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仮面ライダーカブト - (2012/04/11 (水) 15:08:25) のソース

*仮面ライダーカブト
【かめんらいだーかぶと】
|ジャンル|対戦格闘|&amazon(B000HDLUZO)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|バンダイナムコゲームス|~|
|開発元|デジフロイド|~|
|発売日|2006年11月30日|~|
|定価|6279円|~|
|>|>|CENTER:&bold(){[[仮面ライダー対戦格闘シリーズリンク >http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/350.html]]}|
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#contents(fromhere)
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**概要
同名の特撮ヒーロー番組を原作としたソフト。~
有限会社デジフロイドが開発を担当した仮面ライダーゲームの第5作であり、2011年現在最後の作品となっている。
**デジフロの軌跡
02年の『[[龍騎>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/431.html]]』以降、毎年仮面ライダーの格闘ゲームを開発していたデジフロイドであったが、どれも格闘ゲームとしては非常にレベルが低く、「よくあるクソキャラゲー」という評価が定着していた。~
必殺技を使おうとすると急に連打勝負になったり、デジタルカード収集のために原作無関係の作業系ミニゲームをやらされたり、''挙句の果てには弱攻撃しかできないキャラまで出てくる始末''。~
一応戦闘前後に各キャラにマニアックな台詞を言わせたり、''『[[剣>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/523.html]]』でたい焼き名人アルティメットフォームを登場させたり''と、「原作を知る者にはニヤリとできるネタ」を多く取り込んではいたのだが、それを考慮に入れても「子供でも騙せそうにないゲーム」という声が一般的であった。

そして06年5月、同社は『[[宇宙刑事魂>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/165.html]]』の開発も担当した。~
これは80年代の特撮番組を原作としたものであり、当然高年齢層がターゲットであるため、ライダーゲーの様な露骨な子供騙しは無いだろうと予想されたのだが…''実際はそれらより遥かに劣る駄作であった''。~
内容は薄い上にゲームバランスもいい加減、しかもネタ度もサッパリ。~
更にラスボス役で出演した女優・曽我町子が発売直前に急死したことで遺作となってしまったため、「曽我さんの遺作を汚した」と壮絶に叩かれ、遂にはクソゲーオブザイヤーにノミネートされてしまったほどであった。

この事で特撮ファンからの総スカンを買ってしまったデジフロ。~
『カブト』のゲームも開発する事は決まっていたが、ダメ特撮ゲーを5作も出し続けた実績故に「どーせまたクソゲーだろう」と、世間からはまったく期待されていなかった。
**デジフロの奇跡
しかしそんな諦めムードの中で発売された本ソフトは、''まさかの良作であった''。
***キャラクター
|>|BGCOLOR(#eee):CENTER:仮面ライダー|
|マスクドフォームからキャストオフする面々|カブト|
|~|ザビー(矢車・影山・加賀美)|
|~|風間ドレイク|
|~|神代サソード|
|~|ガタック|
|~|ダークカブト|
|最初からライダーフォームである面々|キックホッパー|
|~|パンチホッパー|
|~|ケタロス|
|~|へラクス|
|~|コーカサス|
|~|カブトハイパーフォーム|
|~|ガタックハイパーフォーム|
|>|BGCOLOR(#eee):CENTER:ワーム怪人|
|サナギ体(緑)から脱皮する面々|アラクネア(ルボア・フラバス・ニグリティア)|
|~|ベルバー|
|~|ベルバーロタ|
|~|フォルミュカアルビュス|
|~|セパルチュラ|
|~|アキャリナアンバー|
|最初から成体|タランテスパープラ|
|~|スコルピオ|
|~|ウカ|
|>|BGCOLOR(#eee):CENTER:ゼクトルーパー|
|通常|シャドウ|
|>|BGCOLOR(#eee):CENTER:敵専用キャラ|
|~|サナギ体(白)|
&br()
-その時点で原作に登場していたライダーが、後述する「三島ザビー」以外は全員登場している。
--ザビーは矢車・影山・加賀美の3バージョンが登場している。
---影山はパンチホッパー、加賀美はガタックからモーションを流用している。悪く言えば使いまわし、良く言えば違和感が少ない。矢車ザビーとキックホッパーはさすがに違う。
--劇場版に登場した3ライダーも出演。この事はパッケージでもウリの1つとして書かれている。
---ライダーゲーでは、劇場版限定キャラは基本的に冷遇されていた。『[[アギト>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/55.html]]』ではG4は出ていたがボイス一切無し。~
『[[555>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/519.html]]』~『[[響鬼>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/351.html]]』ではライダーも怪人も一切出ていなかった((『龍騎』のみ、リュウガとファムは出ていた。と言っても彼らは映画の他に特番にも出ていたが。))。
---但しケタロスとコーカサスの声は代役である。~
ケタロスの役者に海外で仕事が入ったため、平成仮面ライダーシリーズでおなじみのうなり声しかあげない雑魚怪人役の声優・塩野勝美氏が代役を務めている。~
コーカサスは格闘家・武蔵が演じており、流石にゲームには呼べず最初から代役を予定していたと思われる。''しかし、代役の中田譲治氏の方がキャラに合っている''((現在は声優の専業だが、俳優時代に『超新星フラッシュマン』のサー・カウラー、『超獣戦隊ライブマン』の大教授ビアス等、幾つかの特撮作品に出演していた。))。ゲームをやってから映画を見てガッカリした人も少なくない。
--果ては、幼年誌「てれびくん」の通販品であるDVDにのみ登場した「ガタックハイパーフォーム」まで登場している。
---但し台詞は只のガタックと完全に同一。また説明書で、出ている事がバラされてしまっている。
***ネタ面
原作を知る者をニヤリとさせる…を通り越して''大爆笑させる''ネタのオンパレードであった。
-ゲーム起動時の「プレイする時は部屋を明るくし~」という注意書きを、天道が''「おばあちゃんが言っていた」という例の口調で読み上げてくれる''。更に隠しの神代版も。
-サバイバルモードでは、豆腐・ザル蕎麦・ラーメン・鯖味噌煮といった原作に出た料理が回復アイテムとして登場している。~
しかも入手すると、''「ラ・メーンパワー」「サバミソパワー」などと変身アイテムのボイスと同じ声が読み上げてくれる''。
-『555』以降恒例である戦闘前後の台詞パターンも増強されている。~
これまでは、同一人物であるキャラ(ファイズとそのブラスターフォームなど)を対戦させても「行くぞ!」など無難な台詞しか言わなかったのだが、本作ではなんとも意味深な台詞が用意されている。
--原作に登場する怪人が「人の姿から記憶まで完璧にコピーする能力」を持っていることからくるネタか。
--同キャラ対戦はできない(『アギト』以降恒例)が、中の人が違うザビー同士の対戦や、「カブトハイパーフォーム対ザビー・ドレイク・サソード」は可能。
---『剣』では、キングフォームとスペードのアンデッドは対戦できなかった。
-OPデモに、主役以外のライダーを登場させる事ができる。~
これは前作『響鬼』にもあった機能だが、本作は更にもう1段階進化していて、各ライダーがマシンに乗って走るシーンから、必殺技で敵を倒すところまで用意されている。
--但しザビーは矢車版しか出すことはできない。
--同デモでは、玩具だけで原作に登場しなかったホッパーやサソード用のマシンゼクトロンも登場。~
ダークカブトに至っては、「ダークエクステンダー」というオリジナルマシンに乗っている。
-条件を満たすと、原作での「天道語録」の台詞を聞くことができる。
--但し7種類ある台詞の中からランダムで再生されるだけで、任意の台詞を聞く事はできない。
***戦闘システム
-戦闘は2対2のタッグマッチが可能となった。またパートナーをゼクトルーパーかザコワームにすると、最大4対4のチームバトルも可能。
-『宇宙刑事魂』の超人連携システム(敵を連続で攻撃してゲージを溜め、変身する)を受け継いだと思しきゲージシステムが登場。
--ゲージを溜めることでキャストオフやクロックアップが可能。各状態には長所と短所があり、使いどころがカギとなる。
--これにより単なる連打では勝てなくなり、駆け引きが必要となった。
***ゲームモード
-ストーリーモードは「カブト」「その他のライダー」「ワーム」の3本のルートが用意されている。~
「カブト」以外のルートでは、へラクスでコーカサスを倒すなど、原作での勝敗を無視した展開となる。
--また、プレイした周によって操作キャラが変わる面もある。
-サバイバルモードが登場した(正確には『クウガ』にもあったが)。~
1人プレイでは100人抜きを目指し、2人プレイでは無制限に出てくる敵を何体まで倒せるかに挑戦する。
--使用できるキャラはライダーだけで、更にハイパーフォーム2体は使用できない。ダークカブトを使用した時のみ、登場する敵キャラが変わる。
-デジタルカード収集は無くなり、替わりに1度見たデモを再生できる「デモビューワ」機能が登場した。~
特定の条件化でないと見られないデモもあるため、簡単には収集できない。
--但しコンプしても何も起こらない。
--必殺技デモの場合は、技を浴びせる相手と背景を任意で選択できる。
…と、この様にネタ・ゲーム性共に非常に完成度の高い作品となっており、「デジフロの奇跡」「スタッフはワームに擬態されてるんじゃないか」とまで騒がれた。
**問題点
しかし、同時に無視できない点も残っていた。
-『555』~『響鬼』では怪人キャラにも必殺技が用意されていたが、今作のワーム勢は''誰1人として必殺技を使えない''。~
故にライダー勢と違って明らかに決め手に欠ける。
-タッグバトルの場合、CPU操作の味方キャラの動きが悪く、棒立ちになっていることが多い。
-難易度は「強い・普通・弱い・とても弱い」の4段階から選択できるのだが、「弱い」では簡単すぎるのに「普通」だとかなり手強くなる。
--しかも隠しキャラの殆どは「普通」以上で条件を満たさないと出現しないため、「子供には揃えるのは無理ではないか」という声が多かった。
---一応隠しコマンドやその他の条件で出現させる事もできるので、救済措置はあるのだが。
-ストーリーモードは、「原作のストーリーを追体験できる」という触れ込みだが、実際はナレーションによるストーリー説明は無く、簡単な台詞のやり取りだけで済まされている。
--しかも途中からパラレルワールドであるはずの劇場版のエピソードが挿入され、その後はただ色々な敵と戦うだけになったりと、「原作の追体験」はどこかに行ってしまう。
-カブトハイパーフォームは、常にパーフェクトゼクターを手に持っており、マキシマムハイパーサイクロンとタイフーンを必殺技として使えるが、ハイパーライダーキックは使えない。
--原作のカブトはキック技を大切にしていたのだが。これが「このゲーム一番の問題点」と言われることも多い。
-ガタックはケタロスを倒すと、嬉しそうに「やったぜ!」と叫ぶが、これは台詞のミスだろうか?
-キックホッパーを矢車ザビーと対決させると「仮面ライダーザビー…」と呟くが、これはNG。~
『カブト』の劇中世界には「仮面ライダー」という単語は存在しない((基本的に仮面ライダーは「マスクドライダー」の総称で呼ばれている。))
--…筈なのだが、''番組でも脚本ミスで「仮面ライダードレイク」という単語が出ていたりする…''。
-ヘラクスやキックホッパーなど無限コンボを持っているキャラがいる。しかも結構手軽にできるので禁止するプレイヤーもいる。
-バトルステージが少なく、選択もできない(毎度の事だが)。~
パッケージ裏を見ると、開発段階ではスーパーマーケットのステージもあったらしいのだが。
-原作ではガタックのみ、クロックアップ時の音声が異なっているのだが、本作では他のライダーと同じ音声になっている。
-スタッフロールで、ドレイクとコーカサスの変身者の本名が「風間大介」「黒崎一誠」ではなく「風間大''輔''」「黒崎一''成''」と誤表記されている。
**賛否ある点
-TV本編のラスボスであるグリラスワームこと三島正人が変身したザビーが登場しない。
--と言っても原作でも1度変身しただけで、絡みのある相手も少ないキャラなので、無理に出す程でもないという声もある。
---元々正規の変身者では無いので選考から外された可能性もある。
---グリラスワームの場合は、カッシスワーム(後述)より''更に後に出たので、登場する、しない以前の問題である(時期的に出せない)''。
-ダークカブトの性格がTV本編とはまったく違い、他の作品に登場するダークライダーである『アギト』のアナザーアギトや『龍騎』のリュウガのようなキャラになっている。
--とはいえ、他の作品のダークライダーもこのような性格のものばかりなのでTVでもこうなる予定だったのかもしれないが。~
児童誌の記事でも「時空を飛び回りながらカブトと戦う」と書かれるなど、本編での扱いに大きな予定変更があったと見られるキャラなので。
---原作でも脚本が迷走していた作品なので致し方ない点か。
-本作はキックホッパーのTV登場前に作られていたのだが、いざ登場したホッパーの必殺技がゲームとまったく違うものだったので、ゲームスタッフが徹夜でモーションを作り直したという逸話がある…~
のだがそれ故か、デモにおかしな点がある。~
''何も無い空中に張り付いてから''キックを出したり、敵にキックを命中させた後にバク転したはずなのに着地時の向きが逆になっていたり。
-デジタルカードモードが失われたため、原作の劇中写真は一切収録されていない。~
故に変身前の役者のファンにとっては魅力に欠けるソフトとなった。
-キャストオフ・クロックアップ・必殺技のデモはストーリーモードでしか表示されない。切り替え機能を欲する声もあった。
-原作終盤に登場したカッシスワームが未登場。
--ダークカブトの性格が固まっていなかった時点で作られたソフトなので、それより後(本ソフト発売直前)に登場したカッシスなどますます出しようがないのだが。
--また原作においてカッシスワームは「フリーズ」という時間を止めてしまう能力を持ち、その事からもしカッシスがゲームに出たとしても能力的に攻略が不可能に近いのでゲームには向いていないという声も出ている。
**総括
この様に問題点(主にゲームバランス関連)は残るものの、「『仮面ライダーカブト』という番組のゲーム」としては非常に完成度が高く、「神ゲーならぬ天ゲー」と評価された。~
『龍騎』から少しずつ発展してきたネタ度の高さに、『宇宙刑事魂』の数少ない良点だったサバイバルモードとゲージシステムの導入と、デジフロの特撮ゲームの集大成とでも呼ぶべき作品に仕上がっている。~
そして当然、翌年のライダーゲーも期待されたのだが…なぜか『電王』『キバ』と、2年続けてゲームは発売されなかった。~
こうして飢餓感を煽られていたファン達は、その更に翌年発表された『[[仮面ライダークライマックスヒーローズ>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/224.html]]([[同・W>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/450.html]])』に期待を寄せたのだが…。

なおこの『クライマックス』の発売と前後して、本ソフトにはプレミアが付き始めている。
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