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【いぶ ばーすと えらー】
写真はWindows版
港のはずれにある古びた倉庫。天城小次郎はそこで「あまぎ探偵事務所」を開いていた。だが事務所は開いたばかり、しかもライセンス停止中。さらに場所が倉庫街では、客が来るはずもなかった。もっともこんな状況になったのも、自ら決めた事だ。彼は元々、有名事務所に勤めていた敏腕探偵だった。それがある事件を解決したせいで、そこを辞職する事になる。そして新たに個人探偵事務所を開き、再出発したのだ。
顧客が全く来ない状態で厳しい生活を強いられていた小次郎に、知り合いのカメラマンの紹介で仕事が入る。それは紛失した絵画を探して欲しいという内容だった。小次郎に選択の余地などある訳もなく、その仕事を引き受ける。そして依頼者の下に向うのだった。
オフィス街の一角にある、なんの変哲もないビル。だがそこにはとある公的機関が入っていた。内閣情報調査室。そこに鷹揚な態度の女性が入ってくる。法条まりな1級捜査官。スーパーエージェントと称される捜査官だ。彼女はアメリカから帰国したばかりだった。本部長と呼んでいる上司とは、お互い気の知れた仲。着飾らない会話の終わりに、さっそく次の任務が告げられる。
それは海外の要人護衛。対象はエルディア共和国という大使の娘。中東にあるその国は、政情不安テロが頻発してるとの事だった。その影響は遠く離れた日本にもあるようで、大使自らが外交筋に手を回し護衛任務を手配したのだ。護衛方法としては、大使の娘の専任講師という形を取る。ただ何故かその任務の経過報告は、口頭のみになっていた。引っかかりはあるものの、気を引き締めさっそく任務に向うまりなだった。
ザッピングシステムを生かし、一見無関係な二人の主人公達の話が少しずつ絡み合い、やがて一つへ収束盛り上がる様は見事と言う他ない。さらになんともいえないラストの後のせつなさ漂う余韻。そしてそれらを魅力的なキャラクター達が、色濃いものへと高めていく。 コマンド選択式AVGにありがちな、無駄なコマンド選択がやや気になるものの、そのストーリーは味わう価値が十分にある。
本作は様々な機種に移植された。SS版、Windows版、PS2版、PSP版がある。
その中でも異色なのがPSP版。システムをノベル式に変更しキャラクターは新規にデザインした上、設定・シナリオの一部まで変更されている。
もはや同一のゲームとは思えないイメージとなり、旧来のファンからは不評だった。
又本作はシリーズ化され、続編がコンシューマー展開される。しかし、その時点で剣乃ゆきひろはシーズウェアを退社しており続編には関わっていない。
さらに作品毎に脚本家が変わり、シリーズものながらも作風の安定感が今一歩。評価もばらつきがある。しかしながら、ただ一つだけ共通している点がある。どれも一作目には及ばないという点だ。