「フロントミッション3」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
【ふろんとみっしょん さーど】
ジャンル | ドラマチックシミュレーションRPG | |
対応機種 | プレイステーション | |
メディア | CD-ROM 1枚 | |
発売・開発元 | スクウェア | |
発売日 | 1999年9月2日 | |
価格 | 6,800円(税抜) | |
レーティング |
CERO:B(12歳以上対象) ※アルティメットヒッツ版で付与されたレーティングを記載 |
|
備考 |
スクウェアミレニアムコレクション:2000年9月28日発売/3,800円 PS one Books:2002年1月17日発売/2,500円 アルティメットヒッツ:2006年10月5日発売/1,500円 ゲームアーカイブス:2009年3月25日より配信/600円 ※表示価格はゲームアーカイブス以外全て税抜 |
|
フロントミッションシリーズ関連作品リンク ※リンク先は行 |
西暦2034年、アフリカ紛争。 2090年、第二次ハフマン紛争。 2102年、アロルデシュ・クーデター。
そして、西暦2112年。OCU日本にて――
霧島重工のテストパイロットを務めながら横須賀高専に通う19歳の青年「武村和輝」は、親友であり同僚の「草間亮五」と共に新型ヴァンツァーを納品する為、日防軍横須賀基地を訪れる。
だが、二人がヘリから積荷を降ろした瞬間、基地の地下で謎の爆発がおこった。その爆発を機に、二人は全世界的な陰謀の渦中へと引き込まれていく。
帝北大学から特例的に横須賀基地へ出向していた、和輝の同い年の義妹「武村アリサ」。
敵国USNから密入国してきた若き女性科学者「エミール・クラムスコイ(エマ)」。
物語はこの二人の女性を中心に、二つの展開へ分岐していく。
MIDASとは? イマジナリーナンバーとは? アリサとエマ、全く接点のない二人の過去に秘められたものとは?
紆余曲折を経て国外に飛び出し、愛する者のためにアジア圏を転戦することとなった和輝は、戦地で出会った仲間達に支えられ、策略に陥りながらも徐々に謎の真相を知り、黒幕へと近づいていく。
近未来、パーツの換装が可能なロボット兵器「ヴァンツァー」の活躍と、その搭乗員たちが繰り広げる人間ドラマを描いた、スクウェアの鉄と硝煙が漂うシミュレーションRPG『フロントミッション(FM)』シリーズ。本作『3』はナンバリングタイトル3作目として、またPSで展開された最後の作品として世に出ることとなった。
ちなみに本作は『オルタナティヴ』を含むナンバリングタイトル中では、最も未来の時間軸に位置する物語である。
キャッチコピーの「さらに深く、速く、リアルに。完成された第三のドラマ。」の通り、本作は前作『2nd』で酷評されたロード問題を完全解決し、システムの一新によって前前作から続いていた問題点の大半に解答を出すと共にやり込み要素を向上させた。
ストーリー面では、エマ編・アリサ編の2つにシナリオが分岐し、日本を始めとした東・東南アジア全域を舞台とするスケールの大きい物語が展開する。
一方、アクの強い主人公や「フロミらしくない」壮大・かつライトな物語には、特に過去作のファンから賛否両論の声が上がっていることも事実である。
シリーズ随一の衝撃的なストーリーが光る『1ST』、シリーズ集大成の『5』とまではいかないものの、本作を「シリーズ最高傑作」に挙げるユーザーは決して少なくない。
本作のシステムは戦闘・成長面いずれも、前2作から大幅な変更・簡略化が行われた。
堅実にまとまり、ストレスを感じさせないシステムは、本作の評価を大きく押し上げている。
本作のユニット強化は「ヴァンツァーパーツの改造」・「スキルの獲得」・「パイロットの熟練度アップ」という三つの要素から成り立っている。
グラフィックは前作と比べ、格段の進歩をとげた。
BGMはこれまでのナンバリングタイトルを担当していた松枝賀子が降板。『超兄貴』や『ラストハルマゲドン』で知られる葉山宏治と、様々なジャンルで編曲・楽曲提供を行っている松尾早人が連名で担当している。また、Shigekiが「政府」を作曲している。
前述の育成もそうであるが、詰将棋・クリアランク・ネットワーク・シミュレーションなど、本作ではやり込み要素の拡充が図られている。
シミュレーション戦闘を行うミッションパートでは、歴作と同じく「マス目状マップでのターン制戦闘」が行われる。
ミッションが終了するごとに挟まれるインターミッションではセーブ・ロードと、ネットワークに接続して各種情報のやり取りや、ネットワークショップを使ったヴァンツァーのセットアップを行う。
この「天網」と名付けられた疑似ネットワークは非常によく出来ており、本作を語る上では外せない要素の一つに数えられている。
インターミッションを抜けると殆どの場合、FMシリーズではお馴染みの次の舞台となる地区・場所へ移動するロードマップ演出が挿入される。
歴作のインターミッションの慣例である都市の描写も変わらず存在する。
本作はシリーズ唯一の、ダブル・フィーチャー・シナリオなるシステムを採用している。
作品の主題として、本記事冒頭でもタイトル画面から引用した『人類は何も学ばない』というテーマがある。
+ | 「バ和輝」たる由縁 |
前作までの不満点を見事に解消すると共に、優れたゲームシステムを構築した集大成的な作品であり、シナリオの新たな方向性を模索した意欲作でもある。
単体のSRPGとして見れば、間違いなく名作~傑作の部類に入る作品であろう。
しかし、「硬派で渋いフロントミッション」が好きな一部古参ユーザーや、主人公の性格が受け入れられなかったユーザーから「こんなのフロミじゃない」「フロミでやる必要があるのか?」などと叩かれることも少なくない。
FMシリーズは作品ごとの良点・欠点が分かりやすい傾向にあるが、本作はとりわけ既存作との差が激しかった事が災いしたと言える。
気軽にさくさくプレイでき、なおかつ尋常でないボリュームをもったシミュレーションバトル。
ノリこそ軽いが熱い部分が光り、クライマックスの重い展開は他のシリーズにも劣らないシナリオ。
90年代末期の熱気と、制作陣の熱意が伝わってくる作り込み。
ゲームアーカイブスで手軽にプレイできるようになった今、フロントミッションの一つの終着点をぜひ体験してもらいたい。
日本アニメ史に燦然と輝く押井守監督の2作品『機動警察パトレイバー the Movie』(劇パト)と『機動警察パトレイバ―2 the Movie』(劇パト2)。
本作にはこの二作を強く意識したような点が妙に多く見受けられる。
+ | 類似点・三作品のネタバレ要素を含むので注意 |
ちなみに警察がらみのネタとしては他にも、ドラマ『踊る大捜査線』のパロとして、『もえる大捜索線』なる映画の撮影に日本警察がヴァンツァー隊を出して協力した、という情報が日本警察機構のフォーラムで掲載される。また、本作の登場人物の一人「新条美穂」のモデルは、『踊る』の登場人物である、水野美紀氏が演じた「柏木雪乃」であることが知られている。
作品に関する一言感想や編集関連の報告などにお使いください。