*悪代官 【あくだいかん】 |ジャンル|シミュレーション|&amazon(B000068338)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売・開発元|グローバル・A・エンタテインメント|~| |発売日|2002年8月8日|~| |定価|6,279円(税込)|~| |廉価版|GLOBAL The Best:2003年7月31日/2,800円|~| **概要 グローバル・A・エンタテインメント渾身のバカゲー。タイトル通り時代劇において常にやられ役である「悪代官」にスポットを当てた作品である。~ システム自体は『影牢』シリーズなどに似ているが、コンセプトはむしろ『[[勇者のくせになまいきだシリーズ]]』に近いと言われる。 **システム 悪代官の元に正義の味方が攻め込んでくるので撃退せよ!…といったもの。 -準備パートと迎撃パートに分かれており、準備パートで罠と用心棒の支度、迎撃パートで正義の味方を迎え撃つ。 --用心棒は配置場所で待機(家臣は悪代官に追従)しており命令を出して行動させることが可能。基本的に時代劇よろしく''刀の錆''にしかならない。 ---かといって使いどころがないわけではない。正義の味方には「気力ゲージ」があり、これが残っているうちは罠にかからないのだが、用心棒をけしかけることでゲージを削ることができる…が彼らも一部を除いて罠に引っかかるので配置場所に注意。 --本作のダメージ源は罠が基本になる。 ---罠には非常に多彩な種類があり、中には組み合わせて使うことで真価を発揮するものもある。 ---ワープ装置、囮、文字通りの死に罠も存在する。 -準備パートでは資金の限界分までしか罠や用心棒の支度はできない。 --十分支度できたと思ったら、メニューから帯回しを選択すれば正義の味方が来るまで時間を潰せる。 -迎撃パートでは、逃げ回りつつ正義の味方を罠にはめていく。 --正義の味方の体力をゼロにすれば勝ち、悪代官の体力が尽きると負けである。 --用心棒も罠も尽きたら最悪悪代官自身が武器を振るって戦う羽目になる。武器によっては弱い正義の味方を蹴散らせるものもあるが正義の味方に接近する必要があるのでハイリスク。 ---ただし悪代官が止めを指すと「悪代官地獄」のコンボが追加され特別報酬ももらえるので狙う価値はある。 -火の強力さ。 --一度火がつくと消えるまでダメージを与え続ける。かなり強力でコンボを組み合わせると簡単に抹殺、瀕死にまで追い込めるが火が付いたキャラ(悪代官以外)は皆逃げ回るのであっと言う間に周りの人間に燃え広がってしまう。火がついて危険なのに斬りかかり引火して逃げまとう用心棒、それでも無事な周りの建物…シュールである。 -ステージクリアすると、そのステージ内の評価や、ステージ内で集めたお金(主に用心棒が落としたもの)を使って武装の強化ができる。 --罠や用心棒を購入、雇用することで強大な正義の味方にも立ち向かっていけるのである。 **評価点 -とにかく徹頭徹尾''バカ''に徹しており、最後までその姿勢を微塵も崩さないこと。 --一応時代背景は江戸時代…のはずだが、そんなことは序盤で''完全に忘れられる''。 ---悪徳商人・大黒屋が「サービス」「セキュリティ」など江戸時代にあるわけがない単語を連発するのは序の口。 ---正義の味方の語り口調は''テレビ(旧式)''で放映される。そしてキレた悪代官が刀で一刀両断。 ---ストーリーを進めるにつれてあれよあれよと言う間に埃及(エジプト)に宝探しに行く羽目になり、白基地丸(どこからどう見ても''ホワイトベース'')などというものまで登場する。 ---これに限らず全体にガンダムネタ多め。''機動木像・願仏(ガンブツ)''なんてモビルスーツもある(この時点ではただの背景だが、続編で動かせるようになる)。 --とにかく、悪代官・腹黒主水之介助兵衛(はらぐろもんどのすけすけべえ)と悪徳商人・大黒屋金次のキャラクターが濃く、インパクトがすさまじい。 ---なんとステージ冒頭では''実写で''状況説明が行われる。明らかに力のいれどころを間違えている。 ---腹黒主水之介助兵衛役は悪役商会所属の千本松喜兵衛氏が演じている。貫禄たっぷりながら、暴走する大黒屋に振り回される微妙な常識人っぷりが笑える。 ---大黒屋金次はいわゆる悪代官の腰巾着役である…のだが、悪代官の名前を勝手に使って事業を興したり、むしろ悪代官を振り回す役回りである。 ---もちろん、あの名台詞も再現されている。「大黒屋、おぬしも悪よのう」「いえいえ、お代官様ほどでは…」その一方で「新選組の女性ファンを敵にするつもりか?このゲーム」「急に時代考証を意識しやがって、大体なんだよその松平ナントカってのは」「''もう時代劇とかじゃないだろ~コレ''」などという台詞も普通に混ざっている。 ---「帯回し」「山吹色のお菓子」などお約束の要素も満載。特に帯回しは全作においてミニゲーム化されている。 --予算の関係で、セットは悪代官達が密会を行う部屋のみ。それ以外は全てCGで表現されている。 ---しかしその制約すらを逆手に取り、同じ部屋を毎回作っている、或いは移動式に改造して部屋ごと空輸されていると言ったとんでもない設定にしたり、悪代官に毎度のように「何故ここにいつもの部屋があるのじゃ?」と突っ込ませると言ったギャグに昇華させている。 ---ちなみに『3』ではようやく予算が下りたのか、日光江戸村でもロケが行われている。それに伴い、いつもの部屋ネタは廃止された。 --正義の味方はどれも皆さんお馴染みのあの方々。[[隻眼の名剣士>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%B3%E7%94%9F%E4%B8%89%E5%8E%B3]]とか、[[桜吹雪のあの人>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B2%A1%E5%BF%A0%E7%9B%B8]]とか、ラスボスが[[諸国漫遊で知られるあの人>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%88%B8%E9%BB%84%E9%96%80]]だったりする。 ---続編ではそう言った時代劇や実在の人物に加え、モアイ、閻魔大王、''ファンタジーRPG風の勇者と魔法使い''まで登場する始末である。''もう時代劇とかじゃないだろ〜コレ。'' ---彼らの口上もしっかり再現されている。 --ちなみに無念にも悪代官が殺されると、ハッピーエンドになる。 ---挿絵を背景に時代劇風の解説が語られているのだが、こちらも突っ込みどころが多すぎる。ステージが進んでいくと解説者も疑問に思っていくのか「…あれ?」とか「そろそろ突っ込むのも面倒になってきたでしょ」などと言い出す。挿絵も真面目なものから突っ込み所満載のものまで様々。 ---三作目の挿絵はほりのぶゆき氏が担当している。 -基本のゲームシステムもしっかり練られており、決してバカなだけのゲームではない。 --うまく連鎖を狙っていくことで罠の節約とダメージの増加が同時に狙える。重要なテクニックである。 ---これだけでなく、連鎖した罠でトドメを差すと「○○地獄」というメッセージが表示される。このパターンも豊富であり、色々試してみたくなる。 --罠を大量に設置してゴリ押しすることも可能だが、そのような方法では評価が大幅に下がる。評価のランクも「便所蠅」「蚊とんぼ」など最悪クラスに。 ---というよりシステム上一度喰らわせた罠はコンボ可能期間中は発動してもダメージを与えられないので違う罠(松、竹、梅と言ったランク違いも可)を組み合わせてコンボを狙わないと倒せない。 ---ある程度慣れてきたら、是非とも低設置数クリアを目指したい。いかに無駄なく配置するかが重要。大黒屋の山吹色の菓子は無限ではないのだ! -多彩にしてユニークなミニゲーム --作品毎に幾つかのミニゲームが収録されているが、そのいずれも「帯を回す」「天井裏の忍者を槍で突く」「捕らえたくのいちを拷問に掛ける」など、いかにもなものが揃っている。 --…かと思いきやそれだけではなく、上記の願仏に搭乗して''宇宙一揆を鎮圧するミッション''や、某クイズ番組((タイトルは「問答百万石」。元ネタをただ和訳したものと言えば判るだろうか))に酷似した時代劇クイズと言ったぶっとんだものも。 -地味にBGMのクオリティも高い。 --本編の暴走っぷりとは対照的にBGMは正当派の時代劇調(一部除く)。 --『1』ではそれほどでもないが、一部原曲を彷彿させるようなアレンジ曲も。特に『3』の水戸黄門や暴れん坊将軍の曲は聴けば一発で判るほど。挙げ句の果てに某大泥棒三世や世界的RPGシリーズの曲まで弄っている始末。よく訴えられなかったな…。 **問題点 -システム面での不備が多い。 --準備パートでは、正義の味方がどこから入ってくるか、迎撃パートでの悪代官の初期配置がどこになるか知ることができない。 ---このため用心棒を固めておいた場所とは全然違う場所から入ってこられたり、無差別系のトラップに開始早々引っかかったりする。一応今作では出現位置は固定なので次回からはきちんと対策を練れるが…。 --悪代官の足はものすごく遅い。リアルと言えばリアルだが、イライラする。 ---準備パートで罠を設置するために走り回っていると痛感する。総大将なんだからどっしり構えて図面の上から指示を出せばいいのに。 ---特にスイッチ起動型の罠は罠本体とスイッチの2カ所に分けて設置する必要があるので、複数設置しようとしたときの手間は半端ではない。 -低予算作品のためか、びっくりするぐらいグラフィックが荒い。 --''PS初期''でギリギリ納得できるレベル。[[SIMPLEシリーズ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/220.html]]でももっと綺麗な作品はたくさんある。 ---ただ、この辺りはグラフィックに回す手間を全て内容に注力した、と言えなくもない。実際ゲームの内容自体は相当濃い。 ---グラフィックは二作目で多少改善はされたがあまり変わって見えない。三作目でようやくハード相応になった。 -前述の通り''死に罠、武器''が存在する。 --無限に使えて炎を放つ刀、手榴弾、火炎瓶…これらは''悪代官自身も巻き込まれる''ので使い切る頃には自分が瀕死状態になる。 --茶運び人形シリーズは初期バージョンのものは''敵味方の区別がないので近寄っただけで発動する''ので使いどころが難しい。 ---後期のものはかなり強力なのでバランスが取れているのだが。 **総評 その''バカ''な部分に目を奪われがちだが、実際のゲーム内容も手を抜かれておらず、「遊べるバカゲー」である。~ 後に続編も発売されている。次回作の『悪代官2-妄想伝-』は今作の純粋な進化版とも言える作品(サブタイトルは無双シリーズの「猛将伝」のパロディ)。『悪代官3』は影牢シリーズに酷似した内容になり、システムと世界観が一新された。数年後にはパチンコにて『CR悪代官』も登場している。~ こちらはその暴走っぷりに拍車がかかっており、『3』では''掟破りの北○鮮ネタ''にまで手を出してしまった。…これ以降のゲームが悪代官ものじゃないのはこのことが原因なのでは…。 そして本シリーズが下手に人気になった事が、『[[大奥記>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/327.html]]』という問題作が生まれる遠因にもなるのだが…詳細は当該項目より飛べるサイトにて。