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スレイヤーズ - (2012/07/12 (木) 11:30:02) のソース

*スレイヤーズ
【すれいやーず】 
|ジャンル|RPG|&amazon(B000068HOU)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|発売元|バンプレスト|~|
|開発元|ベック|~|
|発売日|1994年6月24日|~|
|定価|9,800円|~|
|>|>|CENTER:''[[スレイヤーズゲームリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1565.html]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-ライトノベルの金字塔スレイヤーズのキャラゲーRPG。
-シナリオは原作者の神坂一氏が手掛けており、このゲームを原作の第三部(のパラレル)として位置づけている。
-これの何が凄いかというと、このゲームが発売された当時原作はようやく第一部が完結し、第二部が始まるかという時点であったこと。
-そのため原作(第二部)の終盤に登場する設定やアイテムが使われていたりするなどキャラゲーとして見ればファンアイテムとして価値の高い代物となっている。
--一例として発売当時の原作には登場していなかったブラスト・ソードをガウリィが所有していることなど。
--原作(第二部)の最終巻ではこのゲームの布石となる描写がされている。
-また、原作を知らなくとも「主人公が記憶を失っている」ことと、世界観が一般的な剣と魔法のファンタジーであるゆえに予備知識がそれほどいらないものであるため、普通のRPG作品としても楽しめるものとなっている。
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**ストーリー
伝説があった。~
偉大な魔導師の伝説が・・・~
巨大な魔力を内に秘め~
強気をくじき、弱きもくじく!~
盗賊殺し!~
ドラゴンもまたいで通るドラまたリナ!~
大魔王の食べ残し! どけち!~
根性悪! 魔法おたく!!~
数々の二つ名をほしいままにした大魔導師!~
その名はリナ=インバース!!~
~
そんな彼女が記憶をなくしたことから物語が始まる。~
(説明書より引用)~
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**特徴
-システムとしてはいわゆるドラクエ式(特に戦闘システム)。それ自体は特筆すべきものではないが、AIやステータスなど随所にキャラクターの個性を生かされている。
--以下仲間キャラの概要(キャラ説明の上半分は説明書から引用)。
#region(パーティキャラクター ※ネタバレあり)

-''リナ=インバース''
--このゲームの主人公であり、リナと呼ばれている。最強の女魔導師であり、趣味は盗賊いじめ。「盗賊殺し」「漆黒の魔女」「ドラまた」など数々の呼び名を持つ。
--この作品では記憶を失っているため最初はレベル1で基本魔法しか覚えていないのだが・・・。
-''キャニー''
--リナを兄の仇と思うも人違いだった。勘違いの激しい人。モンスターに突撃するそのパワーは誰にも負けない。
--原作では「最弱の戦士」「素人」とまで言われるほど弱いため、それを反映してレベルを上げ続けてもあまり強くならない。ただ序盤では役立つ。
-''ナーガ''
--自称リナのライバル。魔法に関してはかなり高い資質を持っているがドジである。また、おだてに弱い。
--序盤に仲間になるキャラとしては高レベルで、強力な魔法を使いこなすが全く命令を聞いてくれない。そのため雑魚に魔法を使いすぎてボス戦でMP切れ、といったことも。しかしそれすらも原作再現だと見られている((原作では雑魚に派手な魔法を使って一掃するが、肝心のボス戦では役立たずなことが多いため))。
-''クレア''
--リナを崇拝する魔導師見習いの女の子。きつい一言で敵に精神的ショックを与えます。
--魔導師見習いという設定だが、ゲーム中では魔法は使わず仲間になったダンジョンで離脱する。イベントのオチのために用意されたキャラだと思われる。
-''レミー''
--刀マニアの黒髪の美少女。斬ることに生きがいを感じている。ひとたび切れれば見境なく敵に斬り掛かります。
--中盤で頼りになる剣士。特殊コマンドの乱れ斬りは雑魚戦で頼りになる。ただし命令を無視しやすい。クリア後にレベルを上げ続けると最終的にはガウリィより強くなる。
-''シルフィール''
--サイラーグ神官長の娘にして高位の魔法が使える僧侶。ひそかにガウリィに想いを寄せている。
--白魔術を最初から全て覚えており、命令無視がなく、特殊コマンドの性能が非常に強いため最高の回復役といえる。
-''ブラックフォックス''
--リナに恋する盗賊。お宝のためならば相手がモンスターだろうが容赦はしない。ごっそりいただきだ!
--原作小説には登場せず漫画版にしか登場しないキャラだが、ゲームに大抜擢されている。とはいえ本編で仲間になる期間は短い。敵からアイテムを盗める貴重なキャラ。
-''ガウリィ''
--わりとハンサムな金髪の傭兵。しかし、見かけの割にはスライム並みの知能しか持たない。その代わり体力だけはオーガ並みのものを持っている。いあいぬきの名手。
--能力、装備ともに最強の前衛キャラ。特殊コマンドのいあいぬきは雑魚全体を即死させれるので経験値稼ぎに便利。
-''アメリア''
--白魔法都市第一王位継承者フィル王子の娘で、やたらと正義感が強く、そのためならどんな敵も怖くない。
--直接攻撃、黒魔法、白魔法といずれもバランスがよいが、命令無視が多いので回復役として安定しないのが偶に傷。
-''ゼルガディス''
--石人形と邪妖精と人間の合成獣。銀の髪と青黒い岩の肌のハンサムな青年。強力な魔法攻撃ができます。
--最初からレベルが高く直接攻撃と魔法攻撃、いずれも強いのだが、直接攻撃ではガウリィ、魔法攻撃ではリナの前に劣るのでやや中途半端。
#endregion
-スレイヤーズに登場する人物は世界でもトップクラスに強いという設定のキャラが多い。そのためこの作品ではキャラステータスを2通りに分けることで対応している。
--原作で強いとされているキャラ(ガウリィ、アメリア、ゼルガディス、ナーガ)はレベルがかなり高く初めから強いが成長しない。
--対してそれ以外のキャラ(キャニー、レミー、クレア、シルフィール、ブラックフォックス)はレベルアップをするが初期レベルは低め。ただし成長させていくと固定ステータスのキャラよりも強くなる。
-基本的には作戦で「めいれいをきいてね」に設定していけば仲間に指示を出せるのだが、一部のキャラは性格を反映して言うことをきかなかったりする。
--とはいえ、命令をあまりきかないキャラでもピンチの味方に対する回復や逃げるコマンドはちゃんと聞いてくれる。
-魔法は魔道士協会や各地にいる魔道士から魔法理論を学んだ上で魔法が記された書物を読み、魔法理論のレベルに合った魔法を覚えなければならない。
-魔法使いキャラはMPが潤沢に設定されている上にレベルアップするとHPとMPが全回復する仕様であるため、戦闘では原作通り魔法を派手に撃ちまくれる。
--魔法や特殊コマンドの性能が良いため戦闘シーンはテンポがよく、サクサク進行する。
---ただし性能が良い魔法・特殊コマンドに合わせてか、敵のHPは高めに設定されている。
---とはいえボス以外逃げるコマンドは必ず成功するため、面倒になったら逃げまくって対処することはできる。
-基本的に敵を倒してもお金は入手できない。イベントの報酬や宝箱から入手したり、アイテムを売却したり、盗賊のアジトを襲って小遣い稼ぎをしたりする必要がある。
--とはいえそれほどお金に使い道がないので特にがめつく稼ぐ必要はない。装備もダンジョンに置かれた宝箱などから入手できることが多い。
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**評価点
-あらいずみるい氏の原画に忠実で綺麗なグラフィック。
--オープニングや時折イベントで挟む一枚絵、ステータス画面で確認できるキャライラストなどは実に美麗。小説を読みながら挿絵を眺めるような感覚で堪能できる。
-コミカルで飽きさせないキャラクターとテキスト。
--キワモノ揃いで個性豊かな仲間たちを原作通りに再現している。それだけでなく街にいるモブキャラや一部の敵ですら癖の強い言動が多いため退屈しない。
---特にステータス画面で確認できる仲間の紹介文が失笑もの。一行でそのキャラがどういう人物なのか把握できる。
--またキャニーやレミーといった外伝にしか登場しないマイナーキャラまで仲間になるためスタッフの原作愛が垣間見える。
---NPCもレイミア姫やディオルなど原作では一話しか出ていないようなキャラすら登場する。セーブをしてくれるミーナも原作通りまぬけな内容の日記をつけてくれる。
---なお、マイナーキャラといってもそれぞれインパクトの強いキャラ付けがされているため空気になっているキャラはほとんどいない。
-その他にも盗賊のアジトを襲って小遣い稼ぎをしたり、原作を彷彿とさせるイベントがあったりとファンサービス要素が多い。
-シリアスがベースだが、時に不意打ち的なギャグや意外性のある落ちを狙ってくる一癖もふた癖もあるシナリオ。
--テキストもさることながら個性的なNPCに振り回される展開、一見ただのお使いイベントに見えて裏の裏の意図まであるイベント、脱力もののオチなど一つ一つのイベントがよく練られている。
-そして中盤から終盤にかけて判明する驚愕の事実と、それを知った主人公のラストまでいたる経緯が印象深い。レベルアップ制のRPGということを逆手にとったアイディアがシナリオと合わせて光っている。
--ネタバレが致命的なのでここでの説明は省く。特にエンディングで普通のRPGならこのタイミングでやることではないことを行うのはにくい演出といえる。
--もっともキャラの心情描写があまり具体的にないのである程度はプレイヤーの想像で補足する必要がある。ただ流れでおおよそ把握ができる範囲ではある。
---そのためファンの間では考察や二次創作が行われており、発売から十数年経過した今日でもたまに話題になることがある。
-エンカウント率はやや高めなものの、ダンジョンの広さがそれに合わせてあまり広くないのと戦闘のテンポが速いのでさくさく進める。
-クリア後のおまけの豊富さ
--クリア後にはとある重要人物が仲間になり、これまで離脱した仲間と自由にパーティーを組むことができるようになる。
--更にクリア後にしか行けない街やダンジョンが複数あったりと当時のゲームとしては特筆したボリュームを持つ。
--最後の隠しダンジョンの奥にいる隠しボスは原作を読んだことがある人なら誰もが知っている超大物。倒すことで真のエンディングが見られる。
-音楽もスレイヤーズの世界観・ノリに合った軽快でテンポのよいものとなっている。
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**難点
-人物関連で原作を知らないとよくわからない描写がある。
--原作キャラがいきなり登場して仲間になってくる、など。濃いキャラが多いお陰で一瞬でキャラが把握できるが。
--原作からして王道の「剣と魔法のファンタジー」なので世界観的な部分で初見お断りな部分はなく、シナリオが理解できないということはない。
--ただしラスボスは原作を読んでいる人なら大抵知っているような人物なのだが、読んでいないとぽっと出にしか見えない。
-原作との齟齬
--まだ原作が未完結だった頃に作られたシナリオということと、ゲームとしての都合があるため仕方ないとはいえる。とはいえ細かい事が多いため原作ファンでもそこまで気にしてはいない(ゼロスファンは除く)。以下一例。
--魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)や冥王降魔陣(ラグナ・ブラスト)((この二つの魔法はそれぞれ魔竜王ガーヴ、冥王フィブリゾという大魔族の力を借りて使うのだが、二人とも原作第一部で滅亡してしまうため本来なら使えない。事実原作第二部には登場しない。))が普通に使える。
--原作でフィリオネル王子と会っているのにゲーム中で会っても特に知り合いらしい態度をしてくれない。娘のアメリアはちゃんとそういう描写で仲間になるのに。
--パーティー内のとあるキャラ同士は生き別れの姉妹なのだが、一緒にパーティーを組ませても特に反応はない。ただしクリア後にしか組ませられないが。((もっとも原作ではそれらしい描写はされているものの巧妙に確定することが避けられている。))
--ゼロス((原作では幾度となく立ちはだかるトリックスター的な名悪役で、人気も高い。))の扱いが不遇。
---面識があるはずなのに初登場時にパーティーに何の反応もない、実際戦うと拍子抜けするくらい弱い、そもそも登場シーンが少ない、など扱いが悪い。
-クリアするまではパーティーを成長させる楽しみがない。
--仲間の交代が激しい上に、かなり短い期間しかパーティーを組めないキャラもいる。更にラスボスに挑むメンバーは主人公以外レベル固定の仲間である。
---その分レベル上げの作業の煩わしさがない、という見方もできる。
---もっともスタッフロール後のオチを見る限りそれはある意味「狙っていた」「予測していた」気配がある。クリア後にはパーティーを自由に変更して裏ボスに挑める上に、かなりの高経験値を得られる敵と戦えるため離脱したキャラを一気に成長させることができる。
-移動時のキャラのデフォルメグラフィックがあまり綺麗ではない。背景は無難なレベルなのだが。
-ダンジョン脱出魔法がないため一部ダンジョンは脱出の際わざわざ戻るのが面倒。
--原作にダンジョン脱出に適した魔法がないためだと思われる。
-街の中などではYダッシュができるが、ダンジョン内だと何故かできない。
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**総評
-当時のキャラゲーとしてはかなりの豪華仕様で、多少システムに難はあるもののそれを補って余りあるテキストやシナリオで普通のRPGとして見ても楽しめる作品。
-スレイヤーズのゲームはPSやSS、PCでもいくつか出されているのだが微妙な出来のものが多いため、その中で一番面白いゲームと言われることが多い。
-システムの根幹を敢えてオーソドックスにすることでシナリオやキャラの表現に幅を持たせることに成功したゲームといえる。