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I.Q/I.Q FINAL - (2012/10/18 (木) 19:54:30) のソース

*I.Q Intelligent Qube
【あいきゅー いんてりじぇんときゅーぶ】
|ジャンル|パズル|&amazon(B000069SPV)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|シュガーアンドロケッツ|~|
|発売日|1997年1月31日|~|
|定価|5,040円|~|
|廉価版・配信|PlayStation the Best:1998年7月9日/2,940円&br()ゲームアーカイブス:2007年12月26日/600円|~|

//鬱陶しくない程度に、各項目名の頭に□(プラス点)or■(マイナス点)をつけてみています。キューブのゲームですし。
//箇条書きの印も四角にしてみたかったけれど方法が分からず(無い?)断念。

**□概要
プレイステーションの中期に発売されたパズルゲーム。わかりやすくシンプルなルールとテクニカルな内容で多くのゲーマーから好評を博した。

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**□ゲームのルール
本作の目的は、画面奥から徐々に転がって迫り来る「キューブ」で構成された「問題」をクリアしていくことである。

-フィールドは、ステージごとに決められた四角いマス分広がる、平坦な足場で構成されている。このフィールド上でプレイヤーキャラクター(以下「キャラクター」)を動かし、キューブにつぶされないようにしながら、可能な限り少ない手数で、適切にキューブを消去していかなければならない。
--○ボタンでキャラクターの立つ足場に1つだけ''「マーキング」''を行うことができる。キューブがマーキングに重なった時、もう一度○ボタンを押すことでマーキングを解除し、マーキングの上に重なったキューブを''「捕獲」''(消去)することができる。
--キューブの中には何の効果も持たないノーマルキューブの他にも、緑色に輝く「アドバンテージキューブ」と、漆黒の「フォービドゥンキューブ」が存在する。
---アドバンテージキューブを捕獲すると、キューブを捕獲した地点に緑色のマーキングがなされる。△ボタンを押すことで、緑色のマーキングを中心に3×3マスのエリア(アドバンテージゾーン)を爆発させ、爆発の範囲内にあるキューブ全てを捕獲することができる。
---フォービドゥンキューブは捕獲してはならないキューブである。捕獲せずに避け、後方に「流して」フィールド外に落とすことで処理する。誤って捕獲してしまうとフィールドが一行崩壊してしまい、問題も失敗となる。
--これを繰り返して、フォービドゥンキューブ以外のキューブを捕獲することで問題を解き、残ったフォービドゥンキューブを流すのがこのゲームの基本的な流れとなる。

-各ステージごとに定められた数の問題が終了した時、生き残っていればステージクリアとなる(問題の成功・失敗は問われない)。ステージを経るごとにフィールドは上下左右に拡大し、問題もまた複雑化していく。
--各問題には「模範歩数」が設定されており、この模範歩数の数字以内に問題を解けたかで得られる得点が変動する。模範歩数以内に解くと最も得点が高く、模範歩数を一歩でもオーバーすると得られる得点はガクンと下がってしまう。
--問題をクリアするごとにキューブ一行分フィールドが拡張され、問題を解く際の余裕が増えていく。

-''ミスとゲームオーバー''
--フォービドゥンキューブを捕獲してしまうとフィールドが一行崩壊することは先述したとおり。
--またフォービドゥンキューブ以外のキューブを、(ステージ毎の)許容数以上ステージ外に流してしまうことでもフィールドが崩壊する。
--キューブにキャラクターが押しつぶされた場合、その時点で問題は全て後方へと流されてしまう。
---この時に限り、フォービドゥンキューブもフィールド崩壊の一因としてカウントされてしまう。大抵は流れたキューブの総数がステージの許容数を超えてしまうだろう。
--キャラクターがフィールドから転落してしまった場合、ゲームオーバーとなる。
---フィールドの崩壊そのものはゲームオーバーの条件ではないが、確実に破滅に近づくものである。そして崩壊に巻き込まれたり、問題の出現時にフィールドに余分なスペースがなくキャラクターが押し出されたりすると転落してしまう。
---転落時のキャラクターの断末魔''「オォオオオオオー!!」''が耳に残っているプレイヤーも多いことだろう。この声はCMでも使用されている。

**□評価点
-''シンプルなルールと、奥深いゲーム性''
--このゲームは方向キーを除けば使用ボタンはたったの3つ(マーキング/マーキング解除、問題の高速流し、アドバンテージゾーン爆破)。ルールも一見複雑に見えるが、要約すれば「いかに早くフォービドゥンキューブ以外のキューブを消すか」という一文に集約できる。とっつきやすさは悪くない。
--そのシンプルさの反面、ゲーム性は奥深い。一見理不尽に見える複雑な問題であっても、きちんと反射神経と思考を駆使すれば模範歩数以内に解くことが可能である。
---問題の解き方は一つではない。思考を極限まで研ぎ澄まし、模範歩数以内に問題を解き終えた時の快感は「ぷよぷよ」の連鎖を組み上げた時に通ずる爽快感がある。
---さらに、後述するテクニックの数々を駆使することで歩数は更に縮めることが可能。テクニックを取得してからは、自分だけの回答パターンを組み上げる更なる楽しみが待っている。

-様々なテクニック
--一見抜けられないキューブの隙間をくぐり抜ける「斜め抜け」や、アドバンテージゾーンの爆発からキューブを保護する「キューブ保護」、同時に多数のキューブを捕獲する「n個消し」など、本作はスコアで更なる高みを目指すための小技が数多く用意されている。これらを修得することで、より素早く、より効率的に問題を解くことができる。高みを目指す上級者にとってはたまらない要素である。
--もちろん、これらの小技もプレイヤーの鍛え抜かれた思考とテクニックがあってこそ。決してゲーム性を破壊するような手軽な裏技ではなく、技術の延長線上にあるものである。

-BGMを担当するのは、なんと『機動戦艦ナデシコ』『華麗なる一族』の服部隆之。荘厳なオーケストラサウンドは、緊迫感と隣り合わせの本作との親和性がかなり高い。
--知名度こそ低いものの、今でも本作のBGMを優れたゲームBGMとして推すゲーマーが少なくないことからもその人気が窺い知れる。

**■問題点
-''難しい。''
--シンプルさは評価できるものの、慣れるまでは後述の欠点とあいまってミスを連発しがち。中盤から一見すると解けないのではないか、という判断の難しい問題がチラホラ出てくる。そうこうして迷っているうちにキューブに踏みつぶされて…という展開はほとんどのプレイヤーが体験した苦い思い出であろう。
--よしんば問題を解く事自体はできたとしても、中盤以降の問題で模範歩数以内を目指すのは結構大変。素早く回る頭だけでなく、決断力も求められるのがキツい。
---一応、問題の完全攻略を目指さずクリアするだけなら難易度はやや下がる。ステージのクリア条件はあくまで「問題の完全攻略」ではなく「最後まで生き残っていること」であり、ステージの最終盤までくれば問題を成功させなくても一応ゴリ押しでクリアは出来る。最終ステージから始められる裏技もあるため、クリアする「だけ」ならハードルはそこそこ低い。

-ゲーム性以外の部分で難易度を上げている。
--特に、よく指摘されるのがハーフトップビュー。これにより迫力は出ているものの、キューブの位置関係やマーキングの位置を勘違いしやすい。「あれさえなければ…」と嘆くプレイヤーは少なくなかった。
--他にも、評価点に挙げた服部隆之の荘厳な音楽や、「真っ黒な空間に無機質なキューブとフィールドのみが浮かぶ」という無機的なビジュアルの相乗効果は地味に精神をすり減らしてくる。特に後半戦の音楽はプレイヤーの焦りをかきたてる。
---問題を失敗した際の''「Again!!」''という一喝は多くのプレイヤーを恐怖させた。

**□総評
『ぷよぷよ』や『テトリス』には知名度でこそ劣るものの、完成度は偉大なパズルゲーの先輩にも勝るとも劣らない。&br()「脳は戦う」のキャッチコピーの通り、思考と反射の限界に挑戦したいゲーマーにはぜひお勧めしたい一作。無機質なキューブの織り成す問題の数々は、あなたの脳を活性化させてくれるはずだ。

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*I.Q FINAL
【あいきゅー ふぁいなる】
|ジャンル|パズル|&amazon(B000069SQ8)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|シュガーアンドロケッツ|~|
|発売日|1998年12月23日|~|
|定価|5,040円|~|
|廉価版・配信|PlayStation the Best:2001年5月17日/2,940円&br()PS one Books:2001年11月22日/1,890円&br()ゲームアーカイブス:2008年1月16日/600円|~|

**□概要
前作の完全版とも言える続編。&br()前作から問題のパターンが追加され、加えて様々なモードが追加されており、プレイバリューも大幅に上がっている。

**□大きな変更点
-前作は問題クリア時の評価はPerfectひとつで、模範歩数に応じてスコアのみが変化する仕様だった。しかし今作では模範歩数以内・ぴったり・超過の三種類に応じて「Excellent」「Perfect」「Great」の三種類に分かれた。

-BGMが一新された。本作から追加された「第2の潮流」「ファラオの秘宝」は特に評価が高い。

**□追加されたモード
-''100Attack''
--所謂「問題集」。選りすぐりの100問を1つずつ解いていくモード。

-''Survival''
--制限時間無しの耐久戦モード。徐々に速度の上がっていくキューブを前に、どこまで戦えるかを競う。
--このモードにのみ対戦機能が搭載されている。相手を妨害する要素として、相手の問題を左右反転させる「Reverse」が使用可能。
---また、Survivalにのみ特殊な問題として「フォービドゥンゲート」が登場する。二列に組まれたフォービドゥンキューブの壁に空いた隙間をタイミングよく通り抜けることで、模範歩数に関係なく最高評価の「Excellent」を獲得できる。

-''Create''
--問題製作用モード。自分の手で問題が作れるエディットモード。

-''Tektonics''
--''隠しモード''。選りすぐりの最難関の問題がプレイヤーを待ち受ける…。

**■問題点
-新キャラ解禁の仕様
--今作では前作の3人から使用可能なキャラクターが大きく増加したものの、その解禁方法が少し面倒。
--ほとんどのキャラはメインのモードである「I.Q.FINAL」のクリアで解禁されるのだが、新キャラを解放するためには最初に解禁されるキャラを除いて、必ず解禁された新キャラを使ってプレイせねばならない。
---このため「1プレイで一気に複数の新キャラを解禁する」ことはできない。
--Survivalでの生存時間が解禁条件のキャラも同様で、やや面倒くさい感がある。

-クリエイト
--クリエイトの機能やテストプレイモード自体に問題はないのだが、問題を考えるのが難しすぎてはっきり言って''常人の手には余るシロモノ''になってしまっている。
--一応最終ステージクラスの難解な問題も作れるのだが、手応えのある、公式側の問題と遜色ないものを作るにはそれこそ問題を解くこと以上の脳の回転が要求される。多くのプレイヤーは「一面全部アドバンテージキューブ」などのネタステージを作って投げてしまうことが多かった。

-サバイバル・対戦モード
--制限時間がなく、序盤さえしのいでしまえば後は割と退屈になってしまう。また、スコアも経過した時間に関係なく記録されてしまうため、何時間生き残れたか、ではなくスコアアタックを目指すなら自分で制限時間を定める必要がある。
--また、対戦モードも妨害手段の「Reverse」が強力すぎるという難点がある。Reverseは相手の問題をいつでも、好きなタイミングで左右反転させるという極悪な能力であり、これ一発で相手の計画を台無しにできる。
---その上三回までストックできて発動のインターバルもほぼ皆無、ストック増加の条件も「Perfect以上の評価の獲得」とヌルすぎる。そのためある程度わかっている人間同士が対戦するとほぼ間違いなくReverse合戦となりゲームのコンセプトが崩壊してしまう。

-エンディング
--ゲームをクリアすると当然ながらエンディングが流れ、キャラクターごとに設定された専用のムービーとナレーションが流れるのだが…このエンディングのナレーションが''全て英語''。字幕も存在しない。
---このことから一部のプレイヤーからは「洋ゲーをローカライズしたのでは?」という疑惑を持たれたが、本作はれっきとした国産のゲームである。
--一部の隠しキャラはムービーではなく彼らの背景設定に関わる手記や登場人物の独白が流れるのだが、これも英語である。ゲーム性には直接関係しない部分なのだが、このエンディングの仕様に関しては今なお多くのプレイヤーから疑問を持たれている。

**□総評
言わば「完全版」と言うべき作品であり、今からプレイするならこれ一択と言っても差し支えない。待ち受ける様々なモードが、あなたの脳の挑戦を待っている。&br()本作をI.Qシリーズ最高傑作と評するプレイヤーも多い。

**■その後の展開
-約一年後、PS2で『[[I.Q REMIX+>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/1499.html]]』が発売された。しかし、大胆な路線変更や視界を妨げる派手なビジュアルのお陰で、前二作に比べて評価は低い。

-REMIX+の六年後には、FINALをベースにした携帯機への移植作『[[I.Q.mania>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/1498.html]]』が発売されているものの、こちらも様々な理由から典型的な劣化移植となってしまっており、高い評価は得られていない。

**□余談
-本作は、クリア時にその成績に応じて「IQ」と呼ばれる数値がスコアとは別に記録されるのだが、これは知能指数(Intelligence Quotient)ではなく、本作オリジナルの単位「Intelligent Qube」である。
--つまり、高得点を取って四桁台のIQを獲得しても''「金田一少年の5倍以上の天才だヒャッハー!」''とはならないので注意。

-先述した通り「オール英語・字幕なし」という不可解な内容で多くのプレイヤーを困惑させたエンディングだが、内容を解読できたプレイヤーの間ではそこそこ評価は高い。中には「並の泣きゲーよりよっぽど心に染みる」というプレイヤーも。気になる人は動画サイトや攻略サイトをチェックしてみよう。
--特に、Tektonicsクリア時のメッセージは必見。最強の試練へと挑む価値はある。

-「キューブ」「パズル」「謎解き」というキーワードを聞くとヴィンチェンゾ・ナタリ監督のホラー映画「CUBE」を連想しがちだが、本作はそれらとは一切関連性はない。

-様々な名作CMなどを手がけたメディアクリエイター・佐藤雅彦が制作に携わっている。氏が手がけてきたポピュラーなCMとは裏腹に、本作は単純ながら難解な内容。