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真・女神転生 - (2012/06/08 (金) 01:38:42) の編集履歴(バックアップ)


真・女神転生

【しんめがみてんせい】

ジャンル ロールプレイングゲーム
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対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 アトラス
発売日 1992年10月30日
定価 8,800円
女神転生シリーズリンク

ストーリー

東京・吉祥寺で平穏な日常を過ごしていた主人公。
奇妙な夢を見て目覚めたある日、近所の井の頭公園で猟奇殺人事件が起こる
そして彼の元には不審なプログラムが送りつけられる。
そのプログラムの名は『悪魔召喚プログラム』
日常が少しずつ崩れていく…。

概要

  • 真・女神転生シリーズ1作目。前作まではアトラスが開発しナムコが販売していたが、今回からアトラスのブランドで制作販売された。
  • 女神転生II』で確立された世界観をさらに膨らませ、新たな概念も加え、これまでのRPGと一線を画す善悪を超えたストーリーを持つ。
  • 金子一馬氏による個性的な悪魔デザインも健在。
  • 日常から非日常への遷移、かつての仲間達との思想的な決別、必ずしも世界の救済を意味しない自己完結的なエンディングなど極めて重厚な終末思想的テーマが貫かれており、こういった宗教もしくはサブカルチャー文学の領域をゲームに結びつける手法においてはパイオニアかつ一つの頂点を築いた作品といえる。
    • また、当時RPGといえばファンタジー、変わりどころでSFだった時代に現代、しかも実在する土地が舞台になる作品は非常に珍しく、そういった意味でも記念碑的作品といえる。
      • シナリオの中で実在の東京が大破壊で壊滅する、というところは異様なまでの生々しさと、「フィクションとして笑い飛ばせない」と思わせる説得力を提供した。
  • Law、Chaosの概念自体はWizardryの善悪属性をよりストーリーに結びつけて発展させたものと考えられる。

特徴

「ロウ」と「カオス」

  • 前作の価値観の多様性を膨らませ、善と悪とは異なる対立軸として「ロウ(法と秩序)」「カオス(混沌と破壊)」が登場する。
    • 神に近い側が「ロウ」、悪魔との共存を目指す側が「カオス」に当たる。前作にも登場した宗教の存在が本作ではよりクローズアップされており、ロウ側の「メシア教」とカオス側の「ガイア教」という二つの宗教が対立している。
    • ロウとカオスはどちらが善でどちらが悪ということはなく、作中でもメシア教は排他主義、ガイア教は弱肉強食主義と冷徹な面を見せている。また、本作の残酷な所業の数々はメシア教の主導によって行われている。
  • また人間の仲間としてヒロインの他に、この属性を象徴する2人の男が登場する。
    • 神に捧げられし魂こと「ロウヒーロー」は正義感が強く清廉で献身的な性格。
      • 後に悪魔の手から主人公を庇い死ぬ事になるが、メシア教の手により「救世主」として甦らせられることになる。
    • 力を求める乾いた魂こと「カオスヒーロー」は身勝手で粗暴だが情には厚い性格。
      • 後に宿敵・オザワを倒すため、そして大破壊後の世界で生き延びるために悪魔と合体し力を手に入れる。
    • 両者とも善悪ではかれない面を持ち、それぞれの理想のために行動し、それ相応の末路を辿る。ある意味では真の主役かもしれない。
  • 悪魔にもこの属性が振り当てられている。主人公と相反する属性の悪魔は召喚できなくなった。会話で仲魔に入れることも不可能。
  • 主人公は、行動、選択によってこの間を揺れ動いていく。属性変化によって戦う敵やストーリーにも変化がある。
    + そして・・・
  • ロウでもカオスでもない「ニュートラル(中庸)」という第三の道も存在している。ロウとカオスの両者のバランスを保つことが人をよりよい方向に導くという立場である。この道の存在のヒントは、ゲーム開始直後に示されている。
    • ゲーム中ではロウ、カオスともに敵対することとなり、その険しさもあってこのニュートラルの道こそが本作のトゥルーエンドであると言われている。なお、初期に出た攻略本ではニュートラルは隠し扱いであった。
  • また、ロウ・カオスとは別にライト・ダーク属性が存在する。
  • ロウ・カオスが立場ならライト・ダークは性向にあたる。生産的・献身的な性向がライト、破滅的・自己中心的な性向がダーク。
    • 「世界の破壊を司るが、同時に新たな世界の誕生や再生を司る」天魔(破壊神)はライト-カオス、「法の下に秩序を司るが、法そのものが邪悪である」邪神はダーク-ロウ、といった按配である。悪魔をただの敵ではなく価値観を持った一個の存在として上手く演出している。
  • ダーク属性の悪魔はこちらからの会話が成り立たない。戦闘に入れば基本殺すか殺されるかであり、厄介な能力を持つ者も多い。
  • システム等

    • 戦闘、合体、会話等の基本は、ほぼ『女神転生II』を引き継いでいる。
    • 新要素として剣と悪魔が合体可能になった。特定の剣と悪魔を合体させることで強力な剣が作り出せる。
    • 前作では邪鬼や魔王など「EVIL(悪)」に属していた悪魔は敵専用だったが、今回は「DARK(闇の性質)」になり合体で作れば仲魔にできるようになった。
      • 一方、仲魔専用だった「GOOD(善)」は「LIGHT(光の性質)」になった。
    • 前作では会話可能な種族が少なかったが、今回は増やされている。
    • 魔法の体系が整理され、全体魔法は頭に「マハ…」(回復は「メ…」)が付くようになり区別しやすくなった。
    • オートマッピングが追加され、3Dが苦手な人にもやさしくなった。
      • 不評だったオートパイロットは廃止された。
    • レア悪魔「魔人」が登場するようになった。

    BGM

    • BGMは引き続き増子司氏が担当。ファンタジー系作品と一線を画すBGMは評価が高く、今も愛されている。

    問題点

    • 戦闘バランスが大味。
      • 中盤までは、そこそこ纏まっているのだが、以降はインフレが激しい。
      • 魔法を使うと素早さに補正がつくバグのため、いわゆる「ジオはめ」で一方的に悪魔を倒せる。
      • 「せんこうだん(金縛り追加)」や「しんけいだん(眠り追加)」を装備してガン攻撃すると、ほとんどのザコ悪魔の動きを封じてハメ殺せる。
        • これらの弾丸は「ガン属性」で扱われないらしく、ガン無効や物理反射の悪魔にも普通に効いてしまう。
      • 仲魔の攻撃魔法の性能が低く役に立たない。ただし攻略上非常に重要な各種補助魔法は仲魔しか使えず、雑魚戦で比類なき性能を発揮する呪殺魔法ムドオンもやっぱり仲魔しか使えないため、釣り合いが取れているとも言える。
    • 合体にバグがあり、バグ悪魔ができてしまうことが。
      • ある特定の組み合わせの合体をすると発生してしまうようだ。バグ悪魔の代表格である通称「魔神マハラギオン」は後に発売されたノベル作品でネタにされた。
      • それだけでなく、本作はバグが多い。プレイヤーに有益なものから、クリア不可能になってしまうバグまで種類が豊富なので、プレイ時には注意が必要。事前の情報収集はしたほうがいい。
        • イベントアイテム入手時に持ち物がいっぱいだと進行不能になるなど。重ねて言うが事前の情報収集は必須。
    • 毒やマヒ状態の時に2Dフィールド上を歩くと、重いダメージエフェクトが発生し、イライラする。
    • 各メニュー画面でカーソル移動や選択のたびに効果音が入るが、これがやけに甲高くて耳につく(戦闘中は特に)。無機質なインターフェイスと合わせて、サイバーな雰囲気づくりに一役買ってはいるが。続編では押さえ気味の効果音に。
    • アイテムは種類を問わず一まとめに扱われるため、後半はアイテム欄が一杯になりやすい。前述のイベント進行バグもこれが原因のひとつ。続編では種類別の管理になったことで、ある程度解決した。
    • 新しいフロアに来たとき、今使ってきたはずの階段や出入り口がオートマッピングに記憶されない。解消されたのは2作後の『真・女神転生if…』から。
    • ラストダンジョン「カテドラル」の難易度は高く、そして長い。3Dダンジョンに余程慣れている人でも苦戦は必至。

    余談

    吉祥寺のエピソード

    • スタート地点である「吉祥寺」の描写はかなり細かくされている。
    • 序盤で訪れる「エコービル」は実在しており、発売当時(その数年前から)テナントが殆ど入っておらず、不気味なビルと地元で噂になっていた。その後はユザワヤ(現在は撤退)が入った事もありにぎやかになった(現在は改築中)。
    • 本作発売後の2年後に舞台と同じ井の頭公園にてバラバラ殺人事件が発生するが、未解決のまま時効を迎えた。

    学園物?

    • スタッフは当初は学園物にしたかったと述べている。ロウヒーローとカオスヒーローらは同じ学校に通う生徒という具体案もあったが、都合で没になったとか。
    • 学園物のメガテンはその後『真・女神転生if…』として実現した。
      • 余談になるが、『真・女神転生if…』で主人公が受け取るハンドヘルドコンピュータは、本作の主人公が(本作の開始前に)身に付けているのを見た教師が影響されて作成した、という設定である。その他、条件を満たすとガーディアンとして本作のキャラクターが出現するなど、サービス要素として登場している。
        • また『if…』はいじめられっ子が復讐のために学校を魔界に落とす、という内容だが、これは原作小説「女神転生」の主人公である中島朱実のオマージュと考えられる(彼は元々、いじめっ子に復讐するために悪魔召喚プログラムを開発した)。

    当時の世相ネタあれこれ

    • 主人公の飼い犬・パスカルの犬種がシベリアンハスキーなのは、当時人気だった漫画「動物のお医者さん」の影響。
    • シンジュクを支配することになる暴走族のリーダーの名前が当時の大物政治家の名前と一緒なのは偶然ではなく、シナリオ担当者の発案で「政界の裏のドン」と言われてた彼にちなんで付けられた名前とのこと。
      • 移植版では漢字表記が変えられているが、表記変更で皮肉にもの本名と同じ苗字になってしまった。意図したかどうかは不明。

    評価

    前作の流れを持ち込みつつも、ロウカオス軸の採用、それを活用し作りこまれたシナリオは、プレイヤーの行動と選択の影響が目に見えてあらわれ斬新であった。
    ゲームとしては荒い部分もあるが、それを上回る魅力を秘めた作品であることは確かだろう。

    移植

    • SFCのRPGとしては珍しくPCE(SCD)、MD(CD)に移植されている。
      • これらには追加悪魔が存在したり、声が入っていたり他機種版にない要素がある。
    • PSには続編2作と共に移植。ゲームアーカイブスでも配信中。
    • 携帯機ではGBAに移植、ストーリーをより深くするビジョナリーアイテムの追加がある。プレミア化しているので、現在は入手困難。
    • オリジナル版はWiiのバーチャルコンソールで配信中。また、PCではi-revoゲームからもダウンロード販売されている。