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レイジングストーム - (2010/12/02 (木) 00:44:56) の編集履歴(バックアップ)


レイジングストーム

【れいじんぐすとーむ】

ジャンル ガンシューティング
対応機種 アーケード(SYSTEM357)
販売元 バンダイナムコゲームス
稼働開始日 2009年

概要

2010年現在、『タイムクライシス』シリーズの血を継ぎ第一線で稼働する最新のガンシューティングゲーム。
キャッチコピーは「大量破壊マシンガンゲーム」「撃ちまくれ!壊しつくせ!」

ストーリー

2030年。
南米の某国で、軍の一部とテロ組織「パウロ・ゲラ」が共謀しクーデターを敢行、国の首都を占拠した。彼らの要求は不明だが、事態の長期化を予想したアメリカはこの状況を打開すべく、非公式特殊部隊SCAR(=Strategic Combat And Rescue)を投入。テロ組織のアジトを衛星ビーム砲で破壊することによって指揮官を直接叩く作戦に出る。
SCARはこれに際し「衛星ビーム砲の照準」と「暴徒の鎮圧」という命令を受け、戦火の真っ只中にある南米へと向かった----。


基本ルール

  • 基本ルールは『タイムクライシス』シリーズと変りなく、プレイヤーは銃型コントローラーとペダルを操作して進行する。要は「盾で弾を防ぎつつ、敵を殲滅して進む」のがゲームの流れ。
    • ただ今作の雰囲気は『タイクラ』というより、どちらかというと『タイクラ』の派生作品である『クライシスゾーン』の方が近いと言えるだろう(デフォルト武器がマシンガン、本家より大幅に増加した破壊可能オブジェクト、耐久力のある雑魚敵など)

『タイムクライシス』との相違点

『クライシスゾーン』の血を濃く受け継いだ本作は、本家『タイムクライシス』シリーズから多くの点が変更されており、『クライシスゾーン』の要素も更に強化されている。ちなみに『クライシスゾーン』では出来なかった二人プレイも可能になっている。

  • 武装について
    • 『タイクラ3』から採用され好評を博したウエポンチェンジは廃止。デフォルト武器はマシンガンになり、さらに状況に応じて武器が変化する。
    • 大型兵器との戦いでは状況に応じて、大型溜弾を発射する『クラスターショット』や、『ロケットランチャー』が使用可能になる。
  • 敵兵について
    • シリーズおなじみの「赤兵・黒兵・黄色兵・青兵」といった、危険度ごとの敵兵の色分けは消滅。外見で命中弾を撃ってくる敵を判別することは難しくなったが、その代わりに、攻撃してくる敵の銃口には危険を示す『サイト』が出現。サイトが出ている敵にダメージを与えることで攻撃を阻止することができる。
      • プレイ経験のある方なら『バーチャコップ』のアレを思い出してもらえるとわかりやすいだろう。
    • その他、全ての敵兵に体力が設定され、一発の被弾で死ぬことがなくなっている。それでもモブ兵士はマシンガン数発で斃れる程度の耐久力であり、爽快感を損なってはいない。
  • ライフ回復要素
    • 本作では救済措置として、仲間を救助するイベントをこなすことでライフを回復することができる。
      • 「黄色いサイト」が銃口に出現した敵は、画面内の味方を狙っている。黄色いサイトの敵を撃って攻撃を阻止することで、ライフが0.5回復する。

ステージについて

3ステージと、隠しステージ1つ。隠しステージに進むにはステージ3ラストのEXミッションを成功させる必要がある。

+ ステージ情報。隠しステージ情報を含むため注意されたい。
  • STAGE1 -遭遇-
    • 主人公の所属するアルファ・チームは地上を鎮圧するブラヴォー・チームとは別に空中からヘリで敵を殲滅していた。しかし、敵の大型機動兵器ロングレッグの攻撃に遭い、ヘリは墜落。アルファはブラヴォーと合流すべく、敵兵の集結するディアマンテ・ホテルを突破する。
    • 手榴弾や大型兵器・救助イベントなど、本昨独自の要素をひと通り並べたチュートリアル的ステージ。ホテルを利用していた民間人を避けて敵を狙撃しねばならない局面もある。
      • ボスは大型兵器『ロングレッグ』。幾多もの兵器を切り替えて襲ってくる相手に対し、ロケットランチャーで迎撃する。
  • STAGE2 -突破-
    • なんとか戦闘車両で、市街地で戦闘中のブラヴォーとの合流に成功したアルファ。だがSCARの介入を知った敵は、数々の兵器をけしかけて何としても彼らを殲滅しようとする。
    • ここから攻撃は苛烈になってくる。ボスは1面と同じロングレッグ×2。
  • STAGE3 -決戦-
    • パウロ・ゲラのアジトを見下ろすビルに到着したアルファチーム。衛星砲の体制が整うまで、彼らはビル周辺に展開する狙撃兵を排除し、照準を制御する隊員オニールの護衛をしなければならない。
    • 衛星砲が発射され、アジトが壊滅するも、敵はまだ諦めていなかった。彼らはなんとか敵の猛攻を退けるも、突如出現した4脚型機動兵器に対し甚大な被害をこうむる。
    • 辛くも4脚型機動兵器を退けたアルファだったが、驚異的な生命力で復活した機動兵器はミサイルを発射。アルファを殲滅しようとする。
      • ステージ最後のEXミッション(機動兵器のミサイル迎撃)の成否でステージ4に進めるかが決定。EXミッション中でのプレイヤーたちの足場の耐久力は、道中で取得したドックタグの数に比例して強化される。
  • STAGE4(EX) -救出-
    • 別働隊として動いていたブラヴォーは、敵に包囲されピンチに陥っていた。上層部の静止を振り切り、アルファはブラヴォーの援護に向かう。
    • なんとか敵の大攻勢を殲滅したアルファ。しかし敵は大型爆撃機という切り札を用意していた。
    • これをクリアすることで、真エンディングに進む。

長所

  • キャッチコピー通りの、破壊の爽快感
    • 『クライシスゾーン』は、初期装備のマシンガンと本家より大幅に増加した破壊可能なオブジェクトによる爽快感がウリの作品だった。今作ではその点がさらに進歩しており、『視界に入るだいたいのものは破壊できる』と言っても大げさではない。
      • 壁を撃てば壁が剥がれて下地が露出し、建物の柱を撃てば柱が砕けて鉄筋が露出。露店の果物は果汁を飛び散らせて砕け散り、給水塔を撃つと勢い良く水を吹き出しながらひしゃげ、建造物はロケットランチャーの一撃でスクラップに変わる…と、まさにキャッチコピー通りに破壊の爽快感を味わえる。勢い良く吹き飛んでいく敵や、ランチャーの一撃でズタズタに破壊される大型兵器は爽快の一言。
      • また、シリーズ恒例の攻撃オブジェクトも健在。お約束のような『赤いドラム缶』や工事現場の足場など、撃つことで敵を一掃できるオブジェクトが要所要所に用意されている。
  • ヒット数稼ぎの快感
    • クライシスシリーズからあった要素だが、先程の破壊の要素と合わせて更に熱く、かなりのスコアを稼げるようになった。
    • 敵兵を排除しつつ、壁や柱を撃ってヒット数を維持し、また敵を撃ってスコアを稼ぐ…… このような稼ぎ方のできるスポットがゲームの随所に存在する。
    • ボス戦もかなりの稼ぎどころ。なんと、シチュエーションによっては500Hit以上も普通に稼げてしまうところも。これほどヒット数を稼げるガンシューティングが他にあっただろうか?
  • ゲーム全体の雰囲気
    • 全体的にコテコテのアクション映画のようなノリで、それっぽいのが好きな人には受けることまちがいなし。
    • 有名なところだと「ナバロンの要塞」、「スターシップ・トゥルーパーズ」、一昔前なら「G.I.ジョー」を連想させるノリ。キャラは全員熱い男ばかりで、まさに『むせる』
    • プレイヤーがファインプレーをしたときには仲間がプレイヤーを褒めてくれるのだが、そのコメントもすごい。『最高だぜアルファ1!』『やばすぎる腕だぜアルファ1!!』『アルファ1、いいぞ!!』『もうオニールも超えたんじゃねぇか!?』と、これでもかと褒めちぎってくれる。

短所

  • 本作は結構難易度が高く、クリアにはなかなかのやりこみを要求される。
    • ノーミスだとステージ1後半から敵兵の攻撃速度がかなり上昇。ランク上昇によっては後半では『サイトが出た瞬間に攻撃される』ということも珍しくない。ロングレッグの薙ぎ払いレーザーの往復や、4脚型の噛み付き攻撃など、初見のプレイヤーを容赦なく葬るガンシューティング恒例の『初見殺し』要素も多数。
    • また、取得したドックタグ数で耐久力が変動するEXミッションも、ドッグタグ入手をこなしていないと厳しい戦いを強いられる。
      • ドッグタグはEXミッション前の各ステージに隠されたアイテムで、特定の場所を撃つことで手に入る。『化粧品売り場の香水瓶』『ホテルの柱』など、特に狙わなくても戦闘の余波で破壊されていそうなものも多いが、『こちらを援護している仲間のとなりの手すり』『同じのが数十枚も並んだ、ソーラーパネルの中のある一枚』など、知らなければ絶対に取れないものも多い(『隠し』要素なので仕方ないが)。 だれが仲間のすぐそばを撃つなんて考えるだろうか…。
  • だが、真の悪夢はステージ4。ここで挫折した人も多いのではないだろうか?
    + ホント最終ステージは地獄だぜぇ!!
  • まず、夕暮れ時の街に兵士のカーキ色の服装が溶けこみ、カムフラージュになってしまっている(特にステージ後半で顕著)。そのほか、撃ちにくい場所に的確に陣取る敵や、オブジェクトを倒壊させて巻き込む方法でしか倒せない高耐久の敵など、知らないと対処しづらい敵が増える。
    • 中盤の兵器救出イベントは鬼門。仲間が二体の敵に狙われており、敵を倒して阻止する必要があるのだが、『最も右にいる仲間を狙う敵』『間髪おかずにこちらを狙ってくる真ん中の敵』『真ん中の敵とほぼ同時に味方に狙いをつける敵』が同時に存在しており、知っているプレイヤーでも仲間を助けられない場合も多々ある難所。一応、仲間を狙っている敵に一発でも当てればサイトが解除されるので、流れるように掃射すれば防ぐことができるが、ここまで来ると攻撃速度もかなり上がっているので、それでも阻止できるかどうか…。
  • 問題は最終ボス。 その強さは『ガンシュー版死 ぬ が よ い』とも言ってしまってもいいだろう。
    • 攻撃頻度がかなり高く、かつ高速。6~7連続でサイトが出現することもザラにある。それに加えて砲台にシールドがなされており、的確に攻撃中のタイミングで狙い撃たないと破壊できない。このような砲台が10基以上ズラリと並んでプレイヤーを圧殺しようとしてくる。
    • 唯一の救いは、砲台の全てがシールド仕様でないことと、ある程度砲台を破壊したら時間経過で先に進めるということ。もし完全破壊が撃破条件であったら、多くのガンシューターが挫折を味わうことになっただろう。
  • 物語が『終わらない』。
    • どういう事かというと、実はこのゲーム、『俺達の戦いはこれからだ』といった感じのエンディングなのだ。
      • ちなみに、この『これから』エンディングは「真エンド」である。ドッグタグをコンプリートしようが、ラスボスを全て部位破壊しようが変わらない。猛攻をくぐり抜けクリアしたプレイヤーは肩透かしを食らった。
  • 筐体がデカい。
    • ガンシュー共通の欠点ではあるが、筐体がでかく設置場所に困るのはお店側にとって大きな問題点。SYS357というPS3互換の基板を使っていたため、恐らくは値段も高かったものと思われる。強力な振動機能を組み込んだガンコントローラーのメンテナンスも大変であろう。
    • ちなみにこのガンコンは『タイクラ』よりも大きなサブマシンガン型となっており、勿論強力な振動機能のおかげもあって重い。腕の疲労は射撃精度に関わることは言うまでもない。プレイヤーにとっても無視できない欠点である。
      • 『クライシスゾーン』のモノにはついていたフォアグリップがオミットされたのも、地味ながら気にかかる。もっともあちらはグリップが銃身とほぼ垂直についている(腰だめ撃ちでないと辛い)ため、一概にあちらが持ちやすいとは言えないが。
    • 以上二つの理由から、設置店舗はやや伸び悩んでしまった感がある。

ツッコミどころ

また、このゲームはツッコミ所が多いのも有名。例を挙げるとキリがないので、有名なものだけを抜粋する。

  • まず、SCARは強すぎる。クライシスシリーズでも「ただの訓練された人間」であるはずのプレイヤーが超人的な動きを見せることがあったが、このゲームのSCAR隊員はそんなモノを超えている。
    • 盾の耐久力が異常なまでに高い。ヘリを撃墜したロングレッグのビームだろうが、巨大4脚歩行兵器のアームの薙ぎ払いだろうが、おまけにラスボスの街一つ焼き払えそうな極太ビームだろうが防ぎきる。 「ゲームだから」と言ってしまったらそれまでなのだが…。
    • また、もはやモビルスーツクラスの大きさである大型兵器ロングレッグやラスボスが「本当に個人携行型の重火器で倒せるのか?」 という疑問も出てくる。ロングレッグは『ビーム砲という弱点を付いたから倒せた』と脳内補完するとしても、ラスボスはシリーズ史上最大の、超弩級の爆撃機である。どう考えても人間、しかも小隊程度の規模の人数で撃墜できる相手ではない。
      • ラスボスと相対した隊員の一人が『世界最強の兵士の力を見せてやる!!』と意気込むのだが、『十分生身の人間の領域超えてるよお前ら』と心中で思ったプレイヤーは少なくないだろう。
  • また、作戦もおかしい。
    • まず、衛星砲などという大掛かりな兵器を使うなら非正規軍のSCARがわざわざ出動する必要はないはず。というよりクーデターの鎮圧という大義名分があるのだから、普通に軍隊を送ればいいのでは?
    • アメリカが極秘裏に事を進めたがっているとしても、街中でドンパチ鎮圧作戦というのは非公式の部隊としてどうなのだろうか。パウロ・ゲラに逆にSCARの存在を公にされればアメリカの立場が悪くなることは明らかである。
      • これらの前提を無視したとしても、衛星砲を使うなら、何故いちいち狙撃兵を排除する必要があるのか(ビル到着の時点でアジトの警備兵はSCARに気づいていない。データ転送なり何なりその隙にやればよかったはずである)、何故人質と思しき人間をわざわざ確認したにもかかわらず平気で人質ごとぶっぱなしたのか(人質など最初からいなかったかのように話が進む)、疑問は尽きない。

他にも突っ込みどころは多いが、それはプレイヤーの目で確かめてみてほしい。これを笑いどころと取るか、設定の練り込み不足と取るかはあなた次第。


総評

『クライシスゾーン』の10年来の再来は、先祖の名はもちろん『タイムクライシス』本編と比べても見劣りしない良作であった。
破壊のカタルシスを求める人や、クライシスシリーズの停滞を嘆く人には是非やってもらいたいガンシューティングだ。

移植

  • 2010年10月21日、バンナムの人気ガンシューティングをひとまとめにした「ビッグスリー ガンシューティング」の収録作品として移植された。
    • 移植に際しタイトルが『タイムクライシス:レイジングストーム』と変更され、本ゲームが正式なクライシスシリーズの続編(外伝)と位置づけられていることが判明した。
    • 移植度はなかなか高く、本編の『これから』エンド後を描いたストーリーモードの他、オンライン対戦機能やミニゲーム「プリズンスナイパーモード」も搭載。プレイバリューのある骨太な一作となっている。