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Riviera ~約束の地リヴィエラ~ - (2012/11/27 (火) 14:20:15) のソース

*Riviera ~約束の地リヴィエラ~
【やくそくのちりヴぃえら】
|ジャンル|RPG|&ref(ic002.jpg)|
|対応機種|ワンダースワンカラー(スワンクリスタル対応)|~|
|発売元|バンダイ|~|
|開発元|スティング|~|
|発売日|2002年7月12日|~|
|定価|5,229円(税込)|~|
|移植版|GBA版:2004年11月25日 6,090円(税込)&br()PSP版:2006年11月22日 5,040円(税込)&br()PSP版SpecialEdition:2007年10月18日 2,940円(税込)|~|
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**概要
-沐浴イベントで有名なRPG。美麗なグラフィック・古き良きBGM・他に類を見ないゲームデザインと、高いクオリティと独自性を持つWSオリジナルタイトル。
-携帯ゲーム機向けに調整された手軽な操作性に加え、RPGの構成要素をピックアップして無駄を省いたスマートなシステムが特徴的である。
--温かみのあるファンタジー世界や可愛らしいキャラクターは「絵本をめくるような冒険」と表現され、世界観やキャラ同士のかけあいを追うだけでも楽しい。
--難易度は低めであるが、全てのバトルは戦闘評価が行われるため、高ランクを目指して戦略を組み立てるという、ただ敵を倒すだけではない新たな戦い方を見出す楽しみがある。
-のちに続くD.H.Eシリーズの1作目。人を選ぶアクの強い後続タイトルと比べて、唯一万人向けのシステムを有する作品と言える。
-隠れた良ゲーとしてひっそりと評価されていた本作だったが、のちにGBAやPSPにも移植された。移植に伴う追加要素はどれも好評である一方、問題点も多く存在する。
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**ストーリー
・かつて魔界と呼ばれ、いまは精霊のすむ悠久の地“リヴィエラ”。かの地に、1000年前封印されたはずの魔族が再び目覚める兆しがあらわれた。
・世界を黄昏へと導いた古の神魔戦争を繰り返させないため、神界は「神罰」の発動を決定する。その代償としてリヴィエラを永久に失おうとも…。
・天使と悪魔、そして幾多の精霊たち。それぞれの思惑が交差するリヴィエラの地に 今、二人の告死天使が神界より舞い降りる…。
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**シナリオ
・良く言えば王道、悪く言えばありきたりなストーリー。予想も期待も裏切られることのない、ある意味で最も安心して楽しめる出来となっている。
・全部で7つのChapter(7つのダンジョン)で成り立っている。Chapter.1~2はシステムのチュートリアル的な側面があり、取扱説明書を読まなくとも大よそのシステムが把握できるような作りである。特定の条件を満たすとクリア後にChapter.8が出現し、本編とは独立したストーリーをプレイすることができる。
・物語が大きく動くのは序盤と終盤のみであり、中盤はキャラクター同士の掛け合いや世界観の描写に比重が置かれている。拠点となる街とダンジョンの往復により物語が進んでいくのは”お使い”的ではあるが、ダンジョンでの探索は無数のイベントと分岐が用意されており、一度のプレイで全てを把握することは不可能。
・エンディングは、信頼度という隠しパラメータが一番高いヒロインとの個別エンディングとなる。信頼度は数値化されないものの増減は確認でき、イベントによる制御が可能であるため、特定のキャラの個別エンディングを狙うことは容易である。

**システム
-''フィールド''
--各ダンジョンは9つのエリアに分かれており、各エリアは複数のブロックで構成されている。各ブロックを行き来しながらバトルやイベントをこなしていき、最奥部に潜むボスを倒すことでダンジョンクリア(Chapterクリア)となる。
--フィールドの探索は、画面上に表示された「トリガー」を十字キーで選択することで行われる(従来のRPGのように、キャラを移動させて怪しい場所を調べてイベント発生…という流れではなく、トリガーを選択してイベントを発生させることでキャラを動かしていく)。しらみつぶしの探索や多くのボタン操作を必要としない、携帯ゲーム機ならではのシステムとなっている。
---トリガーは、バトルで得られるTP(トリガー・ポイント)を消費して選択する。トリガーを選択することで何らかのイベントが発生し、アイテム入手・バトル発生・ステータス増減・スコア獲得などの反応が得られる。キャラクター同士の会話や状況説明で終わることもある。
--イベントの合間にAT(アクション・トリガー)というミニゲームが発生することがある。コマンド入力・目押し・ボタン連打など、いずれも数秒で終わる簡易的なものであり、結果の成否によってイベントが分岐する。成功した場合に良い結果が得られることが多いが、失敗した場合に特有のイベントが起こることもある。
-''バトル''
--バトルに突入すると、初めにフォーメーション(物理特化or魔法特化)・出撃キャラクター(5人中3人)・装備アイテム(15個のうち4つ)を選択する。これらはバトルが始まってからは変更不可能であるため、敵の攻撃手段や弱点などに応じた戦略を立てる必要がある。
--バトルは敵味方ともに個別のターン制であり、キャラクターはアイテムを選択することでスキルを使用する。ダメージを与えたり受けたりすることでオーバードライブゲージが溜まっていき、それを消費することでオーバースキル(必殺技)を繰り出していく。バトル終了後には戦闘評価が行われ、高レベルの必殺技でトドメをさす&短時間でバトルを終えるほど評価が上がる。高ランクであれば有用なアイテムが入手でき、TPやスコアも多く加算されるため、いかに効率的なバトルを組み立てるかが攻略の鍵となる。
---本作にはいわゆるレベルの概念がなく、キャラクターを成長させるためには、使用可能なアイテムの熟練度を溜めることでスキルアップする必要がある。スキルアップするとステータス上昇と同時にオーバースキルを習得するため、多くのアイテムを入手して使用することが育成へと繋がる。
--アイテムは系統ごとに分類され(剣・弓・杖など)、キャラクターごとに使用できるスキルが異なる。例えば杖は3人のキャラが使用できるが、杖をかざしての魔法攻撃・杖で殴りつけての物理攻撃・魔法の力で回復のように、効果は様々である。また、効果範囲・属性・追加効果なども個別に設定されているため、アイテム選びがバトルの勝敗を分ける大きな要因となっている。
---アイテムには耐久度(使用回数)が設定されており、バトルで使い切ると破損してしまう。基本となるアイテムは耐久度が多めに設定されてあり破損することは稀であるが、耐久度の少ない強力なアイテムも存在する。
---アイテムは街やダンジョンの至る所で入手できるものの、15個までしか所有することができない。スキルアップの有無や耐久度、有用性を考慮してアイテムを取捨選択していく必要がある。
--バトルは全てイベントにより発生する。ランダムエンカウントが存在しない代わりに、いつでも任意で行える練習バトルというものが存在する。練習バトルではアイテム入手に制限がかかるほか、TPやスコアは入手できないが、アイテムを使用しても耐久度が減少しない。練習バトルでスキルアップを行ってキャラを育成し、イベントバトルで高評価を狙うのが基本的な流れとなる。
-''その他''
--特定のアイテムを入手すると、クリア後にエクストラコンテンツがオープンする。イベントCG・アイテム・BGMなどを閲覧することができ、プレイ中に得たデータが記録されていく。
--イベント中でなければ文字通りいつでも中断セーブが行える(バトル中でも)。ソフトリセットも可能。イベントスキップはできないが、それと同等のメッセージ高速送りができる。一昔前のゲームではあるが、一通りのユーザビリティが実装されている。
--バトルでゲームオーバーになるたびに、敵が弱体化しプレイヤーに有利な状態で再戦できる。システムに制限の多い本作ではあるが、事実上の詰みは存在しない。
--特定の条件を満たすことで発生する沐浴イベントはあまりにも有名。ヒロインや街の住人たちの、限りなくアウトに近い裸体をイベントCGで画面いっぱいに見ることができる。本作の代名詞とも言える。
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**賛否両論点
-''ギャルゲーっぽい''
--メインキャラクターが主人公を除き全員女性であり、ほぼ無条件で主人公に好意を寄せている。個別に設定された信頼度(いわゆる好感度)によってエンディングが変わることは言わずもがな、沐浴イベントを初めとしてギャルゲー風味なやりとりが多い。
--4人のヒロインの性格は、元気娘・しとやか・さばさば・おっとりと基本が揃い踏み。容姿は子供体型~大人のお姉さん、髪型はロングヘア・ショートカット・ツインテール%%、胸はぺったんから巨乳まで%%と、おおよその基本属性を満たしているという徹底ぶり。ヒロインの個性を色濃く際立たせており、ギャルゲー云々はともかくとしてキャラ人気に一役買っている。
--拠点となる街の住人も多くは女性、そのほとんどが主人公に惚れているというハーレムっぷり。アニメチックな絵柄も幸いして、ギャルゲーの耐性が無い人は拒否感を示すレベルである。
---しかしながら、恋愛に関する苦悩や愛憎劇といった”毒”の要素は一切ないため、ギャルゲーと言うよりはファンタジーや童話の作風に近い。
---ギャルゲーが好きな人や可愛いらしいキャラが好きな人にとっては、正に理想と言えるゲームかもしれない。
-''アイテムまわりに制限が多く、窮屈に感じる''
--15個の所持制限、耐久度の存在、バトルに持ちこめるのは4つだけ、スキルを使用できるキャラクターが限られる等、とにかく制限が多い。特に所持制限について、新しいアイテムを入手するたびに取捨選択を強いられることに対する不満が多い。FFでエリクサーを使用しないままラスボスを迎えてしまうような貧乏性の人には極悪とも言える仕様。
---アイテムは基本的に各Chapterで入れ替えていくものであり(威力不足や耐久度低下が原因)、取捨選択は必然である。
---使い所が限られる補助アイテムや希少なアイテムがアイテム蘭の肥やしとなっている状況が実はよくあり、所持数制限を無駄に圧迫している場合が多い。
---初回プレイではこれらの特徴に気付かず窮屈に感じることも多いだろうが、システムに慣れてくると余裕が生まれ始める。
---アイテムの有用性を見極めて少ない所持数をいかにやりくりするかが、ゲーム性の根本となっている。
-''練習バトルによるスキルアップが作業的になりがち''
--敵が弱く全滅の危険性がない、戦闘終了後にHPが全回復するなど、ただアイテムを選択するだけの単調なバトルとなる。
---一般的なRPGにおけるレベル上げと思えば、作業的なのは当然とも言える。
---通常のバトルと同様に戦略を立てることで効率化を図ることはできる。
---ちなみに、練習バトルを利用しなくてもクリアは十分に可能である。

**問題点
-''引継ぎ要素(イベントの変化や強くてニューゲームなど)がない''
--個別エンディングやコレクション要素が用意されているように周回プレイを推奨している作りであるが、アイテムや熟練度の引継ぎといった周回プレイへの配慮がない。イベントの変更が僅かにあるだけで、全体的なプレイ感覚は一切変わらない。
--イベントや分岐自体は多いものの、どれを選んでもストーリーの大筋には影響しないため、変化を楽しむというモチベーションには繋がりにくい。
---一周のプレイ時間は約20時間程度とそこそこボリュームがあり、一度のプレイで大体の要素を楽しむことができるため、必ずしも周回プレイが必須というわけではない。
---Chapter.1からプレイし直さなくとも、信頼度の管理を徹底することで、ストーリー終盤であるChapter.6のセーブデータから全キャラの個別エンドを狙うことが可能。
---のちに発売されるPSP版SEで一部改善された。
-''全体的なゲームテンポが遅め''
--ボタン操作を受け付けない空白時間が多い。フィールド探索もバトルもボタン1つで行える手軽さが魅力ではあるが、裏を返せば、画面を眼で追うだけの時間が長いということに繋がる。
--バトルでは敵味方共にドットキャラがアニメーションするものの、それをスキップすることはできない。
---テンポが悪いわけではないが、ゆったりしている。
-''バグ''
--聖水というアイテムを所持した状態でゲームオーバーになると、フリーズしてしまう。
--エクストラコンテンツにおける不具合が多い。
---登録の不備により、イベントCGと表情パターン集がコンプリート不可。
---設定ミスなのか入手できないアイテムが存在し、アイテム図鑑もコンプリート不可。
---ハイスコアランキングでは、オールクリアスコアが記録されない。
--フリーズバグについては対応できるが、エクストラコンテンツは対策不可。コレクション要素をコンプリートできないのは致命的と言える。
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**移植版における主な変更点
-''GBA版&PSP版&PSP版SE''
--イラストレーターが変更となった。クセのあるWS版のイラストと比較して、より親しみ易い絵柄となった。
--○ハードの性能に応じてBGMがアレンジされている。
---ラスボス戦の2曲がアップテンポなBGMに変更され、迫力が増した。
---GBA版では1曲、PSP版では更にもう1曲、新たなBGMが追加された。
--○キャラクターボイスが付くようになり、%%ギャルゲーっぽさが増した%%表現力が増した。
---釘宮理恵を初めとして有名どころの声優が多い。
---GBA版はバトル中とエンディングのみであるが、PSP版はフルボイスである。
---ボイスはON/OFFの切り替えが可能。
--○新たな個別エンディングが追加された。それに伴い、新キャラクターが登場する。
--○WS版のバグが解消されている。
--×攻撃の命中率が下がった。移植に際しての調整とも考えられるが、明らかに改悪。
--×一部のステータス異常が正常に機能しなくなり、結果として終盤のボス戦の難易度が下がった。
--×バトルシステムや演出面の細部が、WS版と比較して不自然なものとなっている。移植版が初プレイの人は気にならない模様。
-''PSP版''
--○イベントCGの数が約2倍となった。それに伴い、いくつかの場面で新たな会話シーンが追加されている。
--×中断セーブとソフトリセットが廃止された。
--×頻繁にロードが発生し、ゲームテンポが著しく悪くなった。
-''PSP版SE''
--○イベントCGがPSP版よりも僅かではあるが増えている。
--○一度クリアすると、スキルアップまでの熟練度が1(最小)となる周回プレイ向けのモードが追加される。
--○Chapter.8のシナリオが強化された。また、ライバルキャラとのシナリオが追加されている。
---×バトルがメインに据えられているせいか、キャラ同士のかけあいに乏しい。それにも関わらず、難易度調整がおざなりである。
--○ロード時間が改善され、GBA版相当のゲームテンポに戻った。
--○何度でも再開可能な中断セーブ(どこでもセーブ)が導入された。しかし、WS版のようにバトル中にはセーブできない。
--○ソフトリセットの代わりに、メニュー画面に「終了」(タイトルへ戻る)の項目が追加された。こちらも、バトル中には選択できない。
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**総評
-ギャルゲー要素や沐浴イベントでネタにされがちな本作ではあるが、グラフィックやBGMなどの質の高さとシステムの完成度は、並みの作品を上回る一級品だと言える。
-いまプレイするのであれば、プレイ環境や追加要素の面でPSP版SEがオススメ。本作品やシリーズの源流を辿るならば、ディレクターのゲームデザインが最も色濃く反映されているWS版をプレイしたいところ。GBA版は中古価格が高騰しており、また上位互換としてPSP版SEが存在していることから、オススメとは言いづらい。PSP版は内容も価格もロード時間も全てPSP版SEに劣るので購入非推奨。