//PS3のDL販売されたDRは未プレイです。特にネット対戦についての追記を募集しております。あと、TEKKEN-NETについては本格的には利用していなかったため詳細な記述が出来ませんでした。このあたりについての補足も追記していただけると幸いです。皆様のご協力をお願いいたします。(初回執筆者より) *鉄拳5 【てっけんふぁいぶ】 |ジャンル|対戦格闘|&amazon(B0007THEUI)| |対応機種|アーケード&br()プレイステーション2&br()プレイステーション3(PlayStation Store)|~| |メディア|【AC】SYSTEM256&br()【PS2】DVD-ROM 1枚&br()【PS3】ダウンロード専売ソフト|~| |発売・開発元|【AC/PS2】ナムコ&br()【PS3】バンダイナムコゲームス|~| |稼働開始日【AC】|2004年11月|~| |発売日|【PS2】2005年3月31日&br()【PS3】2006年12月27日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |レーティング|CERO:12歳以上対象|~| |廉価版|PlayStation2 the Best:2005年11月2日/2,800円(税別)|~| |>|>|CENTER:''[[鉄拳シリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1226.html]]''| //ここではポイントはいりません。>失礼しました。ご指摘ありがとうございます。 **概要 前作の『[[鉄拳4>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/1511.html]]』がシリーズの伝統からあまりにも逸脱しすぎたためにユーザーから拒否されてから3年後、ようやく発売されたのが鉄拳5である。~ 『鉄拳4』で不評だった要素は一部を除いてほぼ無くなり、更に旧キャラクターの復帰や当時流行していた戦績を記録するカードシステムを採用するなど、ユーザーが望むものを素直に追求した形となっている。 **システム 8方向レバー+ボックス状の4ボタン配置。上のボタン2つが「左パンチ/右パンチ」、下のボタン2つが「左キック/右キック」という直感的にわかりやすい配置。~ ガードは2D格闘ゲームと同じレバー後ろ入れとなる。 新システムは以下の通り。 -ロングレンジスロー(レバー前入れ+右投げor左投げ) --相手に詰め寄りながら投げる。『DR』からは横移動に対しても強くなった。直線的な攻撃が主力の一部キャラにとっては生命線になることも。 -しゃがみステータス、ジャンプステータス --しゃがみステータス対応の技は上段攻撃を回避しつつ攻撃、ジャンプステータス対応の技は下段攻撃を回避しつつ攻撃する。~ 以前からこれに近い状態はあったが、システムとして正式に組み込まれた。 その他の主な変更点 -下段捌き(相手の下段攻撃に合わせてレバー前斜め下入力) --『[[鉄拳3]]』から一部キャラが所持していたが、捌いたところでリターンがあるかと言えば微妙であり、自己満足的な要素だった。~ 本作からは全キャラが下段捌きを行うようになり、更に大半のキャラクターが空中コンボ始動技を確定ヒットさせられるようになった。 -『鉄拳4』のシステムの削除 --『鉄拳4』で追加された「アンジュレーション」「ステージ内の障害物」「天井」といった要素は軒並み排除された。唯一残されたのは「壁」に関わるものだけとなっている。 **オンラインネットワーク 本作からオンラインに対応。プレイヤーごとの記録が残るようになった。~ ゲームセンターで「TEKKEN-NET IDカード(定価500円)」を購入することによって、戦績や段位がカードごとに記録される。~ 携帯サイト「TEKKEN-NET(月額315円)」にカードを登録することによって、プレイヤーネームや各キャラクターの衣装などをカスタマイズできる。~ 「TEKKEN-NET」ではアイテムの購入に必要な仮想通貨を得られるミニゲームを楽しめる。その他にも、各都道府県のゲームセンターの情報や高段位者の情報が収集できる。~ 流行っているのはどのゲームセンターか、強いプレイヤーがどこで戦っているのかというのをある程度把握できるようになった。 **バージョン 『鉄拳5』は2回のバージョンアップが行われており、初期が5.0、最初のバージョンアップで5.1、最終バージョンが『DARK RESURRECTION(以下DRと呼称)』となっている。 特に5.0はゲームバランスに大きな問題を抱えており、一部キャラが異常な性能を誇っていた。~ キャラクターバランスの悪さはある意味『鉄拳』シリーズの伝統とはいえ、あまりにもバグじみた性能の技を持っていた「スティーブ」(側面バリアント)、ローリスクハイリターンな技だらけの新キャラ「フェン」、対策がわかっていても抜け出すのが困難な起き攻めや連携を断続的に繰り出せる「ニーナ」(特に新技のブレイズスティンガー)あたりは特に問題視された。 この問題点を修正した5.1は全体的に火力を抑える方向で調整されていたものの、まだまだゲームバランスには難が残っている状態であった。何よりも問題だったのは早期からゲームバランスを問題視するユーザーの声が多かったというのに、バージョンアップまで8ヶ月も待たされたことだろう。 最終バージョンの『DR』は逆に5.1から4ヵ月後というなかなかの早さでバージョンアップがされており、新キャラ、新技、新システム、新ステージ、新BGM、キャラクターバランスの調整などが一気に行われた。この調整は見事に成功して、『鉄拳』シリーズの中でも屈指の好バランスと言われるようになった。 **家庭用 アーケードでの稼動開始から4ヶ月という超ハイペースでPS2版が発売された。だがしかし、最もゲームバランスが問題視された5.0での移植である。~ 5.1、『DR』とバージョンアップされたことによりPS2でもバージョンアップ版の発売を求めるユーザーは多かったが、結局発売されることはなかった。~ PSP版は本記事の作成前から既に単独記事として掲載されていたので、PSP版の詳細については[[こちらで。>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/209.html]]~ PS3版は、初期はACを丸々移植しただけのものだったが、後日完全版としてネット対戦やラスボスの仁八が使用可能になったバージョンが発売された。~ また前作までの「TEKKEN FORCE」モードは削除され、新たに仁が主人公の「DEVIL WITHIN」モードが追加された。~ 前作までのベルトアクションからは打って変わってアドベンチャー色が非常に強いものになっている。 **評価点 -''ゲームバランス'' --バージョン5.0や5.1までは粗のあるバランスであったが、『DR』に至ってようやくユーザーもそれなりに納得のいくキャラバランスになった。~ 対戦ゲームに完璧なキャラバランスというものは勿論存在しないが、過去のシリーズに比べれば弱キャラにも勝ち目は残されている。~ 以後の『鉄拳』シリーズも初回バージョンでは粗があるものの、最終的にはそれなりのキャラバランスが保たれるようになっている。 -''新しい楽しみ方の提示'' --下記の問題点、賛否両論点でも記載するが、ネットワーク対応によって楽しみ方の幅が増えたことは間違いない。 -''キャラクターの大量復活'' --『[[鉄拳2]]』までの登場キャラはほぼ完全に網羅。((吉光のライバルキャラだった「州光」だけが鉄拳TAG以降未だに復活すらしていない。作品上復活しないことが重要というわけでもなく、設定上も特に復活させるのに支障があるわけではないのだが・・・))当然、全員新技の追加、性能の調整が施されている。 ---ストーリーの関係上「デビル」は参戦しない。しかし新たなデビルと言える「デビル仁」が登場しているので実質完全と言っていいだろう。 -''カスタマイズ要素の追加'' --これにより「自分だけの」キャラを作り上げることが可能となっている。アイテムも真面目なものからネタに走ったものまで実に多彩。 -''ストーリーがさらに個性的に'' --前作ではシリアス方面に大きく偏っていたストーリーだが、本作では各キャラの個性に沿った一方向に偏らないチョイスになっている。当然エンディングも様々なジャンルがある。 ---「吉光」「ブライアン・フューリー」のエンディングはさながらアクション映画のワンシーンのよう。というか格ゲーに見えない。 ---ホロリと来るものとしては、「木人」「ワン・ジンレイ」「ジュリア・チャン」など。 ---「スティーブ・フォックス」はハードボイルドに締める。非常にカッコイイ。 ---しかし何と言っても前作では成りを潜めていたネタエンディングが大幅に追加されたのはうれしい限り。 ---「ニーナ」「アンナ」のウィリアムズ姉妹は同社の「ソウルキャリバー」のパロディとなっている。 ---「リン・シャオユウ」では本シリーズの根幹に関わるとある事件の真相(?)が明かされる。 ---その他「ロジャーJr.」「厳竜」「クマ&パンダ」などが笑えるエンディングとして挙げられる。 -''家庭版の追加要素'' --「DEVIL WITHIN」は一個のアクションアドベンチャーとして見てもボリューム、難易度共になかなかのもの。 ---前作の鉄拳フォースと同じく不評だったが。毎回「いらない」と言われてるのに何故作るのか。 --カスタマイズ要素としてエクストラコスチュームが追加。外部の有名イラストレーター((その内訳は板垣恵介、大暮維人、いのまたむつみ、永野護など。))によるものである。 ---なぜかシャオユウだけエクストラコスチュームが3着も用意されていて優遇されているが。 **問題点 -''TEKKEN-NET関連'' --『鉄拳』シリーズ初となるオンライン要素であったが、運営は順調だったかと問われると疑問が残る。~ 例えばキャラクターカスタマイズにかかる費用に対してプレイヤーが1プレイで稼げるポイントは雀の涙程度で、相当量プレイをしないと満足なカスタマイズが出来ない。~ TEKKEN-NET内のミニゲームでも稼げるが、1プレイに非常に時間がかかる上に、当然ながらパケット通信代のことも考えないといけない。~ アイテムの料金も1個20万~50万Gというのが複数ある上に、対戦で勝利しても基本的に得られるのは1000Gと非常に少なく、1人プレイだと半分以下。つまり、対戦して勝たないことにはアイテムも揃えられないというわけだ。対戦が活発ではない地域や、まだ勝つことが難しい初心者にとってはアイテムをそろえる事が苦行である。~ しかもこのアイテム、全キャラ共通というわけでもない。殆どが1キャラ専用アイテム。 ---TEKKEN-NET側もアイテム半額セールなどを行ったが、それでも高いことに変わりは無い。それに加えて新規登録者へのボーナスキャンペーンだけはやたらと多かった。何が問題かというと、カードにはシリアルナンバーがあり、TEKKEN-NET登録時のIDとシリアルナンバーは連動。一度登録したIDにしか再登録が出来ない。つまり、一度退会してキャンペーン特典をもらおうとすると、カードの登録ではじかれることになる。お金をもっと稼げるようにすれば何の問題も無かったのだが…。 -家庭版でもこの問題についてはさほど変わっていない。 --攻略本などではアーケードモードで稼ぐことが推奨されている。しかしアーケードモードの厄介な仕様によりライトユーザーにはこのモードで稼ぐのはキツイ。 ---アーケードモードには「段位」というシステムがあり、コンピューターに勝ち続けると次第に上昇しより高い段位の強いキャラに挑めるようになる。だが獲得できるファイトマネーは自分の段位と相手の段位の差にのみ依存するため、腕前が上がっても敵が強くなる一方で得られる金額は変わらないという不条理。 ---一応最高ランクのCPUならばファイトマネーに補正がかかるため、ここまで行ければかなり稼げるようにはなる。しかしそこまでやりこむ気力も時間もないプレイヤーには…。 --この問題の主原因は、格ゲーで一番楽しいはずの対人戦でお金が手に入らない仕様にあるだろう。 ---確かに対人戦で手に入る場合、やりようによっては((敵を全く動かさない、ハンデを極限までつけて一瞬で倒す、など。))簡単に稼げ過ぎるという問題は発生する。それでもみんなで楽しみながらアイテムを購入できた方がマシだったはずではないか。 --DEVIL WITHINをクリアすると比較的高額のファイトマネーが入る。道のりが長いので効率が良いかどうか言うと微妙な所だが。 ---また、一度全ステージクリアした後にプレイすると、仁の腕にある物と同じ形の紋章がステージ中に設置されるようになる。これを取るとステージクリア時に高額アイテムがタダで手に入る。 **賛否両論点 -''カードシステムゆえの弊害'' --戦績を記録するというシステム自体には特に問題は無かったが、それによって様々な問題が噴出したのも事実である。~ 例えば段位や勝敗数の自作自演、段位を保持するためにカードを使用せずに逃げ回るユーザー。同じキャラを2枚以上持って弱い相手から段位を吸い上げる行為。~ 他にも偽造カード問題、TEKKEN-NET内のゲームにおけるトレード詐欺、カードをオークションで高額で売りさばくなど、ユーザーのモラルを問題とする行動が蔓延していた。 ---もっとも、これは『鉄拳』シリーズやゲーム内容に関する問題ではなく、カードシステム全般が抱える問題である。運営側の不正を防ぐ工夫は勿論の事、ユーザー側も考えなければいけない問題と言えるだろう。 **総括 「最終的には」という枕詞がつくものの、『鉄拳』シリーズでは屈指のゲームバランスを誇る名作である。~ 以後のシリーズは本作をベースとしており、この成功がなければ『鉄拳』の復権は無かったであろう。 永遠のライバルである『バーチャファイター』にはインカム面で今まで勝ったことが無かったが、『鉄拳5DR』でようやく追いついた。~ 名実共に、真の意味でライバルの座に躍り出ることになったのはここからである。 **余談 『鉄拳5DR』から登場した新キャラの「リリ」は、『鉄拳』シリーズのなかでも異色な「金髪セレブお嬢様」という、およそ格闘などとは縁がなさそうな正統派美少女キャラクターである。~ その端麗な容姿に惹き付けられたユーザーは多く、各地のゲームセンターで使用率がトップクラスであった。 しかしながら、当時のユーザー(特にオールドユーザー)からは否定的な目で見られることもあった。~ 『ストリートファイター』シリーズにおいて『ZERO2』で初登場したセーラー服で戦う少女「春日野さくら」が登場した時と状況は似ていて、およそ格闘家というイメージからはかけ離れすぎている外見に違和感を覚えるユーザーもそれなりにいた。 しかし、設定としてファザコン気味のキャラであることに加えて、お笑いキャラ筆頭格の1人である相撲取りの「巌竜」に好意を持っている(父親にそっくりな太い眉毛がお気に入り)ということが発覚。色々と''残念な美少女''ということが判明したため、「やっぱり『鉄拳』は『鉄拳』だった」とオールドユーザーも一安心(?)であったという。 その後もリリは『鉄拳』シリーズを代表して『クイーンズゲイト スパイラルカオス』や『デジモンワールド リ:デジタイズ』などに登場しており、人気キャラの1人として定着していくことになった。