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円卓の生徒 Students of Round - (2013/09/02 (月) 17:26:25) のソース

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*円卓の生徒 Students of Round
【えんたくのせいと すちゅーでんつ おぶ らうんど】
|ジャンル|3DダンジョンRPG|&amazon(B003C2LJD0)|
|対応機種|Windows XP/Vista/7&br()Xbox360&br()プレイステーション・ポータブル|~|
|発売元|角川ゲームス|~|
|開発元|エクスペリエンス(チームムラマサ)|~|
|発売日|2010年4月30日(Windows)&br()2011年2月10日(Xbox360)|~|
|定価|7,140円(Windows)&br()6,195円(Xbox360)|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|廉価版|DL版4,900円(Windows 税込)&br()DRPG SELECTION 2012年2月23日/3,990円(Xbox税込)|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

**概要
-チームムラマサ(チームラ)がWizardry-XTH(Wiz-XTH)以来得意としてきた「学園もの」3DRPGである。ただし、Wiz-XTHや独立後のGENERTION XTH(以下、G-XTH)のように明確に学園を舞台としているわけではない。ちなみにチームラにとってはコンシューマ復帰作でもあり、後述のPSP版は携帯ゲーム機初参入作である。
-100年前に「円卓の騎士」たちと魔王オル=オーマと戦うも敗北した勇者が精霊神フェニックスの力によって復活し、有望な若者たちを新たな「円卓の騎士」として育て上げるために先生となる、というのが大まかなストーリー。

**特徴
-チームラとしては初の試みである固定キャラ制。
--そもそもWizに代表されるハクスラ系は「0から作り上げたオリジナルキャラを徹底的に育て上げ、さらに&del(){妄想}想像を加える」ことに魅力を感じるユーザーが多いため、一般的にハクスラ系と固定キャラ制は相性が悪いとされている。しかし、ライト層やいわゆるJRPGファンへの配慮とプレイヤー層の拡大を目指したのか、思い切った方針を採ったようだ。
--固定キャラ制というのもあってかやや一本道的なシナリオとなっている。
--各キャラには「ソウルランク」というものが設定されている。これは主人公との絆の強さを表したもので、これがレベルアップすると獲得経験値の上昇・ユニオンスキル((1ターンに1度だけパーティ全員で発動するスキル。防御値無視の攻撃・ダメージの緩和などの強力な効果をもたらす。特に本作では魔王やその眷属が使う「オーマの波動」を防ぐ手段はこれしかない。))の習得などの非常に有益な効果をもたらす。ソウルランクは戦闘に勝つ・ユニオンスキルを発動する・いっしょに食事することで上昇する。
---また、ソウルランクの上昇はストーリーを進める上でも必須。
-もう一つの新システムは「トラップポイント」。これはダンジョンの決まった場所に野菜や肉などの餌を仕掛けておくと、戦闘後or他のトラップポイントに餌を仕掛けると「トラップエンカウント」となるというもの。敵のリーダーを逃がさずにトラップエンカウントでの戦闘に勝利すると必ず宝箱を落とす。
--トラップポイントの宝箱には必ず呪い(Wiz系の罠と同じ)がかかっているが、本作での呪い解除は非常に簡略化されている。
--また、このときのアイテムにも呪い(ハクスラ系でおなじみの未鑑定品と同じ)がかかっているが、その解除(=鑑定)も簡単。主人公orアルケミストの魔法を使うか拠点に戻るだけでよい。
-他方でチームラらしさも多い。
--定番のネコ耳侍娘、キーパーソンの耳飾り、主人公のデフォルトネームなど、チームラ作品をやってきた人ならばニヤリとするようなネタが多い。
---とはいえ、Wiz-XTHとG-XTHの関係のように他の作品とのつながりを直接想起させるようなものはない。(PSP Vitaの『迷宮クロスブラッド』では本作キャラがゲスト出演している)
--そしてエロネタもしっかり復活。おっ○い星人のレンジャー、あるイベントから抱き枕の愛称をつけられたメイドロボ(魔法人形)、ソウルランク10のイベントなどなど。特にある中ボスの行動テキストは……かつてのWiz-XTH2を彷彿とさせる。

**評価点
-ハクスラ初心者から上級者まで楽しめる
--難易度は「ノーマル」「ベテラン」の2つ。それをいつでも変更できる。
==さらに「マスターモード」というモードもある。敵のレベルが高く、ダンジョン内でのセーブ不可など難易度は高いが、所持金など一部の要素は引継ぎ可能なので、ハクスラ初心者でも問題なく進められる。もちろん、上級者やドMならはじめからマスターモードで進めても問題ない。
---なお、マスターモードでは全ての要素が開放される。
--前述のように宝箱の開錠や未鑑定品の鑑定が簡略化されているため遊びやすく、テンポがいい。
--ユニオンスキルを使うための「ユニオンゲージ」を手っ取り早く上げるスキルもあるため、ユニオンスキルを気兼ねなく使える。
--ソウルランクが上がれば上がるほど獲得経験値が増加するので、レベル上げはあまりきつくない。
---ソウルランクに近いものは以前のチームラ作品にもあったが、以前の作品のものに比べると上がりやすく、またどれだけ上昇したのかもわかりやすい。
-キャラメイクこそないが、サブクラスは自由に設定できる。
-「定点狩り」が楽。
--餌を用意しておけばトラップポイントを往復するだけで戦闘になるので、アイテム収集・レベル上げどちらにも楽になる。
--もっとも、村正の出現率の低さは相変わらずだったりする。
-敵のグラフィックやBGMも評価が高い。特に敵グラフィックは美しさとおどろおどろしさ(一部はコミカルさも)が混在しており、画風は完全に異なるが、末弥純画伯のころのWizを髣髴させるとして評価する向きもある。
--Xbox360版の追加要素は最先発のPC版にも無料でバージョンアップできるようになっている。そのため、両者にはほとんど違いがない。

**賛否両論点・問題点
-固定キャラ制
--前述のように本作最大の特徴である。
--キャラが立っているので批判がそれほど多いわけでもないのだが、「もっとちゃんとしたキャラメイクをしたかった」という意見や「キャラが合わない」という人もやはりちらほらと見かける。
--主人公のみキャラメイクできるのだが、6種類の外見(性別含む)、名前しか設定できない。
--本作最大のネタバレにつき詳細は伏すが、後半、主人公が男でないとかなり違和感を覚える。そのため、強力な&del(){妄想}想像力でフォローできるという人でなければさらにキャラメイクの幅が狭まることも。
-説明不足のアイテム・敵
--ダメージ値(攻撃力)や防御力などはちゃんと書かれているのだが、特殊効果などへの防御効果は曖昧。また、後述する連れ去り対策アイテムもあるのだが、そのことは一部を除いて一切アイテムの説明に書かれていない。
---チームラ作品ではいつものことなのだが、本作は全体的にライト層向けの親切設計のため、アイテム効果の説明不足ぶりが余計に目立つ。
--敵の属性が書かれておらず、説明や見た目から推測するしかない。以前の作品ではちゃんと属性が書かれていたので、なぜ削除したのかわからない。
-「回避」「命中」の問題。
--AC((アーマークラス。攻撃回数に対する回避力に関わる。初期Wiz(1~5)を基にしている和製Wizの系統では低ければ低いほど良い。))は「回避」、TH((To Hit Armor Class 0の略称。元はダンジョンズ&ドラゴンズの命中判定に使われたものだが、近年の和製Wizでも導入されている。やはり低ければ低いほど良い。))は「命中」となっているのだが、これが普通のRPGと同様に高ければ高いほど良いものになっている。
--Wizやエルミナージュはもちろん、G-XTHでも「ACやTHは低い方が良い」というものだったので、Wiz系に親しんでいればいるほど戸惑いがち。もちろん慣れればどうということもないのだが。
-サブクラスの問題
--サブクラスを変更するとサブクラスに蓄積されていた経験値とレベルは全てリセットされてしまう。そのため、いろいろ試してみてから自分にあったものを探す・必要に応じて設定を変えるというのはあまり効率が良くない。
--G-XTHでは転職前の職業の経験値・レベルは全て保存されていたため、この点も過去作より劣化している。
---加えてノーマルモードではサブクラスの設定に必要な「進路指導書」の数が限られている(1キャラあたり平均2回分まで)ので、一層気軽に変えにくい。マスターモードでは在庫無限の「進路指導書」が店売りされているのだが、これが異常に高額なのでやはり簡単に変えにくい。
-Wiz系ではおなじみの「友好的なモンスター」もあるのだが、本作にはアライメントがないので、ごく一部のダンジョンを除いてあまり意味がない。
-悪い意味でのチームラらしさも残っている。
--即死効果や強力な全体攻撃といった極悪攻撃が早くから繰り出される(特にマスターモード)。とはいえ、理不尽なほどひどいものではなく、前述のユニオンスキルによって対処できるものも多いので何だかんだでバランスは取れている。
--G-XTHであまり評判がよくなかった連れ去り((パーティの一人を強制的に戦闘から離脱させる。実行したモンスターを倒せば復帰するが、ボスに拉致されたら事実上戦闘終了まで戻ってこない。))もしっかり残っている。本作は対応策もあるのだが、複数回食らうとどうしても1人は連れ去りの餌食となる。
---特に本作では主人公だけがユニオンスキルを発動できるため、ボス戦で主人公が連れ去りをくらうと全滅する危険性が大いに高まる。
--敵グラの使いまわしもやや多い。敵グラの評価が高いだけに余計に惜しむ意見は多い。
--一枚絵の表示されるイベントも少なくないのだが、それを見かえすことができない。
-主人公は勇者でも先生ではなく、シェフ?
--というのも、食材や料理の準備にひどく手間取るため。アイテムのストックが10個単位で管理されているので、大量の食材加工に時間を費やす。特に、最高ランクの食材を1個作るに最低ランクの食材(在庫無限)を243個用意しなければならない。
--終盤のトラップポイントの敵は高級食材・料理でないと引っかかってくれないこと、クリア後のストーリーを進めるには生徒全員のソウルゲージを上げねばならないことから後半は高級食材の需要が非常に高い。このため、高級食材の用意は必須なのだが、アイテム管理個数の関係からとにかく面倒くさくなっている。
---一括調理のコマンドがあるためアイテムストックが50or99個単位だったら非常に楽だったのだが……。

*円卓の生徒 The Eternal Legend
【えんたくのせいと じ えたーなる れじぇんど】
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|&amazon(B008EQEKLM)|
|発売日|2012年10月11日|~|
|定価|6,090円|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|廉価版|KADOKAWA GAMES COLLECTION 2013年7月4日/2,940円(税込)|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

**PC・Xbox360版からの変更点
-主題歌、挿入歌、新規BGM、キャラクターボイス、新武器「神村正(しんむらまさ)」の追加
-インターフェースの改良。
-細かい部分のグラフィックの修正とデフォルメ化システムを一新

**評価点
-全体的にスピーディーで快適。
--インストールなしでも非常に読み込みが速く、インストールしたときの速さはスマホアプリ以上。そのため、ハクスラの爽快感がより増している。
---ただし、調子に乗りすぎて戦闘時にボタンを連打しすぎるとフリーズの原因にもなるのでほどほどに。
-携帯機とマスターモードとの相性が良い。
--スリープモードにすることで擬似中断できる。そのため、不意の事情でプレイを中止するのにわざわざ町まで戻る必要がなくなった。

**問題点
-Xbox360版にあった実績解除のようにわかりやすいやり込み達成を示すものがなくなった。これはハードの違いもあるので致し方ないことなのだが。

**総評
ハクスラ系と固定キャラ制は相性が悪いとされている上にG-XTHがかなり癖のある作品だったため、出来を不安視する見方もあった。が、ふたを開けてみれば、悪い意味での癖は大分薄まる一方で、ライト層も意識した親切設計となった。このため、ノーマルならヌル過ぎず厳しすぎずで気軽にプレイできる、マスターモードなら歯ごたえはあるが理不尽ではない難易度というバランスのとれた良作となった。

固定キャラ制に違和感がないならばプレイする価値は大きい。

**余談
-Wiz-XTHやG-XTH同様、この作品世界も3部作を予定しているもよう(ただし、前者は未完)。『デモンゲイズ』は本作の数百年後の世界であり、製作中の『剣の街の異邦人』は本作と『デモンゲイズ』の間の時代を予定しているらしい。