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クロックタワー2 - (2012/07/08 (日) 01:43:50) の編集履歴(バックアップ)


クロックタワー2

【くろっくたわーせかんど】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 ヒューマン
発売日 1996年12月13日
定価 6,900円
配信 ゲームアーカイブス
2012年2月22日/600円
クロックタワーシリーズリンク

概要

SFCで発売された『クロックタワー』の続編。古典ホラー的な世界観がベースであった前作に対し、今作ではプロファイリングなどのサイコホラー的要素が取り入れられ、平穏な日常が殺人鬼の出現によって一瞬にして非日常に変貌してしまう恐怖が描かれている。ハードがPSに移った事でグラフィックとサウンド・演出面が強化され、前作以上にパワーアップした。
キャッチコピーは生存確率1/10000の恐怖

ストーリー

前作から1年後のオスロが舞台。バロウズ邸で発生した猟奇殺人事件は「クロックタワー事件」と呼び習わされ、事件の生還者ジェニファーが証言する事件の犯人―不死身の怪物はマスコミによって「シザーマン」と名づけられ、恐怖のシンボルとして巷の若者達の間で取りざたされていた。ジェニファーはオスロ大学の助教授へレンに引き取られて姉妹のように仲良く暮らし、心の傷も癒え次第に落ち着きを取り戻しつつあった。一方、ヘレンの恩師バートン教授は、彼女の証言する事件の犯人「シザーマン」を恐怖が生み出した妄想と決め付けつつも、犯人像の割り出しに手間取り、真実を知るためとして催眠治療によって彼女の記憶をムリヤリ引き出そうする、そんなやり方にヘレンは反感と疑問を抱いていた。
このように、事件の爪痕は未だ残ってはいたものの、少しずつ平穏な日常を取り戻した思われた、そんなある日。
ジェニファーがバロウズ邸での戦いで葬り去ったはずのシザーマンが再び表れ、血と恐怖に塗れた非日常へと人々を引きずり込んでゆくのだった……。

ゲームシステム

  • 日常と非日常の対比がテーマになっている本作では、ゲーム本編は、シナリオ本編とインターミッションモードの2つに分かれている。
    • インターミッションでは、次のシナリオへ進むために、キャラクター同士で会話をしてフラグ立てをしていくシーンであり、道中の選択肢により、シナリオが大きく分岐するようになっている。*1
    • インターミッションで時折表れる選択肢によってシナリオが分岐し、シナリオの流れに影響を及ぼす。場合によってはバッドエンド確定でやり直さなければならなくなることもある。
  • フラグを立て終えるとシナリオ本編へ移行し、シザーマンの出現をもってゲーム本編が開始される。
  • エンディングはジェニファー編、ヘレン編双方で5種類ずつ、計10種類のマルチエンディング方式。
  • カーソルによる操作法は概ね前作をそのまま踏襲。
    • 通常状態(BGMが無音の状態)中に、カーソルを画面内のオブジェに合わせ、カーソルの形が変化したオブジェ(クリックポイントと呼ぶ)をクリックすることで、調査・移動・アイテムの使用を行う。
    • ドアや床などをダブルクリックすると、キャラクターが走る。
  • 特定のクリックポイントをクリック時および撃退後から一定時間が経過するとシザーマンが出現し、追われる(逃走状態)事になる。
    • シザーマンに追い詰められると、パニック状態に陥り、カーソルが激しく点滅する。この状態の時にクリックボタンを規定回数以上連打することで、体力の減少と引き換えに、緊急回避してその場を脱することができる。*2)
      • シザーマンの襲撃を一時回避すると、自動で一番近い部屋に逃げ込むか、室内であれば部屋の外へ出る。
      • 完全に回避するには撃退専用アイテムをクリックするか、特定の場所に隠れる必要があるのは前作と同様。*3
  • 前作では主人公の体力は5段階だったが今作は3段階。ダッシュしても体力は減らず、パニック状態回避によって減少した体力は通常状態時にのみ、時間経過で回復する。
    • カーソルの色で体力が表わされ、赤が最低。体力が最低値の時にパニック状態になるとデッドエンド。タイトル画面に戻り、コンテニューを選択すると、体力が一段階分回復して逃走状態中の状態から(クリックポイントのクリックによる出現では通常状態から)再スタートとなる。
  • シザーマンの追跡も前作と違い、リアルタイムで追ってくるようになっている。
    • このため前作のように扉に出入りして仕切り直しということが不可能になり、じっとしているとすぐ追い詰められてしまうのでより緊張感と焦燥感が増した。

よい点

  • 3D化により、立体化されたキャラクターとカメラワークが映画的臨場感を盛り立てている。
    • キャラクターの動きにモーションキャプチャーが取り入れられ、リアルな動きを追求している。
  • シザーマンの出現により、日常的に見慣れたはずの場所が瞬く間に非日常的空間と化していく恐怖感と、PS初期ながらのあまりキレイでない無骨なポリゴングラフィックが却って醸し出す独特なホラー映画的空気感が、前作とは一味違った雰囲気を演出している。
  • 主人公が二人になった事で、同じステージでも展開が異なる「二度美味しい」作品となった。それぞれのシナリオでサブキャラクターを操作する機会もあるので、プロローグを含めれば操作キャラは全5人である。
  • シザーマンのビジュアル的恐怖感のアップ。
    • 本作のシザーマンは、コートを着込んで更に巨大で無骨なハサミを構え、びっこの片足をずっこずっこ引きずりながらシャキンシャキンと音を鳴らしてジワジワ近寄って無言で殺しに掛かって来るのでより怖い。
    • 神出鬼没ぶりは前作譲り。クリックポイントのトラップで再出現する際の登場の仕方も前作に負けじと劣らぬ奇抜かつ大胆なもので、思わず笑ってしまいそうな方法で現れることも。
    • コンピューター室に入ったら待ち伏せされ、シザーマンがハサミを鳴らすたびに電源の入っていないパソコンの画面に「KILL…」の文字が映し出されるなど、恐怖を煽る演出にも一段と磨きがかかっている。
  • 前作に比べ、死亡描写はかなり直接的でグロいものが多く、プレイヤーの恐怖感をさらに盛り立てる。
  • 相変わらず無音による恐怖感も健在。シザーマン登場時のBGMもより恐ろしい物になっている。
  • 最終章は前作に劣らず即死トラップの宝庫であり、気を抜けばすぐに「DEAD END」の文字が画面に表示される事必至である。
    • 更に最終章の登場人物の生死はプレイヤー次第。何も考えないでグダグダなプレイをしていれば、気がついた時には死体だらけなんて事はザラである。しかも殺害方法はどれも例によってエグい。
  • クリア後には隠しコスチュームが選択可能。操作キャラ全員とシザーマンに用意されており、黒コートのシザーマンがセーラー服のジェニファーを追いかけると言う怪しいシチュエーションを拝めたりする。ゴッツ警部補のコスチュームには漢字の当て字が書いてあるなどネタには事欠かない。
    • 更にエンディングコンプリート後のおまけはシュール過ぎてホラーを喜劇に変えてしまうだろう。

難点

  • キャラクターの移動がさせづらい。
    • キャラクターの動きに合わせてカメラが移動するため、どこから移動してきたのかが把握しづらくなりやすい。
    • ダッシュ中にクリックボタンを押すと立ち止まってしまうため、スムーズに動かしにくい。
    • ドアをダブルクリックしてダッシュで到達させる場合、ドアの前で変なポーズのままぐるぐる一回転してからやっとストップ→ドアを開けて移動、という感じになりがちでテンポが悪く、その時の動きも滑稽に見えてしまう。
  • 室内でシザーマンを一時回避して逃げ込んだ部屋に完全回避手段がなく、体力が最低値の時に追い詰められてデッドエンド…ということも。
  • PS初期の頃のソフトなため、グラフィックはあまりキレイではない。
    • 人形のような造詣で動きもカクカクしており、キャラクターがアップになるとローポリゆえの粗さが目立つ。
  • ヒント機能が追加されたが内容が抽象的で具体的なヒントは少ない。
    • しかも特定の場所をクリックしないと見つからない。全部見つけるにはジェニファー編、ヘレン編双方のシナリオ内でよく調べる必要がある。
  • 前作同様、ゲーム内での描写不足が目立つ。
    • バロウズ家の闇の歴史、悪魔の子どもの起源など、ゲーム内で掘り下げられればストーリー的に面白くなったと思われる要素がいっぱいあるのだが、いかんせん描写が断片的で説明不足であり、メディアミックス展開でリリースされた小説版で全補完される有様であった。
  • シナリオ終盤になるとだれやすい。
    • 全3章(内分岐シナリオ2つ)のオムニバス形式で、その内の1章、2章は比較的内容が短く、手順さえ覚えてしまえば短時間で終了させられるほどなのだが、最終章のシナリオはそれまでと比べてやるべきことが一気に増え、謎解きの手順と各エンディングに至るまでの経緯が複雑化していくので詰まりやすい。
      • このためお約束のように表れるシザーマンが次第にうっとうしくなってしまう。
    • 最終章の舞台となるダンジョンは、それまでのシナリオと比べて内部が明るく、あまり暗くないために不気味さが薄れている点もやや残念。*4
  • 2章は家と図書館から選択するのだが、図書館ではジェニファー編だろうがヘレン編だろうがヘレンを操作する事になる。内容も全く同じ。
    • 従って、本作では5人中ヘレンを操作する機会が圧倒的に多いことになる。一応、看板背負ってるのジェニファーなんだけど…。
  • ジェニファー、ヘレンどちらも第1章であるアイテムと取っていないとベストエンドであるエンディングAを迎える事が出来ない。
    • その為、それを知らずにアイテムを見逃すと、最終章でエンディングAを求めて延々と彷徨う羽目になりかねない。
    • 尚、それは第1章で手に入るヒントに書かれている。前述の通りヒントはなかなか見つけにくいので人によっては気付くのに時間が掛かる。
    • しかもジェニファー編ではそのアイテムが無いと、エンディングAどころかBもCも迎えられない。取り逃したらもう最悪のエンディングであるDか、物語が途中で終わるEが確定する*5
  • 隠しコスチュームの格差が激しい。ジャニファーは凝った衣装が複数用意されている一方で、ヘレンの衣装はただの色違いでしかない。

総評

終盤になるとマンネリ気味で恐怖感が薄れやすくなり、ゲーム中のストーリーの掘り下げもあまり深くないのがやや残念だが、独特な洋画ホラー的な空気感と雰囲気は前作からそのまま引き継がれており、3D化を取り入れることで前作の持ち味であった映画的演出がうまく活かされている。
独特の敵モンスター「シザーマン」が持つインパクト、徹底したビジュアルデザイン、「喧騒と静寂」をコンセプトにしたサウンド、またホラー映画や実在の猟奇殺人犯のパロディ要素が多くのホラーファンに受け入れられ、ホラーゲームの代表作品の一つとなった。ホラーゲームファンはもちろん、ホラー映画が好きな人にもぜひおススメしておきたい1作である。

余談

本作のPVは映画評論家で有名であった故・淀川長治氏が内容解説してくれるという非常に手が込んだ物であった。スタッフの本作に対するこだわりが感じられる。

+ PV

メディア展開

  • ラジオドラマ版
    • ラジオ番組「子安・氷上のゲムドラナイト」でラジオドラマがオンエアされた。リスナーの投票で放送されるシナリオが決まるというもので、同作品を収録したドラマCDには未放送分も完全収録されている。キャストも西村ちなみ、鶴ひろみ、真殿光昭、大塚明夫、佐藤正治と結構豪華。
  • 牧野修が手がけたノベライズ版『クロックタワー2 アドベンチャーノベル』が、『ジェニファー編』と『ヘレン編』の2作発売された。
    • 選択肢によって展開が分岐する方式でゲームの雰囲気を再現する試みがなされている。本編では語られなかった多くの設定が明らかにされており、本編の補完を兼ねた作品となっている。
  • 2008年に映画化の告知がされたのだが…未だに音沙汰が無い。

その後

倒産したヒューマンから版権を引き継いだサンソフトにより、ゲームアーカイブスにて600円で配信されている。