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ピクミンシリーズ - (2013/05/21 (火) 09:00:45) の編集履歴(バックアップ)


ピクミン / ピクミン2

【ぴくみん】/【ぴくみんつー】

ジャンル AIアクション



対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
Wii
発売・開発元 任天堂
発売日 1:【GC】2001年10月26日 / 【Wii】2008年12月25日
2:【GC】2004年4月29日 / 【Wii】2009年3月12日
定価 1:【GC】7,140円 / 【Wii】3,800円
2:【GC】5,800円 / 【Wii】3,800円(全て税込)
分類 良作

概要

  • 未開の地*1に降り立った主人公オリマーを操り、偶然出会ったその土地の生物「ピクミン」と共に星を探索するゲーム。
  • 開発当初はN64で企画されていたらしいがハード性能上たくさんのピクミンを連れて行けないということで結果よりハード性能の高いGCに繰上げされたという経歴を持つ。

ストーリー

  • ピクミン
    • 主人公オリマーは、会社の有給休暇を使って気ままな宇宙での一人旅を楽しんでいた。しかし、宇宙船に隕石が激突するアクシデントが発生し、未知の星に不時着してしまいその衝撃で宇宙船のパーツが各地に散らばってしまう。しかもこの惑星には猛毒の気体が充満しており、生命維持装置のバッテリーが切れるまでのわずか30日間で宇宙船のパーツを回収して脱出しなければならない。途方に暮れるオリマーは、偶然その星の生物「ピクミン」と出会った。なぜか自分に協力してくれるピクミンたち。オリマーは彼らの力を借り、宇宙船のパーツを集め脱出することを決意した。
  • ピクミン2
    • ピクミンたちの力を借り、未知の星から脱出できたオリマー。しかし自分が住む惑星に戻ってみると、今度は自分の勤める会社が多額の借金で存亡の危機に立たされていた。そんなとき、オリマーが未知の星から持って帰ってきた物体*2が宇宙船*3の鑑定により高額のお宝であると判明する。他にも大量に存在する未知の星のお宝。それを回収して借金を返済しろという社長の命を受け、オリマーは新入社員ルーイとともに、再びピクミンたちの住む未知の星へ向かうこととなった。

シリーズ通しての特徴・評価点

  • とにかくその直感的でありながら嫌味がなく非常に奥の深いシステムは高く評価された。
    • 人間に非常によく似た形をしている「ピクミン」という生物達を主人公が指揮し、敵キャラを倒させたり宝などの物の運搬をさせるという単純なゲームシステムだが、これが本当に良く出来ている。
      • まずピクミンの融通の利き具合がすごい。壊れる壁に押し付けるだけで壁を壊してくれたり、物に押し付けるだけで物を運んでくれるなど、プレイヤーのしてほしい事をそのまましてくれる。行動を決定するコマンドなど全くなく、難易度こそハードだがかなりとっつきやすい。
      • ピクミンは1では3種、2では2種加わって5種類。どれも違った個性を持っているのでうまく使い分けることがポイント。
      • 主人公単体では敵にパンチして微量のダメージを与える程度しか出来ないので、戦闘や運搬などはすべてピクミンに行わせなければならない。
    • 敵がこちらより大きいことや、耐性の無い攻撃を食らうと1発でピクミンは死ぬこと、特殊な攻略法が必要な場合があるなど、戦闘はなかなかの緊張感があり、ピクミンだけを放置すれば容易にクリアできるような生ぬるいものではない歯ごたえがある。
  • 秀逸なゲームバランス。例えば1は発売から10年経過してようやく6日クリアが確立され、そのゲームバランスの緻密さが改めて認識された。
  • 1,2共にグラフィックは文句なしにGC最高レベル。下手なWiiのソフトよりもはるかに奇麗といえるレベルであり探索意欲をこれでもかと沸き立てる。
    • 背景は自然の美しさをほぼ完全に表現できており、その作りこみは文句なしの一言。キャラクターのグラフィックも小さいピクミンから巨大な生物に至るまで精密に作られている。
    • 特に1はGCの最初期に発売された作品であり、ユーザーに対してGCの性能を見せ付けるという役割を見事に果たした。無論今見ても決して見劣りしないレベル。
    • ちなみに後日ピクミン1匹に使われているポリゴンの数は実は「スーパーマリオ64」のマリオのポリゴンより多いという衝撃の事実が発覚している。
  • よほど警戒しないと容赦なく死んでいくピクミンや、ピクミン1のバッドエンドなどなかなかハードな展開も多い異色作でもある。また2の「欲棒」といった黒い任天堂としての側面も話題に。
  • 物凄く設定が凝っている事でも有名で、ほぼ全ての生物に通称と和名と詳細な説明が設定されているといった徹底振り。生物の外見もまるで現実に登場する生物をモチーフにしたようなものが非常に多く、現在も様々な考察がなされている。
    • 時間制限やピクミンという名前の由来についてもしっかりとした理由付けがなされている。
    • 一作目では一日を終える度にオリマーが書いた日誌を読むことが出来る。この日誌も非常に凝っており、その日に起きた出来事、出会った生物、ピクミンについての考察、船の修理状況などをオリマーの目線から読むことが出来る。
      • なんと全くパーツを集めずに日数を進めた時のみ見られる専用のテキストまであり、オリマーが精神的に病んで行く様が生々しく語られる。興味本位で何もせずに一日を終え続けた結果、遭難28日目の日誌に唖然としたプレイヤーも・・・。
    • 『ピクミン2』には「オリマーメモ」と「ルーイメモ」という項目が出来た。オリマーメモはお宝や生き物についてのオリマーなりの考察、感想などが書かれており、その外見に似合わない思慮深い一面を見る事が出来る。攻略本の設定資料集などが好きな人はこれを見るだけでも楽しめる。対する「ルーイメモ」は生物の調理、食事方法全般。基本鉄などが混じってない限り何でも食えるらしいが、これも生物達の意外な有用性を知る事が出来る。
    • なお今作にはタンポポなど現実に存在する植物が登場するが、それに関しては実際の調理法まで書かれていたりする。例えば先ほどのタンポポに関しては代用コーヒーとしての活用法がやたら詳しく書かれている。
  • 音楽は『スターフォックス64』などで有名な若井淑氏が担当しているが、どちらかというと派手に主張するような音楽ではなく、環境音楽である。だがピクミンのゲーム性を考えると下手に主張するような音楽だと集中が途切れてピクミンが死ぬという事も十分考えられるためこの判断は正しいといえる。
    • だが一貫して環境音楽に徹しているのかというとそうでもなく、単体で聞いても中々味のある完成度の高い楽曲ばかり。サントラが発売されていないのが実に惜しい。
      • 他のゲームではまず聴けないような物凄く独特なサウンドが特徴であり、かなり前衛的な音楽である。
      • さりげなく戦闘時とお宝運搬時と通常時でBGMが自然と切り替わるという仕掛けも。
    • 大乱闘スマッシュブラザーズX』でアレンジされた曲がいくつか収録されている。ただしそのサウンドゆえにステージBGMは殆んどアレンジされず、アレンジされた楽曲の数はそれほど多くはなかった。
      • ちなみに後述の「愛のうた」も収録されていたのだが・・・何故かフランス語バージョンもある。
  • ピクミンをとことん楽しみたいという人のために「チャレンジモード」も存在している。
    • 1のチャレンジモードは、本編で挑戦したステージに入り、1日でどれだけピクミンを増やせるかを競うもの。
      • ステージこそ本編で登場したものだが、敵などの配置はチャレンジモードのオリジナルである。
      • 当然本編でいけるようになっていないステージでのチャレンジモードは行うことはできない。
      • 終了時には生きているピクミンの総数がスコアとして記録される。極めれば、マップ上のすべてのものを回収して理論上最高のスコアを出すこともできる。
    • 2のチャレンジモードは、あらかじめ用意された洞窟に特定のピクミンと一定の数だけで入り、宝である鍵を運んで地上に帰ることが目的。
      • ただしこちらは時間制限がある。そのため1に近い感覚になり当然ながら難易度はかなり高い。鍵以外の宝を運ぼうとするともっと高くなる。
      • だが決して理不尽な難易度ではなく、非常に効率よくプレイすれば鍵含めて全ての宝を回収して地上に戻る事も可能。
      • 地上から脱出する際には回収したお宝、残ったピクミン、タイムがスコアとして総計されるためスコアアタックも可能。また、前述のように脱出時の残りタイムがスコアとして集計されるため、1のようにスコアが上限に達することもほぼなく、1のそれ以上に深くやりこむことができる。
      • 本編に負けず劣らずステージの完成度は高く、やりこめばやりこむほどスコアが増えていく楽しみを味わえる。
    • また、2では全てのステージで一人もピクミンを死なせずに生還する事が出来るとご褒美のムービーもある上、実際の冒険に役立つようなテクニックも自然と覚えられるため自己満足では終わっておらず決して無駄にはならない。
  • 独特の哀愁漂うテーマ曲「愛のうた」はテレビニュース等でも取り上げられた。聞いたことだけはあるという人も多い。
    • 基本的にはピクミンの気持ちを歌った歌だが、これが日々働くサラリーマン達の気持ちともぴったり一致する。そのためサラリーマン達の間でCDシングル版が飛ぶように売れたという逸話がある。
      • 最終的にCDシングル版はゲームの売り上げ50万本を大きく上回る90万本を達成。一応言っておくが当時あまり普及していなかったGCで50万本というのはかなり驚異的な売り上げである事も付け加えておく。
  • キャラクターも非常にかわいい。主人公のオリマーやピクミン、敵キャラのチャッピーなどはかなり愛嬌のあるデザイン。フィギュアも発売されていた。

1での賛否両論点

  • まずCMの親しみやすさとかわいらしいキャラクター達とは裏腹に非常に高い難易度がライト層から批判された。
    • ストーリーの都合上時間制限がある*4ため、非常に効率的なプレイを要求される厳しい難易度。一応タイムアップになってもEDは迎えられるが脱出に失敗した*5場合は…。
      • それを差し引いても一撃食らっただけで死ぬピクミン、水や炎を食らっただけで一瞬で死ぬピクミン、更にはピクミンを洗脳して敵キャラ化するという外道な生物の存在などから時間制限無しでもかなりの難易度。死んで覚えるゲームとも言われた。
    • だがその一方でただキャラ萌えできるゲームでは終わらせないやり応え満点なゲーム性からユーザー層に構わずハマる人が続出。一撃で死なないピクミンはピクミンじゃないと言われることも。
  • この時代の任天堂製ゲームにありがちなことだが、ステージ数が少ない。
    • 5ステージあるがそのうち2ステージはあまり広くない最初と最後のステージ。
      • ただしステージ自体はどれも絶妙に調整されており、作りこまれている。
      • どのステージも端から端まで探索する必要があるうえ、残りの3ステージは広いためステージ数の少なさもあまり感じさせない。しかし少ないことは確かで飽きる人は飽きる。
  • オリマーやピクミンといったキャラクターが可愛い反面、敵キャラはチャッピー系除いて生物らしさ全開。当然グロイ奴だっているためそれに激しく抵抗を感じるプレイヤーもいた。
    • まがりなりにも未知の星の生物なんだから全て無難なデザインでどうするんだという意見ももちろんある。

Wii移植版での賛否両論点

  • Wiiリモコンを用いたピクミンの投げつけや隊列移動は直感的に行えるが、ある程度の正確さが要求される原生生物への投げつけで暴投しやすくなった。GCコントローラーにも対応していないので慣れるには結構な時間がかかる。
    • 投げつけ距離自体は伸びているのでGC版以上に有利な面もある。
  • 仕様変更により、GC版での一部のテクニックが使用不能、あるいは使いづらくなった。例えば「高速投げ」など。

2での特徴

  • 全体的な難易度は前作より低下。ピクミンを洗脳するような凶悪な生物もいなくなった。でもピクミンは相変わらず1撃で死ぬため緊張感は健在。
    • だが水や炎に対しては一瞬では死ななくなった。
      • 前作に無かった毒や電気も登場。黄ピクミンが爆弾を扱えなくなった代わりに電気に耐性がついた。電気は耐性の無いピクミンだと「即死」する。
    • 1で不評だった時間制限が廃止され*6、無限に星にいられるようになった。そのため探索の自由度は大幅に上昇。
      • ピクミン増殖に1日を費やしてもいいし、速攻でお宝だけ回収してもいいし、探索の障害となる生物を倒すだけでもいいし、一日中ボーっとしていてもいい。
    • プレイヤーにオリマーの後輩ルーイが登場し、別々に行動できるようになった。
      • 画面を切り替えることで同時進行でそれぞれの行動を指示できる。また別行動が必要な箇所もある。
    • 補助アイテム「スプレー」が登場した。敵を石化して一定時間足止めできる「ゲキニガスプレー」と一定時間ピクミンを強化する「ゲキカラスプレー」の二種。
  • 新たに洞窟を探検する事が出来るようになった。
    • 洞窟内にも宝があり、基本的には生物の住処であるため難易度は地上と比べて高い。だがお宝の量も地上よりずっと多く、時間制限がないためじっくりと探索する事が出来る。
      • 新ピクミンである白と紫は洞窟内でしか作る事が出来ない。そのためよりそれらの扱いは慎重に行われるようになり緊張感も増えた。
  • ストーリーに関しては1同様かなり単純ではあるものの、バックグラウンドが非常に凝っており、一番最後に訪れる場所が実は1で遭難した地点だったりなど、細かい部分が良く出来ていてより世界観に厚みが与えられている。
  • 二人対戦モードも追加された。
  • 一部のお宝が、Nationalの乾電池、缶詰や牛乳キャップなど、社名やラベルも実在の物が使われている。昔任天堂が発売した商品やファミコンの周辺機器、そのほか普段の生活で使われる日用品などもあり、しかもそれらに名づけられる名称やオリマーの考察がユニーク。
    • そのため、スタッフロールで登場する企業の名前の数がまるで映画かと思えるほどに多い。

問題点

  • 新ピクミンである紫ピクミンが強すぎると言われることがある。
    • 紫ピクミンは通常のピクミンの10倍の重さの物を持てるが、長所はそれだけでなく、戦闘では着地した時に生物をダウンさせる能力があり大抵の生物なら連続で投げればすぐにダウンしてくれる。しかも直接的な攻撃力自体も高く、それこそ殆どのピクミンが用済みになるほどの強さを持つ。弱点である足の遅さも大して気にならないレベル。
      • 増殖させるのが非常に面倒という欠点はあるが、それを差し引いても全く同じ欠点を持つ白ピクミンに比べても明らかに強すぎる。
      • 一応、時間制限のあるチャレンジモードではその足の遅さが非常に大きな欠点になる。
  • 相変わらず敵がグロい。
    • 種類が大幅に増えたことで登場方法や攻撃方法や死に方も個性的に。『1』よりもグロいかもしれない。
      • 中ボス格のキャラも増えており攻略法もさまざま。
    • ビックリする登場シーンと初見殺しの攻略法を持ち合わせたとあるボスキャラが、その不気味さとあわせ「みんなのトラウマ」とまで言われている。
  • 赤ピクミンの存在意義が薄い
    + ...
    • 赤ピクミンは前作と同様、「火に焼かれても燃えない」、「攻撃力が高い」という特徴を持っているものの、役に立つ場面があまりにも少ない。
      • 前者の「火に焼かれても燃えない」という点は、そもそも本作では火属性の生物、トラップともにプレイヤーの脅威となるものが少なく、わざわざ赤ピクミンに頼る必要性が少ない。
      • 唯一、全身に火をまとう「焼きチャッピー」という生物と正攻法で戦う場合には、赤ピクミンの力が必要になる、のだが…
      • 「攻撃力が高い」という長所も、紫ピクミンには攻撃力で負けてしまっているため霞んでしまう。

総評

その直感的かつ奥深いゲーム性は1作目からすでに完成されていた。おかげで本作は一躍人気シリーズになることとなった。
難易度こそ高かったものの、決して理不尽な難しさでないことが評価されやり応えを大幅に増やしている。
他の要素も当時の基準ではかなりのもの。問題点らしい問題点も見当たらない。
2では更にシステムが改良され、より奥深いゲーム性が実現された。
1,2とも間違いなく傑作である。難易度の高さに敬遠していても今ならWiiに1,2共に移植版が発売されているため一度手にとって遊んでみるべき作品といえよう。

余談

  • お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志は、本シリーズと宮本氏の熱烈なファンであることを公言している。
    • そのハマリっぷりはかなりの物で、NHKの番組内で氏を対談のゲストとして招いた際に熱弁を振るい、更には「次の『3』は一体いつ出るのか」とまで質問した程。
    • これに対して宮本氏は「(E3等の)イベントに出るたび開発状況について毎年触れている」と返した。
  • よく本作の誕生秘話のひとつで「宮本茂が自宅の庭の蟻を見て思いついた」というものがあるが、実際は宮本氏がゲーム雑誌等のインタビュー向けに分かりやすく言い換えた表現である*7
    • 本当は自身が作っているものを整理するうちに、「これは蟻として作るのが一番良い」と考えたから、と上記の対談で明かされた。
  • Wii Uやニンテンドー3DSの引越しツールでピクミン達が登場する。この時のピクミン達は本体データを運ぶという役割を担っている。

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