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ヒットラーの復活 TOP SECRET - (2011/02/13 (日) 16:29:20) の編集履歴(バックアップ)
ヒットラーの復活 TOP SECRET
【ひっとらーのふっかつ とっぷしーくれっと】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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カプコン
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発売日
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定価
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概要
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アーケードゲーム『トップシークレット』を原型を留めぬほど大幅改良、スケールアップ。アレンジ移植の名を借りたオリジナルの2Dアクションゲームである。
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世界観やストーリー、作品全体の雰囲気は微妙にSFなだけで泥臭い戦争モノなので硬派。そして、その危険極まりないタイトルが意味するものとは?
原作「トップシークレット」との違い
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トップシークレットの特徴であった、「ジャンプはできないが代わりにワイヤーを特定の部位に引っ掛け、そこから振り子の動作で別の足場に飛び移る。あるいは真上の足場へワイヤーを使って登る」というワイヤーアクションを改善(ワイヤージャンプ中の再度のワイヤーの使用および銃の発砲を可能に)したことで、ゲーム性が爆発的に向上。
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そして、純粋な面クリア型であった所にストレスにならない範囲で発売当時流行していた「RPG要素の追加」が加えられ、硬派・センセーショナルでいながらも熱い男達のストーリーを追う楽しみが増えている。
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ストーリー的には「トップシークレット」での出来事は一切無かった事になっており、スーパージョーが最重要キャラとして描かれている分むしろ「戦場の狼」の続編に近い。
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戦闘シーンは「通信室でボス部屋のドアを開けてもらう」要素以外は、ほぼ純粋な面クリア型アクション。アクション大好きっ子の邪魔には一切なっていない。
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面単位でのマップ方式の採用、最大体力の要素の追加、面開始前に武器やアクセサリーが選択可能、自軍敵軍中立軍問わず聞き込みが可能な情報・アイテムの収集場であり戦闘が無い中立エリアの存在などなど。
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序盤のある中立エリアにおいて、このストーリーの発端となった敵軍の総統ワイズマンとまで面と向かって会話が出来る。それは最大限に本作の雰囲気を盛り上げている要素であり、ある意味中立エリアとして生々しい機能が成立しているといえる。
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多くのプレイヤーからゲーム内容的にもストーリー的にも「ファミコン史上に残る傑作」と評され、問題点もなかなか挙げられない。
長所
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ワイヤーアクションの爽快感
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ある程度の慣れは必要だが、自発的なジャンプが不能という根本的制限を忘れてしまうほど爽快に素早く移動できるので病み付きになる。熟練すれば、無茶な移動や天井通過テクニックなどマップを縦横無尽に駆け巡るハチャメチャなプレイさえ可能になる。
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ストーリー展開、各所セリフの臨場感と熱さ
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ネタバレとなるので細かい言及は避けるが、通信室でのセリフ・中立エリアでのセリフ・ボスのセリフ・敵兵のセリフ・エンディングなど、基本的にどこもかしこも熱い。本筋にあまり絡まない所で一部明らかに笑わせに来ているネタゼリフなどもあるなど全方位で隙が無い。ほぼ全てのセリフが必見、といっても過言ではないだろう。
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戦闘の熱さ
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様々なシチュエーションの中で、様々な種類の敵兵やボスが待ち構える。正統派な武装の兵士から、とんちんかんな武装の兵士、いかにも「帝国」らしいなんだかよくわからないメカやトラップなど、ある意味本来の戦場の雑然とした感じが出ている。
短所
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武器・および補助アイテムのバランスが悪すぎる
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武器は完全に「ロケット砲」無双。工夫次第でザコもボスもラスボスも瞬殺可能。
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しかも、他全ての武器が「ロケット砲」の下位互換といっても過言ではない。終盤、イベントを経て入手する最後の武器にいたってはまさかの最弱武器という罠。
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補助アイテムは、1機につき1回だけ体力を完全回復させる「くすり」以外は効力が弱すぎ存在意義皆無。
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コンティニューの仕様が面倒
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乱入ステージで大型敵を倒すと残す「勲章」を入手しないとコンティニュー不能。勲章1つにつきコンティニュー1回補充。
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パスワードやセーブなど、途中で中断する方法が一切無い
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展開やパターンを把握していても、普通のプレイでは1時間はかかる。クリアできるようになっていないなら何時間でもかかる。
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後述のGBアレンジ移植「バイオニックコマンドー」ではパスワードコンティニューが追加された。
ハーケンクロイツの呪縛/本作の海外展開について
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本作は上記の通りなかなか問題点(短所)が挙げられない。それはタイトルのインパクトが凄過ぎるせいで、長い間それ以外の問題点がその陰に隠れていたからである。
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しかも、クライマックスとなる場面で実際にヒトラー(ゲーム中ではヒットラーと表記)が復活。そして再び倒す際にファミコン離れした過激な残虐表現が挿入されるなど、タイトルに負けてなるものかと内容まで非常にセンセーショナル。
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日本ではそれほどでもないが、欧米、特に欧州ではナチス関連の宣伝が禁止され、創作物の題材に使用するのも非常に難しいという事情がある(イスラエルは言わずもがな)。
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その難しさたるや、日本の創作物どころか、ハーケンクロイツとよく似た形状である卍(まんじ)に対しても容赦はない。事実、カプコン以外のとあるメーカーがナチスハンターに警告された、ある漫画のドイツ語版だけハーケンクロイツが別のに変更された、ハーケンクロイツの巻き添えで卍まで忌避されている、といった逸話まである。
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その危険すぎるタイトルと内容のせいで、海外では原作「トップシークレット」の海外名であった『バイオニックコマンドー』名義で発売されている。
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国内版からの変更点は全セリフの英語化、ハーケンクロイツの修正、一部固有名詞の変更、敵の配置の激化、コンティニュー機能の削除。それ以外は同一。
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そして肝心のヒットラーであるが、今ではリメイク版でご存知の通り名称が「マスターD」となっている。見た目は国内版から変更無しなので、海外でのプレイヤー達が「ヒットラーじゃねえか!」と総ツッコミする様が目に浮かぶようである。
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が、北米では日本語版にあたる本作を欲しがる不謹慎なプレイヤーが現在も後を絶たないとか。
ハーケンクロイツの呪縛より解き放たれたパラレルワールド/初代GBへのアレンジ移植
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本作は初代ゲームボーイにアレンジ移植されている。タイトルは「バイオニックコマンドー」。
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ゲーム展開、おおまかなストーリー、登場アイテム、ライバルとなる敵幹部「ライル=ハインダー」の追加など、一部変更があるものの基本的には同じ。
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しかし、敵味方背景などのありとあらゆるデザイン、ヒットラーおよび敵軍「帝国」の扱いが徹底的に変更されている。
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まず、ヒットラーにあたる人物そのものが削除されている。ヒットラーの役割はワイズマン総統がそのまま兼任し、順当にラスボスに昇格する自然な形をとっている。
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ヒットラーは元々ストーリーにそんなに関わっていない上、ナチスがらみの要素の完全削除によって海外進出もスムーズに可能になる…という点を考えるとこの変更は純粋に成功であったといえるだろう。
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最大の変更点であり、「ヒットラーの復活」ファンの間で最も賛否両論を巻き起こしたであろうと思われるデザインの徹底変更。なんと、デザイン全般が「90年代前半のSFアクションアニメ」のように超ライトに変更されているのだ。
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主人公ラッドは赤い全身タイツに銀のSFっぽいボディアーマー、半透明バイザーにロックバスターのようなSFっぽい銃を装備した細身でハンサムなお兄さん…という思い切りの良すぎる変更。原作ラッドのターミネーター風サングラス・バズーカ・腰に丸めて下げたワイヤー・あとは普通の軍服…という姿からは全く想像できない変更である。
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他にもアゴヒゲが似合うイケメンになったスーパージョー、コロコロ漫画のラスボスのようないでたちになったワイズマンなど。原作を知れば知るほど、豪快に変更された世界観にあまりにもピッタリ過ぎ原作のはるか斜め上をカッ飛ぶキャラクターデザインに驚くだろう。
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ここまでは変更点の説明ばかりになったが、以下本作ならではの長所を挙げる。
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パスワード制の採用、影の薄かった武器やアイテムの強化、落下速度の大幅低下に伴うワイヤー操作の自由度の更なる向上、ボスやステージの追加など、原作での短所を改善する形での変更点が非常に多い。
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特筆すべきは、原作のロケット砲にあたる武器「グレネードランチャー」の大幅下方修正。攻撃力が大幅低下し、無双とは到底いえない性能に。元々の連射力の無さ、貫通力が裏目に出るといった弱みが露見する場面が多くなり、他の武器の使用を検討する必要もある。
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名作との誉れ高い原作「ヒットラーの復活」にもっと磨きをかけようという、開発陣の意気込みが伝わってくる力作である。原作ファンにこそプレイして欲しい作品である。