「XANADU」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

XANADU - (2012/03/11 (日) 00:49:09) の編集履歴(バックアップ)


XANADU

【ざなどぅ】

ジャンル アクションRPG
対応機種 X1
PC-8001mkIISR
PC-8801mkII、同SR以降(両者は個別発売)
PC-9801
FM-7/77
MSX/MSX2
Windows
発売・開発元 日本ファルコム
発売日 【X1】1985年11月03日
定価 【X1】7,800円
ドラゴンスレイヤーシリーズリンク

写真はWindows復刻版


概要

 『ドラゴンスレイヤー』シリーズの第2弾にして、日本ファルコムをスターダムに押し上げた名作RPG。日本のPCゲーム中最大の売り上げ本数記録を保持しており、その記録は2011年現在でもいまだ破られていない。
 「ダンジョンをめぐりながら主人公を成長させ、最終的にキングドラゴン「ガルシス」を倒すのが目的」とストーリー自体は王道なのだが、他のアクションRPGと比べてもパズル要素(謎解き要素ではない)が非常に強い作品となっている。

特徴

モンスターの数は有限

  • ザナドゥをザナドゥたらしめる最大の特徴。ザコ敵は4回までしか復活しない。ボスモンスターは復活しない。
    モンスターの数が有限という事は得られるリソース(資金・経験値・アイテム)も有限という事である。その上限は「有り余るほど」と言う訳ではなく、基本的にカツカツの状態が続く。さらに後述する独特な成長システムがあるため、得たリソースを上手く配分することが求められる。

キャラクターの成長システムが独特

  • キャラクターのレベルアップは自動ではなく、一定以上の経験値を積んだ後寺院に入ることで行えるのだが、武器で敵を倒すと戦士(Fighter)の、魔法で倒すと魔法使い(Wizard)のレベルに経験値が入る。剣と魔法、どちらかのみで進めるというのは現実的ではないため、どのように経験値を配分するかが問題となる。

武器・防具・魔法は使い込むことで成長する

  • 武器・防具・魔法は戦闘時に使用することで成長していく。手にしたばかりの状態と扱いに熟練した状態を比べると、その性能は雲泥の差。ただし、いくら使い込んでも序盤の武具が終盤まで通用するわけではないため、「いつ武具や魔法を買い替え、成長させるか」という点も考えなくてはならない。
    • そして終盤にはガルシスを倒せる唯一の武器が登場するが、これがガルシス戦以外ではロクに使い物にならず、かといって鍛えなければガルシスには歯が立たないことに留意しておく必要がある。

「時間」の概念がある

  • 本作には時間の概念が存在しており、アイテムの効果や食糧の消費などに影響する。
    特に厄介なのが食料。時間経過で減っていく代わりにその分だけHPが回復するのだが、食料がなくなると今度はHPが減り、やがて餓死する。レベルが上がって最大HPが増えると死ににくくなる代わりに食料の消費が激しくなる。食料は店で買うか敵を倒すことで手に入るのだが、店で買わないととてもじゃないが足りない。そうすると食糧確保のための資金が必要になるのだが、お金は武器や防具、魔法にアイテムといくらあっても足りない。しかもレベルアップするほど物価が上がっていく…。

このような要素が存在するため、計画的にモンスターを倒していかないと、最終的に手詰まりとなってゲームを最初からやり直すハメになる。これがザナドゥが「パズル的RPG」と言われる最大の理由である。

「垂直の上り下りが基本」という独特なフィールド構成

  • 大半のRPGの場合、舞台となるフィールドは「水平な世界を基本とし、そこにダンジョンが点在する」という構成になっている。地下や天上世界といった高さ&階層の概念が存在する作品もあるが、それにしてもやはり基本は水平世界である。
    しかし、ザナドゥでは垂直に連なる全10階層のフィールドを登ったり降りたりしながら冒険をする。また、各地には「タワー」と呼ばれる建物が点在しており、中にはモンスターやアイテムが多く配置されている。これがダンジョンの役割を果たしている。
    • フィールドとタワーでは操作性が全く変わってくる。フィールドでの操作は2Dアクションゲームに近く、2段ジャンプを駆使したりアイテムを使って道を切り開いたりする必要があるため、目的のタワーに向かうのに工夫が必要。これも「パズル的RPG」と呼ばれる要因の一つ。ただし移動やジャンプはブロック単位で行われるため、アクションゲームのような微調整はできない。
    • 一方、タワー内は初代『ゼルダの伝説』のように、水平で4方向を壁(隣への道や扉は壁の中央にある)で隔てられたフロアを上下左右に歩いて探索する。隠し部屋(アイテム使用で道を切り開いたり、別の場所から入れたりする)や、施錠された扉(開けるには鍵が必要。手に入れるには敵から奪うなり買うなりする)なども存在する。

単純だが頭を使う戦闘

  • モンスターとの遭遇はフィールドではシンボルエンカウントで、敵に触れると戦闘画面に切り替わる。タワー内では各フロアにモンスターが展開しており、画面が切り替わることなくそのまま戦闘に突入する。また、一部のタワーには大型のボスモンスターがいるのだが、この場合のみ垂直フィールドでの戦闘になる。
    • 戦闘方法は直接ぶつかる事による打撃攻撃と、遠距離からの魔法攻撃。防御の操作はないが、キャラクターの向きで防御力、回避率に修正が入る。正面は防御力、回避率が高く、背後は逆に大きく落ちる。敵によってはどちらを向いているかが分かりにくいのがちと難点か。
    • 魔法は単体への攻撃魔法と全体攻撃魔法しかないが、「ダメージを受けることなく敵を倒せる可能性がある」という利点があるため重要。また、魔法には属性(全9種)が存在し、モンスターによって効果が大きく分かれるので使い分けないといけない。ちなみに回復や補助魔法などは存在しない。その役割はアイテムが担う。
    • 前述したとおり、「武具や魔法は使い込むことで成長する」。バランスよく敵を倒さなければならないだろう。
  • また、本作独自の設定として「カルマ」が存在する。
    • これは「一部の善良なモンスターを倒すと罰として「カルマ(宿罪)」というパラメータが上昇する」というもので、カルマが上昇すると物価が上がったり、寺院に入れずレベルアップができなくなったり、ラスボスに会えなくなったりする。カルマを下げるアイテムはあるのだが、有限な上にペナルティが存在するため、上げすぎてしまうと詰みになる。
      • そして、詰みになるほど意図せずカルマを上げすぎるのは意外と簡単である。
    • つまり、カルマモンスターの存在自体が罠である。当然ながら配置もいやらしい。

難点

  • 難易度が高く、他のRPGと比べてもとにかく行き詰る要素が多い。
    • 前述のリソース管理に加え、ダンジョンそのものにもパズル要素が含まれるため、頭を使わないと目的地に到達すらできない。
      そのため、どのようにゲームを進めるか計画を練らなければならないのだが、初見では敵の配置がわかるはずもなく、計画の立てようがない。
      したがって、何度もプレイしてダンジョンや迷路の構造、敵の配置を調べ上げてから計画することになるのだが、マッピングをするだけでもかなりの手間がかかる。
    • 「何度も何度も何度も何度も詰まってその度に覚え直す」ことが当たり前のゲームバランスであるため、攻略には相当の根気と仕様を理解できるだけの頭脳が必要になる。当時の雑誌では本作の攻略法が広く取り上げられていたが、それは本作がメジャーな作品だからというだけでなく、「自力じゃ無理だけどどうしても解きたい!」というニーズに答えた結果でもあったのだ。

総評

 日本のRPG黎明期の代表作にして、日本ファルコムをパソコンRPGのトップメーカーとして位置づけた作品。
 ゲームとしての完成度は非常に高く、特異なゲーム性が際立っている一方で難易度もまた非常に高い。「RPGとは苦労してクリアするもの」という発売当時の風潮を端的にあらわした作品といえる。そもそも、冒険を始める前からラスボスを倒すまでの緻密な計画を立てねばならないRPGなど他にあるだろうか?
 RPGにおける孤高の存在。それが『ザナドゥ』である。

余談

  • 続編に『ザナドゥ シナリオII』がある。新たに重量の概念が追加されアイテムの所持量が制限されるなど難易度はさらに上がっているが、資金を無限に稼げる*1ため終盤のハマリは緩和された。
  • 本作はT&Eソフトの『ハイドライド』と人気を二分しており、日本ファルコムとT&Eは多くのパソコンゲーマーからライバル関係と見なされるようになっていく。RPGのトップに躍り出た本作に対して、『ハイドライド』の続編である『ハイドライドII』は理不尽なほど高すぎる難易度が災いし、本作ほどの人気を得ることが出来なかった。
    • このライバル関係が絡んでいるかどうかは不明だが、プラットフォームによってはハイドライドと名前をつけることで極端に低いステータスにされることがある。これ以外にも他社の名前やゲームにまつわる名前を入れることで色々と面白い(場合によっては不愉快な)ことが起こる。
  • 1980年代前半は、「ゲーム攻略」が本格的に市民権を得るようになった時期でもあり、パソコンゲームを扱う雑誌はこぞって本作の攻略法を載せていた。パソコンゲームにおける攻略本の人気シリーズ『チャレンジ!!AVG&RPG』シリーズ(電波新聞社)の第1弾が発刊されたのもこの年であった。
  • 本作品の移植となるはずだった作品に『ファザナドゥ』がある。一応日本ファルコムの許諾を得ており、ゲームの出来は悪く無いどころか十分良作といえるのだが、ゲーム内容は完全な別物であった。なまじ「ザナドゥ」の名を冠したせいで過剰に叩かれてしまったきらいがある。
  • 本作やそれに続く『ロマンシア』など、「ドラゴンスレイヤー」シリーズの高すぎる難易度への反省として「今、RPGは優しさの時代へ。」というキャッチコピーで発売されたのが、後に日本ファルコムの看板タイトルとなった『イース』である。