*レッキングクルー 【れっきんぐくるー/WRECKING CREW】 |ジャンル|アクションパズル|~| |対応機種|アーケード&br()ファミリーコンピュータ&br()その他移植版・配信版多数|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|(ファミリーコンピュータ版)インテリジェントシステムズ|~| |発売日|(アーケード版)1984年&br()(ファミリーコンピュータ版)1985年6月18日&br()(ディスクシステム版)1989年2月3日|~| |定価|5,500円(税別)|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[マリオシリーズ・関連作品リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/342.html]]''| ---- **概要 -[[ロードランナー>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/822.html]]に見られるような面クリア型アクションパズルゲーム。 -ビルの解体屋・レッキングクルーとなったマリオ(ルイージ)を操作し、モンスターの巣窟と化したビルを解体するのが目的。 -本作のマリオに与えられたハンマーは壁を壊す以外の用途は存在せず、それどころか''今日のマリオでおなじみのジャンプやハンマーで敵を殴るなどと言ったアクションすら仕掛けなしでは出来ない''。 -ある意味ワリオの前身ともなったキャラクター「ブラッキー」(別名いじわるおじさん)が初登場した作品。ほんの僅かではあるがこの作品以外にも顔を出している。 -以下は主に、ファミリーコンピュータ版について説明する。 **特徴とシステム -モンスターやブラッキーの執拗な妨害を回避しつつ、ビルの内部にある壁を全て破壊するとクリア。 --地形は左右ループしている。 --本作のマリオは敵キャラに対する直接的な攻撃手段を持たず、仕掛けを使って追い払うか逃げ回るしかない。 -地形には表側と裏側の概念があり、モンスターだけが表と裏を行き来する。マリオは常に表側に位置する。 --裏側にいるモンスターはマリオを攻撃できないので、うまく誘導してモンスターを裏側に閉じ込めると攻略が楽になる。 --壁や仕掛けを破壊したとき、裏側にいるキャラを地形の最下部に叩き落とす事ができる。 ---下に落ちたモンスターは怒ってスピードが上がるので注意。 #region(破壊対象・壊すと得点になる) -壁 --ただの壁。物によっては2回・3回叩かないと壊れない物がある。 --中にM・A・R・I・O(L・U・I・G・I)の5つの文字が隠されている場合があり、順番に全て見つけると1UPする。 ---ただしどこに隠れているかは全く分からないため狙ってやるのは不可能に近い。無理に狙えば詰む可能性もある。 -ハシゴ壁 --梯子のように上り下りできる壁。上下全て繋がっており、どれか一枚でも壊せば全て壊れる。 --ハンマーで殴って破壊するには一番下の段を破壊しなければならない。 #endregion #region(破壊対象でない仕掛け) -ハシゴ --上り下りできるが、こちらは破壊できない。 -ドラム缶 --通過できない障害物。他のアクションゲームにおける壁のようなもの。 -支柱 --破壊すると上にある壁や仕掛けを落とせる。 --ただしハシゴやハシゴ壁の場合、一番下の段だけしか落ちてこない。 --ドラム缶を落とした場合、下にいるキャラクターを表裏問わず閉じ込めることができる。ただしマリオが閉じ込められると事実上のゲームオーバー。 -扉 --殴ると一定時間開き、その間にモンスターが通過すると表と裏を出入りする。なるべく裏側に閉じ込めておきたい。 -ダイナマイト --壊すと爆発する。 ---隣接している破壊可能な仕掛けにハンマー1回分の衝撃を伝えていく。これで壁を連続で壊すと得点が倍増する。裏側のキャラを落とすこともできる。 ---また、地形上の全ての扉が一気に開く。 ---爆発したときに、ダイナマイトに触れているキャラクターはマリオ含め表裏問わず衝撃で落ちる。 --条件を満たすと中から得点アイテムやゴールデンハンマーが出現することがある。 #endregion #region(妨害者達) -スパナゴン --マリオを追尾するモンスター。本作ではたとえ一匹でも袋小路に追い詰められる危険性があり、なかなかの強敵。スピードの違いで2種類いる。 -ナスビ仮面 --一定の法則に従ってビルの中を昇り降りする。移動速度が速い。 -火の玉 --マリオブラザーズにも登場した、フロアを横切っていく火の玉。一定時間ごとにマリオと同じ高さに出現するため、下手をすればモンスターと挟み撃ちになる可能性もある。 --一応、ハマった時の自殺用キャラなのだが、状況によってはその役目を果たさないことも。 -ブラッキー --常にマリオの裏側に位置する。マリオを追尾し、ダイナマイト以外の破壊可能な仕掛けを破壊してマリオや表側にいるモンスターを下に叩き落とす。 --裏側にいるので、逆に叩き落とす事も可能。 #endregion -マリオがモンスターや火の玉に触れると1ミスとなる。 --ただし、ドラム缶を被ったり地形にハマったりして火の玉に当たれない状況に陥った場合、リセットするしかない。 -特定の条件を満たしてダイナマイトを破壊すると、中からゴールデンハンマーが出現する。これを取得すると・・・ #region(ゴールデンハンマーの恩恵(ネタバレ注意)) --マリオの持つハンマーが光り、また音楽が専用のものになる。 --移動速度が上がる。ハンマーの振り抜き速度も速くなる。 --2回・3回叩かないと壊れない壁を一撃で粉砕する。このためダイナマイトの恩恵を受けにくくなるという欠点もある。 --壁が無くても裏側のキャラクターを直接殴って落とせる。うまくやると表側のキャラクターも直接落とせる。 --コツがいるが、''空中歩行ができるようになる。''ステージによってはバランス崩壊。 --ステージをまたいで使用できる。一回ミスするまで効果は持続する。 ---こんな具合でとにかく強力極まりないアイテムであるが、地形によってはその恩恵を受けられない事もある。 #endregion -全100面。また、タイトル画面からステージセレクトが出来る。特に制限はない。 --4の倍数のステージをクリアするとボーナスステージがあるが、ただの運ゲーでしかも得点にしか影響しない。 -自分でステージを作れる「デザインモード」が付属している。 --ディスクシステム版はそのままで作ったデータの保存ができるが、ロムカセット版で保存する場合は周辺機器が必要。 --移植版も、データの保存が出来るものと出来ないものに分かれているので注意。 **評価点 -シンプルなクリア条件に対して、奥の深い戦略性。 --マリオはただ全ての壁を壊せばよいのだが、敵のアルゴリズムから仕掛けの利用法まで全てを熟知しないと後半ステージのクリアは難しい。 ---難しいながらも、何回もプレイしてテクニックを磨いていくといずれクリアできるゲーム難易度は絶妙と言える。 --説明書に記載されているだけでも結構なテクニックが存在する。 -ダイナマイトによる一発逆転が爽快。 --壁を連続で破壊することで連鎖ボーナスを狙えるだけでなく、素早く壁を壊す事でモンスターの追撃を逃れることが出来る。 ---耐久度の高い壁を殴っておくことで連鎖ボーナスを狙うというテクニックもある。 --単に衝撃で落下してモンスターから逃げるという使い道もある。 --さすがのブラッキーも手が出せない代物であり、本作がパズルゲームである事を強く認識させる。 -全100ステージに加え、デザインモードで自作面も作れると言う大ボリューム。 --当時の面クリア型ゲームとしては破格のステージ数である。 **賛否両論点 -パズルゲームとしては解き方がすぐ分かってしまう。 --逆に言うとアクション性が強い。モンスターをうまく誘導できないと非常に厳しい戦いになる。 -ブラッキーの邪魔っぷりが半端じゃない。 --パズル要員として利用するステージもある一方でただ邪魔なだけのステージも多く、移動速度がマリオと同じなので壁を壊して落とさない限り逃げられない。 ---落としても平気な面はまだしも、''落としたり落とされたりしたら詰むステージが存在する''ので憎たらしい。 ---ハンマーの振り抜きもブラッキーの方が速く、落とそうと思ったら落とされていた事も。 ---一番危険なのが、隣接しているだけで実質ハシゴ壁が利用不可能になる事。 --純粋な問題点として、裏側にいる為壁があるところでは見えにくい。 -火の玉は一定周期だが突然出てくるので、コイツのせいで順調だったプレイがいきなりオシャカになることも。 --こいつを上手く避けるのもゲームの課題となる。 -ゴールデンハンマーの性能が極端。 --出し方と性能さえ把握していれば一部ステージがヌルゲーと化す。 --アクションが苦手な人への救済措置と捉えられなくもない。むしろ使いこなすにはアクションが上手くないと難しいのだが。 **問題点 -難易度の上昇は結構速く、20~30ステージあたりで詰む人も多い。 --さらに終盤には、ドラム缶と重なる様に落下してドラム缶に隣接した二つのダイナマイトを壊すといった、''バグなのか仕様なのか分からないテクニック''を強要するステージも出てくる。解法が分かりやすいのが救いか。 -半ば作業とも呼べるステージがある。 --3回殴らないと壊せない壁がビッシリ設置されているなど、手抜き同然のステージも。 -エンディングと呼べるものがない。 **総評 同じマリオパズルの「Dr.マリオ」や「ヨッシーのクッキー」には知名度で劣るが、ファミコンミニやバーチャルコンソールで積極的に再販されていることから分かるように現代でも通用するボリュームとゲーム性がある。 敵キャラクターを回避しつつの戦いになるので合わない人には合わないかもしれないが、ゆったりした動きと大幅に制限されたアクションとは裏腹に壁を壊す爽快感はバッチリというファミコンマリオの傑作。 **余談 -元々対戦を主軸に置いたアーケード作品であり、コンシューマ移行に当たってパズル性を高めたのがコレ。妙に嫌らしいブラッキーはその名残。 -本作を丸々収録した続編[[レッキングクルー'98>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/909.html]]がある。 --何故か''対戦パズルゲーム''と化しており、本作の雰囲気は完全に吹き飛んでしまった。 -知らない人には意味不明だが、スマブラシリーズでも本作はそれなりに意識されている。 --スマブラシリーズのマリオの茶色いカラーチェンジはスマブラ拳で「ブラッキーカラー」と呼ばれている。 --[[大乱闘スマッシュブラザーズDX>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/298.html]]のフィギュアにナスビ仮面がある。 --[[大乱闘スマッシュブラザーズX>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/382.html]]で本作に登場したゴールデンハンマーがハンマーの強化版として登場した。どういう訳か例の仕様が再現されている。