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メタルマックス - (2012/08/11 (土) 12:12:58) の編集履歴(バックアップ)


メタルマックス

【めたるまっくす】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 データイースト
開発元 クレアテック
発売日 1991年5月24日

|価格|7,800円(税抜)|~|

備考 バーチャルコンソール:2010年4月27日/500Wiiポイント
メタルマックスシリーズリンク

概要

  • 荒廃した未来の地球を舞台に、戦車に乗って旅をしていくという一風変わったRPG。
  • キャッピコピーは「竜退治はもう飽きた!」
  • ちなみにタイトルの由来は「装甲満タン」の英訳、どこで使う言葉かは今作を遊んだ人ならわかるよね?

システム

戦車

  • 本作最大の特徴であり生命線。一般的なRPGの場合、人間は生身であり、馬などの騎乗ユニットになるのがせいぜいだが、メタルマックスでは人間が戦車に乗り込んで戦うことが出来る。当たり前のことだが、戦車は実に強い*1
  • 入手方法は様々で、ダンジョンに隠されていたり、敵から奪い取ったり、大枚をはたいて購入する…など。いずれせよ、簡単には手に入らないという点で共通している。世界を巡って戦車を探すのも魅力の1つ。
    • 装甲タイル(SP)という独自のシステムを採用。エンジンの最大出力から全パーツの重量を引いた差分の数値分だけ貼ることができる。これは人間キャラクターのHPに相当し、戦闘でダメージを負えば減少する。0になっても戦車を喪失することはないが、一定確率でパーツが破損する。武装が壊れればその武装が使えなくなる。またCユニット、エンジン、シャシーが壊れれば戦車を放棄するしかなくなり、他の戦車にけん引させて町の修理屋まで引っ張っていくことになる。
  • 戦車は全8種類。正統派の戦車から救急車といったネタ気味のシャシーまで多彩。
    • 無茶な改造も可能で、穴さえ開ければバギーや救急車にすら主砲を装備させられる。
    • 命名は6文字まで可能。シャシーの守備力は後発の戦車ほど高くなりこの優位さはくつがえせないが、それ以外の装備は制限が一切ないため、守備力にさえ目を瞑ればどんな戦車でも最後まで使っていける。
      • ただ守備力の高いシャシーは総じて重く、弱いエンジンしかない序盤はもちろん、後半でも守備力が低くても軽いシャシーを使う方が後述の装甲タイル(戦車のHPに該当)が多く貼れるなど有利な面もある。
  • 人間の装備が武器、体防具、頭防具と別れているように、戦車にもそれぞれ特性の違うパーツがある。
    • 主砲 :戦車の象徴である主兵装。一撃必殺の威力を持つ。ただし弾数は有限。
    • 副砲 :いわゆる機銃系の武装。主砲に比べ攻撃力は劣るがグループ攻撃が可能な例も多く、使い勝手で主砲に勝る。最大の長所は弾数が無限なことにあり、普段は副砲で弾を節約し、強敵に出会ったときのみ主砲で蹴散らすといったプレイが普通となる。このスタンスはシリーズ通して共通。
    • SE :Special Equipmentの略。対戦車ミサイルや火炎放射器などがこれに該当する。概して重量がある上、弾薬代がべらぼうに高い。しかし固有の戦闘アニメーションを持つものが多く、ネーミングセンス溢れる武器が多いことからロマンを追い求める層には根強い人気がある。
    • エンジン :戦車の最大積載量を決定する。当然出力が大きければ大きいほどよい。これが装備されていなければ自走不可。
    • Cユニット :コントロールユニット。エンジンが戦車の心臓なら、こちらは頭脳に相当する。メタルマックスではこのパーツのおかげで一人でも戦車の操縦が可能となっている…という設定である。こちらも装備されていないと自走不可。
    • シャシー :車体そのもの。ゆえに装備の着脱および売買は不可。
  • パーツの購入は町にある戦車パーツ屋で行う。
  • 戦車搭乗時、戦車の上に乗って「調べる」を行うと戦車を牽引できる。自走不能になった戦車もこれで運搬することが出来る。

装備

  • 本作ではゲームの性質上、アイテムがそれぞれ「人間道具」「人間装備」「戦車パーツ」「戦車道具」の4つに大別されている。
  • 人間が持てるアイテムは一人につき8個まで。人間装備は別に装備枠が用意されており、こちらも8個まで所持できる。装備箇所は武器、頭、体、プロテクター、手、足と豊富。フル装備の場合これら6種を装備するため、実質的に空欄は二つとなる。
  • 戦車もフル装備の場合、同様に6つが埋まり空き欄は二つとなる。なお戦車道具には重量のパラメータはない。
  • アイテム類のぶっ飛んだネーミングセンスも本作の特徴の一つ。武器ひとつとっても、最初のうちは「パチンコ」や「ショットガン」といったありふれたものだが、やがて「ばくれつノコギリ」「リモコンスパナ」「ドラゴンスプレー」といったものが登場。デコゲーらしいネーミングセンスが光る。特に「はらきりソード」に至ってはぶっ飛ぶ過ぎて命名者の正気を疑うほど。

金銭

  • 全滅に対するペナルティが少ない。お金が半額になるということもないし、アイテムも経験値もそのまま。ただ、戦車だけは全滅した場所に置き去りにされるため回収に苦慮することになる。
    • 回収を容易にするための手段としてレンタルタンクという戦車貸出業者が存在する。装備は固定で積み替えは一切不可。借りている間は戦闘後の獲得Gから一台につき25%がレンタル料金として徴収される。
    • 仲間も行方不明になるが、何故か全滅した場所ではなく、出会った場所にいる。

賞金首

  • 一般的なRPGのボスに相当する敵キャラとは別に、賞金首という強敵が存在する。大半はストーリー上倒す必要がない敵だが、多額の賞金がかけられており、撃破すれば賞金が進呈される。本作の作風を体現する要素である。
    • 賞金首は名前と姿を記したポスターが町などに掲示されており、荒廃した世界の雰囲気作りに一役買っている。さらに賞金首を倒し賞金を受け取ると、ポスターに大きく「済」のハンコが押される。これにより住人の台詞が変化する場合もあり、ちょっとした優越感を味わえる。
    • 後述のオプションで撃破した時のレベルが記録されるため、如何に低い(高い)レベルで倒すか、という遊び方もできる。

オプション

  • 自分が今まで倒した敵のカウントが表示される。分類はバイオニック、サイバネティック、タンクの3種類。さすがにモンスターの個別データまでは参照できない。
  • ゴールドチャイムという所持金管理システムがある。これはあらかじめ金額を設定しておき、所持金がその金額に達すると効果音で教えてくれるというもの。普通は装備品などの購入額を知らせる目安として使うのだが、プレイヤーによってはパスワードを記憶するメモ帳代わりに使うという変則的な使用方法も。
  • 戦闘中でもラジオのON/OFFでBGM再生を、アニメのON/OFFで武器の攻撃モーション表示を切り替えられる。当時のRPGとしては優秀な設計。

インテリア

  • 各地のインテリアショップで家具を購入し実家に贈ることができる。視覚的に豪華になるだけで実益はなく、ほとんど趣味の領域だが、ハンターとして稼げるようになったことを実感できる。またゲーム用の筐体に限り自宅でも遊べる。

その他

  • 酒場ではお金を払って酒が飲める。また町によって銘柄が違うというこだわりよう。
    • ちなみに飲酒によるステータス変動やデメリットは一切ないため、安心して無駄遣いができる。ほろ酔い気分(のつもりで)戦車を転がし狩りに出るのもいい。でも現実で飲酒運転はダメ。絶対。
  • 町や一部のダンジョンには自動販売機が設置されており、買い物も可能。しかもルーレット方式による景品つき。電源や誰が補充しているのかなど気になる点はあるが。

モンスター

  • 本作を語る上で欠かせないのがモンスターデザインを担当した山本貴嗣の存在である。ポリタンクに足が生えた「うろつきポリタン」、全身金属製のカバで口内に火砲を備えた「カバガン」、多脚型爆弾とでも言うべき「カミカゼボム」、火炎放射機を抱えサングラスをかけたサル「サルモネラ一家」、頭脳を改造されたパンツ一枚のマッチョ戦士「マッドマッスル」…など、個性的で奇天烈なモンスターを数多くデザインしメタルマックスの独自性を確立させた。

BGM

  • 作曲は門倉聡が担当。メタリックなイメージの通常戦闘曲「バトル」、ゴキゲンな「勝って!買って!駆って!」、哀愁漂う「流れ者の歌」など良曲揃いで現在に至るまで人気が高い。
    • 賞金首バトル時の「おたずね者との戦い」は名曲と評価が高く、後発のシリーズ作品でも使用されている。
      • また撃破時には専用のBGMで戦闘が終わる。
    • フィールドBGMも、人間時は伸びやかなイメージの「未知の荒野へ*2」、しかし戦車に乗るとワイルドな曲調の「戦車でバンバン」に変わるというこだわりも秀逸。
  • 町のBGMが2種類、ダンジョンBGMが3種類もあり、かなりの大盤振る舞い。

シナリオ

  • 自由度の高いシナリオも魅力。
    • 主人公はクルマ修理屋の息子。ハンターになりたいと願うも、人間地道に生きるのが一番と激怒した「とうちゃん」から勘当されてストーリーが始まる。ハッキリいってそれ以降ほとんど制約はない。
    • ビックキャノン撃破までは行動範囲が制限されるが、その後はそこそこ自由に動き回ることが可能で、前述の賞金首も順番に倒す必要はなく強力な装備を先の街で整えたりして挑むことも可能。
    • 終盤の町「カナベル」で特定のイベントが発生すると、なんと最初の町「リオラド」に道がつながる。一周して故郷に戻ってくるという一風変わったマップデザインである。

キャラクター

  • デコゲーだけのことはあり、登場人物はいずれも曲者ぞろい。
    • 主人公の父こと「とうちゃん」は勘当したと言いつつも何かと面倒を見てくれる。戦車パーツが壊れていればどれだけ破損していても全てタダで直してくれる。またこづかいをあげることもできる。受け取ってはもらえないが。
      • また、全滅してしまった場合もとうちゃんが後述のDr.ミンチの所へ運んでくれる。例えラストダンジョンの深層部で倒れたとしても。
    • 一方「ねえちゃん」はいつでも温かく主人公を迎え、毎回とうちゃんには内緒でタダで泊めてくれる。そんなねえちゃんのタンスからタオルを失敬して、いつでも匂いを堪能することもできる。……こう書くと主人公ってかなりアレだ。
    • 仲間キャラクターが死んだ場合、マッドサイエンティスト、Dr.ミンチのお世話になる。彼は死体を生き返らせる研究に没頭しており、そのやり口は電気ショックで生き返らせるというかなり乱暴なもの。ちなみにこの電気ショック、いつ成功するかはランダムである(失敗した場合は成功するまで続く)。
      • 死体以外には興味がなく、生きているメンバーを選択した際の「なんだこの死体は! まだ生きとるじゃないか! 」という台詞はシリーズ屈指の迷言。
    • 真紅の戦車を駆る凄腕ハンター「レッドウルフ」は会う度に気障な台詞を吐いてくれる。序盤では彼に助けられるイベントが発生し、その後も何度か出会うことになる。いつか越えるべきライバルキャラであるかのように振舞っておきながら、最期は悲劇的な結末を迎える。彼の愛車「レッドウルフ」は以降プレイヤーの乗車となるのだが、その生き様は多くのプレイヤーに強い印象を残した。後のシリーズでも赤い戦車レッドウルフは何らかの形で必ず登場しておりシリーズ恒例の戦車となっている。
      • しかし「レッドウルフ」を得るイベントで重大なバグがあるので注意。普通にプレイしていれば大丈夫だが。
      • そして「レッドウルフ」の恋人を助けに行く印象深いイベント。彼女に貴方がどんな対応をとるのか、そして彼女がどんな運命を辿るのかは、プレイヤーの手に委ねられている。
    • 戦車パーツ屋の主人はなぜか「○○アル」とエセ中国語でしゃべる。何かを売りつけた場合「ちょっと傷んでるアル」と、元の値段の3/4の値段で買い取る。ちなみにその店で買ったばかりの新品を売っても「ちょっと傷んでる」などと言ってくれる。どういうことなの……。
    • シャシー改造屋のメカニックは戦車を愛しており「女の子」扱いする、いわゆるメカフェチである。それはいいが、表現が「いじらせてくれ」とか「穴を開ける」とか……ちょっとアブない。あげく、限界まで改造した戦車をさらに改造させようとすると「この子が壊れちまう。やめようぜ」と制止してくれる。
    • トランクルーム(預かり所に相当)の係員は丁寧な口調なのだが、レンタルタンクの装備を預けようとすると「きかなかったことに してやる あそこの クルマには てをだすなよ わかぞう!」と恐ろしい口調で忠告される。レンタルタンク屋の正体が実は相当に恐ろしい物であることを暗示しており、いまだにその実態についてファンの間で話題となる。
    • ラスボス「ノア」はいわゆる「人間に反旗を翻したコンピューター」であり、それほど目新しい題材ではない。しかし、高い知性に裏打ちされた韻文的な台詞回し、そして地球への執着という人間臭さが個性的であり、他の類似例とは一線を画している。
      • ノアはラスボスでありながら状態異常「混乱」に耐性がない。ここに混乱効果を与える「パニック弾」を撃ち込むと混乱するラスボスを拝むことができる。(固定型コンピューターなのに)「ノアは はしりまわっている…」と表示された挙句、自爆してあっさりラストバトルが終わることも。混乱して自爆するラスボスなどRPGひろしと言えどこいつぐらい。

問題点

  • 戦車修理屋の意味が薄い。前述の通りとうちゃんが修理をすべてタダで直してくれるため、各地の修理屋は実質意味がない。もっともそのためには毎回最初の街まで戻らなければならないが、ドッグシステムを手に入れればその煩雑さもほぼなくなる。
  • 戦車のデチューンができず、改造して重くなったシャシーを軽くする方法がない。そのため、戦車によっては武装を外したり最強のエンジンを積まないと装甲タイル0(シャシーのみ)でも動けなくなる可能性がある、一応改造前に戻せないと警告されるが。
  • シャシーが大破した場合の修理費用が凄まじい。序盤で戦車をうっかり壊そうものなら4桁近くのお金を請求されてしまう。こうなると新車を手に入れるまで放置するか、いっそリセットしてしまった方がマシ。
    • もっとも、父ちゃんの手にかかれば無料で修理は可能。これが問題になるかはプレイヤーのこだわり次第か。
  • 戦車が入れない屋内で賞金首と戦う場面もあり、金欠にも関わらず人間装備まで整える必要が出てくる。この上高価な戦車装備も整える必要があり、やりくりが厳しい。
    • 人間装備のプロテクターは安価な割に守備力を大幅に向上させるが、敵の攻撃を受けると破損して「プロテクタくず」になる。つまり使い捨てアイテムである。このために予備のプロテクタを所持するのが常套だが、ダンジョンなどで新しい装備を見つけた場合、予備のプロテクタが邪魔になってしまう。
  • 水増し間が漂う戦車装備
    • 攻撃力に差があまりないのに値段が違うというマイナーチェンジ的なパーツも多い。ここで買うより我慢して次の町で装備を整えた方が得、ということも。またSEは「弾薬費の高さ」「装弾数の少なさ」「主砲に劣る攻撃力」「重量」の関係上今作では文字通りの「お荷物」になってしまう。
      • 一応攻撃時のグラフィック等が変わっていたり、独特な物もあるのだが純粋な強さを求めると「205ミリキャノン」、「20ミリバルカン」*3辺りを装備してSEは穴も開けないと言った改造になる。
  • あくまで「戦車で敵を蹴散らす爽快感」を重視しているため、戦闘バランスは甘め。よほど性能の低いパーツでない限り、一つ二つ程度なら町をすっ飛ばして進めても負けない。そのくせタンク系の敵は固く、こちらは戦車搭乗を前提としたバランスとなっている。上手い調整かバランス放棄と見るかは人それぞれ。
    • バランスブレイカーなアイテムもそれに拍車をかけてしまっている。1発10Gで敵の命中と回避*4を大幅に減少させ、無効化されない「えんまくだん」、人間戦闘時の命綱ともいえる「えんまくはなび」等。
      • 最も、これらのアイテムのおかげで低レベルプレイや人間で賞金首撃破等のやりこみもできるので単純な欠点とは呼べないか。
    • ただ、中には明らかに厳しい箇所も存在する。ゲームの序盤に配置されている為に前述のアイテム等が入手できず(ただし戦闘が有利になる特殊砲弾は一応ある。)、戦闘開始前から容赦ない砲撃を浴びせてくる上、ボスとしても破格の強さを持つ「ビックキャノン」戦は本作屈指の難所である。
  • 牽引対象を切り離すコマンドがないため、切り離すには全員クルマから降りる必要がある。