによる手伝いシステムの統合
      • 前作までは水やり、収穫、雑草刈り、伐採、石の除去などの作業はそれぞれ別々に対応したモンスターを用意しておく必要があり、仲間にできない場合はその作業を全て自分でこなさなければならなかった。
      • しかし今回は一匹で水やりから雑草刈り、岩や枯れ木の撤去まで全てこなしてくれるように。さらに資金を消費することによって自動で種まきまでやってくれる。
      • しかも今回は仲間にできるモンスターなら全て上記の手伝い作業を行ってくれる。趣味で好きなモンスターを捕まえる利点も出てきた他、産出物回収用のモンスターも農作業に駆り出せるようになったので、酪農と農業が両立できる。しかしそれに伴い仲間モンスターの上限が20匹と大幅に減少した。
      • ただし畑を耕す作業は自分でやる必要がある。また、自動種まきで蒔かれる種は店売りされている物の中から畑のマス目毎にランダムに選ばれるため、土質(後述)にバラつきが出やすい。
    • 土質システムの導入
      • 今作では畑のマス目毎に「土質」と呼ばれる概念が設定されている。
      • 土質の善し悪しによって作物の質や成長速度に影響が出る。同じ場所で何度も連続して作物を育てると次第に土質が悪化してゆく。土質が悪いと作物の生長が遅くなり、収穫した作物の質も上がりにくくなるが、逆に土質が良いと作物の成長速度が速くなるほか、作物を植えると植えた作物の質が向上するようになる。
      • 土質は作物を栽培せずに放置したり農薬を蒔くなどすれば改善できるが、作物が枯れたときや雑草に混じってランダムに発生する枯れ草を一緒に耕すことで一気に最高の状態まで改善できる。ゴミでしかなかった枯れ草に新たな使い道ができた。
      • 因みに前作、前々作で猛威を奮ったイチゴ戦術は、土質システムの導入と台風の影響範囲拡大(洞窟内も台風の影響を受けるようになった)によって完全に消滅。

町人との生活

  • 前々作・前作では淡白な印象だった依頼イベントのストーリー性が増した。
    • 単なるお遣いではなく、住人の内面を垣間見るような話も多い。
  • 出来の良いAIのおかげで、住人が実に生き生きとしている。
    • 散歩に行ったり、店番をしたり、雨が降れば家に入ったり…。多種多様な行動をとる住人達であるが、インターフェイス改善のおかげでその所在は一目で分かる(前作では占い師に尋ねる他、時間帯毎の住人の位置を把握する必要があった)。
  • 会話のパターンが豊富。特定のアイテムを渡すことで聞ける会話、特定の組み合わせのキャラクター達がその場に居合わせることで発生する会話や、更には住人の好感度等による台詞変化(複数人での会話や、前述の「依頼イベント」中の台詞に変化が生じる場合も)もあり、作り込みが細かい。
    • プロローグに於ける名前入力・牧場名入力に対するヒロインのどうでもいいコメントでさえ、何故か一種類ではない。
    • 携帯機のRPGでは容量の関係か、重要シーンか戦闘時しかボイスのないものが多いが、このゲームでは通常会話時にも感嘆詞のボイス(「うわぁ」「おはよう」「エ゙ッヘェ」など)がある。テンポ良く入るそれらのボイスによって、よりキャラクターが生き生きと魅力的に感じられる。
  • 個人の嗜好もある為、一概に改善とは言い難いが、前作のような男性NPCとヒロインの結婚はなくなり、横恋慕展開も無くなった。
  • 最終的に結婚まで行き着くヒロイン候補は合計11人。しかしセーブデータは2つまでしか保存できない。誰を選ぶか迷ったプレイヤーも多い。(ただし、前作までとは違い分割セーブ可能となったため、結婚直前の状態でセーブしておけばひとまず一通りのキャラとの結婚を楽しむことは可能。)

やりこみ要素

  • LV上限10000、出荷記録、各種ミニゲーム、ペット育成、町人の鍛錬など、やりこみ要素が豊富に揃っている。ストーリーを終わらせた後は戦闘を極めるも良し、農業に精を出すも良し、ペットとじゃれるも良し。
  • ランダム生成ダンジョンが用意されている。全体的に本編よりも敵が強く歯応えのある難易度。特に最上位のダンジョンは一度踏破するたび(か、又はワイヤレス通信によるマルチプレイ時)に自分のレベルに合わせて敵のレベルまで上昇する為、本編以上に慎重に進めなければならない。(しかもゲーム内の日数が数日分は費やされかねないほどの長さを誇る。)

問題点

  • 戦闘バランスの大味さ。
    • このゲームの戦闘は基本的に低難易度であるが、やりこみの域に入ると事情が一変する。先の説明にあった最上位のやりこみ系ダンジョンでは、主人公レベルが1000を越える頃になると、主人公のステータスをもってしてもそれに合わせて強化される敵側の攻撃力上昇に追い付けず、最終的には「食らえば即死の回避ゲー」と化してしまう。これに対処する方法として、攻略wikiでは「プレイヤーと同レベル帯になっているそのダンジョンのモンスターを仲間にして、自分は後方からサポートに徹する」という、自身が立ち回るのが爽快なこの作品のゲーム性そのものを否定してしまう手段が推奨されているほど。
    • 主人公は特殊能力で変身することができる。この変身、ストーリー上では非常に重要な役割を果たすのだが、付与効果等をカスタマイズできる自作武器が非常に強力な戦闘パートではあまり日の目を見ない。一応、変身後は変身前よりも能力が強化されている他、独特な攻撃方法も態々用意されている。
      • しかしこの能力を獲得した後に出現するとあるボスとの戦いでは、武器を使った立ち回りよりも拳で攻撃した方が効率的に攻撃できるようになっており、一概に使えないわけではない。
  • 農業しなくてもいいゲームバランス。
    • このシリーズでは農業以外の要素で農業以上の稼ぎを得られることが多いが今作もそうである。
    • 今作は街に存在する釣り堀にマグロを放流してもらい釣って料理し、出荷すれば農業するよりも簡単に稼げてしまう。またしても畑はお払い箱。
  • やけに来る台風。
    • ゲーム中での天気の一つに台風*2があるのだが、今作では天気変更の判定が一日に何回もあるため台風が発生するシーズンでは一日に2回以上台風が来るのもザラである。
      • 今までのシリーズ作品では台風が来ると自宅から一歩も外に出れなかったが、今作から外にも出れるようになったため実った作物は回収し被害を最低限に防ぐことは出来る。
      • もっとも4では完全に対策が出来るようにはなったが。
  • 妙に理不尽な依頼が散見される。
  • 依頼の大半は親切設計*3なのだが、一部の依頼に限って妙に理不尽。達成条件がシビアだったり、提示されるヒントが曖昧すぎたり。
    • よりによって最初の依頼が、ある意味一番難しい。「全ての住人に会って挨拶して来い」という内容なのだが、まだ誰に会っていないのかはもちろん、どんな住人が・合計何人・どこに住んでいるかも一切教えてくれない。ひたすら「みんなにちゃんと話しかけてきなさい」とだけ急かされ続ける。
      • 出会っただけでは駄目というのが曲者。小イベント扱いの遭遇や会話では、「会話した」というフラグが立たない。プレイヤーはもう会話したつもりでいても、実は「会話してない」扱いとなっている人物が盲点となって残りがち。日の大半を町の外で過ごし、夜間も町の外の小屋で眠るキャラがいる。この人物も、もちろん住人の一人とみなされる。
      • 特定の施設や家から、滅多に出歩くことのない住人も何人かいる。馴染んでしまえば会いに行きやすい人たちだが、慣れない身には隠しキャラ。まったく動かないならまだしも、動くときには動くのがまた曲者。
    • 依頼を受けられるようになってすぐから、細工や鍛冶のスキルを要する依頼がしばしば舞い込む。これらのスキルはストーリーがもっと進行しないと、腕を磨くどころか挑戦することすらもできないのに*4
    • 「○○を手伝って」「話を聞いて」などという依頼を受けて行ってみたら、「(聞いたこともない地名)へ連れて行け」と頼まれるなんてのも茶飯事。どのダンジョンかは見当が付くはずなので、後はひたすら足で探そう*5。しらみつぶしで達成できる分だけ、まだしもこれは楽な方。
    • 最初の依頼以外ならリタイアしてしまうという手もある、特にペナルティもない。。
  • ラスボス前後の作り込みの甘さ。
    • 一大事件が発生しているのにも関わらず、普段通りのお気楽な住人達。(町の施設を機能しておく為の処置としてやむを得ないのかもしれないのだが…。)また、一部のヒロインにプロポーズした場合、ラスボスの発言は辻褄が合わないものとなる。
    • ED後に増えるヒロインの会話パターンは、比較的短期間で消化してしまう程度の量。結婚後の妻とのデートは1種類に固定される(結婚前は4種類)。出産イベントが3回まであるが、どれも展開が変わらないコピペ状態。生まれてきた子供は数パターンの発言をする以外は何の動きも見せず、「家具の一種」と揶揄されている。
  • 既に結婚しているにも関わらず、依頼イベントで他の女性に対して思わせ振りな行動をとる主人公。
    • ただし、これに対しては「依頼を受けない」という回避策があり、起こしたら起こしたで妻から浮気を警戒するセリフを聞ける。
    • 女性キャラの大半は嫁候補であり、そして依頼イベントの大半はストーリーの進展に関わらず使い回し*6。このため女性の依頼を片端から受けていると、主人公が誰彼構わず口説き始める有様に。
      • 主人公が軟派な性格であればまだ納得も行くが、むしろ表面上は奥手でかなり受け身。そのくせ攻略対象外まで含む多くの女性に対し、人目のない時にだけ気のあるそぶりを見せて「勝手に」誘惑し始める*7。このため、見方によっては非常にあくどい詐欺師のようにも思えてくる。
  • 3Dのキャラモデルが酷い。マシンスペックの関係で仕方がないかもしれないが、イラストのキャラデザインが良いためなお酷さが目立つ。
    • ただし、これが問題になるのはステータス画面で拡大表示した場合のみ。通常は縮尺の関係上気になることは無い。
    • 主人公だけはずっと画面の中央にいるため、どうしても気になるかもしれない。いずれは慣れるはずだが、人によっては時間を要する。
  • 攻略(結婚)出来ないキャラがいることが悔やまれる。
    • 「攻略できないバグ」という表現が用いられるほど。
    • 主人公が男性である以上、男性キャラに関しては仕方ないと言えば仕方ないのだが…。しかし、本家の牧場物語は近年は主人公の性別をプレイヤーが選択可能。また、前作は後半のストーリーに限り主人公の性別を好きに選べた。

総評

  • 名作を輩出してきたネバーランドカンパニーが、ようやく本気を出した傑作である。爽快なアクション、魅力的なキャラクター、ストレスない耕作、どれも高い水準を保っている。これ一作で、シリーズの評価を覆したと言えるだろう。大手レビューサイトmk2ではSランク評価、平均点もランク最高を記録するなど、高い評価が相次いだ。
  • ただし、上記にもある通り、この作品を最初にやってしまうと、それ以前の作品(1・2)は非常にストレスの溜まるものになりかねない。過去作を未プレイでも、別に問題は無いのだが……。

その後の展開

  • 2011年2月24日にWii/PS3で『ルーンファクトリー オーシャンズ』が発売された。本作は耕作要素を大幅に減らし、アクションRPG要素を大幅に強化し、会話シーンが3Dポリゴンとなっており立ち絵がオミットされるなど過去シリーズとは一線を画す異色作となっている。評価は芳しくなく、マルチ化の効果もなく合計売上本数は『フロンティア』とほぼ同程度にとどまっている。
  • 2012年7月19日に3DSで『ルーンファクトリー4』が発売された。
    • 3をベースに色々と強化されており、こちらも良作となっている。