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スナッチャー - (2011/05/08 (日) 14:41:37) の編集履歴(バックアップ)


SNATCHER

【すなっちゃー】

ジャンル ADV
対応機種 PC-8801mkII以降、MSX
発売・開発元 コナミ
発売日 1988年11月

写真はPCエンジン版


概要

サイバーパンクアドベンチャーと称する名作アドベンチャーゲーム。小島秀夫監督の映画的作風を確立し、またゲームデザイナーとしての名を知らしめた作品。

特徴

  • ゲームの形式はコマンド選択式のアドベンチャーゲーム。ただし一部にガンシューティング的ミニゲームなど、単調にならないための要素も含まれている。
  • サイバーパンクアドベンチャーというジャンル名通り、近未来の埋立地ネオ・コウベ・シティを舞台としている。世界観はやや暗めで退廃的な雰囲気に包まれているが、これは映画『ターミーネーター』及び『ブレードランナー』の影響による。小島監督自身も「特にブレードランナーに影響を受けた」と口にしている。
  • 言うまでもなく、小島監督独特の映画的手法が今作でも発揮されている。OPからEDまで、まるで映画を見ているかのような印象を受ける。EDにいたっては、まるで映画のスタッフロールのごとく延々10分以上もスタッフ名のスクロールが続く。
    • もっともEDに関しては、やや自己満足的なものも。本作には、当然映画のような大人数が関わってる訳ではない。そのため、担当名こそ映画のように多いが、出てくる名前は同じものばかりという事に。
  • ストーリー、演出共にさすが小島秀雄監督と言える秀逸なもの。
  • 前述した映画2作以外にも多くの作品のオマージュ、パロディが見られる。もっとも一部には著作権上問題があるようなものも見受けられる。
  • 残念な事に、ストーリーは未完のまま終わる。その続編はADVとしてPCで作られる事はなかった。

難点

  • 近年ではあまり見ないコマンド選択式のアドベンチャー。現代のゲームに慣れているとかなり面倒に感じるかもしれない。
  • 以降の小島監督作品にも見られるように、モチーフとした映画の影響がやや…というよりもかなり強い。これをオマージュと見るかパクリと見るかは議論の分かれる所である。
  • 先述の通り、未完で終わる。

ストーリー

1991年モクスワ、チェルノートン研究所において事故が発生。だがそこは細菌兵器の研究所だったのだ。事故により、非常に強力な細菌ルシファーαが空に撒かれる。ルシファーαは風に乗り、ユーラシア大陸各地へと伝染。その結果は凄惨なものとなる。なんと人類の半数が死滅したのだ。後に大惨事と呼ばれるバイオハザードであった。

それから半世紀、2042年。瀬戸内海を埋め立てたネオ・コウベ・シティでは奇妙な事件がおきていた。それは人間が知らない内に、ロボットに摩り替わり、本人に成りすましているというものだった。ロボットはボディに人造の皮膚を付け、本人と入れ替わる。その人造皮膚は汗をかき、血を流す。正に生体そのもの。そのため外観からは本人と区別がつかない。しかもその目的も、どこから来たのかも全く不明。やがて彼らは、人間と摩り替わる事から、スナッチャーと呼ばれるようになった。

主人公であるギリアン・シードは、3年前妻ジェミー・シードと共に、誰も居なくなったシベリアで発見された。だが当時の二人には全く記憶がなかった。その後ギリアンは軍に入り、社会に馴染んでいく。だが一方で、ジェミーとはうまくいかなくなり別居してしまう。
やがて彼は特殊部隊を経験後、スナッチャーを狩るための部署、JUNKERへと配属される。そしてその本部のあるネオ・コウベ・シティへとその身を投じる。

総評

小島秀雄監督の評価と、その後の小島作品の方向性を決定付けた作品。小島秀雄監督は、元々映画監督を志望していたが、それをゲーム上で具現化したものが本作と言える。当時ゲームとしてSFそのものは珍しくないものの、映画的な面も含めその緻密な作りは他とは一線を画していた。 まさに映画を見てるかのよう。そういう作品である。

余談

  • 先述の通りパソコン版(PC88/MSX2)は未完のまま終わっているが、MSX2でのみ完結編までを収録した完全版が出ている。
    • その名も『SDスナッチャー』。キャラがSD化されジャンルもRPGに変更されているが、シナリオはPCE版スナッチャーよりも濃密である。
  • 今や小島プロダクションの看板シリーズとなったメタルギア(ソリッド)シリーズに登場する兵器『メタルギア』だが、本作でも主人公の業務サポートを行う小型の二足歩行ロボット『メタルギアmk-II』として登場している。なお、SDスナッチャーではメタルギアmk-IIに代わり、更に小型である『プチメタル』が登場する。

PCエンジン版

SNATCHER

【すなっちゃー】

ジャンル ADV
対応機種 PCエンジン スーパーCD-ROM2
発売・開発元 コナミ
発売日 1992年10月23日
定価 7,800円

概要

本作のPC版は話が未完のまま終わっていた。その後、PCではアドベンチャーゲームとしての続編は出る事はなかった。それを完結させ、PCエンジンへと移植したのが本作である。媒体は当時のコンシューマーでは主流だったROMではなく、最先端メディアのCD-ROMであった。

PC版との違いと特徴。

  • OPとEDが差し替えられている。PC版はのOPはバラード調だったが、本作はジャズ調になってる。またやたらと長かったEDは、さすがに標準的な長さとなった。
  • ガンシューティングの要素は元々あったが、さらに増加した。
  • キャラクターにボイスをつけている。当時はゲームのほとんとが容量の少ないROM媒体であったため、ボイスをつけることができなかった。今作でボイスが付けられたのはCD-ROMという媒体を使った部分が大きい。ただしさすがにフルボイスではない。
  • PC版は本作も含め、他機種にも移植されている。しかし海外版は子供への影響等を考えた修正、PS版&SS版は当時の事件の影響から残虐シーンにモザイクがかかるなど、元となっているPC版のイメージを必ずしも再現できてはいない。このため、本作が唯一の完全版ともいえる。