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グローランサー - (2012/05/11 (金) 10:25:04) のソース

*グローランサー
【ぐろーらんさー】
|ジャンル|ノンストップドラマチックRPG|#amazon(B000069TK5)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|メディア|CD-ROM 2枚|~|
|発売元|アトラス|~|
|開発元|キャリアソフト|~|
|発売日|1999年11月25日|~|
|定価|7,140円(税込)|~|
|>|>|CENTER:''[[グローランサーシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1338.html]]''|

**ストーリー
かつて、人々が住んでいた世界は魔法エネルギー「グローシュ」が満ちていた。~
人々は大気中に浮遊するグローシュから魔法を使い、生活していた。~
しかし、人々は太陽が異常をきたしたため、死の星と化した自分の世界を別の世界と「重ね合わせ」た結果、グローシュは失われ、魔法を使うためには2つの世界の歪みからもれるわずかなグローシュを使うほかなかった。~
そしてしばらく後…この大陸には3つの国があった。~
大陸の西に位置するローランディア王国は、隣国バーンシュタインと共同で魔法学院を創り、平和的に魔法を活用しようとしていた…。~
ローランディアの宮廷魔術師サンドラに拾われた少年は「世を滅ぼす闇となる」「世界を救う光となる」と、相反する2つの暗示を受ける。~
彼の将来を案じたサンドラは、自立できる年齢になるまで彼を王都の外へ出さず、外界との接触も持たせぬようにしてきた。~
そして、少年が17歳になった朝、彼女は彼に告げた。~
旅立ちの日が来たこと、自分の目で世界を見てくるようにと…。~
少年は初めて王都を出て、外の世界へ旅立つ。~
それが、すべての始まりであることを知らないまま…。~
(公式サイトより抜粋)

**概要
『ラングリッサーシリーズ』を開発した「キャリアソフト」が開発した「アトラス」のRPG。~
「RMC(リアルタイムミッションクリア)戦闘」というMMO風RPGとSRPGを足して2で割ったような独自の戦闘システムと、うるし原智志氏がデザインした魅力的なキャラクターが特徴のRPGである。

**戦闘
-本作の戦闘システムを大雑把に説明すると、『ファイナルファンタジーXII』などに代表されるMMO風RPGの戦闘システムからアクション性を廃止し、見下ろし視点にしたシームレス戦闘である。
--とは言え、各キャラクターに直接指示を出す事が前提のシステムであり、またキャラクターに指示を出している間は時間が止まっているため、プレイ感覚としてはMMO風RPGよりもSRPGに近い。
-また、本作の戦闘システムの最大の特徴として、戦闘の目的が必ずしも敵を倒す事では無く「NPCを守りながら敵を全滅させるor一定時間を稼ぐ」「アイテムを入手して戦闘エリアを脱出する」「敵に成り済まして攻撃する事により仲間割れを誘う」などの勝利条件を達成する事である。
--そのためストーリーのシチュエーションに合わせた戦略が要求されるため、飽きる事無くゲームを楽しむ事が出来る。
--従ってストーリーの出来がゲーム性の面白さに左右する事が多いのが特徴である。
-さらに、この戦闘システムを盛り上げるのが、敵国が抱える1人で100人を相手に出来る最強の騎士のみに与えられる称号「インペリアルナイツ」の称号を持つ騎士達の存在である。
--「インペリアルナイツ」の一人「ジュリアン」は敵・味方共にレベル10代のうちから、レベル42という明らかに場違いな強さで主人公達と剣を交える事になる。攻撃を受ければほぼ一撃で倒される上にこちらの攻撃はほとんど効かないのだが、これで「インペリアルナイツ」で最弱なのだから、残りの三人はどれほど強いのかとプレイヤーは思い知らされる事になる。
--ちなみに上記の文章だけ見ればただの負けバトルに見えないかも知れないが、その戦闘の勝利条件は「ジュリアン」を倒す事ではなく、「ジュリアン」をやり過ごしながら人質を救出する事であるため、明らかに勝てない相手を上手くゲーム性に盛り込んだシステムであると言える。
--そして、ゲームが進み成長した主人公達は「インペリアルナイツ」と正面から戦う事になるため、成長が実感できる。
--その設定の秀逸さとゲーム性との相性の良さからインペリアルナイツポジションの称号は『[[IV>グローランサーIV Wayfarer of the time]]』の「ロイヤルガード」や『[[V>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1336.html]]』の「スレイヤー」など、以降のシリーズ作にも名前を変えて受け継がれていく。

**評価点
-システム
--読み込みの間が一瞬あるが、敵味方の通常攻撃から魔法からアイテムの使用まであらゆる演出を早送り・カットできる。
---レベル上げの負担の少なさもあって全般に遊びやすい。
-引継ぎ時には強化アイテムもある。このため上記と加えて周回プレイがしやすい。
--1周目では逃げたり負けたりするしかできなかった敵の撃破なども可能。
-良質なオープニングアニメ。しかも男性バージョンと女性バージョンの2種類がある。
--ついでに言うと3つ目のオープニングが存在するが、こちらは止め絵と文字で作られた単純なもの。少なくとも"アニメ"ではない。
-オマケの豊富さ。隠しダンジョンやカードのコレクションなど。
-ストーリー
--本作のストーリーは「ローランディア王国」の騎士となった主人公が、成り行きから敵対する事になった隣国「バーンシュタイン」との戦争に巻き込まれていく王道的な戦記モノである。
--大きな捻りがあるわけではないが、キャラクターの心情の描写などが良く描かれており、キャラクターが多い割りに空気となるキャラクターもいないため、シリーズでも最高との呼び声が高い。
-音楽
--『[[グランディアシリーズ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/539.html]]』や『[[LUNARシリーズ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1157.html]]』などで有名な岩垂徳行氏が担当しており音楽の評価はシリーズ最高との呼び声が高い。
--因みに、グローランサーシリーズで岩垂氏が作曲を担当しているのは本作のみである。
-スキルポイント
--本作には独自の成長システムなどはないが、レベルが上がるときにスキルポイントを各スキルに割り振る事ができ、決められた値までポイントが貯まったスキルを習得する事が出来るため、レベルを上げる意欲が搔き立てられる。
--習得できるスキルはキャラクターによって異なり、例えば直接攻撃が得意な「ウォレス」なら「連続攻撃」や「クリティカル」といった攻撃を強化するスキルを、魔法が得意な「ルイセ」なら「ヒーリング」などの魔法や「詠唱時間短縮」などの魔法をサポートするスキルをと言った具合にキャラクターの特性に合わせて習得できるスキルが違うため、キャラクターの性能も個性豊かである。
-キャラクターメイキング
--ゲーム開始時に主人公はお使いを頼まれるが、その時の行動でその後の成長力が決まる。
--この時に街の困っている人を助けたり、子供の遊びの結果(鬼ごっこやかくれんぼ)、落し物を届けるかネコババするかなどの行動や成否によって成長しやすい能力や、習得スキル、装備可能武器まで影響が出る。
--万能の完璧超人にするもよし、魔法特化にするもよし、果ては最低値にして縛りにするなど、これだけでもゲーム性が広がる。全パラメーターMAXにするために何度もやり直してイベントを捜しまわった人も多いのではないだろうか?
--このゲーム開始時のキャラクターメイキングが好評だったこともあり、その後のグローランサーシリーズの主人公は規模の差はあれど恒例のイベントとなっている。
-その他
--本作のプレイ時間はクリアまで50時間程であり、当時のRPGとしてはかなりの大ボリュームである。
--当時としては珍しくイベントシーンのほとんどはボイスつきであり、豊口めぐみ氏、小松里歌氏、玄田哲章氏などの豪華声優陣が物語を盛り上げてくれる。
---声優のコメントによると電話帳のように分厚い台本だったとのこと。
--『ドラゴンクエスト』の「ルーラ」にあたる、魔法「テレポート」があるため移動が便利である。
---本作の戦闘システムでは移動中に突然イベント戦闘が起こる事が多いため、移動魔法の存在はバグに繋がると思われるかもしれないが、デバックがしっかりしているため「テレポート」を使ってもバグが発生する事は無い。
--戦闘中とイベント中以外は大抵の場所でセーブができる。
---上記のテレポートもそうだが、使用不可能な場面の方が圧倒的に少ない。そのためストレスも少なくスムーズにゲームを進めることができる。
---開発中はこの使用のおかげでデバッグが非常に大変だった(当時のアトラスソフトの平均バグ数は1000程度だったが本作は4000以上にのぼった)というエピソードがファンブックのインタビューで語られている。

**問題点
-初作である事を考えれば仕方の無い部分もあるが、後続のシリーズ作と比べて戦闘システムの粗が多い。
--この時代のRPGでは良くある事であるが攻撃モーションの遅さなど戦闘のテンポが悪い。
--また、移動のAIの頭が悪く、攻撃を指示しても壁に引っかかったり味方に引っかかったりして中々敵の所に辿り着けない事もある。
---こういった交通事故を確実に防ぎたい場合は、移動先まで逐一指示を出さなければいけないため面倒である。
--次回作以降は目的地までの経由地点を3箇所まで指定することができたのだが、本作では目的地を指定することしかできない。
-スキルポイントの習得に罠がある。本作では、パーティにいないキャラも、ゲームの進行や経験値によってレベルアップしていくのだが、&bold(){パーティにいないキャラには勝手にスキルポイントが振られてしまう}。~
有用なスキルに振るならまだしも、あまり使い道の無い「毒攻撃」系((確率発動な上に、実際はもっと優れたスキルがあるので、ほぼ死にスキルに等しい))などにばかりスキルポイントが勝手に振られてしまう((魔法系のキャラでも肉弾戦系スキルに勝手にポイントが使われる事もある))。お気に入りキャラはパーティにいれて育成する事をオススメする。
--後の「3」ではスキルポイントを貯蓄できるようになった。
-本作の戦闘メンバーは5名であるが、主人公の他に主人公の妹の「ルイセ」と年長者の「ウォレス」もパーティから外せないため、実質自由に編成できるメンバーは2名である。
-敵国に潜入するあるイベントで帰りは「ルイセ」の「テレポート」で帰る事になるのだが、その間はMPを回復する手段が無いため、セーブする状況によっては詰んでしまう。
--一応潜入する前に回復のチャンスが無いかもしれないから「ルイセ」のMPが無くならないように「ウォレス」から注意されるのだが、まさか本当に救済措置が存在しないと予想できたプレイヤーは稀だと思われる。
--とは言え、潜入前にMPを回復させておけば、MPの無駄使いしたり無駄な戦闘を繰り返したりしなければ、その期間中にMPを使い切る事はまず無いが。
--このイベントの後被救出対象に簡単なお願いをされるが…そのお願いは絶対に聞くようにしよう。聞かなったらどうなるか遊んだ人はわかるよね?(これで問題があるのはプレイヤーか)
-ギャルゲースタイルを持っているのに複数のキャラEDを見るのが手間である。システムデータはなく、イベントの発生時期の都合上誰かを攻略すると他のキャラの攻略がほぼ不可能になるため使い回しもできない。2~3回くらいの周回プレイはしやすいがやはり5周も6周もする気はおきないわけで。
--一応周回のための救済措置として、敵全滅コマンドとアイテムフルコンプコマンド(ただしこれを使ってしまうとティピエンドは見れない)も存在する。そのチートぶりのため裏技関係の本には記載されていないのでネットで検索されたし。
--とあるイベントで、敵の攻撃から「だれをかばいますか?」という選択肢がありこれが最後の選択になる。ちなみにそのイベント誰をかばうか選ぶまで攻撃が来ない。手痛い裏切りを喰らっていたにもかかわらず、このイベントのせいでその敵キャラが本当はいい奴だろと突っ込まれていた。
--一応、最終決戦前に花火に誘った仲間の好感度が大幅上昇するといったイベントはある。
--これらのシステムは次回作以降は改善され、一回のプレイで複数のEDに到達が可能となった。
-ある条件を満たさないと、永久にパーティに復帰しないキャラがいる。
-エリオットやジュリアンを最後まで使う為の条件が厳しい。
-「聖なる土」が必要になる前に手に入ってしまう、仲間の生死にかかわる重要アイテムだから救済措置と割り切るべきかもしれないが、初めてあの場所に行っていきなり手に入ったとき誰もが「なんだよこれ、何に使うんだ?」と思っただろう。
-パッケージ裏が手抜き・・・「この文章はアタリです。」で始まるこのゲームの売り文句の説明が途中で途切れている。今でこそ良作評価だが発売直後はこれが原因で地雷なのでは?と警戒された。
--廉価版では「この文章はアタリです。」が無くなり、説明は最後まで書かれている。


**総評
後続の作品と比べてシステム面での粗は多いものの、当時としては斬新な戦闘システムと、良く練られたストーリーと魅力的なキャラクター等でシリーズでも特に評価が高い作品の一つである。~
初代PSにおける名作RPGの1つであると言える。

**余談
-ザ・プレイステーションにて連載特集が組まれていたことがある。掲載されていたショートストーリーは後に刊行された書籍にも載せられた。
-ゲームを放置しておくと加入しているパーティーメンバーに応じてショートトークが聞けるというオマケがある。これは実際にはセレクトボタンを押すだけでいくらでも聞くことが可能となっている。上記のザ・プレでは何度も「ゲームを放っておくと会話が流れる」とは記載されていたのだが最後までセレクトボタンについて触れられることはなかった。もしかして最後まで知らなかったのだろうか。
-女性ユーザーにはオスカー、アーネスト、ジュリアンの3人が好評だった。
-本当は続編の『II』にデータを引き継がせたかったのだが、権利関係の問題で見送られたそうである。
-2001年4月25日にデジキューブからWindows版が発売されていた。
-2009年には新キャラやストーリーの分岐が追加されたPSP版発売された。
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