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アーマード・コア3 サイレントライン - (2013/04/25 (木) 19:30:03) のソース

*ARMORED CORE 3 SILENT LINE
【あーまーどこあすりー さいれんとらいん】
|ジャンル|3D戦闘メカアクション|&amazon(B00007F1L6)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売・開発元|フロム・ソフトウェア|~|
|発売日|2003年1月23日|~|
|定価|7,190円|~|
|廉価版|PlayStation2 the Best&br()2004年2月26日/3,150円|~|
//|ポイント|二丁拳銃の台頭&br()水増し武器&br()前作からの正当進化|~|
|>|>|CENTER:BGCOLOR(#fed):''[[アーマード・コア シリーズ 作品リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/307.html]]''|
//元ガッカリゲー判定から仕分けにてカタログ移転し、移転議論スレを経由して良作へ。
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
地下シェルター都市「レイヤード」を統治していた『管理者』が破壊され、封印されていた地上への扉が開いてから数年。~
人類は各企業の提唱する「Brigade Project」(地上開発プロジェクト)によって新しい世界の発見を急ぐとともに、地上の開発計画を行っていた。~
しかし地上に住む場所を移そうとも、人々、そして企業のやることは変わらない。企業は地上勢力の拡大に腐心し、日夜敵対企業との勢力争いに明け暮れていた。

やがて地上の開発はほとんど終了し、企業は今や限られた未踏破地区――「サイレントライン」へその食指を伸ばす。~
大災害以前の新技術や資源を求め、激化する抗争。だがその中で、サイレントラインの調査部隊が次々と消息を絶ち、更に人類勢力を攻撃する謎の第三勢力が現れる。~
機動兵器「アーマード・コア(AC)」を駆る傭兵・レイヴンである主人公は、サイレントラインを巡る大きな戦いの渦へと身を投じていく。

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**概要
『アーマード・コア』シリーズ第7作。前作『3』の直接の続編であり、世界観や設定が引き継がれている。~
前作『3』は対戦ツールとしての出来はお世辞にもいいとは言えなかったが、一方で『初代』をリスペクトしたゲーム内容や設定、ほどほどの難易度をはじめとする各要素で人気を博し、現在でも「AC入門作」に推奨される名作となった。~
本作『サイレントライン(以下、SL)』は『3』の良さは(ほぼ)そのままにブラッシュアップを図り、やはり一定の評価を得るに至った。より重苦しくなったストーリー、音楽は今なお高い評価を受けている。~

キャッチコピーは''「それは、侵してはならない「領域」―。」''
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**特徴
主なゲームの特徴や内容は、今までのACシリーズとほとんど変わらない。ここでは本作から追加された新要素や、大きく変わった点を紹介していく。
-''AI機体''
--本作の見所のひとつ。プレイヤーは「AIの操縦するAC」をアセンブルし、そのACをアリーナで使用することによってAIに経験を積ませることができる。AIは経験を積ませることで成長し、特定の場面で僚機として同行させたり、対戦相手として戦うことができる。AIは素直ではなく、自分の思った通りの行動や癖を仕込むには根気が必要。
--『マスターオブアリーナ』のAIアリーナの流れを少し組んだこのAI育成要素は、後にAI育成を主眼においた外伝作品『[[フォーミュラフロント>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/1441.html]]』に引き継がれることとなる。
-''武器破壊''
--今作の武器には耐久度が設定されており、武器はダメージの蓄積で破壊される。はっきり言って不評(詳細後述)で一度廃れるが、後に『[[ラストレイヴン>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/299.html]]』にて「部位破壊」という発展システムとなって復活する。
-''パーツの大幅増加''
--前作からパーツ数が大幅増加。OPにも登場した「実体盾」や「追加ブースター」など、武装カテゴリも増えた。
--特に前作で登場した「左腕専用の銃」がさらに発展し、右腕とほぼ同性能の銃が左腕にも追加された。
-''その他''
--ACの塗装パターンに無印シリーズ以来の「迷彩」が復活。
--コックピット視点がデフォルトで選べるように。
--今作から、ACのカメラアイ部分が発光するようになった。

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**評価点
''変わりない一人プレイの面白さ''
-1人プレイの評価が高かった『3』の後継作である本作も、やはり1人プレイの評価は高め。
--新天地を求めながら争い続ける人類と、それを阻む謎の力の恐怖を押し出した作風は人気が高い。前作の設定を引き継ぎ、明暗が分かれつつある三大企業の動向や、彼らに接触する謎のAI研究所の謎めいた存在が物語に深みを出す。「管理者」が居なくなったことで傭兵派遣会社の勢力が強まっているような描写も細かい。
--「ゲーム自体ではあまり深くは語らず、レイヴンに思考の余地を与える」というフロム節は顕在。「宇宙要塞」「特徴的な頭部の特殊AC」「自動で開くシャッター」など、『初代』『PP』『MoA』のオマージュともとれる描写もあり、設定好きのレイヴン達による考察も盛ん。
--演出、そして音楽も高品質を保っている。
---ミッションは数こそ減ったものの相変わらず多彩で、ステージの背景描写も細かくなった。「凄まじい強さ(しかし対策も立てやすい)の特殊ACと対決」「軌道上からのレーザー照射をかわす」「要塞内部のトラップを掻い潜りながら最深部を目指す」といった、ファンの間で語り継がれる「名物ミッション」も多い。
---重厚な音楽の評価はシリーズ中でも高く、現在絶版のサウンドトラックは高額で取引されている。
--「僚機システム」はさらに洗練され、登場キャラクターの個性が強いこともあってよりゲームを面白くしている。
---折笠富美子、家弓家正、勝生真沙子など、シリーズの恒例として主演声優も%%無駄に%%豪華。
---敵メカも全体的に強化されており、こちらも個性豊かな面子が揃っている。上級MTのカイノス、ブーバロス、高機動飛行メカのトラーゲンはルックスもイケメンでファン(そして余りの鬱陶しさに切れそうになったレイヴン)多し。

''高品質のアリーナ''
-敵のロジックが練りこまれており、対戦していて非常に楽しい敵が多い。
--非強化機体でプレイヤーを翻弄するフォグシャドウや、奇っ怪な動きと凄まじいAIM技術でプレイヤーを苦しめるコープスペッカーはシリーズ1、2を争う強敵として有名。
---ちなみに今までアリーナ上位(大体10位くらいから)のランカーは全て強化人間であり、その特性(ほぼ全ての面においてACが強化される)に頼ったゴリ押しか地形に挟まったりする駄目ロジックかの二択だった。フォグシャドウは上位ランカーでありながら真人間、つまりプレイヤーと全く同じ条件にもかかわらず超が付くほど強いため、リプレイで相手側視点を見るだけでもかなり参考になる。
--前作よりもランカーの数自体は減ってしまったものの、その分個性的なキャラクターが増えている。量より質をとったとも言える。

''パーツ・対戦バランスの向上''
-前作からパーツパラメータの修正が行われた。特に四脚の消費エネルギーの軽減、逆関節の軽量化などは良好な調整であるとの声が大きい。これら問題を抱えていた脚部はミッションでもかなり使いやすくなっており、各パーツの特徴の個性化も進められている。
--オーバードブーストを利用した高速戦闘が流行。ゲームスピードが全体的に上昇し、めまぐるしい高速戦闘が戦いの主体となった。
--増加したパーツをいかに使うかという試行錯誤も楽しめる。追加フレームパーツはビジュアル的に優れたものも多く、より個性的な機体を組めるようになった。
---小型ミサイルを三発同時発射するトリプルミサイル、当たり判定は小さいもののかの「月光」を超える威力の短射程ブレード、形状が特徴的な「指マシンガン」など、過去のシリーズで登場した武器のリメイク的な存在も多数追加されている。

-その他、AI育成の要素も好評。
--難解ではあるものの、強制するものではないためプレイを阻害しない。試行錯誤の過程がおもしろいと言うプレイヤーも多い。

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**問題点
-''パーツ関連''
--追加武器パーツには既存武器の色違いが多い。その大半が「弾数増・重量増」「軽量化してスペックダウン」などの簡単な調整で済まされており、真の意味で差別化された武器が少ない。新武装に前作の「定番パーツ」ほどの有用性を見いだせるものが少ないのも悲しい。
--スペック差によるパーツ幅が広がった反面、使えない・出番のないパーツも相対的に増加している((「『SL』では産廃が増えた」と言われることもあるが、実のところ割合で考えると歴作と変わりがない。分母が拡大したために数が多く映ってしまうのだ。))。
--新カテゴリの、1トリガーで複数弾を連射する「アサルト武器」の仕様に欠陥がある。連射の初弾は相手を狙って飛んでいくのだが、その後の弾は初弾の軌道をそのままトレースして飛んでいくので、動く目標にはほぼ100%当たらない。左腕用のアサルト武器は全弾に補正がかかるのにどうして右手だけ…?
---ちなみに全ミッションSランク達成時の報酬は「6連アサルトハンドガン」(総弾数108発。ついた渾名が『煩悩ハンド』)というシリーズ屈指の産廃。苦行を乗り越えたレイヴン達を「俺達の苦労は何だったんだ」と絶望させたが、現在では一周してネタとして逆評価(?)されている節もある。
--空中でブレードを振った際に相手を追尾する機能「ブレードホーミング」が弱体化した。敵機の未来位置を過剰に参照するため「斬りに行ったのに何故かバックした」という事まで起こるように。
--本作では全ミッションに何かしらの隠しパーツが存在するが、それらの入手法は全てノーヒント。中々気付かない条件のパーツも多い。
---これまでの作品でもヒントはなかったが、これほどまでに隠しパーツが多い本作では流石に不親切と言われても仕方がない。他にも「「カスタマイズメカアクション」である建前上、全てのパーツをそろえてからが本番という部分があるため、(それがたとえ誰も使わない産廃であっても)その根底となるパーツの取得が困難であることはあまり好ましくない」という意見もある。

-''武器破壊''
--つまるところ''負けている側がより不利になる''だけのシステムでしかなく、そもそもゲームスピードが速い本作では、プレイヤーが狙って特定の武器を破壊することはほとんど不可能。武器の耐久値や破壊性能は隠しパラメータとなっており、ゲーム中ではわからないのも辛い。
--対戦ではon/offが切り替えられ、ミッション中ではこれを意識する局面がほとんどない(殆ど壊されない)。このため、幸か不幸かほとんど話題に上がることはなかった。

-''ミッション関連''
--前作から導入されたランク査定は顕在。これはまだいいとしても、本作ではミッション毎のランク査定条件が異なり、それが明示されていない。ミッションの全体的な難度増加から査定のウザさは3以上。統一された基準を設けるか、せめてわかりやすくしてほしかったところ。
--扉を開けると画面が強制的に切り替わり勝手に部屋内へ移動する、各企業に大打撃を与えているはずの衛星砲がミッションではプレイヤーのみを狙うなど、不自然なトラップも幾つかみられる。

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**対戦環境について
-広い目で見るとパーツバランス、引いては対戦バランス自体は改善された。大会で使用禁止が推奨されるパーツも他作品と比べると少ない。特に前述の通り、脚部は無印からの調整の甲斐あってかなり選択肢は広まっている。
--ただし、フレームの中でもコアは非常に高性能な「MCM-MI/008」の一択状況となってしまっているが、この高性能なOBのおかげでようやく「攻め」が成立しているという事情もあり、一概に問題点と言い切るのは難しい。前作『3』が対戦の際にあまり選ばれないのは、「待ち」が強すぎて面白味に欠けるという背景もある。
//--ただし、大会レベルのフレームパーツの組み合わせ、つまり「ガチ対戦用に煮詰めたアセンブル」となるとかなり絞られてくる面がある。特にコアパーツ「MCM-MI/008」の性能は他のそれを引き離しており、必然的に頭部以下の他フレームパーツもこれと相性の良いモノを選ぶことになる。
--ある意味でのシリーズの伝統として、内装パーツがほぼ一択の状況も特に改善されなかった。

-それまでブレードと同じく補助武装としての存在だった左腕銃に、主力たる右腕銃クラスの製品が大量追加されたこと、そして前述したブレードホーミングの下方修正によって、対戦シーンはほぼ完全に「二丁拳銃(ダブルトリガー)」の機体で占められることとなった。
--射撃機が中距離で安定したダメージを与えられるようになったことで、ブレードを扱う際の絶対条件である「斬撃のレンジまで詰め寄る」という行為に大きなリスクが伴うことになったのである。ブレードの射程においても、より扱いやすく高火力なマシンガンとショットガンの二丁持ち「マシショ」が流行した。~
この革命の影響・余波は大きく、ブレード愛好家、そしてダブルトリガースタイルに適応できなかったレイヴン達は苦難の時代を迎えることとなる。4年後の『4』までブレードの冬の時代は続く。
---一応補足すると、ミッション・アリーナ等の一人プレイではブレードは変わらず主力になりうる。

-とにもかくにも、ブレードが弱体化したこと以外に大きな問題点はなく、(コアの一択化という前提を踏まえればの話ではあるが)バランス自体は比較的良好なので、対戦会も多く開かれた作品となった。……それだけに通信対戦時に2P側にラグが発生する現象(画面分割対戦では前作同様、発生しない)が引き継がれている点が惜しい。

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**総評
シリーズ通してのファンからはシリーズの対戦シーンを大きく変えた作品として認知されている。~
特に、新要素の左腕銃の台頭を受け入れられたファン、受け入れられなかったファンとの間で評価が分かれやすい。~
//特にPS時代からの「一発屋・ロマン」の象徴であったブレードの凋落に落胆したファン(更に言えば対戦重視の層)と、『2』『3』以降にシリーズを知り、そこまでブレードに拘らないファン(または一人プレイ・作品の完成度を重視する層)との間で評価が分かれやすい。~
とはいえ、単体のアクションゲームとしてみれば一定以上の品質を有していることは紛れもない事実。「問題点」の項で挙げた難点も実際のプレイには支障を出さないものが大半で(ミッションの不親切なトラップも数自体は多くない)、比較的後期にシリーズを遊び始めた層からは安定した評価を受けている。~
難易度はシリーズの中でも高い方であるため、''ある程度修練を積んだレイヴン向けの作品''であるといえる。入門用として前作『3』を遊び、データを引き継いで本作をプレイすることをお勧めする。

**移植
後にPSPに移植された。[[こちら>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/428.html]]を参照のこと。

**余談
-ACシリーズのオープニングムービーに登場する機体はビジュアルを重視した実用性皆無の構築であることが一般的。~
……が、本作のOP機はそれがさらに際立ち、軽量二脚に重すぎる武器を搭載しまくった(ゲーム中では)まともに動けない機体に仕上がっている。
-本作のサウンドトラックは、発売元のデジキューブが倒産したこともあって再販が絶望視されている。~
サントラの仕様は中々変わっていて、A4サイズの冊子である「ビジュアルガイド」にCDがくっ付いている。現在は中古市場でプレミア価格がつく希少品となっている。
-ミッションの内容やボリュームがちょうどよいのか、ゲーム内容の研究が進んでいるタイトルでもある。バグを利用した攻略法が見出されたり、射突型ブレードを極めたりと言ったやり込みも多い。他にもACシリーズでは珍しくTAS動画が制作され、ニコニコ動画にて公開されている。
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