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アークザラッドII - (2013/06/07 (金) 05:53:28) の編集履歴(バックアップ)


アークザラッドII

【あーくざらっどつー】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 ジークラフト
発売日 1996年11月1日
価格 6,090円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※ゲームアーカイブスで付与されたレーティングを記載
廉価版 PlayStation the Best:1998年7月9日/2,940円
PS one Books:2001年11月22日/1,890円
配信 ゲームアーカイブス:2007年11月14日/600円(PSP専用)
分類 良作
アークザラッドシリーズリンク

概要

『アークザラッド』の続編。 中途半端に終わった前作の完結編的位置づけでもある。


特徴

  • アークに代わった新しい主役『エルク』やシナリオを用意しながら、前作で決着をつけられなかった面子とも決着をつけられるようになった。
    • 鬱ゲーとまでは行かないがストーリーは全体的に暗く、主要キャラの家族・友人といった大切な人物の死別が何度も描かれる。ゲーム開始直後のオープニングから虐殺シーンが始まるあたりで察して欲しい。また、EDの内容も有名である。
  • 魅力あるキャラクター。
    • 戦闘では仲間キャラが随所で声優によって吹き込まれた台詞を喋り、多彩なアニメーションを見せるのも前作からの魅力。
    • 本作での仲間キャラは本作からの新キャラ7人+前作からのキャラ5人+隠しキャラ1人+αとかなり多く、これに加えてモンスターを仲間に加えることが可能(後述)。戦闘に参加できるのは5人まで。
  • より進化した戦闘システム。
    • 戦闘システムは基本的に前作と同じなのだが、攻撃時のエフェクトやSE、スピード感は大きく進化。『槍』や『マシンガン』など武器の種類も大きく増えた。
    • 一部を除いたほぼ全てのキャラクターは、2~3種類の武器を装備可能。これにより様々な戦い方が可能となった。アニメーションも各種個別に用意されている。
    • 各武器には熟練度システムが設けられており、これが上がる事でより高いダメージを与えられるようになり、攻撃エフェクトも進化していく。
    • 魔法や技などの特殊能力の数も大幅に増え、多彩な特殊能力を扱えるようになった。また、前作と違ってレベルを任意で使い分けられるようになり、利便性が大きく向上している。
      • ただし、ディバイドや天の裁き等の一部の魔法は最大レベルでの攻撃範囲がレベル2の時と変わらなくなり、微妙に弱体化している。
      • 前作のメインキャラクターの1人であるトッシュは武闘派なのに技の威力が魔力依存となったため、威力が伸びなくなってしまった。レベルが高くなると大ダメージを与える必殺技より通常攻撃のほうが遥かに高いダメージを叩き出すという本末転倒な事態に。
  • 前作には存在しなかった「店での買い物」が可能となった。
    • 元々前作は自由度が低くRPGというよりはむしろシミュレーションに近いシステムだったが、本作から一般的なRPGに近いシステムとなり、各種ショップやサブイベントが追加されたという経緯がある。
  • 武具・アクセサリー・アイテムの成長システム
    • キャラクターや特殊能力はおろか、武器などにもレベルが設けられており、戦闘で使い込む事でより強力になっていく。
      • また、武器によっては名前が変化し、能力値上昇やステータス異常などの様々な特殊効果が付くものもある。
  • 鍛冶屋システム
    • 武具の成長システムに伴い鍛冶屋システムを追加、対価を支払う事で武具を強くする事ができる。
      • また、前述の特殊効果の追加はこの鍛冶屋でも可能。中には鍛冶屋でしか追加できない特殊効果もある。
    • 一定条件を満たす事で、レベルの上昇とは別に、最大レベルの底上げや最大攻撃力の更なる向上を行う事ができるようになる。
      • ランダム要素がある上に膨大なお金が掛かるのでかなり骨が折れるが、極めると鬼のように強くなる。
  • コンバートシステム
    • 前作『アークザラッド』のセーブデータを引き継ぐ事が出来る。
    • 前作からのメンバーのステータスがそのまま引き継がれる、コンバート専用アイテムやイベントの追加などの特典がある。
    • 後に様々なゲームに受け継がれる機能だが、プレイステーションではこのゲームで初めて使用された。
  • 仲間モンスターシステム
    • キャラクターの一人であるリーザが魔法「ラヴィッシュ」を使用する事で、一定確率でモンスターを仲間にできる。
      • ただしアークデーモンやTYPE-Aクローン、ボスなどの一部のモンスターは仲間にならない。
    • クラスチェンジ(条件付き)を利用する事で仲間モンスターを別種のモンスターにチェンジさせる事ができる。
      • クラスチェンジをすると姿または色が変化し、ステータスと成長度が多少変動する他、変化させたモンスターの持つ特殊能力を新たに覚えさせる事ができる。
  • モンスター図鑑
    • 前作同様、プレイヤーキャラやモンスターの情報を閲覧できる図鑑。
    • リーザの特殊能力「調べる」をモンスター(敵味方問わず)に使用すると、モンスター図鑑にてそのモンスターの情報が詳細に記されるという一種の収集要素がある。
    • 今作ではプレイヤーキャラやモンスターの種類が前作の2.5倍以上と大幅に増えているが、モンスターのクラスチェンジや、特定キャラの特殊能力「チェンジエネミー」を活用すれば図鑑を埋めていくのは比較的容易。
  • ギルド
    • 依頼をこなしたり、各ギルドにポスターに貼られている指名手配モンスターを倒すことによって報酬とギルドポイントを受け取ることが出来るというもの。
      • 依頼によっては評価があり報酬を全額もらえる大成功の他に減額される中成功・小成功、報酬がもらえない失敗が存在する。
    • 依頼の遂行や手配モンスター討伐を請け負うことで、サイドストーリーを楽しむことが出来るようになった。
      • これや前述の装備品成長システムにより、ディスク1枚のみでありながらやり込み要素が恐ろしい事になっており、サブイベントをも網羅すると100時間近いプレイ時間となる。
  • BGMはF1のテーマこと「TRUTH」や『グランツーリスモ』のメインテーマ「Moon Over The Castle」などでおなじみの安藤まさひろ(T-SQUARE)が前作から引き続き担当。明快なメロディでダイレクトに感情に訴えかけてくる楽曲の数々はいずれも名曲揃い。前作の曲も多く使用されている。

賛否両論点

  • アイテム欄が99しかなく、中盤以降はすぐいっぱいになってしまう。アイテムコンプリートは不可能。
    • 特にとあるギルドイベントでは依頼成功させても捨てられないアイテムが残ってしまうので少ないアイテム欄を圧迫することになる。
    • ただしアイテム欄が限られているからこそ、アイテムの取捨選択という思考性があったり、プレイヤーによって所持アイテムの構成が変わってきたりして、面白い部分でもある。
  • アイテム収集などに関して取り返しの付かない要素が多く、コレクションの難易度はかなり高い。
    • 期間限定のダンジョン及びアイテムが多いだけでなく、ストーリー上の強制戦闘で一度しか戦えない敵が低確率でドロップするアイテムなど、入手方法を知っていてもかなり入手困難なものもある。
    • やり込み要素の高さが大きく評価されているゲームであり、攻略知識無しの初回プレイでもこのゲームをやり込もうとするプレイヤーは少なくないが、モンスター図鑑やレアアイテムなどは色々と「取り逃す前提」の心構えでプレイした方が無難と言える。
      • 未知の敵と戦う可能性がある以上、やり込み重視なら必然的に多くの戦闘でリーザやシュウ*1を参加させることになり、メンバー選択の自由度を損ねてしまう。
      • しかしクラスチェンジなどを活用すればモンスター図鑑は埋めやすいし、実際のところリーザやシュウが居なければ取り返しが付かないことになる戦闘というのはあまり多くない。相当な攻略知識が有ることが前提の話だが。

問題点

  • バグが非常に多い。
    • データ上は存在するが通常プレイでは絶対に入手不能なアイテムが相当数存在する。
      • 一部は解析によって仕様上のミスで入手不能になってしまっているということが明らかになっている。よほどデバッグ期間が短かったのだろうか。
    • フリーズも多い。特定の操作でフリーズ。特定の特殊能力を使うとフリーズ。さらには特定の施設に入るだけでブラックアウトなど。
    • 完全に進行不能になってしまう凶悪なバグも搭載。
    • 他にも大小様々なバグが数多く存在する。中にはプレイヤーに有利に働くものもあるが。
    • ベスト版ではいくつかのバグが修正されている。
  • 全般に戦闘のテンポが悪い。
    • 敵をまとめて倒しても撃破時のアニメーションは順に1つ1つ消化されていく。その為雑魚をまとめて倒した時などでは無駄に時間がかかってしまう。前作では同時に倒した場合は一斉に消えていったのだが。
    • 全体の累積で見ると味方も敵も相当数の行動を取る。にもかかわらず一回の動作の度に結構な時間がかかる。目の前で切りあうだけならともかく移動をして魔法を使ったりすると10秒弱はかかる。しかし通常攻撃も魔法もアイテムも移動も行動アニメの早送りやスキップができない。
      • そして見せられるのは同じ味方キャラとか色違いのモンスターの通常動作、共通の魔法である。
    • 豊富なやり込み要素によってプレイ時間が100時間をあっさり超える、という点は前述したが、実は古代の遺跡やギルドなどの寄り道をカットしてもかなりの時間がかかる。逆に行動アニメの省略さえできれば多くのプレイヤーがかなりの時間を節約できただろう。
  • 中盤以降の敵レベルのインフレ化が激しく、均等に使っているプレイヤーほど泣きを見ることになる。また味方キャラが多いのに対して出撃枠が5人と少ないこともあってメンバーが使いやすいキャラで固定化してしまう。
  • リーザが捕獲可能なモンスターと捕獲不可能なモンスターの区別が付きにくい場合がある。そのため、捕獲不可能なモンスターに対して何度もラヴィッシュ*2を試みるといったことも起こり得る。

総評

特徴には書かなかったが、本作の世界観は、ある国がビルの立ち並ぶ近代都市なら、ある国は城を構える中世的な都市、ある国はウエスタン、と節操無く様々な文化を取り入れているのが特徴だが、このゲーム自体も他の様々な名作RPGの面白い要素を多く取り入れ、それらを大ボリュームを持った一作に纏め上げているのが本作の最大の評価点であり、名作RPGとして名を連ねる理由であろう。


その後の展開

ファンディスクとして『アークザラッドII モンスターゲームwithカジノゲーム』が発売。
後に続編の『アークザラッドIII』が発売されたが、元々発売する予定は無く開発元も変更されたためか賛否が大きく分かれる。
その後に『精霊の黄昏』『ジェネレーション』などのシリーズが発売されるものの、3同様賛否が大きい。


余談

  • 少年ガンガンにて本作の漫画版「アークザラッドII~炎のエルク~」が連載されていた。作者は「職業:殺し屋」や「偽書ゲッターロボ」で有名な西川秀明氏。前2作を知っている人が本作を読むと、作風の違いに驚く事請け合い。
    • 概ね本作のストーリーをなぞっているが月刊誌という都合上か話が進むにつれ独自の展開を見せていった。また、アンデルやジーンといった一部キャラの容姿がゲームと大幅に異なっている。
  • 休刊してしまった「月刊少年ギャグ王」にて、藤凪かおる女史による連載もあった。
    • 休刊の都合か、ガルアーノを倒したところで終わってしまう。なお、本作は掲載紙が掲載紙だった為か、かなりのギャグ重視作品になっている。
  • 1999年には本作をベースとしたアニメ版がWOWOWにて放映。
    • キャストがゲーム版と一部が異なり(上記の漫画版のドラマCDではゲームと同じキャストだった)、14話以降は完全にアニメオリジナルストーリー(グロ描写有り)となっているため評価が分かれている。*3