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GRAN TURISMO 5 - (2012/11/10 (土) 12:38:58) の編集履歴(バックアップ)


GRAN TURISMO 5

【ぐらんつーりすも ふぁいぶ】

ジャンル オンラインカーライフシミュレーター
通常版

SpecII
対応機種 プレイステーション3
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 ポリフォニー・デジタル
発売日 2010年11月25日
2012年2月2日(SpecII)
定価 通常版 / 初回限定版:7,980円
RACING PACK(PS3本体同梱版):35,980円
SpecII:4,980円
グランツーリスモシリーズリンク


概要

  • ドライビングシミュレーターの金字塔、『グランツーリスモシリーズ(以下GT)』の最新作でありナンバリングとしてはPS3第一弾。
  • NASCAR・WRC・SUPER GT等のイベント及び車両を本格収録。オンラインに完全対応。その他にも新たなシステム・要素を大量に搭載した。
  • パッケージに使用された車両は、2009年11月16日に発売されたメルセデス・ベンツ『SLS AMG』である。

特徴・長所

基本的な仕様

  • A-spec/B-spec
    • A-specは自分で走るモード、B-specは監督となってAIドライバーに指示を出し勝利に導くモード。
    • GT4では両specは任意に切り替えができたが、本作では完全に独立する形となった。
  • レベル制
    • 今まではライセンスを取得し、それによって参戦できるイベントを増やすといった手法だったが、本作ではRPGのようなレベル制となった。
    • 具体的には、レースで勝利すると賞金と共に経験値を獲得し、それによってレベルが上昇、購入できるクルマや参戦できるイベントが増えるという具合である。それぞれ、今のレベル=自分の腕前、レベルの上昇=上達、の目安となっている。
      • しかし、現状は配信イベントのインフレもあってかあまり目安としては機能していない。
    • 『ライセンスが取れなくてレースに出られない』という問題点が解消された。この仕様変更により、ライセンスは完全に腕を磨く&トロフィー獲得でクルマを貰う専用の場所となった。
  • イベント数はA/Bspecイベントだけを見れば少ないが、実際はA/Bspecイベント+スペシャルイベント+配信イベントで凄まじい大ボリューム。

時間変化・天候変化

  • 一部のコースのみだが、昼・夕・夜・霧・降雨・降雪等、時間の経過による自然の移り変わりを美しく、正確に再現。
  • 時間変化は視認性に、天候変化はレースコンディションにリアルタイムで影響を及ぼしていく。無論天候変化・時間変化の有無は設定可能。
  • 特に、降雨時の『ニュルブルクリンク ノルドシュライフェ』は、場所によって路面のグリップ力が違うという部分まで徹底再現されている。夜間走行時の視界性の悪さも再現されている。『ニュルブルクリンク 24時間レース』の過酷さを追体験できるだろう。

ビジュアルエフェクト

  • PS3の高い演算性能を駆使する事により、ビジュアルエフェクトが大幅に向上。
  • タイヤの構造はシミュレーションレベルから見直され、表面温度にまでアプローチ。リアルに限りなく近いタイヤスモークを発生させる。夜間走行時にはスモークがテールランプに照らされ赤くなるという徹底ぶりである。
  • その他、車体で路面を擦った際に飛ぶ火花、風でなびく路傍の草花、発熱するブレーキディスク、グラベル走行時に巻き上げられる小石等、細かな物理現象も再現。小さな表現の積み重ねによりリアリティが大きく増している。トスカーナやサルト・サーキットで打ち上げられる『花火』の美しさには誰もが驚いただろう。この花火は、予め用意されたエフェクトではなく、専用に開発された「花火シミュレータ」によって毎回演算されているという徹底ぶり。

多数の自動車レース及びその車両の本格収録

  • レーシングカート
    • 本来はGT6に収録される予定だったが、情報のリークにより急遽収録される事となった。
    • 本作ではモーターレーシングの登竜門である、スプリントカートの入門クラスの車両が収録されている。カートならではのダイレクトな挙動を味わう事が可能。
  • NASCAR(ナスカー)
    • アメリカで開催されているストックカーレース、及びそれに用いる車両の事。本作で初収録。
    • ハイテクの塊のGTやF1と違い、マシンコントロールに関わる電子制御が禁止されているため、純粋なセッティングとアクセルコントロールがそのまま腕の差となる。
    • ドラフティング(スリップストリームのNASCARでの同義語)を駆使してオーバーテイクする快感を体験できる他、NASCAR特有の迫力あるピットワークシーンも再現されている。
    • また、『Mr.NASCAR』の異名を持ち、現役最多となる82勝を獲得しているトップレーサー、ジェフ・ゴードンがゲーム内に登場。NASCARにおける様々なテクニックを伝授してくれる。
    • オーバルコースも、インディアナポリス・モーター・スピードウェイとデイトナ・インターナショナル・スピードウェイが登場した。もちろんロードコースも収録されている。
  • WRC(世界ラリー選手権)
    • WRCの車両自体は以前からあるが、本作では『各SS区間での合計タイムを競う』という、現実のWRCと同じルールで競うイベントが初収録されている。
    • また、WRCの現チャンピオンであり、2004年シーズンから現在まで8連覇中のセバスチャン・ローブがゲーム内に登場。グラベル・スノー・ターマックで彼のゴーストにそれぞれタイムアタックを挑む事が可能。
  • その他
    • スーパーカーの象徴、フェラーリ&ランボルギーニの車両が本格収録。マセラティも『グランツーリスモS』の1台だけだが初登場している(マセラティはPSP版に権利ロゴだけ登場していた)。
    • 『458 イタリア』『ムルシエラゴ LP640』といった最新車種はもちろん、現存する最後の1台である『ミウラ P400 プロトタイプ』や、1967年にデイトナやモンツァで活躍した『330 P4』までも収録。ファンを歓喜させた。

収録車種・収録コース

  • シリーズ最多となる1031台もの車を収録している。その内の約200台がプレミアムカー、約800台がスタンダードカーである。
    • DLCでの追加車両やアップデートによる追加車両もあったため現在は更に増えている。
  • プレミアムカーは、エクステリア・インパネ・内装・色・音・ブレーキキャリパー・リトラクタブルライト等を、PS3の性能で再現したモデル。通常走行では全く見えない後部座席やエンジンルーム等、更にはヘッドライトのハイ&ロー切り替え・ワイパーの稼働・アクティブリアウイングの作動等も忠実に再現されている。日産・GT-Rに至ってはマルチファンクションディスプレイの動作まで再現するという徹底ぶり。(ちなみに、現実のGT-Rのマルチファンクションディスプレイのデザインをポリフォニーデジタルが担当している。)
    • ちなみにプレミアムカーは、1台につき1か月~3か月もの製作期間が掛かるらしい。バカ高いクオリティな訳である。CGの綺麗さよりも実写に見せようとしている努力が伺える。
  • スタンダードカーは、旧作に登場した膨大な数の車を手直しして再収録したモデル。
    • 流石にプレミアムカーには及ばないが、リトラクタブルライトの開閉やアクティブリアウイングの作動も再現されている。ただし、ハイ&ロー切り替え不可やフォトトラベル使用不可等、プレミアムカーに比べ一部制限がある。
    • なお、Pカー・Sカー共に多少の問題点もある。詳しくは後述。
  • コースは20ロケーション・70バリエーション以上となっている。
    • 従来と比べコース数が減っているものの、専門の測量チームが現地に赴いて測量を行っているだけあって、再現精度は従来のそれを遥かに凌駕している。特に『ル・マン サルトサーキット』の路面の凹凸、『ニュルブルクリンク』の路面に書かれた落書き等はかなり正確に再現されている(しかもそれぞれの名称も表示される)。
      • 国道246号線を舞台にした東京・R246では、『りそな銀行』や『郵便局』といった看板までもしっかり再現されており、『龍が如く』の広告まである。
    • リアルサーキットの再現精度はもはや常軌を逸したレベルにまで達しており、プロのレーシングドライバーが『グランツーリスモでコースを覚えた』とコメントする程。
+ ニュルブルクリンク・GT5と現実の比較動画

マシンへのダメージ表現

  • 物理演算によって、ボディの傷・凹み・破損等をリアルに再現。特に『C4 WRC』を筆頭とするラリーカーは、ボンネットが外れてエンジンルームが露出するといった素晴らしいダメージ表現が施されている。
  • また、A-specレベルが一定に達すると、衝突時に脚周りやエンジンに影響を及ぼすようになる。具体的には加速性能が低下したり、真っ直ぐ走らなくなったり、コーナリング時に挙動を乱しやすくなる等。
    • これにより、プレイし始めの頃はかなり乱暴な走行にも耐え初心者でもそれなりに走行でき、レベルが上がると如何に速く走りつつクラッシュを回避して完走するか、という現実のレースさながらの緊張感を味わう事が可能となった。
  • スタンダードカーはボディの凹みと汚れのみに留まっている。また問題点もある(後述)。

フォトトラベル

  • 従来のフォトモードの事。UIとロケーションを一新し、更にロケーション内を自由に歩き回れるウォークモードを搭載。
  • カメラの機能もデジタル一眼レフよろしく、手動でのフォーカスや絞り、シャッター速度の調整が可能。
  • 失敗しても同じシチュエーションで何度でも取り直す事ができるので、プロカメラマン顔負けの写真撮影が簡単にできる。
  • このモードで撮られたプレミアムカーの写真は恐ろしいほどクオリティが高く、何も知らない人に見せたらほぼ間違いなく実写と思われるほど。
  • これにより、クルマに乗ってレースに出る以外にも、綺麗な写真を撮ってコレクションするという楽しみ方が可能となっている。もちろんPS3から書き出して他機器での観賞や印刷も可能。
  • このモードにも時間変化が実装されており、移り変わる景色やそのロケーションの現地の環境音等も相まって、実に素晴らしい雰囲気を醸し出している。
+ 素晴らしいモデリングをご覧あれ

地上最速のレーシングカー

  • 2005年からF1に参戦しているレーシングコンストラクター『レッドブル・レーシング(RBR)』の全面協力のもと、レギュレーションの枠に囚われない地上最速のレーシングカーの構想を形にした『レッドブル X2010』が収録されている。
  • あくまでゲーム中でのみ存在する架空のクルマではあるが、モックアップ(後に一般公開された)を使用した風洞実験など、実車さながらの手法で開発が行われた。設計にはRBRのチーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューイが携わり、シェイクダウンテストは2010年シーズンF1世界王者のセバスチャン・ベッテルが担当するという豪華ぶり。
  • その性能はあらゆるクルマを過去のものにするほど凄まじく、ベッテルが鈴鹿サーキットを走った際には、1周目でF1マシンのコースレコードをいきなり20秒以上更新したほど。ここから先は是非自分の手で確かめてほしい。
  • そして発表から一年。更なる進化を遂げた"X2011"が登場。こちらもエイドリアン・ニューイがしっかりと監修を務めている。

オンライン

  • オンラインレース
    • 従来のレースに加え、集まった皆で自由に走行できるフリーレース・観戦モード・テキストチャット・ボイスチャットを搭載している。
    • 当然、コース・VCの有無・車重や車種、馬力、タイヤ等の制限は(ルームホストが)自由に設定可能。また、レース時には資金と経験値も稼ぐ事ができる。
  • My Home
    • プレイヤー1人につき1つ割り当てられる『家』のようなもの。プレイ記録やカーディーラー、A-specやライセンス等は全てここに集約されている。
    • コミュニティ機能が用意されており、PSNのフレンド間でオンラインプレイができるマイラウンジ・掲示板・メール・写真・自作コースの共有等、多彩なコミュニケーションを利用可能。
  • コースメーカー
    • トスカーナ・アラスカ・阿蘇等の基本景観を選び、全長やセクション、バンク等の簡単な設定をするだけでオリジナルのコースが作成できる。 作成したコースはフレンドとの間で共有したり、オンラインでレースをする事が可能。
    • 流石に『モッドネーション』や『リトルビッグプラネット』程に作り込む事はできないが、それなりのロケーションが用意されている上に簡単にサクサク作れるので、面倒にならない。
  • リモートレース
    • 『自分のAIドライバー&クルマ』と『フレンドが公開しているAIドライバー&クルマ』を選択する事により、B-specによるオンラインレースを開催可能なモード。
      • 後のアップデートで、PCやスマートフォン等の外部端末からの遠隔操作が可能となった。

グランツーリスモTV

  • 世界中のレース・クルマに関する様々な映像コンテンツを、GT5上で視聴できるサービス。無料のものもあれば有料のものもある。
  • 配信されている映像はスーパーGT・D1グランプリ・山内氏によるニュルブルクリンク24時間耐久レース密着映像・NSXconcept等の新車の公開映像・レーシングカーの祭典『Goodwood festival of speed』・ヒストリックカーイベント『Pebble Beach -Concours d'Elegance-』・日産『GT-R』や三菱『ランサーエボリューションX』の開発秘話等、実に豊富に揃っている。
  • GCではない本物のスポーツカーやレースカー、プロレーサーを見る事のできる機会であり、モータースポーツファン垂涎ものの充実した内容となっている。有料コンテンツもあるが、お金を払うだけの価値は十分にあるだろう。

DLC

  • 当初はDLCをやらない意向だったが、ユーザーからの強い要望により、2011年10月18日より第1弾が開始された。
  • DLC第1弾ではゲームオリジナルのツーリングカー11台とレーシングカート3台、そして先述した史上最速のレーシングカーの後継機である『レッドブル X2011プロトタイプ』が配信された。
    • コースは『カートスペースI/II』と、スパ24時間耐久レースやF1ベルギーグランプリが開催される歴史深いコース『シルキュイ・ド・スパ=フランコルシャン』が追加されている。
  • 第2段はミニ『ミニ クーパーS』・日産『GT-R ブラックエディション』・フォルクスワーゲン『ゴルフVI R』及び『シロッコR』が配信された。
  • 第3段はミニ『ミニ クーパーS カントリーマン』・アストンマーチン『V12 ヴァンテージ』・ランボルギーニ『アヴェンタドール LP700-4』・日産『リーフG』・ジャガー『XJR-9 LM』が配信された。
    • また、最高速性能・加速性能・最大加速G等を計測できるスピードテスト機能が追加。それに伴い全長30kmという凄まじい超巨大コースの『スペシャルステージ・ルートX』が追加された。
  • これらのDLCは値段も手ごろ(クルマ1台当たり100円)で買いやすいため好評。もちろんこれからも配信は続く予定である。

その他の特徴・長所

  • リアルな挙動
    • GT4では過剰過ぎるオーバーステアが存在し、プロローグはオーバーステアのハンドルの返りが少なく、逆ハンドルのタイミングがやや掴みにくかったが、本作では共に大きく改善・改良されている。また、スピードを出した時に視線が適度にブレる・ハンドルの微妙な振動・スノー走行でのハンドルに伝わる感覚・アンダーステアの抜け感等、本物に限りなく近い。
    • タイヤの接地感が如実に分かるというか、慣性の法則を意識しながら走るというか、言葉にはしにくいが非常にナチュラルな挙動になっている。
    • クルマの作り込みについつい目を奪われがちだが、実はこのリアルな挙動こそが本作における最大の評価点である。ここまで現実の挙動に近付けたゲームは本作以外に存在しない。まして、ハードの性能面を考慮すれば尚更である。
  • サウンド
    • サウンドもより進化。従来では空吹かしのエンジン音だけだったが、本作からトランスミッションの音まで再現するようになり、臨場感のある音作りとなっている。
    • BGMはたっぷり189曲を収録。有名所のアーティストの曲を多数収録している他、OP曲『Moon Over The Castle GT5 Version』は過去最高のアレンジとして非常に評価が高い。カスタムサントラにも対応しており、HDDに入れたお気に入りのBGMでドライブも可能。
  • グラフィック
    • 言うまでもなくグラフィックはレースゲーム屈指のレベル。1280x1080のフルハイビジョン・60fpsでの最大16台走行が可能であり、この三つを同時に満たしているレースゲームは本作以外存在しない。ただし可変60fpsであり、降雪・降雨時に16台走行をすると若干下がる場合がある(40fps程度に)。
      • 車のグラフィックばかりが注目されるが、背景のグラフィックも実写と殆ど変わらないレベルである。特に新コース『アイガー北壁』の絶景には誰もが目を奪われた。
  • レーシングモディファイ
    • 一部の車両のみだが、GT2以来久しぶりにレーシングモディファイが可能となった。外観・性能・挙動、更には内装に至るまで完全に別物へと変化する。
    • 特に『インプレッサ セダン WRX STI』は、レーシングモディファイを施すと唯一レーシングカーではなくラリーカーへと変貌する。WRCから撤退してしまったスバルへのポリフォニーの愛が見て取れる。
  • プレイヤーとB-Specドライバーのキャラクター化表現
    • 今回、アイテムとしてヘルメットとレーシングスーツが存在するようになり、それを組み合わせてプレイヤー自身の姿をゲーム内で表現する事が出来る。ゲーム内デモなどで、プレイヤーの分身たるレーシングドライバーの姿が描かれ、メカニックやエンジニアと対話する場面もある。
    • リプレイにおいても、コクピットにはプレイヤー自身のドライビングする姿が描かれ。あたかもグランツーリスモの世界の中で自分がレーシングドライバーとして実際に活動しているかのような気分になれる。また、この姿はオンラインプレイにおけるアバターとしての役目も果たす。
    • また、B-Specドライバーもプレイヤー同様にヘルメットとスーツの組み合わせで個性を表現でき、限定的ながら名前をつけることができるので、実在する(した)ドライバーの再現なりオリジナルのドライバーの設定を夢想するなりして楽しむことが可能。しかも、今作では6人まで作成できる。
  • その他の機能
    • 3D立体視に対応。3Dの特性上解像度が720pに下がるが、臨場感のあるレースを楽しむ事が可能。当然3DTVが必要で、何時間もやってると具合が悪くなるので注意。
    • アーケードモードのみだがフェイストラッキング機能に対応。『PlayStation Eye』で顔を認識させ、レース中に顔を左右に動かしてドライビング中の視点を左右に動かす事ができる。これとハンドルコントローラとドライバー視点を組み合わせる事により、現実さながらの走行が可能。
    • マルチモニターに対応。複数のモニターとPS3を組み合わせる事により、本物に限りなく近い走行が可能。お金持ち限定。

短所

  • ロード時間がかなり長く、特にコースの読み込みに時間が掛かる。インストールしなければもっと長い。
    • 本作にはゲームをプレイしつつインストールするバックインストール機能があり、ゲームを進めるにつれてちょっとずつ短くなってはくるのだが…。
      • ちなみにver2.00のアップデートによってクルマの読み込みがバックロードになったので、一般的なレースゲームより少し長い程度には落ち着いている。
    • レスポンスも悪い。
      • 一例として、頻繁にオートセーブがされ、その間は各画面にアクセス出来ない(これは前作もそうであったが、今作ではオートセーブをオフに出来ない)。
      • オンライン接続時は、常に情報(ニュース、プレイログ等)をサーバーとやりとりする形になるのか更に動作が遅くなる。
  • 前作までと違い、ライセンス以外でもプレゼントカーが貰えるのは1度きり。間違って売却しないように。
    • その代わり一部を除くほぼ全てのクルマは、カーディーラー及び中古車ディーラーで購入できるようになっている。
  • スタンダードカー
    • 前述の通り、旧作に登場したもの(数台が初収録)を手直しして再収録している…のだが。
      • GT4やPSP版から収録したクルマはそれほど問題ではないのだが、GT3から再収録したと思われる車はびっくりするほど汚い(主にテクスチャが)。
      • 早い話、クオリティのばらつきがとても激しい。アップデートで修正された程のものもあれば、プレミアムカーと見紛う程のものもある。
    • いくつかのクルマはサウンドが使い回されている。本作は基本的に実車からサウンドを収録しているので、実車が存在しない等の理由でサウンドを収録できなかったクルマは、使い回す以外になかったものだと思われる。
      • クルマの解説にもコピーペーストがいくつかある(例・ロードカーとレースカーで解説が同じ等)。情報不足か開発期間が足りなかったかは不明。
    • 前述の通りスタンダードカーのダメージ表現は『凹む』と『汚れる』のみなのだが、凹むというより『曲がる・歪む』であり、かなり見栄えが悪くなる。
    • スタンダードカーはフォトトラベルでの撮影が出来ず、リプレイでのフォトモードの撮影に限定されてしまう。だが、ゲーム立ち上げ時のデモにおいて、フォトトラベルの舞台に現在乗車中のクルマが表示されるものがあり、スタンダードカーに乗っていてもちゃんと表示されるため、スタンダードカーでのフォトトラベルの撮影は技術的には可能なものと思われる。
      • 上記のクオリティのばらつきにより、アラが目立つのを開発側が嫌ったためだろうが、デモで見せつけられてしまうとユーザーとしては生殺しの気分を抱く向きもあるだろう。せめて、ズームアップ制限付きでもスタンダードカーでの撮影を実現出来なかったものだろうか。
  • 細かな不具合が多い。
    • 例えば、「極一部のランエボにAYCが搭載されていない」「日本車の海外ブランドの車両が日本正規未導入なのに日本車扱い」「特定の車両を特定ロケーションで写真撮影した際に影が写らない」「グラフィックミス」「誤字・脱字」「R34のディスプレイが動作しない」等。
      • プレイに大きな影響を及ぼすものはないものの、このような細かな不具合が多い。一応アップデートで少しずつ改善はしている。
  • カスタマイズ
    • 車のボディーカラーとホイールカラーの変え方が、ペイントアイテムを消費するというもので、自分の思い通りに色を変えるのが難しい。
      • 特にクロム系を使いたい人には大きな痛手となる(入手機会があまり無い為)。
    • エアロパーツで交換出来る箇所があまり無く、それでいて多くて3つと少ない上、更にエアロパーツすら用意されていない車種がある。
      • エアロパーツのラインナップにもばらつきが(例:フロントバンパーが無いのにウィングが有る)。
    • GT4ではあった中古ホイール(各クルマがデフォルトで装着しているホイールや、どこかで見たようなデザインのホイールが買える)が割愛され、旧車や軽自動車に似合うホイールが無くなってしまった。
      • どのホイールも現代的な5つ穴のホイールであり、特に80年代以前の旧車に装着すると違和感が拭えない。また、軽自動車も本来17~18インチ以上のサイズでデザインされたホイールが10~14インチに縮小されてしまうため、これも不自然になる。
  • 耐久レースの仕様
    • 耐久レースは基本的に3人前後のドライバーが交代して走るものなのだが、A-Specモードではプレイヤー1人で走る仕様になっている(B-Specでは交代制)。
      • 300kmレースや4時間耐久ならさほど苦でもないが、24時レースとなると話は別。流石に24時間も一人で走るのは辛い。
      • 本作ではA-SpecとB-Specが完全に独立しているので、これはその弊害かと思われる。尚、現在では耐久レースの中断セーブ機能が実装されているので、この問題点は解消されている。
    • B-SpecモードはB-Specモードで、前作で可能だった3倍速モードができなくなっている。
      • これは山内氏曰く「24時間レースを走り切る事で得られる経験を3倍速モードで安易に得てほしくないから」との事。
      • 山内氏自身、現実のニュルブルクリンク24時間レースに出場しているので「簡単にクリアしてほしくない」という気持ちは判るのだが、それならそれで「一度クリアしたイベントでは3倍速モードが使えるようにする」等の配慮がほしかったところ。
      • それよりも「24時間も連続で動かしたら本体の負荷が凄まじく掛かる」という理由で、GT4の頃に3倍速モードを使っていた人が多かったのも事実である。
  • 一部コースの入れ替えと削除
    • 例えばシティコースは旧作に登場したコースで今作に登場するのはモンテカルロ市街地コース・東京R246・スペシャルステージルート5とクラブマンステージルート5の4つだけであり、他のコースは全て入れ替えられている。
      • これは現実の市街地を基に測量を行って製作されているため。現にローマ市街地コースは旧作にも登場しているが、中身は実際の街並みを使った別物である。
    • 他にもツインリンクもてぎやインフィニオン・レースウェイ、改修前の富士スピードウェイ等、いくつかのコースが削除されている。もちろん、ニュルブルクリンク・GPコースやケープリンク、モンツァ・サーキット等、多数の新コースも収録されているのだが…。
    • ダートコース(未舗装路)はすべて一新されており、コースの風景や雰囲気も完全に変わってしまっている。
      • しかもせっかく新コースが収録されてあるのに、前作まであったスペシャルコンディションレースがなく、走る機会はかなり少ない。
      • シャモニー(スノーコース)も登場するが、これも同じ場所であるだけでレイアウトは別。
  • オフラインのUIがオンラインに比べて使いにくい。
    • オンラインでは部屋から直接ガレージにアクセスができるのだが、仕様の関係上オフラインではできず、プラクティスではわざわざホーム画面まで戻る必要がある。
    • 先述の通りロード時間が長めなので、オンライン基準で仕様を統一してほしいという声は多い。
  • オフラインとオンラインでゲーム進行具合に極端な差が出る。
    • オフラインでゲームを進めると、イベントで貰える賞金は決してゲーム進行上満足なものとは言えない。エントリー制限を考慮しての車種選定や、チューニング内容の厳選など、計画的なプレイをしないとすぐに資金不足に陥ることになる。
    • 他方、オンラインにおいては多数の配信イベントが存在し、それによって得られる賞金と経験値は桁違いである。また、連日ログインすることでさらに倍増の賞金と経験値を得られる。したがって、「豊富な資金でより強力なマシンやチューニングをすぐに得られる→ますます勝率が上がり、得られる資金は増える→レベルもどんどん上がるため、さらに強力なマシンを買い、上級のイベントに挑戦できる」というようなスパイラルでゲームがあっという間に進行してしまう。
    • このゲームの趣旨はカーライフシミュレーターであり、ゲーム進行が早いからといってすぐに飽きが来るというものでもないが、オフとオンで極端に差が付き過ぎではという意見もある。

総評

  • ところどころ荒や不具合が目立つものの、サウンド・挙動・収録車数・グラフィック・それらのクオリティの高さ等、全体で見れば上出来であり、次世代のレースゲーム(ドライビングシミュレーター)に相応しい品質であると言える。
    • また、そのクオリティの高さを称えられ、Game of the Year 2010を獲得している。
  • 最後に、このゲームはあくまで『ドライビングシミュレーション』であり、派手さや爽快感等よりも、乗り物のリアルな挙動を第一義とした運転を楽しむゲームである。『マリオカート』や『モッドネーション』等のアクション性、『NFSシリーズ』等の派手さは皆無なので、そういうのを求めている人にはあまり向かない。
  • 要するに、クルマ好きによるクルマ好きの為のクルマのゲームなのである。

余談

『ゲームの枠を超え、ヴァーチャルをリアルに』

欧州日産とSCEE、そしてポリフォニー・デジタルによって、『GTアカデミー』と呼ばれる企画が立ち上げられた。
その内容は、欧州12ヶ国のGT5Pトッププレイヤーに腕前を競わせ、勝ち抜いた者にドバイ24時間耐久レースの参戦権を与えるというものである。
この企画の『グランツーリスモのシミュレーション環境下で培ったドライビングテクニックを実戦に結び付け、ヴァーチャルをリアルにする』というコンセプトは、プロデューサーである山内一典氏が10年以上思い描いた夢でもあった。
3万人近い参加者の中からファイナリスト22人を選出し、更にその中から厳選されたのはスペイン出身のルーカス・オルドネス氏。
ルーカス氏の実力は確かなもので、ドバイ24時間耐久レースでは元F1ドライバーのジョニー・ハーバートをも超えるタイムを叩き出し、2009年の欧州選手権ではシリーズ2位を獲得するという好成績を残した。
そして2011年。世界3大レースイベントの1つである『ル・マン24時間耐久レース』に出場し、クラス2位として表彰台に立つという素晴らしい成績を残した。更にインターコンチネンタル・ルマンカップ(ILMC)でもLMP2クラスタイトルを獲得するという大変な成績を残している。
この素晴らしい結果は、グランツーリスモでトレーニングすれば大半のドライビングテクニックは習得する事ができ、安全で速いドライビングのセンスが自然と身に付く事の証明であり、またグランツーリスモのシミュレーション性が『本物』である事の証明でもあると言えよう。

『ヴァーチャルとリアルのコラボレーション』

トヨタ自動車株式会社とポリフォニー・デジタルによって、とあるコラボレーション企画が立ち上げられた。
それは、自動車の車両制御に用いられているController Area Network情報と、GPSによる位置情報を用いて、実車の走行をグランツーリスモ上でビジュアライズするというもの。
簡単に言えば、実車の走行データをGT5上でそっくりそのまま再現するという事である。プロの走りを分析して自分の走りにフィードバックできる他、プロのゴーストと対戦する事も可能になる。実車の走行をリアルタイムで再現する事も視野に入れているという。
クルマやコースの再現精度が非常に高い本作だからこそ可能な画期的な試みと言えるだろう。

+ 実車の走行をGT5に反映
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