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レイディアントシルバーガン - (2011/11/26 (土) 17:11:10) のソース

*レイディアントシルバーガン
【れいでぃあんとしるばーがん】
|ジャンル|シューティングゲーム|&amazon(B000069RVW)|
|対応機種|アーケード(ST-V)&br()セガサターン|~|
|開発元&br()発売元【SS】|トレジャー|~|
|発売元【AC】|セガ・エンタープライゼス|~|
|販売元【SS】|エンターテインメント・ソフトウェア・パブリッシング(ESP)|~|
|稼動開始日【AC】|1998年5月28日|~|
|発売日【SS】|1998年7月23日|~|
|定価|5,800円|~|
|備考|Xbox LIVE ARCADE:2011年9月14日より配信/1,200マイクロソフトポイント|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
縦スクロールシューティングゲーム。「石のような物体」によって主人公達以外の人類が滅亡した26世紀の地球を舞台に、自機シルバーガンが「石のような物体」率いる謎の敵と戦っていく。極めてマニアックなシステムを持つ。

アーケードゲームとして稼動してすぐ2ヶ月後に、完全移植である「アーケードモード」とストーリーデモやボスを追加した「サターンモード」を同時収録した、完全版とも言えるような内容のセガサターン版が発売されている。

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**特徴
早速ネタバレになるが、本作のテーマは「''ゲームらしいゲームの再現''」であり、そのことはエンディングで大きくカモフラージュされた上で示されている。
そんなテーマを持つ本作のゲームシステムを掻い摘んで説明。

-本作をプレイし始める上でまず面食らうのが操作方法。攻撃方法(武器)が7+1種類。AC版ではこれを3ボタンと同時押しで使い分けなければならない。
--剣で周りを切り払い、弾を切り払ってゲージが溜まるとボンバーになる「レイディアントソード」という近接武器も装備((STGでの近接攻撃は別にこのゲームが初めてではない。))。
--もちろんこの攻撃方法の一つ一つにはきちんと意味があり、これらをうまく使いこなせるようになったとき、このゲームがとても楽しいものになっているはず。
---簡単に説明すると、このゲームは横画面の上、自機の移動が遅く、敵は画面の色んな場所から現れる。多彩な武器により自機は全方位を攻撃できるため、真正面で撃つには自機の移動が追いつかない敵を武器を使い分けて攻撃するのである。

-武器を使って得点を稼ぎ、一定の得点に達するとレベルアップし武器の性能が上昇する。
--武器を強化すると進行が有利に…なるにはなるのだが、それ以上に武器のレベルを上げないと敵(特にボス)が倒せなくなることが重要。強化を怠ると強制的に自爆待ちをせねばならなくなるハメに。

-敵には赤・青・黄の色があり、同じ色の敵を続けて倒していくと3機倒すごとに最大10万点のボーナス点が手に入る「チェーンボーナス」。
--敵を破壊するだけではなかなかレベルアップするだけの点は入らない。このため、必然的にチェーンボーナスを取りに行くプレイが必要とされる。
--狙い撃ちのために単発ショットを多用するスタイルは『スペースインベーダー』の再現にもなっている。
--違う色の敵を破壊するかミスした時点でボーナスはリセットなのでなかなかシビア。また、チェーンボーナスはそのステージ限り。

-ステージは全6面。しかし、最初の3ステージはABCDEと5つに分けられているため、全18面と言ったほうがいいかもしれない。
--ステージのナンバリングが3→2→4→5→6→1と変則的。これにはストーリー上の理由がある。
--AC版(SS版のアーケードモードも含む)では3面をクリアした後に次にプレイする面を2面と4面から選択し、選ばなかったステージはプレイしないため、実質全13面。さらにサターンモードと比べて、いくつかのボスが登場しない。
--短く小分けされているため、いわゆるザコ敵が多数出現する道中が短い分、ステージ最後に登場するボスとの戦闘に重きを置いた内容になっている。
--ボスは基本的に何らかのパロディが必ず入れられている。BGMが変化すると共に登場する3Cボス「GALLOP」の多彩かつどれもが既視感のある攻撃はSTGを知る者を唸らせた。
---見た目の面白さと神々しさが同居した実質上の最終ボスである6Aボス「XIGA」は必見。
---ボスでの主な稼ぎ要素はボスのパーツ破壊率に応じたボーナス点と武器を当て続けることで得られる「ウェポンボーナス」。後者は武器の成長と無関係だったりするので趣味の領域。

つまるところ、本作の示す「ゲームらしいゲーム」とは、''ゲームの黎明期から存在していた所謂「スコア稼ぎ」''のことを指している。そして効率の良いスコア稼ぎには「徹底したパターン構築」がつきもので、本作はそうしたスタイルをどのプレイヤーにでも強制するゲームデザインとなっているのだ。~
この遊び方を容認しないプレイヤーは、本作を十分の一も楽しめないと言っても良い。その分、この一点を中心に置いた難易度調整はまさに絶妙で、本作によってスコア稼ぎの楽しみを知ったプレイヤーも数多い。勿論誰に対しても完璧なプレイを要求するわけではなく、取り得るパターンは多彩で、ばっさり妥協して6面ボスが倒せるまで稼げればクリアは十分に可能である。~
(こだわりすぎると10点単位のかすり点に心血を注ぐというわけのわからないことになるが、極まったスコア稼ぎとはそういうものなのであろう)~
フランスのゲーム番組で特集された「シューティングゲームの歴史」でも本作は取り上げられ、その中では「''10分遊ぶごとに新しい発見がある''とまで言われる」と評された。いかに本作のパターン性が練りこまれているかの証明と言えよう。
//ニコニコ動画で閲覧可能

その他にも、特筆すべき特徴は以下。
-3Dに弱いSSの中では一際高品質なグラフィック。グリグリ多関節で動くボスなどはトレジャーの十八番で、このゲームでは背景を映すカメラもグリグリ動く。
-崎元仁によるBGM。曲数は少なくその殆どがメインテーマの変奏なのだが、多彩なアレンジや内蔵音源にも関わらず鐘の音が心地よいオーケストラ風の音色は極上。
-本作にこめられたメッセージ性。先に少し語っているが、詳細は[[こちら>http://www2.incl.ne.jp/~mo2/silvergun_message.html]]を参照。
--CD帯にもこれに関係したメッセージが書かれているため、マニアにとってはCD帯が欠品かどうかはかなり重要になっている。

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**欠点
-''簡単に味わえる爽快感は皆無。腰を据えて本気でプレイしないと楽しむのは難しい。''
--敵配置を覚え、どの位置についてどのショットでどの敵を撃つかパターンを立て、実践する。STGとはこの試行錯誤が基本であり、また楽しむべき要素であるが、それを突き詰めすぎて「シューティングパズル」と揶揄されるほどの本作では、この繰り返しを楽しめる人でないとプレイは続かない。
//前述のメッセージの要約は「切り捨て文化を繰り返してはならない」と言った物だが、内容はその切り捨て文化その物となってしまっている。
//ここでの「切り捨て」とは「プレイヤー」の切り捨てじゃない。
--チェーンボーナスのために出現する敵キャラの2/3ほどを攻撃せず、弾幕に耐えながら見送らなければならないという「シューティングゲームの爽快感」をほとんど無視した内容もストレッサーとなる。
--極めてパターン色の強い、独特かつ非常に高いハードルの作品であるためシューターの間でも評価が分かれる。実際、既にアーケードSTG業界は下火だったとはいえ、これだけの完成度を誇るにも関わらず全くインカムが入らなかった((AC版が稼動して間もなくオリジナルモードを搭載したSS版の移植発表がなされたことも影響しているだろう。ST-V基板ゲームの早期移植はよくある事ではあったが。))。
---SS版オリジナルの「サターンモード」ではクレジット制限がある(プレイ時間で増加する)代わりに、ゲーム終了時のスコアをセーブでき、そのスコアを引き継いだまま最初からプレイできる。必然的にレベルアップした状態ではじめることが出来、何度もやり直せばクリアは可能。

-1プレイあたりの時間が非常に長い。面数を分割し短縮したアーケードモードでもしっかり40分は遊べる。サターンモードでは確実に1時間超。最早ミスをしない集中力を保つのが難しいレベル。
--単純に面数が多い上、ボスで稼ぐには粘らなければならないのが原因。逆に、初プレイでは3分と保たずに瞬殺されるプレイヤーが続出。この極端なプレイ時間設定もハードルを上げる原因になったと思われる。「昔のゲームは1コインで長く遊ぶのがステータスだったから、その再現」と好意的に解釈するプレイヤーもいる。

-演出に関する問題
--アーケードではストーリーに関わる演出がことごとくカットされている。何がEVASIONで何がVICTIMなのか全く分からない。
---エンディングでは、スタッフロールのバックにサターンモードのエンディング映像がスライドショーで表示されるが、やはり説明不足。
--サターンモードはサターンモードで、はん氏((ガンスターヒーローズやガーディアンヒーローズなどが代表作。))によるキャラクターデザインが硬派な世界観ブチ壊しとして不評意見も。さらにオープニングムービー(GONZOによるアニメ)は…。

-SS版の練習モードが若干不十分で、ステージセレクトはできるが武器レベルの設定ができない。徹底的にやりこむならPARが必要。
--XBLA版では各武器レベルの設定できる練習モードが導入されている。

-SS版はハード末期に発売され出荷数が少なく、またスタッフも他ハードへの移植を完全否定していたため現在では価格が暴騰している。店によっては20,000円以上する。

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**総評
ハード性能を限界まで使ったビジュアル面や、親指で押すボタン数の多いパッドを上手く生かした操作性、そしてセガサターンがハード競争で負け、ドリームキャストに移行しようとしていた時期に発売されたことも含めてまさにセガサターン専用ソフトと言えるゲーム。~
どちらかというと「SS用ソフトとして作っていたものをACに先行移植した」としたほうが合っているように思える。~
非常に面白いゲームなことは確かなのだが、同時に人を非常なまでに選ぶゲーム。このゲームのパズル性・パターン重視の姿勢を残しつつ、武器を簡略化して遊びやすくしたものが同社の『斑鳩』と言える。

*その後
-この度めでたくXBLAでの配信が決定した。
--チェインシステムが『[[斑鳩]]』同様になる「IKARUGAモード」が追加されている。斑鳩の実績を1つでも解除していると解禁される。
---システムの導入により先に触れた爽快感の問題が大分解消される。

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