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けいおん! 放課後ライブ!! - (2011/04/14 (木) 20:41:47) の編集履歴(バックアップ)
けいおん! 放課後ライブ!!
【けいおん ほうかごらいぶ】
ジャンル |
リズムアクション |
|
対応機種 |
プレイステーション・ポータブル |
メディア |
UMD 1枚 |
発売元・開発元 |
セガ |
発売日 |
2010年9月30日 |
価格 |
6,090円 |
プレイ人数 |
1~5人(通常1人、アドホック時2~5人) |
通信機能 |
アドホックモード |
レーティング |
CERO:A(全年齢対象) |
概要
- かきふらい作の同名漫画を原作とする人気アニメ『けいおん!』(テレビアニメ第1期)を原作としたゲーム。さまざまなモードが盛り込まれているが、メインと呼べるモードはリズムアクション(いわゆる音ゲー)である。
発売までの経緯
- 女子高校の軽音楽部に所属する女子高生5人の部活を交えた日常生活を描き、京都アニメーションによってアニメ化もされて大ヒットした人気漫画をゲーム化した作品。
- 原作やアニメはシナリオやキャラの完成度が高かった事や、露骨すぎる萌え要素や男性キャラなど少しでもネガキャンされる可能性のあるものを排除して「等身大の女子高生のありのままの日常生活」を描く事に主点を置いたため、男女問わず幅広く指示されて大人気となり、主題歌やアルバムは大ヒットを飛ばし、ガールズバンドブームの火付け役にもなった。(萌え要素についてはグッズ展開などで後から付け足されたものあり結局全排除は出来なかったが)
- 特にアニメ2期の主題歌となった「GO! GO! MANIAC」と「Listen!!」がオリコン週間シングルランキングで1位と2位を独占したのは誰もが知る有名なエピソードである。
- そんな『けいおん!』のゲーム化が決定してマスコミ発表され、一時は「駄作な恋愛ゲーになるのでは」と予測していた者もいて不安視された同ゲームだが、メーカーのセガが直前に発売した『初音ミク -Project DIVA-』『同2nd』のノウハウを活かしたリズムアクションを製作していることを正式に発表すると、ファンの間では期待度が大きくなっていった。
- それでも「キャラゲーはクソゲー」の法則があるため、ファンの不安は拭いきれなかった。しかし、いざ発売されて蓋を開けてみれば予想以上に遊べるゲームに仕上がっていた。
特長・評価点
- 京都アニメーションの全面協力によって製作されたため、マンガ原作があるにもかかわらず、より知名度の高いアニメ版を基調としたゲームに仕上がっている。
- 多彩な要素やモードが盛り込まれているが、メインモードである「えんそう!」は単なるリズムアクションゲームであり、わかりやすい単純な操作で誰でも手軽に楽しめる。
- しかし高難度の譜面も用意されており、音ゲー上級者にとっても挑戦しがいのある作品となっている。
- 収録曲やBGMは『けいおん!』のCDの発売元であるポニーキャニオンの全面協力を得て収録されたもの。
- 主題歌、ED曲、アニメ内で歌われた挿入歌、歌われなかったCD収録曲など、さまざま取り揃えて全19曲を収録。また、ゲーム内で使われているBGMも全てアニメで使用されている曲である。
- アニメでは使用されなかったキャラソンCDの、しかもc/w曲まで完全網羅。CDを購入していたファンにとっては嬉しいサプライズであり、そこまで熱心でない視聴者にとっては、本作が隠れた名曲と出会う良い機会となった。
- プレイ対象の19曲はゲームの性質上、演奏時間が短縮されるなど若干のアレンジは加えられているものの、基本的な音源はオリジナルとほぼ同じなのでファンにとっては嬉しい仕様である。
- 演奏パートが5つに別れており、平沢唯(リードギター)、秋山澪(ベース)、田井中律(ドラム)、琴吹紬(キーボード)、中野梓(リズムギター)の中から選択する形式。
- この演奏パターン(譜面)が5人とも曲ごとに全く違っており、それでいて難易度の幅がとても広いため、何度でもやり込める。
- 収録曲19曲は、音ゲーとしてはかなり少ない部類に入る。だが譜面が全曲につき5人分(×4段階の難易度)あるので、すぐにやり飽きてしまうという事はない。
- 譜面が、それぞれの楽器やキャラクターをイメージしたものとなっている。
- 例えば、ドラムは曲の全てにわたってひたすら正確なリズムを刻み続ける事が要求され、そのかわり長押しの要素が存在しない。逆にキーボードは長押しと同時押しのオンパレードである。
- ベースは、秋山澪が左利きであるという設定を反映して、ギター(唯、梓)とは左右の手の使い方が逆になっている。右手でボタンを押さえながら、左手で方向キーを連打するのだ。
- この演奏の結果によって様々なアイテムやボイスを収集できるが、量が多いため収集のしがいがある。
- プレイ中は、キャラクターたち(放課後ティータイムのメンバー)が演奏している様子が3Dグラフィックで表示される。この動きが現実の楽器演奏とおおむね近いものとなっており、実際に彼女たちのステージを見ているような気分になってくる。
- アニメで使用された曲は、アニメのイメージに極力近づけた背景・動き・カメラワークとなっている。使用されなかった曲は本作独自の映像となっているが、これも非常に雰囲気がよい。
- だが美麗なステージに「着ぐるみの頭」や「デスデビルの仮面」などのネタ衣装で出演する事で、何もかも台無しにしてしまう事も可能である。
- もちろん「学園祭の衣装」や「紬のバイト制服」のような、普通に可愛い服や楽しい服も用意されている。
- 上手く操作を続けると特別な演出が発生し、アニメの名場面がフラッシュバックのように表示されてゆく。ファンなら感動必至である。
- 「えんそう!」の他にもキャラをコスプレさせる事が出来る「きせかえ!」や、可愛い部員のチビキャラによる原作やアニメの名シーンやイベントを再現した「メニュー!」、置き時計機能の「とけい!」、鑑賞モードの「うたおう!」など、様々なシステムがあり、パターンも多いために飽きない。
- 「きせかえ!」の際にはさわ子先生がナビゲートしてくれるが、そのさわ子先生が少々暴走気味で、このさわ子先生のハイテンションっぷりが一部で話題になっている。
- またこの「きせかえ!」の服の一部は、京都アニメーションがこのゲームのためにデザインしたオリジナルの服である。
- 「とけい!」モードは主要キャラ5人のほか、さわ子先生、平沢憂、真鍋和も使用可能…そこ、鈴木純は犠牲になったのだとか言わない。
- 「とけい!」モードは、ボタンを押すとキャラが時刻を読み上げてくれるという趣向なのだが、特別な日(クリスマス、元日、バレンタイン、各キャラの誕生日など)にはその日限定の特別なセリフを喋ってくれる。
- 「うたおう!」モードはムービーの作成や編集の他にも、背景、キャラの服装や動作、カメラアングルなどを細かく設定できるようになっている。
- しかしこの「うたおう!」モードにおいて、楽曲が強制的にインストゥルメンタルになるという仕様には、多くのファンが戸惑った。つまりはキャラたちがプレイヤーに「うたおう!」と呼びかけているカラオケモードだったのである。
- 背景のキャラがよく動き、カメラアングルやシーンも豊富。さらに「きせかえ!」でイメチェンしたキャラでそのまま演奏させる事も可能なので、ビジュアル的にも飽きない内容である。
- アドホック通信に対応しており、最大5人でのセッションが可能。これがかなり燃える。
- 単なるアドホック通信だけでなく、PS3を介したアドホックパーティーにも対応しているので、遠距離の人ともインターネットを通じてのセッションが可能である。
- 言うまでもないが、もちろん全員フルボイスである。
- PSPのゲームでありながら、画面上に5人のポリゴンキャラクターを同時に表示しており、それでいて致命的な破綻を起こしていない。
- 本作以外の「3Dポリゴンの女の子が歌い踊るPSPゲーム」では、同時表示人数は1人か2人の場合がほとんどである。それを思えば、これがどれほどの快挙であるかわかるだろう。
問題点
- タイトルからもわかるようにアニメ1期を基にした作品であり、アニメ2期の曲が一切収録されていない。
- ゲームオーバーとなる条件がわかりにくい。
- 操作の上手・下手によって「テンション」という数値が上下し、一定値を上回ると特殊演出が発生、逆に一定値を下回るとゲームオーバーというルールである。
- ところが、このテンションがはっきりと明示されない。演奏しているキャラクターの表情から読み取るしかないのだ。一応、ゲームオーバー間近になると、画面上部にどんよりとした何かがかかるので「そろそろヤバいかな」という程度のことはわかるのだが……。
- 音譜と背景の色が同化してしまい、操作しにくい箇所がいくつかある。
- キャラのグラフィックが少し荒い。
- PSPの画面上に、同時に5人のポリゴンキャラクターを表示しているのだから仕方のない部分ではある。『けいおん!』のゲームである以上、5人同時表示は他の全てに優先される事柄なのだろう。
- 難易度ノーマルとハードはあるが、イージーが無い。
- それどころか逆に、ハードをクリアすると「ノーマル秘伝」「ハード秘伝」という、更なる高難易度が出現する。
- この仕様からもわかるように、本作の難易度設定は基本的に「上に向けて幅広い」という形であり、リズムアクションに不向きな人でも楽しくプレイできるような簡単な譜面は多くない。本作は音ゲーマニアだけでなく『けいおん!』のファン全般に向けられた作品のはずであり、難易度のバランス感覚には疑問を持たざるを得ない。
- しかしクリアだけが目的なら、数々のヘルプアイテムが用意されている。
- 譜面がスクロールして流れてくるのではなく、固定された譜面上をカーソルラインが移動するシステムである。このため他の音ゲーとプレイ感覚が異なり、人によっては見づらいとの声もある。
- ただしこちらの方が、楽譜っぽい雰囲気はある。
- 音ゲーのシステムは各社が様々な特許を所有しており、使いたいシステムを自由に採用できない場合もありうる。ユーザーの目からは見えづらい複雑な問題があるのだ。
- イベントに関しては、アニメや原作を見て(読んで)ストーリーを理解していないと発生させるのが難しい。
- ただし、曲をある程度クリアするとヒントが出てくるので、親切設計ではある。
- 最も人気・知名度が高いであろう、アニメOP曲「Cagayake!GIRLS」とED曲「Don't say "lazy"」が、最後にアンロックされて難易度も高い「ボス曲」の位置づけにある。
- 人気曲・有名曲だから誰でも楽しめるように、という発想とは真逆をいく仕様であり、疑問が残る。
- そのためこれらの開放を目指して、聞いた事もないキャラソンを延々とプレイさせられるという状況が生じる。
- 衣装選択・髪型選択の中に「これだけ豊富に用意されているのに、なぜこれがないのか」とピンポイントに不満を感じるような箇所がいくつかある。
- 特に厳しいのは「Don't say "lazy"」の衣装が収録されていないことである。
- この曲は、キャラの動き・カメラワーク・画面上の特殊エフェクトなど、他にも増して再現度の高い映像が作りこまれている。ここまでやっておきながら、肝心の衣装がないのだ。『けいおん!』を代表する人気曲だけに、残念の極みである。
- キャラの髪型も数種類から選択できるのだが、田井中律の前髪を下ろす事はできない。
- 先述したように「うたおう!」は一種のカラオケモードであり、通常のPV鑑賞モードが用意されていない。
- 「ネタゲー要素」「ある意味『けいおん!』らしい」と擁護することも不可能ではないが……。
- 本作というよりPSPというハードの弱点なのだが、本体内蔵スピーカーが低音に弱く、ベースの音が極めて聞き取りづらい。
総評
- キャラゲーは失敗作が多いという不文律があるが、このゲームに関しては世界観・キャライメージを壊さずにちゃんとした音ゲーに仕上げている。また問題点に挙げられている箇所も多くは細かい部分で、プレイして大きな不満を感じるといったことは少ない。そのため評価も非常に高く、成功したキャラゲーであると言える。
- ファミ通クロスレビューでは32点(オール8点)を叩き出してゴールド殿堂入りし、発売時期もアニメ2期の終了直後だった事や映画化決定が正式発表された時期だったために発売初週で17万本を売り上げ、大ヒットとなった。
- 本作は言うまでもなく『けいおん!』ファンのためのゲームである。だがリズムアクション部分の完成度が優れている事と、収録楽曲が作品の世界観を離れても鑑賞にたえるタイプの曲であるため、「原作ファンならオススメ」どころか「原作ファンでない人にもオススメ」と言っても過言ではない。