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戦国BASARA2 - (2012/11/04 (日) 18:20:50) のソース

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このページでは純粋に『戦国BASARA2』、及びその拡張ディスクである『英雄外伝』の評価点、問題点について記述しています。シリーズ通しての問題点、企業問題、ファンの行動について知りたい、もしくは記述したい場合はクソゲーまとめの『[[戦国BASARAシリーズ>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/517.html]]』を参照してください。
*戦国BASARA2
【せんごくばさらつー】
|ジャンル|アクション(公称スタイリッシュ英雄アクション)|&amazon(B000E9NHTS)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|発売日|2006年7月27日|~|
|定価|7,329円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|>|>|CENTER:''[[戦国BASARAシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1218.html]]''|
#contents
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**概要
-戦国時代を舞台としながらもそのぶっ飛んだ設定と爽快なアクションで話題になった『戦国BASARA』の続編。
--前作の方向性を受け継ぎつつ、システム、キャラクター両面での進化を果たしている。
-キャッチコピーは「''咲いて、暴れて、戦国乱世!''」。

**特徴
-□ボタンで通常攻撃、△ボタンで固有技、×ボタンでジャンプ、○ボタンでゲージ消費の「バサラ技」という無双形式の操作方法である。
--「固有技」はほとんどのキャラに最大6~7種類用意されており、その中から2種類を任意で組み合わせて装備する。
---キャラのレベルアップに伴い新たな固有技の習得、もしくは既存の固有技のレベルアップが行われる。
---一度の合戦で使用できる固有技は装備している2種類まで。これにより戦略性を高めると同時にカスタマイズの楽しみもできている。
-攻撃の連続ヒット数が増えるほど、敵撃破時に後述の小判を多く獲得できるようになった。
-戦極ドライブの追加
--敵を100体倒す度に戦極ドライブゲージが溜まり、戦極ドライブを任意で発動できるようになる。戦極ドライブを発動すると一定時間強化状態になる。
-装備システム
--各キャラ専用の「武器」と「防具」、全キャラが装備可能な「アイテム(装飾品)」を複数の中から選んで装備できる。
--アイテムには様々な効果があり、いくつかのアイテムを組み合わせて複数個同時に装備できる。
--今作では新たに「防具」が追加された。また、今作ではキャラのレベルアップにつれて、アイテムを最大5個まで装備できるようになった。
---特定のアイテムを5個組み合わせることでのみ効果を発揮する、5個装備が前提となるアイテムもある。
---また特定のアイテムには「レベル」の概念が存在する。戦場で同種のアイテムを獲得した際レベルアップして性能が向上することがある。
-小判およびバサラ屋の追加
--戦場で小判を獲得し、バサラ屋というショップで金額を支払うことでキャラの装備品を購入したり、キャラの能力を成長させられるようになった。

-キャラクターの追加
--新規キャラクターとして「前田慶次」「豊臣秀吉((正確には「羽柴秀吉」は前作の織田軍にいるのだが、単なるモブ武将である。))」「竹中半兵衛」「宮本武蔵」が追加。
--また前作で人気のあったCPUキャラ、「毛利元就((武器と属性は変更されている。))」「長曾我部元親」がプレイアブルキャラとして参戦。
--CPU専用武将も「片倉小十郎」「浅井長政」などが追加されている。

-ゲームモードは「ストーリー」「天下統一」「自由合戦」「大武闘会」の4つ。オプションなどは割愛。
--「ストーリー」は前作になかったモードである。各キャラクター毎に固定の5~6ステージを物語を追うようにプレイしていく。
---各キャラクターのステージ4ではそのキャラの固有アイテムが手に入る。前作にも一部のキャラに存在したが、今回は全員に用意されている。
--「天下統一」は各キャラクターの拠点からスタートし、隣接する国を攻め滅ぼして最終的に天下統一を目指すモード。
---新要素として特定条件を満たすともらえる「称号」が追加されている。単なるやりこみではなく、これを集めることで入手できるアイテムや隠し要素もある。
--「自由合戦」は文字通りクリア済みのステージを自由に選んで遊べる。相手の武将と同じキャラを選んでも問題はない。
--「大武闘会」も新しく追加されたモード。全''100''ステージを連続でクリアし、莫大な経験値獲得を目指す。
---10ステージごとにセーブとリタイアが可能。リタイアするとそこまでで得た経験値をもらうことができる。しかし後半のステージほど1ステージごとにもらえる経験値は大きいので、できればリタイアなしでクリアしたいところ。

-各キャラに「衣装其の弐」が追加された。キャラクター性能はそのままに、外見だけを変化させられる。

-前作にあったバサラゲージ消費の固有技はなくなっている。


**評価点
-バカバカしさとシリアスさが同居した独特の世界観。
--これは前作から変わっていないが、今回はストーリーモードが追加されたことにより各キャラクターの個性がより深く表現されている。
--バカなキャラクターとしては…
---まつ…伝説の食材を求めて全国津々浦々を旅して回るストーリー。他のキャラクターと比べると極めて異質である。その結末は…。
---ザビー…すでに「''存在そのものがネタ''」なキャラであるが、今回は「ザビ」つながりでギレン・ザビばりの演説をこなした後、信者を求めて各地を&strike(){荒らす}布教して回ることになる。特に新規信者の毛利元就のキャラクター崩壊っぷりは有名((詳しくは「サンデー毛利」で検索すべし))。
--逆にシリアスに寄っているキャラもいる。
---濃姫…極北の地で「本能寺襲撃」の報を聞く濃姫。夫の元へと駆け急ぐが、その前には様々な障害が立ちふさがる。そしてついに明智光秀と対峙するが…。
---いつき…織田軍の襲撃を受け、燃え上がるいつきの村、必死に抵抗するも「興が覚めた」という理由で相手にすらされない。もはやなにも信じられなくなったいつきだが各地の侍と戦っていく中で変わってゆく。
--CPU専用キャラもなかなか濃く、ステージの盛り上げに一役買っている。
--ただ無茶な設定にするだけではなく、史実を踏まえた上で意図的に曲解しているのもポイント。元の史実を知っているとツッコミどころがより一層激しくなる((ただし、ほとんどが大きすぎるアレンジゆえに原型を留めていないので無暗に史実と混同は控えて、あくまで創作として接しよう。))。
---例えば本作登場の豊臣秀吉は「猿」と呼ばれた小柄な男ではなく、同じサル目だからと言う理由で「ゴリラ」をモチーフにした巨漢として登場する。加えて北斗の拳のラオウのパロディまで加える魔改造。
---キャラだけではなく、ステージにも史実に纏わるギミック・エピソードが多数揃えられている。特に、竹中半兵衛のステージ・稲葉山城に登場する「一夜城」は、誰しもが爆笑した事だろう。
--どのキャラも人気の高い大物声優が担当。特に織田信長役の「若本規夫 ((担当キャラは有名所で言うと、サザエさんの「アナゴさん」など。))」や真田幸村役の「保志総一朗((この作品で叫び過ぎて喉の調子を悪くして所属事務所に怒られたらしい。))」などはイメージによく合っておりハマリ役と言われる。
---ちなみにアニメ版も全く同じキャスティングである。深夜放送、かつ非全国放送にも関わらず大物声優がゴロゴロ出演するので事情を知らない人はかなり驚いたとか。
--またコンパチキャラも排除されている。
---前作のコンパチキャラのうち「まつ」は属性が新しく登場した風属性に変更、動物を駆使した固有技とバサラ技を獲得している。「かすが」は苦無とワイヤーを使った独特なキャラクターに変更。同じ忍者キャラである猿飛佐助との差別化に成功した。

-爽快感溢れるアクション。
--なんといってもヒット数過剰なのが面白い。500ヒットぐらいなら適当に武器を振り回しているだけでも達成可能。装備を吟味し、かつそれなりの腕前があれば10000や20000コンボも叩き出せる。
---ヒット数が増えると獲得できる小判が増えていくので、成立させる意義はちゃんとある。
--カプコン製のアクションゲームにしては珍しく難易度はかなり低い。隠し難易度「究極」でもそれなりに成長させたキャラを使えば初心者でも十分突破できるレベル。
---しかし、装備品を変えることで難易度を大幅に上げることが可能。以下難易度を上げるアイテム一例。
---呪いの隠し剣…ヒット数が+1、つまり2倍になるが被ダメージが3倍になる。また上位アイテムに「呪滅の隠し剣」がある。こちらはヒット数+2だが、被ダメージはなんと''5倍''である。一撃ももらわないようにプレイする必要がある。
---上杉の塩…敵の体力が2倍になる。一見メリットがないように見えるが、「死ににくい」のでより大量のコンボを叩き込めるようになる。
---愚か者の法…与ダメージ1.5倍、被ダメージ3倍化。敵も自分もすさまじい勢いで傷ついていく。
--面白いのはこれら縛りプレイに、きちんとした明確なメリットがあること。このため「初心者でもクリアは容易だが、上級者は制限プレイで大量に稼ぐ」という住み分けが可能。

-ネタアイテムが非常に豊富。
--全キャラクターに「お楽しみ武器(第七武器)」という奇天烈な見た目をした武器が用意されている((ただし、伊達政宗、真田幸村、濃姫は例外。))。見た目に反してハイスペックで、さらに金さえあれば購入可能なので初心者に対する救済措置になっている。
--装備アイテムにもよくわからないものが多数。
---熱唱びわ…ほかに「こと」「つづみ」もある。装備するとBGMがそれぞれ対応したものに変化する…だけ。『[[マリオストーリー]]』のピッキョローン並みに役に立たない。とはいえこれは雰囲気を楽しむアイテムだから実用性の無さは仕方ないであろう
---四番の櫂…攻撃がヒットした相手を大きく吹き飛ばす…のだが、飛び過ぎてコンボが続かない。上位アイテムに「王将の奇跡」があるがこちらはさらに吹っ飛び距離が上がってさらに無意味になっている。
---ごますり棒…合戦中、味方がごまをすった発言をしてくれるようになる。''以上、終了''。先の熱唱シリーズと同じく役立たずなアイテム代表である。((ただし熱唱シリーズも同じだが、これなしでは獲得できない称号がある。))ちなみにどんな発言をしてくれるかというと…&link(参考動画){http://www.nicovideo.jp/watch/sm4468529}(要ニコニコアカウント)。ついでにこのゲームの雰囲気も感じ取ってもらえるとうれしい。


**問題点
前述の通り「無双シリーズとの関連性」など企業問題についてはこの記事では扱わない。ゲーム自体の問題点のみを挙げていく。

-主人公キャラ、「前田慶次」の残念な扱い。
--&bold(){}漫画「花の慶次」などのイメージに近い「喧嘩と祭りが大好きな傾奇者(だが殺しはしない)」という比較的典型的な慶次像なのだが…「伊達政宗が英語を喋り、真田幸村が武田信玄と殴り愛、織田信長が巨大化して城を破壊し、本多忠勝に至ってはどこからどうみても『''ガン○ム''』」という世界観にあってはこの程度の傾き方は常識レベルなのであった…。
---ストーリーにおいても空気の読めない発言が目立つため、ついたあだ名は「''KG''」。にもかかわらず変な所で常識的なのであまり印象に残らない。
---他のキャラのストーリーの扱いでも、どちらかと言えば「情報を提供してくれる情報通」と言う脇役風の扱いが多い。最も多く出現する登場ステージがコミカルな「京都けんか祭」である点もそれを加速する。一応、本作初登場のボスキャラ豊臣秀吉と最も関係深いキャラ…と言う扱いの筈だが、その''秀吉のストーリーに登場しない''のも印象の薄い要因だろう。
---性能自体も決して弱いわけではないが、他の主人公キャラである伊達政宗、真田幸村に比べテクニカルで玄人好みな感が強い。特に他に類を見ない固有技、「恋のかけひき((あらゆる技をキャンセルして他の技につなげることができる。なんと一度だけなら死亡すらキャンセルできる。))」を使いこなせるかがで、慶次の面白さは格段に変わってくる。この辺も主人公らしくないところである。
--ゲーム外でも、サブキャラのはずの元親や元就にグッズ化の先を越されたりしている。
//3の人気投票ではプレイアブルキャラにも関わらず非プレイヤーキャラの「片倉小十郎(6位)」「猿飛佐助(8位)」に負ける''10位''という結果であり、まさに「主人公(笑)」状態になっている。
//3だともう主人公じゃないし、慶次以外にもプレイアブルで人気負けてるキャラいる訳だし…。
--後のシリーズでは主人公を交代しているが、人気のある伊達政宗や真田幸村も同時に主人公の地位から退いているので、別に人気がないからと言う訳ではない…はず。

-モデリングの問題なのだが、どんなイベントでもキャラクターの口が動かない。このため喋っているように見えず妙な違和感を感じる。
--いつきストーリーではいつきが涙を流すので涙は流せても口は動かせない、という変なことになっている。キャラの口を動かすのとキャラの外側に涙を流させるのでは、確かに後者の方が楽だが、不自然さは否めない。

-キャラクター間の性能バランスが悪い。
--意図的な強キャラ、本多忠勝((名乗りからして「戦国最強」である。))は別にしてもそれ以外のキャラクターに差がありすぎる。特に武田信玄と長曾我部元親が「弱い」とされる。
---武田信玄は、ほとんどの固有技のスキが極めて大きい。またパワータイプにも関わらず通常攻撃の威力がさほど高くない。さらに前作からバサラ技の性能が大幅に劣化している。このキャラのバサラ技は「周囲に隕石をばらまき、その間信玄本体は無敵状態で自由に行動できる」というものなのだが、隕石の密度が大きく減少し命中精度が非常に悪くなっている。
---長曾我部元親は、攻撃力がかなり低い。敵を拘束する技や攻撃と同時に挑発してバサラゲージを貯める技、高速で移動しつつ同時に攻撃する技などが用意されているので本来はテクニカルなキャラとして設定されたのだろうが、拘束技は肝心の拘束時間が短く、挑発技はスキが大きすぎて使えない。移動技は''ジャンプ時と方向転換時しか攻撃判定が存在しない''(しかも威力が低い)とロクな技がなく、結局チマチマとスキの少ない攻撃技で攻めていくことになる。((続編の『3』では打って変わって全キャラクター中屈指の火力の持ち主となり、見事に「最下位の鬼」の汚名を返上した。))
--片や戦国時代を代表する名将、片や前作から高い人気を誇り満を持しての参戦。なのに、この扱いはどういうことであろうか。
--とはいえ前述の通り難易度は低いので、これらのキャラを使用したからと言ってクリアできないということはないはずである。

-固有技のバランスにもやや難あり。
--他の固有技に比べて性能が高いためほぼ装備が固定されたり、逆に性能が低いためにほとんど装備されないものもある。
---特に、敵を空中に打ち上げて更にコンボを継続する「浮かせ技」は他の固有技に比べて利点が少なく、魅せ技の粋を出ないものが多い。
--出が遅い固有技や終了時の隙が大きい固有技の中には、使用するとほぼ確実にヒット数が途切れてしまうものも多く、ヒット数を稼ぐ快感が大きいこのゲームのシステムとはあまり噛み合っていない。
--数ある技の中でもチート級として名高いのが、砲銃類を駆使して戦う濃姫の「秋津の渡り」。射程・連射速度ともに攻撃手段の中では群を抜いており、リロードも不要かつ固定アングルで延々と打ち続けることができるため、背後や死角からの奇襲にさえ気を付ければこれ一本でノーダメージクリアも全く難しくない。
---基本性能がお世辞にも高いとは言えない彼女のゲーム性をこれ1つで見事にひっくり返しており、「無双系アクションに弾幕STGが殴りこんだ」とも揶揄される。

-どんなやり方をしても、結局難易度はそこまで上がらないため、やり込み層からは微妙とも言われている。
--とはいえ本作はストーリーとキャラクターがメインとなるゲームであり、むしろ初心者にターゲットを絞った結果とも言える。無駄に難易度が高いよりはこちらの方が良かっただろう。

-やり込み要素の作業感が強い
--全体的に全キャラで同じことを何度も繰り返さなければならず、無駄なプレイ時間稼ぎをさせているような仕様となっている。
--各キャラの最強武器の入手条件は、大武闘会をクリアすること。最強防具も大武闘会の途中で入手する。
---肝心の大武闘会が、何度も遊ぶものとしては100回戦が冗長な長さでダレやすい。
//--各キャラの「衣装其の弐」の入手条件は、天下統一モードをクリアすること。
//---同じ軍に属するキャラの衣装はまとめて入手できても良さそうなものだが、一人一人地道にクリアするしかなく、やはりダレやすい。
//そのキャラの衣装をとるために一人一人地道にクリアするのはやり込みとして普通でしょ。
--バサラ屋で購入できるものは限られており、上記の武具を相応の金額で解決するといったことはできない。これは余った金の使い道に乏しいということでもある。

-その他ゲームバランス
--「カメラに映っていない敵は飛び道具を撃ったり突撃してこない」という仕様を逆手に取った、「敵に対して横や背を向けてカメラに映さないように接近する」といった奇妙な戦法が有効。


**総評
前作よりもさらにボリュームと爽快感がアップ。新キャラも(やや扱いが悪いが)概ね好評であり戦国BASARAシリーズでも『3』に抜かれるまでは最大のヒット作となった。

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*戦国BASARA2 英雄外伝
【せんごくばさらつー ひーろーず】~
※以降は発売日以外の共通部分は省略します。
|発売日|2007年11月29日|&amazon(B000J0S7LA)|
|定価|5,480円|~|
|プレイ人数|1~2人|~|

**概要(英雄外伝)
-約1年後に発売された『2』の拡張版ディスク。
--CPUキャラのプレイアブル化、新規ステージの追加、2人プレイモードの追加などが主な変更点。キャッチコピーは、「''英雄の数だけ、戦国はある''」「''明かされなかった英雄たちの物語''」。2では描かれなかった「英雄たち(ヒーローズ)」の物語である。


**評価点(英雄外伝)
-ストーリーの完成度が上がっている。
--5章からなるメインストーリーが3人分、3章からなる外伝ストーリーが5人分用意されている。数が減った分、一つ一つのストーリーについてはよく練られている。
---「片倉小十郎」は、伊達政宗に仕える小十郎の忠義が描かれている。また「忠義故に主に刃を向ける」という展開もある。なぜそのような経緯に至ったのかは自分の目で確認してほしい。
---「浅井長政」はいわゆる「正義の味方」のパロディキャラなのだが、ストーリーは意外にもふざけておらず「戦い→挫折→苦悩→復活→勝利」という王道のシナリオになっている。後述の「お市」もこのシナリオではきちんとしたヒロインであり、きわめて真っ当な役回り。
---最も人気が高いのは「真田幸村」の外伝ストーリー。とにかくバカ要素が豊富であり、「斧を振るだけで道場を建てる武田信玄」「気合を入れれば復活する武田軍兵士」「どうみてもバレバレな変装に気づかない真田幸村」「''溶岩の中から平然と登場し『心頭滅却すれば火もまた涼し』で片づける武田信玄((ちなみに溶岩の温度はだいたい700~1200℃。この言葉がよく使われる火渡りの儀式では木炭の温度がこれに匹敵することもあるが、修験者は燃え上がる木炭に全身突っ込んだりはしない。))''」と見どころ満載。一方で『3』のストーリーに繋がる深い発言もあり、その意味でも注目。

-新規キャラ「松永久秀」は極めて人気が高い。
--CPU専用キャラとしては初となる固有モーション持ち。悠然と闊歩しながら突如として緊急回避を繰り出し、攻撃を仕掛けてくる。
---史実を反映して火薬を扱う技を持つ。とにかく攻撃力と防御力が極めて高く、非常に厄介な相手。また天下統一モードでは、突如として国土を侵してくる。この「松永軍迎撃戦」は1の防衛戦のリメイクなのだが、外伝屈指の高難易度。段階が進むにつれて爆弾兵、仁王車、人質などが投入されて戦局は混沌を極めることになる。
--シナリオにおける扱いも極めて特異。
---梟雄と呼ばれた史実に合わせて、「どこまでも欲望に忠実な極悪人」として描かれている。目先の利益にしか興味がないのに小悪党らしさを微塵も感じさせず、「魔王」織田信長を前にしてすら平然としている。
---「片倉小十郎」と「前田慶次」のストーリーではラスボスとして登場。特に前田慶次のストーリーでは慶次と豊臣秀吉の不和の原因、ひいては秀吉が天下統一を目指す遠因となる人物であることが明かされる。
---さらに別の意味での攻撃力も非常に高い…詳しくは&link(こちら){http://www.nicovideo.jp/watch/sm3294461}。
--担当声優は藤原啓治。声優ネタで「係長」「焼け野原ひろし」などと呼ばれるが、&strike(){怪}熱演で、非常に色気のあるボイスの魅力的なキャラクターになっている。

-やり込み要素・ボリュームの増加
--CPU専用キャラが使えるようになり、使用可能キャラは合計30人に。
---武器8種、防具3種類のデザインも新たに書き起こされている(CPU専用キャラには一種類しか武器のデザインが用意されていなかった)。
--各キャラに「衣装其の壱(染)」が追加された。衣装其の壱のカラーリングが変更されたもの。
--新規難易度、「神の領域」追加。
---他の難易度と異なり「神の領域」というアイテムを装備することで挑める。つまり5つあるアイテム欄のうち4つしか使えず、この時点でアイテムの吟味が求められる。
---全ての敵の性能が、難易度「究極」を大きく上回るまでに強化される。まさに「神の領域」に挑みたい人のための難易度である。
--ステージに関しても、2回復活し、復活する度に強くなる最強キャラ・本多忠勝と対決できる((通常の攻略では逃亡でき、撃破はやり込み。))「小牧長久手の戦い」、前述の「松永軍迎撃戦」など、やり甲斐のある難しいステージも追加されている。
--「大武闘会」も敵の種類が刷新され、大きく様変わりしている。
---物足りない人のために「兵への挑戦状」という要素がある。
---様々な条件を満たすことで賞金が受け取れるというもの。全20枚あり、先に進むほど難易度は上昇するのでコンプリートは容易ではない。これを集めないと獲得できない称号もある。
--さらに「極・大武闘会」も開催される。
---賞品が現金になり、その最高金額は''100万両''。ステージ構成は変わらないものの制限時間が存在するので迅速なクリアが求められる。
--やり込み・収集要素のコンプリートは比較的だが容易になった。
---2人プレイやタッグプレイで「天下統一」や「大武闘会」をクリアすると、2キャラ分の衣装や武具がまとめて入手できる。

-キャラクターの性能に調整が加えられている。
--特に、『2』において弱キャラであった武田信玄はバサラ技の隕石が自分の前にまとまって落ちるようになり、殲滅力が向上した。
---もっとも、そのあおりを受けて長曾我部元親が「最下位の鬼((元親が「西海の鬼」と呼ばれることにひっかけてある。))」にまで転落してしまうのだが。

-敵武将にダメージについての縛りに、2無印では「一撃のダメージは相手の最大体力の半分以上になると強制的に半分になる」という制約があった。
--「英雄外伝」では上記の縛りがなくなり「相手の体力が最大のとき、一撃で死ぬ攻撃を受けたら体力が1残る。」となった。
---この仕様に影響を最も受けたのが、島津義弘の固有技「示現流 断岩」((BASARA2の中で最も単発の攻撃力の高い単発技))である。2無印ではどんなに攻撃力があろうと(体力満タンから)最低二発当てる必要があったが、英雄外伝では弾き返しで体力を減らす→断岩でほぼ確定で倒せるようになり(攻撃力、アイテム次第だが)、一刀必殺をそのまま表す技となり、対ボスのみ最強となった。

-弾き返しが大幅強化され、『2』では少し怯むだけだったが、『英雄外伝』では忠勝以外のボスは片膝をつきかなり長い時間怯むようになった。上記の島津の調整もこの弾きの仕様と合わせての結果である。

-細かいことだが、称号が天下統一モード以外でも獲得できるようになった。


**難点・賛否両論点(英雄外伝)
-2人プレイが追加されるも、全体に調整不足。
--2人プレイで遊べるのが大武闘会、天下統一、対戦しかない。
---ストーリーが遊べないのはともかくとして、自由合戦ができないのが痛い。天下統一モードは仕様上狙いのステージを連続して遊ぶのがキツイため、やりたいステージをプレイしにくい。確かに2人プレイ向きでないステージもあるが、それなら遊べるステージだけでも選べるようにしてほしかった。
--「片方が倒れてももう片方が救援に行けば復活」「コンボが2人で共有なので稼ぎやすい」といった問題もあり、難易度が大幅に下がっている。
--対戦モードは「誰得」に近い。
---前述したとおりキャラクターバランスはほぼ崩壊している作品である。1人プレイならばそれでもさほど問題はないのだが、調整なしでこれらのキャラクターがガチでぶつかり合うとなると…。
---ルール自体は豊富に用意されている上、どれもなかなか凝っており面白い。しかし多くのルールで足の速いスピード型が有利で、パワー型が不利なのはどうにかならなかったのか。

-ヒット数が稼ぎにくくなっている。
--ヒット数増大系のアイテムはことごとく削除、もしくは効果変更。これはこれでバランスは取れているのだが、無印版の過剰なヒット数を懐かしむ声もある。
---代わりに戦極ドライブ弐、戦極ドライブ参を発動するとHit数がそれぞれ+1、+2上がるようになった。
--2無印では500Hitを達成するごとに「バサラフィーバ」状態になり、一定時間はHit数3倍、敵に攻撃しただけで小判を落とすようになる。またフィーバー中はHit数が途切れない。ただし敵の攻撃で怯むとコンボ切れリセットされる。
---「英雄外伝」ではHit数3倍が削除されてしまっている、代わりにフィーバー状態ののときに戦極ドライブ壱が発動するようになり、敵の攻撃を受けてもHit数が途切れなくなっている。
--代わりに「刻印」攻撃という技が追加されたのだが…
---「刻印」属性のついた固有技で敵に攻撃すると敵が刻印状態になり、その間ヒット数が増える、というもの。しかし肝心の刻印状態の持続時間が短く、ろくに使えない。しかも「刻印」状態の敵に「刻印」属性の攻撃を当ててもヒット数が増加しない。
---キャラによっては''他の技に派生できる頃にはすでに刻印状態が終わっている''というものもある。なんだそれ。
---浮かせ技が刻印に対応している場合が多く、無印版では微妙だった浮かせ技の存在意義は高まっている。

-無印版のストーリーがプレイできない。
--このため、今回ストーリーモードが与えられていないキャラ(外伝ストーリーがあっても)の固有アイテムはショップで購入することになる。

-新たにグラフィックがアニメ調の絵に変更されている…のだがこれが不評。
--オープニングや固定のイラストなどはまだしも見れるのだが、各キャラクター個別のオープニングの出来が極めて悪い。
---武田信玄の色遣いが妙に鮮やかだったり、真田幸村のあごが長すぎたりといったのはまだかわいい方。美人キャラのお市の髪がまとまって動くのでまるで''海苔''のように見えたり、細面のはずの小十郎の骨格がどうみても''四角い''のはもはや失笑もの。ちなみに小十郎ストーリーのオープニングで一番まともなデザインなのは一言台詞があるだけのモブ武将である。&link(参考動画){http://www.nicovideo.jp/watch/sm4309585}(要ニコニコアカウント)
---「政宗の刀の数を間違えている」「仰向けに倒れたはずの信長がムービーではうつ伏せに倒れている(しかもかなり変な感じなので''ゴキブリ、ゲンゴロウ''などと言われる始末)」などの細かいミスもある。
--ちなみに戦国BASARAは無印(初代)、本作、X、テレビ版とアニメ化されているが、全て制作会社が異なるという不思議な経緯を持っている。しかしその中でもぶっちぎりで評価が低いのが本作である。

-''最恐の鬱シナリオ、「眠れ緋の華(お市ストーリー)」''
--BASARAシリーズはおろか、ゲーム史全体を見てもそうはないほど暗い。そして鬱。

#region(以下ストーリーの詳細。ネタバレと鬱要素注意)
第六天魔王、織田信長の妹、お市。絶世の美貌を持つ彼女が浅井家に嫁いだのは理由があった。~
信長の天下統一の障害になりそうな浅井長政を籠絡、それができないならば抹殺せよ―その命を密かに隠し、彼女は浅井家での生活を送っていく。~
しかし共に過ごしていくうちに彼女は長政のぶっきらぼうながらも実直な態度に少しずつ惹かれていく。どこまでも自虐的な彼女の心に一筋の温かみが宿っていた。~
だが、事態は最悪の方向に向かっていく。ついに覇道に向けて動き出した織田軍、信長の予想通り義兄のそんな動きに反発する長政。両者の決裂は決定的となり姉川にて決戦が行われる。~
戦局は浅井軍の圧倒的な不利。しかしお市はなんとか織田軍本陣の兄の元にたどり着くことに成功する。~
信長は自らに歯向かうものは肉親といえど容赦しなかった。信長に銃を向けられ、死を覚悟したお市。しかしそこに長政が割って入る。~
銃弾は自らの身体を盾とした長政を貫いた。己のために崩れ落ちる長政、「興が覚めた」とその死すら無視する信長―姉川にお市の絶叫が響き渡る。~
数か月後、そこには戦場に立つお市の姿があった。長政を失い空っぽとなったお市は織田家に連れ戻され、ただ織田軍のために戦っていた。~
武田、上杉の軍と戦っていく中で自らの中に宿る長政の声に気づいていくお市。そしてその声は次第に強くなっていき、最北端にて一揆の首謀者の少女、いつきを殺したその時―発狂。~
目付け役として付いて来た濃姫と森蘭丸をその刃で惨殺し、なにを考えているのかもわからぬまま本能寺へと向かう。~
本能寺にてついに対峙した魔王兄妹。余人には決して理解できない理由で互いに高笑いを挙げながら殺しあう。~
―そして、地に倒れたのは兄であった。倒れ伏す彼はお市を「第五天化楽魔王」と呼ぶ。~
なにを目的としたのかもわからない殺し合いの後、お市は燃え上がる本能寺の中で笑い続ける。しかし、残酷にもまさにその時、彼女は正気を取り戻すのであった。~
自らの手で最後の肉親を殺し、もはやなにも残っていないことに気づいたお市は泣き叫びながら本能寺の炎の中に消えていく…。~

//#region(魔王の名前)
//-蛇足ながら「第五天化楽魔王」について解説しておく。
//--そもそも信長が名乗る「第六天魔王」とは、仏教における概念の一つ「六欲天」の最上位、「他化自在天(たげじざいてん)」の魔王のことである。
//--第五天というのは、他化自在天の一つ下「化楽天(けらくてん)」のこと。つまりお市は信長自身から「自らに次ぐもの」として認識されたということだある。
//--興味深いことに六欲天の住人はそれぞれ別の楽しみを持っている(他化自在天の場合、「他人の幸せ」など)のに対し、唯一化楽天だけは楽しみを自ら作り上げることができる。はたしてこれから先お市はどのような「楽しみ」を作り上げるのであろうか。
//#endregion
//BASARA内の造語で会って現実に使われる言葉ではありません。

最終的には''主要人物全員死亡。主人公すら生死不明''というとんでもない結末を迎えることになる。そしてエンディングは…&link(なんと固有のもの){http://www.nicovideo.jp/watch/sm1648689}。他のどのキャラもこんな優遇は受けていない。そして曲の方も鬱。なまじ良曲だけに余計に印象に残ることになる。
#endregion

--一応救済措置として、長政ストーリーではちゃんと救われる結末を迎えることになる。公式でも「絶対にお市→長政の順番でプレイしてください」という発言がなされている。


**総評(英雄外伝)
基本的には無印版をクリア済みの人のためのさらなるやりこみ用のソフト。根本的なゲーム性は変わっておらず、前作の爽快感はそのままにキャラクターやステージの追加が行われている。~
上で色々書いたが、2人プレイもみんなで軽くわいわいやるぐらいなら十分楽しめる程度のクオリティーはあり、その意味で完全に失敗というわけでもない。~
アクションゲームとしてはやや底が浅いが、キャラゲーとしての評価は高い。好きなキャラで「俺TUEEE」の爽快感を楽しみたい人なら十分満足できるだろう。しかし今からプレイするならばPS2版より後述するWii版、もしくはPS3で発売されたHDコレクション(無印・『2』・『英雄外伝』をワンパックにしたもの)の方がおすすめである。

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*戦国BASARA2 英雄外伝 ダブルパック
【せんごくばさらつー ひーろーず だぶるぱっく】
|対応機種|Wii|&amazon(B000WQEPTE)|
|発売日|2007年11月29日|~|
|定価|7,340円|~|

**概要(ダブルパック)
無印版と英雄外伝がセットになったダブルパック版。互いにデータを共有できるのが最大の特徴(PS2版はゲーム開始時しか引き継ぎができない)。このため英雄外伝で育てたキャラで無印のストーリーをプレイすることも可能。また単純にマシンスペックが上がったのでロード時間が短くなっている。~
ただし、共有の際には互いのバージョン専用のアイテムがあることに注意が必要。また前述の武田信玄が顕著だが使い勝手が大きく異なるキャラもいる。~
またリモコン+ヌンチャクの操作は慣れるまでが割と大変。こちらの場合ボタン数の関係で視点変更ができないことにも注意。クラシックコントローラーがあれば問題ないが。~
なお、版権の関係上無印のオープニングムービーのテーマが英雄外伝のものに差し替えられている(ムービーは同じ)。そのせいか曲とムービーが少し合っていない。

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*戦国BASARA HDコレクション
【せんごくばさら えいちでぃーこれくしょん】
|対応機種|プレイステーション3|&amazon(B0081XMWKO)|
|発売日|2012年8月30日|~|
|定価|4,990円(税込)|~|

**概要(HDコレクション)
-『2』『英雄外伝』のHDリマスター版。
--無印も同時収録されている。
--なお『2』と『英雄外伝』のデータ共有は自動で行われる。
---『2』のOPの主題歌はPS2,Wii版とは別に変更されている。また『HDコレクション』自体のOPがこれにあたる。

-DMCのHDリマスター版のようにゲームの進行に直接影響するバグはない。
--が、ごく稀に「取得条件を満たしてもトロフィーが取得されない」というバグが発生することが判明しており、このバグが起きた状態でセーブしてしまうとトロフィーをコンプリートするためにはセーブデータを消去しなければならなくなる。