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逆転検事2 - (2012/09/18 (火) 14:45:53) の編集履歴(バックアップ)


逆転検事2

【ぎゃくてんけんじつー】

ジャンル 推理アドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
発売・開発元 カプコン
発売日 2011年2月3日
定価 通常版:5,040円
コレクターズ・パッケージ:6,090円
Extended edition:7,140円
LIMITED EDITION:8,000円
廉価版 NEW Best Price! 2000
2012年1月19日/2,100円
逆転シリーズリンク


概要

逆転裁判シリーズのスピンオフ第2弾。軽めのファンディスク的なものから1つのゲームソフトに発展した前作と違い、本作は最初から本格アドベンチャーを想定して作られた。
第1報の時点で公開された1話スクリーンショットに、過去作の最重要人物が映っているなど情報公開時の驚きは結構大きかった。 キャッチコピーは「かつてない逆境。かつてない逆転。」


ストーリー

「ヤタガラス事件」から数日後、犯罪者の撲滅を公約に掲げ支持を集めている西凰民国大統領が来日。「ひょうたん湖公園」での演説は大きな盛り上がりを見せていた。
しかし、突如鳴り響く銃声に雰囲気は一変。会場は逃げ惑う人々で大混乱に。
その混乱の中、声が響く。「御剣検事を呼べ! この事件を解決できるのは彼しかいない!」
かくして検事・御剣怜侍は再び難事件に挑むことになった。


特徴

  • 新システム・「ロジック・チェス」
    • 渋る相手から言葉巧みに証言を引き出すシステム(『逆転裁判』シリーズの「サイコ・ロック」にあたる)。攻めるばかりでなく時には相手の様子を見つつ隙を探る、言葉のカケヒキが重要となる。
    • ロジック・チェスには制限時間があり、ゲージがゼロになるとやり直しとなる(ゲームオーバーにはならない)。熟考が基本の逆転シリーズとしては異色のものだが、落ち着いて解答すれば時間は余るようになっている。むしろ選択肢を間違えた方が多くのゲージを削られるため、後半は選択肢を間違えないことに注意を払った方がよいだろう。
  • 現段階でシリーズ最長のシナリオ
    • 前作と同様の5話構成だが、とにかく長い。1話ごとの密度が異常に濃い。
      • 特に「過去」と「現在」が密接に関わり合い、伏線が消化されていくさまは見事。「始まりの逆転」ともいえる過去とのつながりには都合上後付け設定も多いが、キレイにまとまっていてそれをほとんど匂わせない。
    • 事件以外にも「成長劇」「絆」「信頼」「受け継がれる意志」など見所が多い。
      • 本作にはストーリー全体を通してある「テーマ」が存在する。登場人物はいずれもその「テーマ」に関わる問題を抱えており、彼らがその問題にどのように向き合っていったのかが事件の背景・伏線として重要な意味を持つ。
    • 今まで以上に二転三転する展開が多く、冗談抜きで(何度も)窮地に陥る。
      • 検事としての地位すらもおびやかされる「かつてない逆境」の中で、御剣は動揺しながらも「検事とは何か?」「真実とは何か?」という問いにぶつかり、自身の生き方を問い直していく。「激しい葛藤の末に御剣はどのような結論に達したのか?」これが本作のもう1つのテーマである。

評価点

  • 調査場面のキャラクタードットには描き直されているものもあり、前作以上に動きや表情に磨きがかかっている。「ぬすみちゃん」のデザインもより近未来的なものに進化している。
  • 前作の弱点であった「キャラクターのインパクトの弱さ」が若干改善されている。
    • 新規キャラクターはアクションにも言動にも個性づけがなされている。また、二転三転するシナリオ展開と並行して登場人物の「印象の逆転」も多く見られ、新規キャラクターの存在感をさらに濃くした。
+ ...
  • 特に、物語序盤で退場する「ある人物」が物語全体、ひいてはラスボスの正体に繋がる重要なキーマンであったという、ある意味での「どんでん返し」に舌を巻いたプレイヤーも多かった(消去法でラスボスの正体はわかったというプレイヤーは多いが)。以前のシリーズでは、一度解決した事件の犯人や被害者がその後まったく別の形で物語に関わってくるということはほぼ見られなかった。
    • 強いて挙げるとすれば『4』のラスボスがそれに当たるため、そのセルフオマージュとも取れる。本作はこれに限らず、『4』を意識した展開が多いと指摘される(もちろん、4の問題点を意欲的に改善している)。
      • その例としては御剣の親子による18年越しのストーリーがある。未来の証拠を過去で使うという矛盾のあったメイスンシステムを使わなくても時間の行き来は可能であるという事実を示したと好評である。
  • あるシナリオでは前作でやや空気気味だった一条美雲を全面的にフィーチャー。
  • 『逆転裁判』シリーズのゲストは前作とは別の人物が登場。証人や対決相手としてストーリーに関わってくるが、過去作の内容など深いところまでは切り込ませないよう適度に抑えられている。
  • BGMの第一印象はあまりパッとしないようにと感じられるかもしれない。しかし「スルメ曲」という感想が多く見られるように聴いているうちに慣れてくる曲が多い(よく挙げられるのは、「対決~プレスト2011」)。
    • 登場人物の多くが固有のBGMを持っている。そのため、本作のサウンドトラックの曲数はシリーズ最多の49曲となっている。そのようなBGMへの思い入れは、キャラクターへの思い入れとともに深くなっていくことだろう。
    • 試聴はこちらから。

不評点・賛否両論点

  • シリーズ最長のシナリオであるため、人によってはだれる。
    • 第1話の時点で序盤からみっちりチュートリアルが入るため、なかなか対決が始まらないと感じるかもしれないが、まぁ気にせず進めてもらいたい。
    • 1つ1つのパートもかなり長い。ゲームオーバーになったときの「戻すつらさ」は半端ではないので、こまめにセーブをすることをお勧めする。
  • 前作ほどではないものの、今作のストーリーも過密スケジュールぎみ。前作と今作の間が数日間しかないというのも不自然さを残してしまっている。
    • ただし、この過密スケジュールのおかげで各話の関連具合はシリーズ中でも特に高い。
  • 「推理もの」にしては難易度が低い。
    • ストーリーを優先した影響(と長丁場故)か、ヒントが頻繁に示されるなど謎解きの難易度は前作同様低めであり、「推理アドベンチャー」として見ると単調になりがちである。
      • 犯行の手口などは割と巧妙なのだが、それを難易度にあまり反映できていないのは残念。
      • 一応詰みポイントがないわけでもない*1
  • 「ロジック・チェス」は若干練り込み不足のように感じられる。
    • 例えば、「間違った選択肢を選んだ時のセリフが数パターンの中からの使いまわしであること」や「時間制限があまりうまく機能していないこと」など。後者はともかく、前者は追究パートの選択肢のように、その選択肢特有の会話を入れればもっと深みが増したのではないだろうか?
      • 一方でネタ選択肢の違う意味での酷さは中々笑える。
      • ただし、本作における対決パート、さらに言えば逆転裁判シリーズの法廷パートやサイコ・ロックなどにおいても間違えた際の発言は数パターンの使い回しであり、このロジック・チェスについてのみ練り込み不足であるとは一概には言えない。
      • 尤も今挙げた3つの要素とは異なる点として、誤りの選択肢が御剣の発言として表示されるというものがある。ここから会話が掘り下げられれば面白くなりそうなのに結局選択肢とは異なる汎用の発言になってしまうため、プレイヤーとしてはよりガッカリ感を抱いてしまうのも無理のないことである。
    • キャラクターにもよるが、中盤あたりまではあからさまに「ここで攻撃しろ」という仕種をする者も多く、緊張感を感じない。
  • 一部キャラ描写に対する賛否が無いわけでもない。
+ ネタばれあり
  • 例えば、ライバルとして立塞がる水鏡裁判官は何かにつけて自分の意見を押し通そうとしてこれ以上の捜査はいらないと切り上げようとしたり、御剣の正当な意見に対して却下を連呼してきたりする。裁判官としての公平性が感じられないとの声もある。
    • ただし、ストーリー中で御剣を追い込もうとしている理由は明かされる。明かされるのが終盤な為、すっきりしないという人もいるようだが。
    • また、御剣自身、真実の追求の為に割となんでもするスタンスである為、水鏡裁判官の指摘が全て強引というわけでもない。

総評

上記のように、「推理アドベンチャー」としては若干粗のある部分も見受けられるが、シナリオは間違いなく歴代でも屈指の完成度を誇る。
シリーズファンなら触れて後悔することはない筈である。


余談

  • キャラクター・シナリオの根幹部分に『逆転裁判4』への当て付け、もとい反省点と思われる箇所が多く見られる一方、『4』の小ネタは少なくなった(ある場面の背景ぐらい)。
  • スタッフが「『逆転裁判2』のプロットを参考にした」と語っているように、本作には『2』を彷彿とさせる場面がいくつかある(といっても、話がかぶっているといったことではなく、登場人物のイメージやストーリーの構成など断片的な記号が共通しているというだけの話である)。
  • 望む声があれば続編を作りたいとのことだが「期待はするが、これ以上もしくはこれに並ぶ話が作れるのだろうか?」と違う意味で心配されている。また、本作のラスト時点で例の事件の秒読み段階に入ってしまっているため、その意味でもやはり心配されており、色々な憶測が飛び交っている。