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ストリートファイターEX - (2012/11/02 (金) 03:47:45) の編集履歴(バックアップ)


ストリートファイターEX

【すとりーとふぁいたーいーえっくす】

ジャンル 対戦型格闘ゲーム
対応機種 アーケード
プレイステーション
販売元 カプコン
開発元 アリカ
稼動開始日 1996年12月
発売日 1997年7月17日
ストリートファイターシリーズリンク


概要

カプコンから独立したクリエイター達が新たに立ち上げた新会社「アリカ」が製作した格闘ゲーム。 グラフィックこそポリゴンによる3Dグラフィックなのだが、ゲーム性は『ストリートファイターII』の延長上にあり、その良さはそのままにさらに攻撃的なシステムを追加した。


3D化

 本作は格闘ゲームの金字塔ストリートファイターシリーズにおいて、初めてポリゴンによる3Dグラフィックを取り入れたゲームである。のだが、プレイステーションというまだまだ3D発展途上のハードで作られた本作のグラフィックはカクカクポリポリとした人物グラフィックで、当時の状況を鑑みても褒められた出来ではなかった。正直言って見てくれはかなり微妙で、ストEXシリーズがストリートファイターシリーズ全体の中でも実写に次ぐ色物扱いを受けている遠因となっている。

  • モーションも2D絵を忠実に再現できているわけでもなく、キレも良くは無い。リュウの竜巻旋風脚が全く別物(ファイターズヒストリーのチェスト)になっていたりもする。スーパーコンボを当てたときに相手が派手に吹っ飛ぶのだが、それをドタドタと走って追いかけるキャラクターはかなりマヌケ。
  • 「EX2」以前は、キャラは敵の技を食らっても無表情でありかなり不気味。
  • さらに背景もありがちな風景CG、PS版で追加されたエンディングムービーは、ゲーム内のモデルをそのまま使ったと思われるような閉口ものの出来。
  • シリーズものにおいて、グラフィックが「ドット絵による2D」から「ポリゴンによる3D」に変わることに対しての拒否反応は、3Dが使われ始めた当時からかなり根強かった。

評価点

ゲーム性はまんまストII

  • そんな見た目で敬遠されやすい本作は、実際にプレイしてみれば分かるのだが、まんま「ストII」である。これは貶し言葉ではなく、3Dポリゴンという絵面でありながらストIIの持つゲーム的な駆け引きや操作感覚をしっかりと落とし込めているということ。そのためストIIシリーズ経験者ならすんなり入り込める。操作性も良好でCPU戦の難易度も高くないため、格ゲー初心者でも大丈夫。
    • ストIIの醍醐味とも言える「相手のしゃがみ中キックを間合いで空振りさせてしゃがみ大キックで差し返す」「判定の強いしゃがみ中パンチを置いて足払いを潰す」といった所謂「足払い合戦」も問題なく行える。ザンギエフのスクリュー連携などもストIIのタイミングのままで使える。

独自の新システム

  • また、単なるストIIコピーに終わらない独自の新システムも搭載されている。
    • スーパーキャンセル
      • 最大3本まで溜められるスーパーコンボゲージを1本消費して使用する「スーパーコンボ」は、通常技だけでなく必殺技やスーパーコンボをキャンセルして発動可能。現在の格ゲーでもメジャーなシステムとなった「必殺技キャンセル超必殺技」という流れは本作が初出。
      • しかし、以後の作品に真似されていない本作独自の仕様として「スーパーコンボキャンセルスーパーコンボが可能」と「技の動作中ならいつでもキャンセル可能」というものがある。前者は「ゲージを使えば使うほど大ダメージが与えられる」という単純明快ながらも派手かつ爽快感を生みだしているし、後者は隙の大きい技の隙消しに利用することで、相手が大きな隙を見せた場面で反撃をするかしないか、またあえて隙を見せて相手を釣るかなどの駆け引きが生まれている。
    • ガードブレイク
      • スーパーコンボと同じくゲージを1本消費して使用できるガード不能技で、大振りで発生こそ遅いものの、当たった相手はガードをしていたかどうかに関わらずしばらく無防備な状態になる。相手に密着しないと使えない「投げ」と違って大きく踏み込んで攻撃するため、待ちの崩し方が増えた。

妙に濃いキャラクター達

  • キャラクターはストIIに登場したキャラの一部とEXオリジナルのキャラで半々。オリジナルキャラはストIIとは毛色が全く違うが、「スカロマニア」「ダラン・マイスター」などEXならではの濃い味を持ったキャラは本家にも負けない人気を誇っていた。
    • カウンター狙いが熱いほくと、起き攻めが強力なダーク、スーパーコンボによるコンボが大ダメージなジャックなど、性能面でも強く個性がつけられている。
    • ほとんどのキャラで通常技のモーションを使いまわしているのが丸分かりだが、主に必殺技の違いによりキャラ性能は大きく差別化されている。言われてみれば強足払いの動きがモータルコンバット。
    • さすがにリュウをベースにした胴着キャラが6人もいるのはやりすぎな気もするが(リュウ(白)、ケン(赤)、豪鬼(黒)、カイリ(青)、アレン(紫)、殺意リュウ)。
      • ただしリュウ・ケン以外の4人は隠しキャラであり、性能もそれぞれのキャラで大きく違うものになっている。

BGM

  • BGMはナムコでリッジレーサーの作曲をしたスタッフが製作。完全オリジナルだが良曲揃い。
  • 打撃音はペチペチと軽めだが、本作の質感には合っているし、妙に快感があると言えなくも無い。

総評

 当時ポリゴンが一般的な存在になり、ポリゴンを使ったゲームが多数出てきていたのだが、その中にあって本作はあえて「ポリゴンというグラフィックで2Dのゲーム性を表現する」という意欲的な試みが行われた作品である。
 その結果作られた本作は、見た目こそ悪いものの中身はシンプル・イズ・ベスト。初心者でも入りやすく上級者にも遊び応え十分、ストリートファイターIIで形作られた2D格闘ゲームの面白さが純粋に凝縮されたゲームとして完成しており、その魅力は現在でも消え失せていない。


バージョンアップ版

  • その後しばらくしてバージョンアップ版である『EX plus』がリリース。
    • 大味だった初代『EX』からバランス調整され、中々の対戦バランスに仕上がっている。ボスのガルダとベガも使用可能になり新キャラも追加。
  • さらに『EX plus』をベースに追加要素を加えた『EX plus α』がプレイステーションで発売された。
    • 家庭用オリジナルの追加キャラとしてダルシムとさくらが追加されている。コンパチが多い本作の中でも、どちらも既存キャラとは全く違うモーション・性能の持ち主。後にこの二人は正式に参戦した(ダルシムは『EX2』、さくらは『EX3』にて参戦)。
    • 家庭用独自のモードが追加されているのだが、特に人気が高いのが「エキスパートモード」。「画面に表示されている課題をクリアしていく」モードで、最初は基本的な連続技が並ぶが、後半はかなり難解かつマニアック。AC版をやりこんだ者でも新たな発見があった。本作のチュートリアルも兼ねており、操作性の良さもあってやり応え十分。
    • その他、チームを組んで勝ち抜き戦を行える「チームバトル」、CPUを次々と倒していく「サバイバル」、そして隠しモードとして樽を壊していく「ボーナスゲーム」も用意されており、やり応えのある充実した移植になっている。
  • ファミ通のやりこみ企画プレゼントでのみもらえた、樽壊しミニゲームのみを単独でゲーム化した限定版『EX plus α 樽』も存在する。

続編

続編として『EX2』、『EX2 PLUS』、『EX3』が製作されている。

  • 『EX2』はグラフィックが強化された本作の純粋進化…なのだが賛否両論。その原因は新システム「エクセル(エクストラキャンセルの略)」にある。一言で言えば「オリジナルコンボ」で、使うのが難しい上に使えるのとそうでないのとで実力差がかなり出るため。シンプルさを好んでいたプレイヤーには受けが悪かった。また、キャラクターも大幅入れ替えとなり、新キャラが増えた反面前作のキャラの多くが削られた。
  • 『EX2 PLUS』はEX2のバージョンアップ版で、後にPSにも移植。初代EXからプルム、ダラン、ベガが復活し、ストIIからサガット、新キャラとしてロッソとエリアが登場。演出面でも強化され、エクセルも調整されて少し使いやすくなった。さらに派手な3ゲージ技「メテオコンボ」を全キャラに搭載。やはりエクセルが『ZERO』シリーズのオリコンのように猛威を振るってはいるが、対戦バランスは無印よりも向上している。
    • プレイステーション移植版は、前作のエキスパートをさらに進化させた「トライアルモード」を搭載。さらに、もっと難しい内容の問題を解く「マニアックモード」も用意されている。また、AC版ではEX2のキャラで唯一ハヤテだけが削除されたが、PS版では隠しとして復活している。その他、キャラのリプレイを録画して好きなアングルで再生できる「ディレクターモード」等を用意。こちらも前作同様充実した内容となっているため良移植である。
  • 『EX3』はPS2のロンチタイトルとして発売された(AC版は無い)。しかし、ほぼタッグバトル強制かつ完成度の低い内容や、綺麗になったものの造形に癖のあるポリゴングラフィック等により、クソゲー呼ばわりされることもしばしば。タッグ前提なのにキャラが同時に何人も登場すると頻繁に処理落ちを起こしたり、ところどころで見受けられる妙な挙動のバグなど作りこみの甘い要素が目に付く内容。
    • エクセルやガードブレイクは廃止されたが、代わりにタッグ絡みの様々なシステムを搭載。
    • 本作の対戦モードは、タッグバトル(VSシリーズのような交代制)・ドラマティックバトル(画面に同時に出て戦う)・チームバトル(複数人でチームを組んで先発が倒されると次が出る)になっており、普通の1対1のモードがない(パートナー同時操作はCPUに任せる事が可能)。一人用のモードは最初は一人でスタートするが、前述の様々なシステムで現れる敵を倒して仲間にしつつ進んでいくと言う変則的な形式。
    • 本作独自のキャラクターエディットモードとしてエースというキャラをカスタマイズして育てることが出来る。エースを使って前作までのような「トライアル」の問題を解いていき、経験値を溜めて技を買って覚えて装備していくといった形式。しかしトライアルモードがこれに吸収されてしまったため、他のキャラ用の問題は残念ながら今作には無い。
    • スーパーコンボフィニッシュなどでなぜかアシュラ像などの画像が表示されるという謎なセンスの演出も賛否両論。
    • 本作には、前作『EX2 PLUS』に登場したほぼ全キャラ(ただしハヤテを除く)と、復活キャラでさくら・殺意リュウが登場するのだが、完全な新キャラはエディットキャラのエースしか居ない。キャラ数が大差ないことを省みた場合、本作は遊べるモードが少なく、グラフィックの質などを差し引いても前作の方が内容的に充実しており、続編にも関わらず見劣りしてしまう。

余談

  • 後に、同じアリカ開発による『ファイティングレイヤー』(ナムコ販売)というアーケード格闘ゲームが稼動しており、一部本作と共通するキャラも登場する。意欲的なシステムと個性的なキャラを売りとする作品だが、受けは悪く移植もされていないためほとんど出回っていない。しかし完成度は悪くなく、熱心なファンがいるのもまた事実である(現在も稀に大会が行われているほど)。
    • 画面にでかでかと表示される漢祭りの文字、プロレスラーの股間を突き出す必殺技、キノコを育てて戦うキャラ、猛獣と闘う一人用、「ラブソルジャー」などが見所。
  • ストEXシリーズはPS版『EX plus α』『EX2 PLUS』共に、ゲームアーカイブスでは未だ配信されていない。
  • ネット上で、「ガルダが豪鬼より強い設定になった」「カイリが豪鬼を殺害した」などでカプコンが激怒したという噂が広まっているが、アリカの三原氏本人が否定しており、これらはデマの模様
  • 3D化されたタイトルは2008年7月まで本シリーズのみであったが、同18日に『ストリートファイターIV』が稼動したことにより初めてメインシリーズの3Dグラフィック化が実現した。
  • 2011年に入ってから、EXっぽい映像が公開されたり(要アカウント)、ニンテンドー3DS上で見れるEXっぽい立体写真が公開されたりしている。