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鉄拳3 - (2012/05/27 (日) 11:13:29) の編集履歴(バックアップ)


鉄拳3

【てっけん すりー】

ジャンル 対戦格闘アクション
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対応機種 アーケード(SYSTEM12)、プレイステーション
発売・開発元 ナムコ
稼動開始日 1997年3月20日
発売日 1998年3月26日
定価 5,800円
廉価版 PlayStation the Best:2000年8月24日/2,940円
鉄拳シリーズリンク

概要

  • 3D格闘ゲームを代表するシリーズの3作目。前作『鉄拳2』から約20年後が舞台で、主人公は前作までの主人公格「三島一八」の息子にあたる(一八はアーケード版のデモで悪人顔でカメオ出演)。
  • 家庭用に移植された際には日本で118万本、全世界で400万本を売り上げた、3D格闘ゲームでは最大の売り上げを誇っている。

特徴

  • 操作は8方向1レバー+4ボタン。ボタンはボックス状に配置され、左パンチ・右パンチ・左キック・右キックと四肢に対応したものとなっている。
    • このため、ガードは2D格闘ゲームと同じくレバーを相手と逆方向に倒す(前に倒していなければ自動でガードする機能も搭載している)。
  • 登場キャラクターはデフォルト10人+隠しキャラ8人。アーケード版では累計稼働時間によって順次隠しキャラを解禁する「タイムリリース」という方式をとっていた。
    • 前作まではキャラクターが濃くB級な雰囲気を漂わせていたが、前作より高性能の基板を採用しグラフィックが強化され、キャラの体系のディフォルメが無くなったのに加え、主人公の「風間仁」やそのライバルである「ファラン」など新キャラはアクの取れた純粋に格好いいキャラが揃い、前作からのキャラもイメージが一新されるなど、全体的にスタイリッシュになった。インターフェイスやBGMなどもそれに合わせたものになっている。
      • その一方でさらに人間離れした宇宙忍者「吉光」や、前作の主人公だった「三島平八」は年を重ね白髪になって登場、人間ですらない「クマ」も引き続き登場するなど、『鉄拳』シリーズの濃さが失われたわけではない。
  • 本作で特筆すべきはキャラクターの技モーション。実際の格闘家からモーションチャプチャーすることで、非常にリアルで滑らかな動きを実現している。
    • それが最もよく現れているのが新キャラであるテコンドー使いの「ファラン」とカポエラ使いの「エディ」。どちらもその道の達人のモーションをキャプチャーしている。
    • 1キャラあたりの技の数も全体的に前作より大幅に増えている。それに加えてバラエティを加えるのが通常の構えとは別の技を出せる「構え」の存在。ジャッキー・チェンがモデルのレイは五形拳の構えを使いこなすなど、格闘ファンが喜ぶ要素も多数。
      • これにより、ライト層には「適当なガチャプレイでも様になったような動きが可能」、ヘビー層には「的確な操作は非常に複雑で奥深く、慣れれば操作するだけでも快感が得られる」という、お互いのユーザーを満足させる反目するような特徴を両方備えることができた。勿論、難しい操作を要求しないポールやロウなど、極める目的で使いやすいキャラもいる。
    • 先に書いた『鉄拳』の特徴である直感的で斬新なボタン操作も、この進化によって生かされたものだと言える。そして『鉄拳』の売りの一つであった多彩な空中コンボも、本作の滑らかなモーションによって、リアルさとゲームっぽさの両方の良さが同居した非常に見栄えのするものになっている。
  • システム面での革新的な進化が「横移動」。相手の直線的な攻撃を軸をずらして回避し、反撃に移るという3D空間を生かした駆け引きが可能になった。
    • 過去には『バーチャファイター3』で既に採用されていたが、地形の高低差という複雑な要素があったことや専用のボタンを使う必要があったのに対し、本作では複雑な要素が無く純粋に回避する用途で使える上に操作も上か下にレバーをチョコンと倒すだけ、とシェイプアップされており使いやすい。
  • その他にも「投げ抜け」や「受け身」など、様々な細かい新要素や調整がされている。

家庭用版

  • アーケード版稼動から一年後にプレイステーション版が発売。上位基板を採用していたために若干の劣化は見られるが、それでも非常に完成度の高い移植。
  • 『鉄拳』シリーズの恒例として家庭用の追加要素も充実している。
    • プリレンダCGによるオープニングおよび各キャラのエンディングムービー。美麗なCGムービーはPS時代のナムコ、そしてPSというハードを牽引する要素であった。
    • 豊富な家庭用オリジナルモード。「鉄拳フォース」というオリジナルのベルトスクロールアクションのようなモードが追加され、後のシリーズにも採用されていった…が、シリーズ通してあまり面白くないのが難点。
      • また、「鉄拳ボール」というボールを殴って相手に打ち返すバレーボールのようなゲームが追加。
    • また、このPS移植版ではアーケード版には登場しない「Dr,ボスコノビッチ」と体格の小さいショタ恐竜の「ゴン」が隠しキャラとして登場している。
  • 後にPS2版『鉄拳5』の隠し要素として本作および初代『鉄拳』と『鉄拳2』のAC版が収録された。

問題点・賛否両論点

  • ゲームバランスは非常にアレ。特にバックダッシュを使いこなしたスカし戦法は賛否両論。
    • 共通
      • 下段回し蹴り系の技にガード時の弾かれモーションが存在しないため、非常にローリスク。
      • 横移動の性能が悪い。
      • 返し技抜けが存在しないため、返し技が強力。
      • バックステップ強し。稼動当時は後ろに下がってスカしを狙う戦法はチキンとして自粛する空気があった。
      • 閃光烈拳の3段目は、かなりディレイをかけても連続ヒットする。2段目から簡単にヒット確認できる。
      • 奈落払い・螺旋幻魔脚がガードされても止まらない。適当にクルクル回ってるだけで結構強い。
      • 紫雲二段蹴りの1段目が下段。手動でガードしてないと2段目まで食らって浮かされる。
      • 「鬼八門キャンセル」(アーケード版限定)。バグ技だが、これを使ったコンボが非常に強力。
    • ポール
      • 崩拳のダメージが固定。今でいうクリーンヒット級。
      • 落葉がガードされても止まらず、崩拳ステップから直に出せる。2段目が中段なので、ガードしきるのは困難。
        崩拳ステップからの二択が強すぎる。
    • レイ
      • 各種後掃腿がガードされても止まらない。反撃はせいぜい立ち途中RKしか入らない。
      • 龍声中段脚が連続ガード。反撃も入らない。
    • 平八
      • 風神拳が中段。奈落払いとの完全二択が成立する。
      • 奈落払いはガードされても止まらない。踵落としに派生すればノーリスク。
    • オーガ2
      • 吉光の朧車に手も足も出ない。
  • この事態を受けて、故『ゲーメスト』では猿者への鎮魂歌というコーナーが連載された。
    「猿者」とは、同じ技ばかり猿のように出し続けるプレイヤーの事。確かにそれで勝ててしまうゲームだった。
  • BGMが地味。
    • 当時としては珍しいデジタルロックを採用しギターサンプリングやシンセエフェクトを主体とした楽曲群はメロディーや生楽器の音色などによる特徴付けを意図的に排した構成になっている。
    • ゲームミュージックとしては斬新な試みであったがユーザーの評判は良くなく「ほとんど評価された事がない」「『バーチャファイター』のような曲がいいと言われた」等と作曲者自身が述懐している。

総評

演出面ではモーションキャプチャー、ゲーム性では横移動と革新的な要素を次々と採用。3D格闘ならではの駆け引きの随所から垣間見える、空中コンボから必殺の単発技まで、一つ一つの格闘アクションからあふれ出す爽快感。
その完成度の高さにより、以後の『鉄拳』シリーズのベースとなった同時に、実在の格闘技を操るキャラで闘う「3D格闘ゲーム」というジャンルの一つの完成形とも言える作品である。正統続編の『鉄拳4』より、続編へのつなぎとして本作のシステムをベースにした『鉄拳タッグトーナメント』の方が人気を博したことも、それを裏付けていると言えよう。