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R-TYPE Δ - (2013/04/02 (火) 13:12:13) の編集履歴(バックアップ)


R-TYPE Δ

【あーるたいぷ でるた】
※本来のタイトル表記は『R-TYPE⊿』ですが、環境依存文字を含む為、本稿ではこのように表記します。

ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 アイレムソフトウェアエンジニアリング
発売日 1998年11月19日
定価 5,800円
廉価版 R's BEST:2001年10月25日/2,940円
R-TYPEシリーズ関連作品リンク


―ヲカエリ、ケダモノ―

高難度横スクロールSTG『R-TYPE』シリーズ。その開発元・アイレムは1994年にゲーム業界から事業撤退する。『III』が完結編と銘打たれていた事もあり、誰もが『R』の続編を絶望視していた。しかし1997年、アイレムソフトウェアエンジニアリングが設立され、過去作の移植『R-TYPES』に続いて完全新作『DELTA』の制作が発表された。『R』が帰ってきたのだ。

本作『DELTA』はスーパーファミコンで発売された前作『R-TYPE III THE THIRD LIGHTNING』に続く完全家庭用オリジナルの『R』。メインシリーズの4作目にあたるが、ストーリーは『I』の数か月後、『II』との間に起きた「サタニック・ラプソディー」事件を扱う。


ストーリー

第一次バイドミッションを成功に導いたR戦闘機「R-9・アローヘッド」は、任務遂行後、無事に宇宙要塞「アイギス」に帰還する。
その後、対バイド兵器の凍結作業が進む中でも、同機は特に改修もされず放置されていた。
年が明けた3月、アイギスは少数の管理部隊を残して閉鎖される。それが新たな惨劇の原因となるとは誰も予想できなかった。

暫く後、大気圏に突入する隕石群の中に形を変えることなく落下する物体が観測された後、いくつかの都市で電子制御兵器が暴走を始める。
そして、アイギス内に搭載されていた投下型局地殲滅ユニット・モリッツGが突如として発進する事態が発生。
旧東京に降下し、破壊の限りを尽くすモリッツGの前に現地の軍・民間武装警察は壊滅。地球全土に第一級非常事態が発令され、遂にはテスト段階の新型R戦闘機・R-9aIIまでもが事態鎮圧のために駆り出されていく。
遂に、人造の生ける悪魔<BYDO>が大気圏に侵入したのだ……。


システム

基本システム

  • 一撃死・残機制の2D横スクロールシューティング。ミス時は特定の復活ポイントから再開する。全7面、一周エンド。
    • 難易度は3段階から選択可能。
    • 今回は地形に接触してもミスとはならない。*1
  • シリーズ特有のゲームシステム『フォース』『波動砲』『補助装備のビットとミサイル』の3つの要素はそのまま継承。
    今回は自機の選択が可能となり、機体ごとに3つの要素に性能差が設けられている(後述)。
    • メインショットボタン長押しでチャージできる波動砲は、全機が2ループ射撃可能。ビットは全機共通。
    • スピードアイテムが消滅し、任意に自機のスピードを4段階に切り替えられるようになった。
  • 操作形態は「8方向レバー」と「ショット」「ショット連射」「フォースシュート」「Δウェポン」「増速」「減速」の6ボタン式(キー配置はオプションで選択可)。

DOSEシステム

  • 新要素として「DOSEシステム」が登場。フォースの接触で敵を倒したり、敵弾を吸収することでDOSEゲージがたまり、MAX状態「ドースブレイク」ではフォースの当たり判定と攻撃力が上昇する。この状態でDOSEボタンを押すとゲージを全て消費して、シリーズ初のボム『Δウェポン』を発動できる。
    • フォースで敵を倒したり、敵弾を吸収すると追加点が入るのも特徴。ハイスコア狙いでは必然的にDOSEを意識したプレイが求められる。

貪欲なる力「R」

前述の通り、自機を3機の中から選んでプレイする。補助装備のビットの性能は全機体共通。

機体名 フォース チャージショット バーストショット ミサイル
R-9aII 「デルタ」 スタンダード・フォース 波動砲 試作型拡散波動砲 追尾ミサイル
R-X「アルバトロス」 テンタクル・フォース 炸裂波動砲 高圧縮波動砲 誘爆ミサイル
R-13「ケルべロス」 アンカー・フォース ライトニング波動砲 オーバーライトニング 光子ミサイル
+ 各機体の詳細

R-9aII 「デルタ」

  • 初代『R-TYPE』の自機「R-9」を模した性能。
    • 対空、反射、対地の三色レーザーを発射、分離時は最大4way弾を放つ「スタンダード・フォース」と低威力ながら追尾性に優れる2連式の「追尾ミサイル」を搭載。
    • 「波動砲」は貫通力に優れるが、弾速が遅い上に攻撃範囲が狭く当て辛い。「拡散波動砲」は攻撃範囲こそ広いが、他機体のバーストショットに比べると威力が乏しい。
  • 決め手に欠け、他機体の応用が利きにくく、入門向けとは言いがたい。どちらかというと過去作品に思い入れがある中~上級者向け。

R-X「アルバトロス」

  • 総合的には抜群の安定力を誇るが、フォースは最高段階まで成長するまで性能が極端に低く、ミサイルや波動砲がそれを補う性能を持たないため、ミスからの復活は困難。
    • 高い攻撃力と広い攻撃範囲を兼ね備える「テンタクル・フォース」は機体の前進・後退に応じて触手状コントロールロッドが開閉。このロッドにも敵弾吸収能力があり、防御性能はかなり高い。分離時には敵機を追尾して一方向に収束弾を発射する。
    • レーザーはどれも攻撃力が高く、ロッドの開閉により広い攻撃範囲もキープできる。ミサイルは『グラディウス』シリーズのスプレッドボムに近い対地用。
    • 「炸裂波動砲」は発射した瞬間に直線状の敵に着弾、敵の内部で炸裂する。さらに当たった場所から衝撃波が発生し、周囲の敵を巻き込む。
      • 「高圧縮波動砲」は炸裂波動砲をそのまま強化した性能。どちらも直撃時の威力は全機中最大だが、大ダメージを与えられるのは直撃した一体だけで、衝撃波は低威力。

R-13「ケルべロス」

  • これまでのR戦闘機のイメージを覆す黒と赤の機体色、そして辿る運命から人気が高い。
    • 威力と貫通力に加え、追尾性能まで持ち合わせた「ライトニング波動砲」が最大の特徴。
      • ライトニング波動砲を一気に三本発射する「オーバーライトニング」はまさしく最強の波動砲と言える。
    • 「アンカー・フォース」は敵に打ち込むとそのまま喰らいつきダメージを与え続ける。
      • 分離時に弾が発射されないが、機体本体と結ばれた光学チェーンに攻撃判定がある。チェーンはショットの連射に応じて捻じ曲がり攻撃範囲が広がるが、思うように操るのは困難。小チャージの波動砲を連射するだけでも捻じ曲がるので併用すると強力。
    • レーザーはどれも性能が悪いが、ターミネイト・γ(黄)の性能は侮れない。
    • 「光子ミサイル」は直進型で、それなりの追尾性と攻撃力を備えている。
  • 特徴的なフォースに目を奪われがちだが、その実波動砲に主眼が置かれた機体。死亡時からの復活が容易で、ごり押しがしやすいが安定力には欠けている。
+ この他、ある条件を満たすと第4の機体が解禁される

POWアーマー

  • シリーズ通してのアイテムキャリアーが自機に昇格。隠し機体だからといって圧倒的な性能を持つ訳ではなく、どちらかと言えばネタ色の強い機体。
    • 何故かバイドの形状をしたエネルギーを発射する「バイド波動砲」はチャージ時間に応じて弾速や攻撃判定等が大きく変化する。フルチャージのドブケラドプス形波動砲は攻撃範囲が広く使いやすい。最小チャージの低速弾をばらまく使い方も出来なくもない。
    • スパイク状のコントロールロッドが複数突き刺さった「バイドフォース」は分離時に回転砲台の如く弾を乱射する。
    • レーザーはどれも少々癖が強く、唯一直進する「波形レーザー」は威力が少し控えめ。上下に3本ずつ、計6本の反射レーザーを発射する「3WAY反射レーザー」は上手く集中させると凄まじい威力になる。デルタの対地レーザーを改悪した「バウンドレーザー」はマ○オのファイアーボールの如く地形を跳ね回る。
    • 「追尾ミサイル改」はデルタの追尾ミサイルの貫通力と攻撃力を強化した最強のミサイル。
  • 総合的にはデルタを改良したような性能を持つ。癖が強くなった反面、デルタに欠けていた決め手を持ち合わせており、意外と侮れない。

評価点

Rの系譜の忠実な後継者

  • フルポリゴン化、DOSE、地形ミス廃止、速度調節可と、細かい変更が多い本作。しかしその変更はシリーズの良さを殺すものでもなく、かといって理不尽に難しかった『II』や『III』2週目のようなマゾゲーでもない。
    「かつてのRとは全体的に少し違うが、それでもR-TYPEらしさというものは確かに根付いている」と言っていい、シリーズ後継作として理想的な状態が作られている。
    • 「マゾゲーではない」とはいえ、最低難易度のKIDSでも詰む人は詰むくらいに相変わらず難易度は高い。しかし運が絡む場面はほとんど無いため、攻略パターン構築の面白さを存分に楽しめるのも特徴である。
      • 高難易度ともなると気合い避けは通用せず、精密機器のようなパターンが要求されるシビアさがウリ。それでいてパターンは一つだけではない開拓の楽しみもある。
      • フォースを活用する戦略性はシリーズ屈指の物と言っていい。難所にもΔウェポンという抜け道があるため、ミスをして装備がなくなってもハマることは少ない。
      • 身も蓋もないが、家庭用お馴染みのデバッグ無敵コマンドも用意されている。
    • オプション内の「NOTE」ではやりこみ実績(1クレジットクリア等)が記録されるようになり、やりこみ甲斐が増している。

多彩なステージを彩る秀逸な演出

  • 恒例の宇宙と異次元の他、シリーズで初めて地球上、さらには精神世界まで舞台に。市街戦の迫力を見せ付ける1面、巨大兵器と対決する3面と序盤から3Dを存分に活かしている。動きのインパクトでは並び称される『レイストーム』や『アインハンダー』に匹敵する。
    • プレイヤーの意表を突くド派手な演出や、3Dをフル活用した仕掛けが多いのも特徴。背景も非常に凝っている。
    • 5面では『I』のセルフオマージュたる展開が待っている。生体洞の中、ムーラやブヨや輸送システム、ゴンドランにゴマンダー、グリーン・インフェルノとの対決はファンなら鳥肌(&絶望)もの。
    • 5面~7面の生命の神秘とバイドの恐怖を表現した演出の数々は、まさに『R』の世界観ならでは。ローポリゴンが上手く働き、シリーズ特有の不気味さも演出できている。
  • BGMはUSPが担当。ステージ展開とシンクロ具合が素晴らしく、シリーズ中でも評価は高い。7面BGMは最早STGの範疇を超えている。
    • 空中部と水中部とでBGMの曲調が変化し、SEに残響がかかる2面の「音の演出」も印象に残る。

難点

  • この時期のポリゴンシューティングの宿命であるが、慣れるまで弾が見づらく、当たり判定も判り辛い。敵破壊時に破片や火花が飛び散るため、余計見づらい事も。
  • DOSEシステムによる稼ぎの関係上、スコアを意識するとショットを自粛する地味なプレイスタイルになってしまう。
  • ゲーム開始時のロード(OPデモを兼ねている)がとにかく長く飛ばせない。せっかくの家庭用でこれは痛い。
  • デバッグコマンド関係によるものだが、スコア表示にバグが生じている。

総評

演出面、ゲームシステム共に家庭用ポリゴンシューティングの中でも高い完成度を誇る。
地形接触死の廃止や、自機選択による攻略の幅の広がりによって難易度が(比較的)下がったことで『R-TYPE』初心者も入り込みやすい作風となっている。


余談

  • NOTESに記録される内容の中に「1000時間プレー」というシャレにならないものがある。
  • R-TYPEシリーズといえば「エロいシューティング」として有名だが、本作もそこは手加減していない
  • アイレムのゲームアーカイブス撤退に伴い、配信は2011年8月11日で終了した。
    • 2013年1月24日発売の「パチパラSLOT+ パチスロ大工の源さん ~いくぜっ! 炎の源祭編~」の予約特典として本作のプロダクトコードが付属した。
  • 「かつてのRと違う部分を受け入れた結果、『R-TYPE FINAL』という駄作を世に送り出す足がかりを作ってしまったこの作品を手放しで称賛するべきではない」と、本作の発展を否定的に見る意見も存在する。
    • 本作を期に設定の再編が行われており、旧作品との関連付けも積極的に行われるようになったが、すべてのファンがそれを好意的に受け取っているわけではない。上記の点も踏まえて、旧スタッフの遺産の私物化と捉える向きもある。