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魔導物語 はなまる大幼稚園児 - (2013/07/12 (金) 00:40:38) のソース

*魔導物語 はなまる大幼稚園児
【まどうものがたり はなまるだいようちえんじ】
|ジャンル|RPG|&image(http://cdn23.atwikiimg.com/ggmatome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%AD%94%E5%B0%8E%E7%89%A9%E8%AA%9E%20%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%BE%E3%82%8B%E5%A4%A7%E5%B9%BC%E7%A8%9A%E5%9C%92%E5%85%90&file=hanamaru_p.jpg)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|発売元|徳間書店インターメディア|~|
|開発元|コンパイル|~|
|発売日|1996年1月12日|~|
|定価|9,900円 |~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/574.html]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
『ぷよぷよ』シリーズの原作タイトルである『魔導物語』の待望のスーパーファミコン用ソフト。&br()
当時のメジャー機での発売だった為か、パッケージには大きく『ぷよぷよRPG』と釘打たれており、ぷよぷよからアルル達を知った人に向けた内容になっている。&br()
その為か作品内容は全シリーズ中でもっとも広い年齢層を意識した、ほのぼのとした絵本の雰囲気のRPGになっているのが特徴。&br()
原作の特徴を継承しつつも、独自のシステムを大幅に採用した事で、本作は同シリーズの中でも独特の内容になっている。&br()

**ストーリー
>もうすぐ、アルルは魔導幼稚園を卒園します。&br()
卒園の時には幼稚園の敷地内にある魔導の塔で試験を受けることが出来て、それで合格するのは魔導師志願のみんなの憧れ。&br()
でも、試験を受けるにはまず受験資格を得たという認定証が必要なのです。 &br()
>
>ある日、アルルの家に不思議な手紙が届きました。&br()
古代魔導文字で書かれたそれは、実は園長先生が園児全員に出したもの。&br()
おばあちゃんに読んでもらうと、集めれば願いのかなう秘石の在り処について記した地図だと分かります。&br()
認定証が欲しいというお願いをかなえたい。アルルは冒険を始めます。&br()

基本的に『魔導物語1-2-3』のエピソード1が原作だが、上記のストーリー内容の通り、あくまでも原作程度であり、本作のメインストーリーは卒園試験の塔に進入する前の前日談を主軸にして物語が進められている。&br()
ただし、魔導物語シリーズそのものが完全な世界観や念密な時間軸を元にして作品展開をしているわけではない為、本作もまた、「あらゆるパラレルストーリーのうちの一つ」という位置づけなのが正しい。

**特徴
-ゲーム世界観への没入度を高める事を重視したマップ
--それまでの基本ゲーム内容であった3Dダンジョン形式を取りやめ、とっつきやすい見下ろし型のマップを採用している。
--最初から最後までダンジョン内での攻略に終始していた原作とは違い、物語の舞台は「アルルの住む村とその周辺の地域」がメインとなっており、親しみやすい。
--地図はあるものの、簡略式のフィールドマップを移動する事はなく、基本的に各地の村とダンジョンのサイズは地続きとなっているMOTHER2形式になっている。
--そのため、舞台の地域そのものは広大ではないが、本作のアルルは5歳の幼稚園児という事も手伝い、広くない土地でも園児にとっては大冒険!という本作のほのぼのイメージに一役買っている。

-「視覚的な解りやすさ」の方向へと進化させた戦闘モードとファジー・パラメータシステム
--同シリーズの特徴である、体力や魔力の状態に数字を使わない「ファジー・パラメータ」だが、本作ではさらに「なるべくメッセージを使わない」方向へ発展させている。
--体力表示を表すアルルの表情パターンは8段階表示とさらに細かくなった。アルルの顔はゲーム中に瞬きをしたり、手をふったりと細かくモーションするなど、とても可愛い。
--戦闘モードは、それまでの主人公と敵とで別ウィンドウ表示する事をやめ、横視点による対面式の戦闘画面になり、敵味方ともに動くようになった。これは『ぷよぷよ』の漫才デモを彷彿とさせるものである。~
それどころかまさに漫才システムが導入されており、全ての敵に対して戦闘前には漫才デモによるちょっとしたやり取りが繰り広げられる。もちろんショートカット可能である。
--戦闘中での残り体力表示も、従来のようなメッセージだけの表示ではなく、毎回アルルが可愛く動いて表現してくれる。
--ダメージ表現はノックバックする距離や勢いでダメージ量を表現するようになったため、メッセージが無くとも解りやすくなった。
--戦闘のコマンド表示は文字ではなく、大きなカードパネルの絵で表現されている。字の苦手な子供に配慮したかのような内容。
---コマンドの絵はXボタンを押すと簡単な説明が表示される点も良心的。

-アルルを操作する事そのものが楽しいと感じる、抜群の快適要素
--アルルの移動は4方向だけのシンプルなものであるが、ボタンによるダッシュ操作を採用している為とてもサクサクと移動できる。
--加えて、弱い敵との対戦はLとRを押しっぱなしにする事でショートカットされ、自動的に勝利するようになっている。その為一度行った場所に戻ることにストレスを感じない。
--さらに、このゲームの雑魚戦は100%逃げる事が可能な事が、ゲーム難易度を大きく下げてお手軽感を高めている。
--アイテムの中にはマップ上で使うアクションアイテムもあり、ボタン操作でいつでもアクションを見る事ができる。
--走ったまま壁に当たるとぶつかる動作、他人の家に入るときはきちんとノックしてから入る、本を読む時はきちんと本を広げる、魔法を覚えると飛び跳ねて喜ぶ、蓮の池ではジャンプして進むなど、マップ上でのアルルの動きにも力を入れており、プレイヤーをほのぼのさせてくれる。
--他に日記システムが追加された。読めばシナリオ内容を振り返ることができるので、どこまで進んだかも一目瞭然。また敵モンスターも図鑑に記録されるようになり内容には紹介文なども用意されているので適当に眺めていても楽しい。
--セーブはフィールド上ならどこでも可能なのでプレイ時間を妨げることもない。

以上のように、本作の最大の面白さはアルル自身を操作する事そのものにあると言ってもよく、独特の内容でありながらも、同シリーズでは多くのファンから高い評価を受けているようだ。

**難点
-迷いやすいダンジョン
--ダンジョンのフロアーはデータの使いまわしが多く、また分岐も多いために迷いやすいものが多い。
---移動そのものが快適操作のためにストレスは感じないが、似たような場所をぐるぐると駆け巡る羽目になるので、迷路突破に時間がかかる事が多い。
-最終ダンジョンの適当な構造
--ある意味、本作最大の残念な部分。最終ダンジョンは「卒園試験の塔」になるわけだが、エピソード1はそもそもこちらのダンジョン攻略がメインストーリーとなっているのに、このゲームではただ一週するだけの階層をどんどん上っていくだけという期待はずれ(笑)。
---先のダンジョンに迷いやすいものが多かっただけに、この手抜き感は最後だというのに意気消沈させる。
--さらに、最終ダンジョンに入るとクリアーまで外に出られず、うっかり内部でセーブしようものなら、もう二度とアルルの住む村に戻れなくなる。
---村の周辺を無駄に駆け巡ることがこのゲームで楽しい部分である為に、これがゲーム内最大の罠になってしまっている事も。
-アクションアイテムの活用の少なさ
--ボタン一つでアクション可能、LRで切り替え可能と、明らかに攻略のメインを意識して実装されているアクションアイテムだが、実は全てが一回だけしか使わないのが残念である。

**総評
本作品は、原作とは全く違うゲームデザインの部分が多くを占め、またストーリー自体もオリジナルエピソードの為に、これ一本で原作の魔導物語を語る事は出来ない。ゲームの難易度そのものは、ダンジョンが迷いやすいとはいっても、基本的にクリアーまでには10時間程度で終わるため、9,900円という値段と当時の大作RPGが主流だった事を比較すると、物足りなさを感じる人もいるだろう。 &br()
しかし、低い難易度は、お手軽感がウリである同シリーズをきちんと継承しているし、ふとした時に何度も遊んでみたくなる、この村を無駄に入り浸ってみたくなる雰囲気を十分に感じ取れる内容になっており、ライトユーザー向けである『ぷよぷよ』の雰囲気を最も継承しているのは本作だと言っても過言ではない、優れた良作なのである。