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ファンタシースターZERO
- (2012/05/29 (火) 10:44:56) の編集履歴(バックアップ)
ファンタシースターZERO
【ふぁんたしーすたーぜろ】
ジャンル
コミュニケーションRPG
対応機種
ニンテンドーDS
発売・開発元
セガ
発売日
2008年12月25日
定価
5,040円
プレイ人数
1~4人
通信機能
ニンテンドーWi-Fiコネクション
DSワイヤレスプレイ
レーティング
CERO:A(全年齢対象)
ファンタシースターシリーズ
概要
当作品は、同社が現在展開中のファンタシースター
ユニバース
(PSU)の系統ではなく、2000年代前半にオンラインゲームの一時代を築いた名作『
ファンタシースターオンライン
(PSO)』シリーズの流れを汲む完全新作として登場した。
アクションパレット・属性付与・マグ育成・グラインダーによる強化・クエスト受託によるストーリー展開・レアアイテム探しなど、ある程度簡略化されているもののPSOシリーズの血を色濃く受け継いでいる。
システム面では幾つかの実験的なアイデアが採用され好評だったため、後の『
ファンタシースターポータブル2
』(及び続編の『インフィニティ(PSPo2i)』)に引き継がれている。
本作はもともと「携帯機でPSOのようなゲームを楽しむ」というコンセプトの元に制作された。ゲームデザインがPSOを意図的に踏襲しているのはその為である。
展開にあたりキャラクターや世界観を一度リセットし、文明レベルが低い、科学と魔法が交差するファンタジー色が強めな世界(一度文明が滅び、復興途上の惑星)が舞台になっている。イメージとしてはアメリカの西部開拓時代を基調としたレトロな世界観。
公式でも事実上の「PSOの遥か未来の話を描いた続編」という扱いになっている。ただし、PSO本編で星間移民計画を決行した移民達の母星が舞台となっており、ストーリー的な繋がりは殆ど無いので、PSOを含めた以前のファンタシースターシリーズを未プレイの人でも気にせずに世界観に溶け込める。もちろん、過去作品をプレイした人へのファンサービス的なオマージュ要素も忘れてはいない。
最初のボスがPSOを思い出させるドラゴン(ストーリーモード/ヒューマン)だったり、相変わらずダンジョンの奥で店を開いている「ナウラのケーキ屋」や、シリーズ共通のラスボス・ダークファルス、「PSⅡ」に登場したマザーブレイン(惑星管理コンピュータ)を彷彿とさせる存在・マザートリニティ等。
キャラクター監修は『
THE IDOLM@STER?
』のキャラクターデザインを担当した窪岡俊之氏。
登場キャラクター
種族
ヒューマン
過去から現在まで、地球でもっとも繁栄し人口の多い種族。他の二種族の原点でもある。
デザインコンセプトは「見ただけで職業がわかる」。ハンター♂は炭坑夫、♀は農場や牧場で働く女の子、レンジャーは町の自警団、フォースは聖職者がモチーフとなっている。
ニューマン
ヒューマンから遺伝子強化によって誕生した、人類の人工的な進化種。
デザインコンセプトは「月にいるからウサギ!」なのでみんなバニーさん。ニューマン女性は貧乳のみという、ある方面の方々には嬉しい設定がある。
キャスト
無機質で頭のコアさえ無事ならどこが欠けてもいつまでも生き続けるという不老不死の種族。
デザインコンセプトは「大空白前の戦闘兵器」。工場生産で生まれる純機械の存在で生命といえるか微妙だが、トランスフォーマーみたいなものなのであろう。
主要人物
カイ
ヒューマン♂でパーティの兄貴分的存在。若いころから高名有能なハンターだった。自分のファッションを本人はカッコイイと思っているが、町の人からはカッコ悪いと思われている。
サリサ
ニューマン♀ 彼女の個性的な衣装は、研修生や予科生を念頭にデザインされたもの…だが、雨ガッパを着た幼女にしかみえない。タコと運命的に結ばれた難儀な人。
オギ
キャスト♂ まじめな風でイロモノという変わり種キャラ。初登場が頭のみであったのが彼のポジションすべてを物語る。実は大空白以前は最新鋭高性能の機体で宇宙での活動も想定されていた…が、ゲーム中では無関係。
アナ
ニューマン♀ レジスタンスのリーダー。他のニューマンと違って豊乳で血色がよいのはヒューマンの血が強いせい。部下にラキ、リコ、ルケ、レク、ロカを抱え、頭文字を並べるとラリルレロとなる。全員女性。
レーヴェ
ニューマン♂ 本作のツンデレ担当でマザーの親衛隊隊長。プレイヤーのライバル的存在で、赤いサングラスがその証…らしい。スタッフからは「レーヴェってなんでレーヴェって名付けたかわかんない」と言われる。
街や施設の人々
ダイロン
ヒューマン♂ シティの三代目市長。ピンクのスーツが目と心に痛い。好人物だが、自身の頭髪のこととなると人が変わる。太って見えるが実は鍛え抜かれた理想的な体の持ち主。秘書もうっとり。
リンドウ
キャスト♀ 市長の秘書で知的クールな才女。おっぱいがでかい。
オヒョウ
キャスト♂ キャストの老人…なのだがキャストは「不老不死」なので最初から老人として作られたのであろう。
ニコラ
ヒューマン♂ オギの友人でやり手の商人。遺跡の発掘物に目がない。
グレイ
ヒューマン♂ ハンターズのコーディネーター。持ち込まれる依頼の吟味や割り当てを担当する。
ミリオとシアン
ハンターズにあこがれる元気な男の子ミリオと、そんなミリオを支えたい女の子のシアン。
ナウラ三姉妹
ナウラのケーキ屋を営む若草三姉妹。ケーキ屋は出現地にあるわけではなく、トラップのように設置されたワープ装置で強制的に店に転移される仕組み。「ケーキが売れない」とぼやくが集客方法のせいだと思われる。
ココハット嬢
PSOのフォニュエール似なピッツァ店の店員。商品に一家言あるらしく「ピザじゃありません、ピッツァです。」と訂正してくれる。なぜ人がまず来ないであろうプラントや健康に悪そうな神殿で営業しているかは謎。
(
*1
)
長所
主に低年齢層や初めてオンラインゲームに触れる人を対象にしたシステム調整がなされている。
コミュニケーション関連
ニンテンドーDSの持ち味であるタッチパネルとダブルスクリーンを活かしたビジュアルチャット。
携帯機器ではオンラインゲームの場合直感的に文字入力しにくく、即座にチャット・返信ができないという欠点があった。これを解消すべく導入したシステムで、下画面に書いた文字やイラストがそのまま表示される。また、事前に描いたイラストをショートカットに登録しておくことも出来る。このため他のファンタシ-スターシリーズのチャットよりも直感的かつ簡単に意思疎通が図れ、個性も出しやすく楽しいと好評である。
ビジュアルチャットの一例
アイテム関連
アイテムドロップがエリア単位で発生し、ドロップ内容も個人単位となっている。
DSのスペックによるオブジェクト配置数の限界から採用された方式だが、これによりアイテムの分配に関するいざこざが発生せず、スピーディにゲームを進行でき、快適にコミュニケーションが楽しめる。
マテリアル(ステータス増強アイテム)も変更が加えられた。PSOシリーズではマテリアルの使用数に上限が設けられており、マテリアルのみでステータスを成長させ続けられないようになっていた。使用したマテリアルは数が分からず、時として間違えたり、違うステータスを伸ばしたい場合やり直す事が出来ず、計画的にキャラクターを育成したい場合にはある程度の予備知識も必要とした。
本作ではそれまで使用したマテリアルの種類と数が表示されるようになり、プレイヤーの好みでマテリアルが使えるようになった。また、これまでに使用したマテリアルは返ってこないが、マテリアルの効果と使用数をリセットできる「リセットマテリアル」が登場したので、マテリアルの活用法に幅が出たといえる。
マグ育成が楽になった。
PSOから受けついだシステム「マグ」。これは一種のペットであり「装備」で連れて行くとキャラクターのステータスを補完し、またマグ特有の応援効果も得られるシステムであろ。補完させたいステータスは、マグに「食餌」を与えることにより育成する。PSOでは3分ごとにエサを与えることができた。
PSOではエサとして一度に与えられるアイテム数が3個であったが、PSZでは5個に増えた。また与えられるアイテムの種類も増え、その効果も整理され、プレイヤーがどのステータスを伸ばしたいか狙いやすくなった。またマグの最大レベルが200から100に抑えられた。
前述のとおり、PSZでは薬剤品の外に装備品もエサとして与えられるようになった。装備品は打撃武器ならPOW、射撃武器ならHIT、防具ならDEF、法撃武器ならMNDと元々のアイテムと効果が直結しており、それらを投与すればより確実に増やしたい能力を狙って育成できるようになった。
これにより、マグ育成にかかる時間が大幅に短縮され、複数のマグ育成・管理する手間もPSO時代より格段に減った。
またPSZのマグの姿は、男の子用にカッコイイものから女の子にも好まれるカワイイものまで多種多様であり、「オシャレとしての装備」の側面がPSOより強まった。カワイイマグにはマスコットのようなものが多く気軽に魔法少女のような気分が楽しめる。
戦闘関連
「緊急回避」と盾による「ガード」の追加。
これまでのPSOやPSUでは、操作できるシステムとしての防御はなく、攻撃ダメージの軽減や回避は、装備とステータス判定か、自分で操作して攻撃の軌道からそれる以外なかったが、タイミング的に回避の難しい攻撃や、そもそも回避自体できないような攻撃が用意されており、これが時としてプレイに理不尽さを感じることもあった。
「緊急回避」の導入。
これは敵の攻撃を前転でかわせるシステムで、動作中は無敵なので、理論上はほとんどの攻撃をかわす事が可能になっている。ただしアクション後に若干隙があるので、過信せずに発動するタイミングを意識する必要がある。
このシステムはPSUにおいて、導入がユーザーから提案・希望されつづけたものの一つであった。(溜め攻撃なども提案されていた)
「盾」の導入。
盾は打撃武器扱いの装備であり、これを装備している時だけ「ガード」が行える。しかしリーチや攻撃力など武器としての性能は他のカテゴリーの武器に劣っているので、扱うにはかなりの慣れが必要。
(
*2
)
これらの新機能により、ゲームに不慣れな初心者でもPSO時代よりも安全に戦闘の基礎を学ぶことが出来るようになった。
「チェインコンボ」の追加。
プレイヤーとNPC、またはマルチプレイ時で他プレイヤーが攻撃する際、通常攻撃の3段目を制限時間内にヒットさせると「
1Chain
」といった表示がされコンボが成立する。チェイン時に他のキャラもテンポよく3段目ヒットを繋げていけばChain数は加算され、この状態で「フォトンアーツ(必殺技)」か「チャージテクニック(溜め撃ち魔法)」で攻撃すると、チェイン数に応じた倍率の大ダメージを敵を与えられる。これによりバトルに更なる爽快感と、チームプレイの醍醐味が加えられた。
「PSPo2(~ポータブル2)」にも多少要素を変更して実装された。PSUでは、「フォトンアーツを連打さえすればOK」という単調なゲームバランスが長年問題とされていた。
しかもフォトンアーツはPSZでは“ハンター系”だけの特権であった。レンジャーやフォースは一撃の攻撃力がハンター系より低いうえ、通常攻撃するにはPP(フォトンポイント、他RPGでいうMPに相当)を必ず消費しなければならない。しかしハンター系は通常攻撃はノーコスト、フォトンアーツを使えば瞬間ダメージは格段に上昇+コンボまで行え、しかもPPの回復技が常備(本来それが必要なはずのレンジャーやフォースにはなかった)されているなど、あからさまな格差が存在した。
PSZではこの格差はある程度修正され、レンジャーやフォースにもフォトンアーツとテクニックの溜め攻撃が導入された。アーツ自体も通常攻撃を使いながら、ここぞという時に放つというメリハリよく使い分ける戦術が取り入れやすくなった。本システムが前述の緊急回避とともにゲームバランス面での快適化をなし得た意味での功績は大きい。
フォース(魔法使い系)も接近戦を行いやすくなった。
PSOでは法撃武器(ロッド系、ウォンド系)で攻撃すると、与ダメージは杖自体の攻撃力とステータスの「筋力」で算出されるので、杖で物理攻撃は行う事は殆どなかった。このためPSUでは杖での物理攻撃が出来なくなっていた。
PSZでは法撃武器による攻撃力は「法撃力」で算出されるよう変更されたため、非力なフォースでもテクニック以外で攻撃できるようになり、またこのおかげで法撃武器につくフォトンアーツが無駄になることもなかった。また法撃力でダメージ算出されるフォース用武器に、新たにスライサー(飛刃)が加わった。
(
*3
)
キャラクター関連
選択可能な種族と職業もPSOから継承。加えてPSOでは選択できなかった女性ヒューマンのハンター「ヒューマール」と男性ニューマンのハンター「ハニューム」が選択できるようになった。(PSO時代から案はあったものの結局は没になっていた職種)
更に選んだ種族によってささやかながらもストーリーが変化する。イベントでの選択肢でNPCの好感度が変化するシステムも採用されており、ストーリーで仲良くなったNPC別のエンディングが見られる上、性別によってもエンディングが若干変化する。
作成したキャラクターの容姿、名前、キャラボイスを何度でも無料で変更できるようになった。
PSOやPSU、PSPoでは一度決めた名前は変更不可、容姿やキャラボイスの変更には多額のメセタ(PS世界の通貨)が必要だった。またボイスなしの設定も追加された。(PSPoシリーズでは未だにボイスなしの設定にできない)ボイスがなかった初代PSO気分を味わいたい時にはどうぞ。
NPCの扱いもシリーズに比べ変化。
元々PSシリーズはアルゴル太陽系シリーズ時点から鬱展開が比較的多かったシリーズであったが、PSOではNPCは皆不遇に埋もれて最終的には行方不明になるか非業の死を遂げる場合が多く、特にエピソード3は陰鬱で多くのユーザーから「やりすぎ」と非難された。PSUでもNPCの人気はあまり高まることは無く、普段は役立たずなのにフィールドクリアの評価は辛口・毒舌・上から目線、ストーリーモードも同様のうえにシナリオイベントではボス戦など大変な場面はプレイヤーに任せ、全てが終わった後で主役顔で登場し、苦労した本人そっちのけでストーリーが進むなどで不満が高まり、こちらも多くのユーザーから嫌われる事となった。
このためPSOのキャッチフレーズ「英雄は一人じゃない」をもじって「英雄は俺らじゃない」と揶揄される結果となった。
これらを反省してか、PSZ(またはPSPo2)ではスタッフが「ハッピーエンドにしたかった」と語り、NPCの性格も前向きで仲間思いというような(過去作から見れば)路線変更がなされた。特にマスコット的なかわいさのあるメインヒロイン・サリサの人気が高く、彼女の
「触手イベント」
はある意味伝説となっている。またオギも愉快なイベントが多く、余談欄で紹介されているアニメシーンは大きな反響を呼んだ。
ストーリーを自体も、やや古臭い感があるもののファンからの評価は概ね好評である。
海外のMMOでは、種族が信仰や歴史的な因縁で仲が悪いという設定であるのはよくある事である。しかし日本人の好みからすると舞台設定としてもプレイヤーが気持ちよくプレイする視点からも最初から「仲良し」であったほうが良いと考えるユーザーも多かった。
それを踏まえてか日本製ネトゲRPGでは種族同士の対立設定は無いか、あってもあまりオモテに出さない方式をとり、今でも続く国産大型MMOであるFF11も「共通の巨悪に団結して立ち向かった」という設定で、プレイヤーは種族を違えても平等というスタンスを取った。
しかしPSOは後になると種族対立の設定を作るようになり、シナリオにも影響を与えだした。PSUにおいても種族対立の設定が作られ、シナリオにも差別という形で反映させ、それを嫌がるユーザーも多かった。
ただしスタッフは「重要人物が死ぬ話もいい」「トラウマを残す話もしたい」とも語っており、PSシリーズ今後の展開が危ぶまれている。
その他
マップのデザインと演出が非常に良好。
「グラーシア渓谷」「オゼット湿地帯」「リオウ雪原」「廃墟都市パル」「洞窟遺跡マカラ」「アルカプラント」「暗黒神殿」の各フィールドは、それぞれ明確なコンセプトがあり、特徴をもって構築されている。またエリアも前半から後半にかけて、流れるように移り変わるよう考えられている。DSのスペックにあわせたローポリゴンの職人芸が光り、水の鏡面処理はかなりの出来である。この様にあらゆる点に細かい配慮がなされており評価が高い。
フィールド数が少ないとも評されるPSZだが、実際に並べると結構な数のフィールドが用意されている。おそらくマップが一部屋ごとのブロックに区切られ、展開が速いので少なく感じられるのだろう。
BGMも名曲ぞろい。
フィールドの特徴を実にうまく表現しているフィールド音楽、そして戦闘が始まるとフィールド曲をベースとしたBGMに変わる形式が取られている。この連結に不自然さはな無く、メロディーラインを保ったまま相対するBGMパートに替わるので聴いていて心地がよい。
またレアエネミー登場時は特別なBGMが流れるというこだわり。この演出は初代PSOはもちろんPSPo2iにも搭載されていない。
シリーズでおなじみのマスコットエネミーの「ラッピー」が出現した際に流れるBGM(Rappy Fever)が、全8種類のフィールドそれぞれで微妙に音色を換えている他、シティのBGM等の一部の曲も3種族それぞれで音色が少し違う…といった、BGMだけでも制作側の遊び心が感じられる。
コンポーザーは、PSO、PSUでも大半のBGMを担当した小林秀聡氏。(一部を除く)
レアマップの存在
PSZではフィールド周回を前提としたオマケ要素が、レアアイテム以外にも追加された。それがレアマップである。
これらは低確率で出現し、特別なアイテムを販売する「ナウラのケーキ屋」や「ココ・ハット」、レアエネミーしかいない「レアエネミーの巣」に良い素材アイテムの入手できる可能性が高い「闘技場」、レアアイテムボックスがある「宝物庫」など、プレイヤーに周回プレイを飽きさせず、目的や動機を与える物となっている。
ナウラの三姉妹には今作初めて個性が登場し、可愛いと評判
(
*4
)
。固有の隠しクエストまで用意された。もうひとつの隠しショップ、ココハットの名無し看板娘もカワイイと好評で、彼女たちはPSPo2にも引き継がれたがピザ娘はともかく、ナウラ三姉妹は通常キャラの流用で「バケモノのようだ」と不評。
レアエネミー
レアエネミーについても変更が加えられた。PSOやPSUのように通常エネミーと混じって出現する特別グラフィックのレアエネミーをユニークエネミーとし、それとは別に攻撃力はほぼ無いが可愛くて良いアイテムを落とすラッピーやブーマなどが加えられた。後者はフィールドに彼らだけが出現する特別仕様となっている。
またレアではないが能力が強化され、影が白くなっているブーストエネミーも追加された。
短所とされる要素
携帯ゲーム機「ニンテンドーDSのスペック」に依拠する問題点
キャラクタークリエイトの幅が狭い。
外見の変更は服装の色とヘアスタイル・髪の色・肌の色の四種。 据え置き機やPC、PSPでは他に服の種類・容姿・体形もクリエイト可能であった。
DSのスペックでキャラのモーフィングは難しいとはいえ、過去シリーズのように身長や体格を変更できない仕様なのを惜しむ声は多い。
ただ、モーフ可能であったとしてもDSの小さい画面に表示されるキャラも小さいので、体形を変えられても実際に反映されるのか?という疑問がある。
しかもよく話を聞くと「ヒューマンハンターがショタ固定なのが嫌だ!」「♀キャラおっぱ●盛りたかった…」というような不満の声しかなかったのだが。
お前ら自重しろ。
そもそもキャラクリエイトできるRPGがDSでは精々「世界樹の迷宮」くらいしか無いので画期的と言える。
操作性が悪い。
これまでのPSOシリーズは全てアナログパッド操作だっただけに、十字キーによる操作は辛いと感じる事がある。
カメラ移動が特殊
DSというハードのボタン数による物だが、据置機や(パッド操作時の)PCのように、人指し指が置かれるL/Rボタンでカメラがキャラを中心とした左右360度に回転できる。ただしXボタンを押しながらでないと、L/Rはカメラ操作に切り替わらない。
最初は戸惑うが意外に移動中や戦闘中でも操作しやすく、PSPの所謂モンハン持ちでカメラ操作を行うよりずっとプレイに優しい。
ちなみに十字キー上を押し移動しながらカメラを左右に動かすと、カメラに合わせて進行方向が変わり、一々前方にカメラをリセットしなくてもドライブモードのような感覚で移動することができる。
またXボタンを押しっぱなしにしてアイテムと重なると、いちいち拾う度にボタンを押す必要は無くアイテムオブジェクトと重なるだけで自動的に拾うことが出来る。
ボタン配置に依拠する問題点
PSOにあった「ショートカットウィンドウ」が無い。これによってパレット登録以外のアイテムや攻撃を行いたいときはサブ画面を開かなければならない。
サブ画面展開中は、キャラに「・・・」のフキダシが表示され、自身が身動き取れない状態になってしまう。ただしポーズ状態になっているわけではなく、敵(と他のNPC)は普通に動き回るリアルタイム仕様となっている。
PSO時代のシステムに限りなく近付ける為のの処置だったのかも知れないが、せめて
このゲーム
の様にオフライン1人用プレイ時だけでもメニュー画面展開時にポーズがかかる仕様になっていれば、もっとプレイ環境が快適にはなったのでは。
レアアイテムの種類が少ない。
PSOやPSUに比べると、メディア容量の影響かレアアイテムの数が少なくなっている。その上一部のレアアイテムのドロップ率が絶望的な程に低すぎるものもある。レア存在は本作を長く遊ぶための目標の一つとも言えるのだが、短時間で手軽に遊べる携帯ゲーム機なのに
過去シリーズに共通する廃人向け仕様
だと揶揄されても仕方がない。
『エターナルタワー』の問題点
「永遠への挑戦」というクエストのみで挑める『エターナルタワー』。7部屋を1フロアとした100+屋上で101階建ての巨大な塔形ダンジョンで、当作のシナリオクリア後のやり込み系ダンジョン。だが登るにつれ、この塔の凶悪な本性がむき出しになる。
問題点その① -途中で街に帰還できない-
前述のように長いダンジョンであるに関わらず、アイテム補充などで好きな時にシティへ帰還することは出来ない。帰れるのは唯一、10Fごとのボスを倒した後に出現するテレポーターのみである。
問題点その② -踏破した階層を記録できない-
クエストを受領し一旦塔に入れば自由に帰還できないのは前述の通りだが、もし途中何らかの理由でクエストを放棄した場合、それまで踏破した階層は記録されず、再受領したとき1Fから始める事となる。したがって塔の制覇を目指すなら、電源と気力が続く限りプレイしっぱなしとなる。
問題点その③ -最高難易度開放キーである-
一級品のレアアイテムが出現するスーパーハードを開放するためには、必ず一度はクリアしなければならない。また塔のみで出現するレアアイテムも多数存在する。
これらの問題点から踏破の目安時間は、難易度設定にもよるが
一周ぶっ続けで約3~4時間、人によっては5時間以上。
手軽な携帯機ゲームなのに手軽に遊べないこのダンジョンはDSの電池残量とも戦わなければならず、やり込み好きなプレイヤー以外はこの塔の挑戦自体を投げ出すか、10Fまで上ってからクエスト放棄を繰り返す
通称「10階マラソン」
のみを行うようになる。
これに対しユーザーからは「
この容量でボスのいないエリアにボスを入れたり、通常のフィールドを増やしてくれればよかったのに…
」という至極もっともな不満が噴出している。
隠し要素の問題点
フィールドには前述した隠しマップが存在のだが、確率が2%と低く、中には隠しクエストが出現するものも存在している為、何回も無意味にフィールドに行く事になる。しかも出現したクエストは見つけたキャラクターのみしか遊べない。
協力プレイ時の問題点
Wi-Fiのフリープレイ(ランダムマッチング)では通称切断厨、カオス厨
(
*5
)
等、マナーのなっていないプレイヤーが多い。
Wi-Fiのハードルが低いこともあって年少者ユーザーが多いのが原因。
フリープレイでは下品なイラストや暴言対策の為かビジュアルチャットは出来ず、特定のワードを選択して発言する形式となっている。
賛否両論点
低年齢層への間口を広げるためなのかキャラクターデザインが変更されアニメっぽくなっている。
これは開発デザインで当初からアニメ「世界名作劇場」が念頭にあったため。また全体のイメージとしてはジブリの名作アニメ「天空の城ラピュタ」があり、初期のイメージボードには「夜の鉱山でカンテラをもった少年の前に、天から眠ったように目を閉じる少女がゆっくり降りてくる」というラピュタの有名シーンを彷彿とさせるものが描かれた。ちなみにこの時点でメインヒロインのサリサの姿がほぼ完成されていた。
この変更に初代PSOからの硬派なキャラデザインが好きなファンにはやや不評だが、逆に温かみのある本作のデザインを好む人も多い。
キャラクタ―デザインは、PSOからイラストを務めた水野暁一氏が手がけている。スタッフや水野氏によって最終決定されたデザインが、アイドルマスターで有名な窪岡氏によって誌面やパッケージを飾るイラストとして描かれている。
難易度が低い。
ネットゲーム化した歴代ファンタシースターは、難易度が上昇すると敵の機動力やモーションがクロックアップされ続けるなどかなり無茶な設定が問題視されつづけており、(PSP版でも同様の問題が起き不満点となっている)この環境に慣れた人からは、今作の難易度が物足りないという意見も上がっている。だが3D世界で立ちまわるWi-Fi(ネットゲーム)に初めて触れる低年齢層や、DSの十字コントローラーでのプレイを考えれば妥当と言えよう。
ただし一部油断できない強敵もおり、完全なヌルゲーではない。特にアルカプラントでは出現する敵全てが特殊な行動パターンを持つため、事故が起こりやすく非常に厄介である。
(
*6
)
ボスの「ヒューミリアス」もラスボス「ダークファルス」を差し置いて本作最狂と名高い。
また序盤の巨大ボスも初めて戦う初心者プレイヤーにとってはなかなかの強敵(所謂「初見殺し」要素が満載)で、最初の壁だったりする。
開発スタッフの中でも「タコ倒せねぇ!」「アークザイン作った奴出て来い!」と悲鳴が上がったとか。
前述のエターナルタワーも階層が増すごとに敵の強さが徐々に増していく。最高難易度のスーパーハードでは、最大レベル100に達した自キャラさえもクリティカルヒットで即死させる程の敵が出現するようになり、同行するNPCの弱さと重なって油断できない超難所と化す。能力の高いブーストエネミーが出ない事が救いか。
総評
アクションRPGとしての基礎はしっかりとしており、DSという箱庭の環境に合わせたシステムとアイデアが良く練られた、コンパクトかつ良質な作品となっている。
PCや据置に目線を置いたオンラインゲームとしては物足りない部分もあるが、みんなで持ち寄るハードであるニンテンドーDSの限られた容量の中でPSOシリーズの新たな進化の形を提示したスタッフの力量を賞賛すべきだろう。Wi-Fi・オンラインゲームの入門用としては申し分ない出来である。
確かにグラフィック面ではPSPに大きくに劣るがゲーム単体として見ればレベルデザインやゲームバランス、カメラの仕様に始まるキー操作はPSPの数倍良好である。
PSO/PSUシリーズの不満点が多く解消され、追加された要素も概ね好評であるだけに、PSPoシリーズの展開よりも、本作「ZERO」のPSPやニンテンドー3DSでのリメイク・続編開発を望む声は多い。チャット方式を継続するならWii:Uでも良いかもしれない。
当時のポストモンハン的な立ち位置で注目され、ハーフミリオン(50万本以上出荷)を達成したPSPoシリーズと比べこちらは話題にあまり大きく取り上げられず、発売後はPSO・PSUでの廃人プレイに慣れたユーザーから酷評されたこともあり市場価格も大きく値崩れを起こした。
同時期に発売した同社のこの作品
とともに、「不遇の名作」の肩書きが相応しいかもしれない。
本作が発売した翌年の2009年には海外版も発売され、以降はWi-Fiのマッチングフリーモードで海外のプレイヤーと遊べるようになった。PSO時代よりも(ネット接続環境などの)低いハードルで、国境を越えて共闘プレイを楽しめるその様は、
「PSOから9年経って、据え置き機でやっていたことが携帯機のDSでもできるようになったよというのを、昔のユーザーに体験してもらいたかった
(設定原画集のスタッフ対談)
」
と語った制作陣サイドの、よい意味での思惑通りになったと言えよう。
本項の記事はシリーズ作品モノの宿命というべきか、結果的に「前作」PSOを含めた他のファンタシースターシリーズとの比較に終始した批評となってしまったが『ファンタシースター』のシリーズ作品という色眼鏡を抜きにしても、低スペックのDSソフトでは数少ない「完成度の高い3DアクションRPG」に間違いは無い。PSOやPSPoといった他のファンタシースターを未プレイのRPGファンでも、長時間楽しめるポテンシャルを誇る良作であるという事を、改めて留意させて頂きたい。
「本作はまだ未プレイだが、手軽なアクションRPGをプレイしたい」という人は中古がワンコインで買えるという(少し気の毒な)現状を逆手に取り、本作を手に取ってみる事も検討してはいかがだろうか。
余談
開発当初、サリサは“男の娘”になる可能性があった。これは開発初期にプレイキャラの性別によって、パートナー(サリサ)の性別が変わるというアイデアがあったためで、そのためサリサの一人称が「ボク」となり、プレイヤーが女性キャラを選択した場合、物語の最後でボクッ娘だと思われたサリサが男の子であるとわかるというプロットが企画され、結果的には廃案となった。
サリサの「触手イベント」はスタッフの一人、宇野氏のアイデア。最初提案したときには他のスタッフから「疲れているのかな」と思われたという。その後仲間から「触手先輩」のアダ名をめでたく拝領された。
オギの合体シーンは当初スタッフ内でも秘密にされ、公開されたとき多くのスタッフの目が点になったという。
武器の一部やマグの一部は製作スタッフの名前が元となっている。
ボスに変形合体の巨大ロボはPSOからの長年の夢であり、最初はPSOの坑道ボスがその予定であったが、当時のハードと技術ではそれが表現出来なかった。10年の時を経てDSという舞台でついに念願の合体変形ロボのボス「ヒューミリアス」を誕生させることが出来た。
アナのコスチュームは当初、もっと胸部が開いた形だったがアニメがほぼ完成した時点で「これはマズい」と現在の形に。アニメは一コマ一コマ、PSZスタッフの手で修正された。
当作のダークファルス(以下DF)は、「ファンタシースター三大ガッカリDF」と呼ばれる。その強さから肯定意見が出る一方で、その容姿から「これ犬?」「ぞうさん」「TINTIN!」「なるほど、DarkなPhallusか…」など散々。後半の二つは近年映画化された海外の某有名キャラの事ではなく、紳士と右手のベストマイフレンドのほうである。
もっとも、実の所アルゴル太陽系シリーズ時代のダークファルスの正式スペルは「Dark Phallus」である。海外版ではさまざまな関係から「Dark Falz(『III』海外版のみDark Force)」になっていたが、『PSO』以降正式スペルが「Dark Falz」に統一された経緯を持つ。
初代スタッフは当初「Phallus」の意味を「そそり立つ」と認識し、ダークファルスとはすなわち「勃興せし闇」の意をこめて名づけたという。「Phallus」にペ●スの意味があることを知ったのはずっと後だという。
残り二つは“PSUイルミナスの野望”からのノミネートとなり、一つはDF第一形態。これは同作にPSOのボス「デ・ロル・レ」からスピンオフされた「ディー・ロレイ」というボスが登場するが、実はこれのガワを張り替えただけで、行動パターンも攻撃方法も弱点、攻略法も全く同一であるため、実装された当初は某掲示板で悲鳴があがり「デロルファルス」「ダークファルス
ック
(
*7
)
」などと嘲笑された。
もうひとつが、同じく“PSUイルミナスの野望”のDF最終形態。こちらも既存ボスのガワ変更版で能力も攻略も一緒。ついでにバトルフィールドも一緒。こちらは以前から解析データから存在が知られていたので、ユーザーからはため息だけで済まされた。最近ではPSPoインフィニティのDFも「DFらしくない」「カッコ悪い」「FF7やFF8にこんなの居たよな」という事で含まれるとか含まれないとか。
最近発売された新作である『ファンタシースターポータブル2 インフィニティ』は前作以上に本作の影響を強く受けている。
特にラストダンジョンはBGM、マップデザイン、演出がエターナルタワーを強く意識したものになっている。
その他にも本作同様ソードが大幅に強化されていたり、マシン系エネミーのフィンジェ三種・マザー三種&ヘブンズマザー(エターナルタワーのボス)がゲスト出演していたりする。
また条件を満たせば本作のNPCを模したコスチュームを入手可能である。
DSiウェアで本作の縮小版の『
ファンタシースターZERO Mini
』が配信されている。値段は200DSiポイント。
こちらではキャラメイキングは出来ず、ヒロインのサリサをはじめとした本作のNPCキャラを操作する事となる。
本作にはゲーム中にある「パスワードマシン」という自動販売機(?)みたいな外見の端末で規定のパスワードを入力することで、同社セガの他作品やゲーム雑誌などとコラボしたゲストアイテムを手に入れる事が出来る。
PSO時代から一応コラボアイテムでの縁があった「ファミ通(本編では「ファミツウ」と表記)」や「ゲーマガ」等の近年の主力ゲーム雑誌な武器だけでなく、任天堂ハードで発売された強みというべきか「
ドカンバズーカ
」や「
ハイリアシールド
」といった任天堂ネタなゲスト武器まで収録されている始末。
後続の『PSPo2』や『龍が如く4』といったセガ作品では、様々な企業やアニメ作品等とコラボしすぎて、まるで「闇鍋状態」だと揶揄されているほどのコラボレーション展開がされている。本作のゲストアイテムも、その迷走コラボの先駆けとも呼べるのかもしれない。
Wi-Fi接続プレイという環境上が故か、Wi-Fiマルチプレイ時でも据え置き機のシリーズにあったようなオンライン経由でのゲーム中の大々的なイベントとは無縁の作品である。…が、海外版発売のさい、
こんなイベント
が開催されたとか。
シリーズで初めてアニメーションムービーを採用した(担当はGONZO)。のだが、ストーリー中のあるシーンのアニメがかなり力が入っており、「これだけの為にアニメーションを採用したのではないか?」と言われていたりもする。
+
そのやけに力が入っているアニメーション
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5761790