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レイディアントシルバーガン - (2013/01/23 (水) 22:33:05) のソース

*レイディアントシルバーガン
【れいでぃあんとしるばーがん】
|ジャンル|シューティングゲーム|&amazon(B000069RVW)|
|対応機種|アーケード(ST-V)&br()セガサターン|~|
|開発元&br()発売元【SS】|トレジャー|~|
|発売元【AC】|セガ・エンタープライゼス|~|
|販売元【SS】|エンターテインメント・ソフトウェア・パブリッシング(ESP)|~|
|稼動開始日【AC】|1998年5月28日|~|
|発売日【SS】|1998年7月23日|~|
|定価|5,800円|~|
|備考|Xbox LIVE ARCADE:2011年9月14日/1,200マイクロソフトポイント|~|
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
西暦2520年7月14日。~
新型戦闘機「シルバーガン」の試験を行う地球連邦軍所属宇宙巡洋艦「TETRA」。試験も最終段階に入った艦内では、テンガイ艦長以下、パイロットのバスター、レアナ、ガイ、そしてロボノイド(ロボット)のクリエイタが、五十嵐連邦軍長官からの通信を受けていた。~
五十嵐は紀元前の地層から発掘され現在を調査中である「石のような物体」の他に、一体のロボノイドが出土したと告げる。そしてそのロボノイドは、信じがたいことにTETRAにいるクリエイタと同一の個体ナンバーを持っていたと告げる。~

通信から10時間後、連邦軍技研三課はロボノイドの記憶データ復元に成功する。全く解明できない「石のような物体」の謎を解くカギが見つかるかもしれない、そう期待した技術者たちの目に飛び込んできたのは、紀元前のロボノイドと同じくらい信じがたいものだった。直後、「石のような物体」は激しい光を放つ。~
その光に呼応するかのようにどこからともなく現れた膨大な数の未確認物体。本部の救援に向うTETRAだったが、爆発直前に送られてきた技研三課からのデータを受け取り、それが意味するものを悟った五十嵐は、テンガイに軌道上への緊急退避を命令する。TETRAとシルバーガンが衛星軌道上に退避した直後、今や意志を持つかのように司令部の直上に浮かぶ「石のような物体」は、地球上を覆うまばゆい光を放出した。~


西暦2520年7月14日。~
――この日、世界は消滅した。TETRAの4人と、1体のロボノイドを残して。


一年後。~
衛星軌道上から機をうかがうTETRAだったが、遂に艦の物資は底をつこうとしていた。TETRAクルーは意を決して大気圏へ再突入し、「石のような物体」の謎を突き止めるべく、連邦軍本部跡への強行軍を開始する。

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**概要
極めてマニアックなシステムを有したがゆえに、シューターの間では(賛否両論あれど)非常に知名度の高い縦スクロールシューティングゲーム。~
AC版稼動から2ヶ月後に、セガサターン版が発売されている。こちらは完全移植である「アーケードモード」とストーリーデモやボスを追加した「サターンモード」を同時収録した、完全版ともいえる内容となっている。~
本項では表題タイトルのAC版とSS版を中心に記述する。
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**良点、特徴
早速ネタバレになるが、本作のテーマは「''ゲームらしいゲームの再現''」であり、そのことはエンディングで大きくカモフラージュされた上で示されている。
そんなテーマを持つ本作のゲームシステムを掻い摘んで説明。

''多彩な攻撃手段と成長システム''
-自機のシルバーガンにはが7+1種類のショットが搭載されている。これを3つ(A~C)のショットボタンの押し方の組み合わせで選択する。アイテム習得などでショットを切り替えられるSTGはこれまでにも多数存在したが、デフォルトでこれだけの武器を搭載しているゲームは珍しい。もちろん全てのショットに活用方法があるため、これらをうまく使いこなさなければならない。
--各武器にはレベルの概念が存在する。例えばAショットで倒した敵の得点は内部で経験値として蓄積されてゆき、一定の値に達するとレベルアップ、武器の性能が上昇する。A+B同時押しといった場合は経験値は折半され、威力も押したボタンのショットレベルに応じた物となる(この場合はAとB両方のレベルが関係する)。
#region(7+1種類のショット)
-A「バルカンレーザー」
--前方に発射されるショット。それなりの威力かつセミオート連射搭載で使いやすい。また、一瞬だけ押すと弾が1発だけ出る。この「単発バルカン」は余計な敵を倒したくない場合にとても重宝する。
-B「ホーミング」
--攻撃力は最低だが、追尾性の高いショット。打ち込み続けることで後述するウェポンボーナスを稼げる。
-C「スプレッド」
--正面から左右67.5度に発射されるボム。ボタンの入力如何で爆発タイミングを制御可能(Cボタンを押しっぱなしにすると直進していき、着弾もしくはCボタンをを離すと爆発する)。弾、爆発ともに高威力。
-A+B「ホーミングプラズマ」
--サーチした敵にプラズマレーザーを打ち込む。基礎攻撃力は低いが、照準を合わせ続けることで最大2倍まで攻撃力が上昇する。また、「地形の影響を受けずに攻撃できる」という特長がある。
-A+C「バックワイド」
--自機前方+後方へのワイドショット。後方への攻撃時に役に立つ。一方、前方への攻撃力は貧弱(1門しか発射されないため)。
-B+C「ホーミングスプレッド」
--自機周囲の敵をサーチ、ロックオンした敵に必中のスプレッドボムを打ち込む。ホーミングプラズマ同様地形を無視して対象に命中する。
-A+B+C「レイディアントソード」
--自機周囲を切りはらう光の剣。射程はごく短いが威力は高く、ピンク色の敵弾を消すことが可能。
--敵弾を消すことでゲージが貯まり、最大時には強力かつ完全無敵状態となる「ハイパーソード」が使用可能。
#endregion

''豊富な点稼ぎシステム''
-チェーンボーナス
--大半の雑魚敵は「赤・青・黄」の3色に色分けされている。そして同じ色の敵を3機続けて倒すと得点にボーナスが加わる。これが「チェーンボーナス」である。その後も同色の敵を3色倒し続けることでチェーンボーナスは上昇していき、最大で10万点にまで達する。ただし、違う色の敵を破壊するかミスした時点でチェーンボーナスはリセットされてしまう。
---敵の基礎得点は非常に低い(数十~高くても数百)ため、普通に敵を破壊するだけでは得点を稼げず、武器のレベルアップを狙えない。そうすると進行が不利になるため、(低得点クリアのような縛りプレイでもしていない限りは)積極的にチェーンボーナスを取りに行くプレイが必要となる。
---狙い撃ちのために単発ショットを多用するスタイルは『スペースインベーダー』の再現にもなっている。
-ウェポンボーナス
--7種類の武器を特殊な使い方をすることで得られるボーナス。1万点。基本的には「連続ヒット」が前提となっている。積み重ねることで最終スコアに大きな差が生じるので、耐久力が高くて攻撃が緩い敵には積極的に狙っていきたいボーナス。
-ボス破壊ボーナス
--ボスは複数の破壊可能な部位が存在し、破壊した部位数(%で表示)に応じて撃破時の得点が変わる。
-メリーちゃん
--各ステージに隠れており、B+Cのホーミングスプレッドで打ち込むと出現、ボーナスを得られる。
-カスリ点
--自機の当たり判定は「コクピット部分のみ」と非常に小さい。そして敵弾や地形が自機にかするように当たった場合(もちろんコクピットに当たれば即ミスとなる)、カスリ点で10点入る。カスリ点は敵弾がかすっている間ずっと入り続けるため、究極的にスコアを突きつめるプレイヤーは「敵をわざと倒さずにカスリ点を稼ぎ続ける」なんて行為に走ることも。

''個性あふれるステージ''
-ステージは全6面。ただしステージ2~4はA~Eと5つの節目に分かれているため、実質は18面ある。また、ステージのナンバリングが3→2→4→5→6→1と変則的となっている(これにはストーリー上の理由がある)。
--AC版とSS版のアーケードモードでは、3面をクリアした後に次にプレイする面を2面と4面から選択し、選ばなかったステージはプレイしないため、実質全13面。
-各ステージはパズル性、パターン性の強い構成になっている。
--自機は移動速度が遅い代わりに多彩な武装を持っている。対して敵は全方向から現れるため、適切な武器を選択することで対処できる。
--ボスには基本的に何らかのパロディが必ず入れられている。多彩かつどこかで見たような攻撃を繰り出す3-Cボス「GALLOP」や、神々しいBGMとともに出現し、光の巨人を連想させる6ボス「XIGA」などは必見。
#region(個性的なステージの一例)
-ステージ2-B
--恐らく最も道中が短いステージ。敵が一斉に出現するのだが、''定位置に移動した後は時間(10秒ほど)が来て撤退するまで微動だにしない''。弾すら撃たない徹底ぶりである。撤退後は即ボス戦。
--一方ボスは、高速スクロールする地形をかいくぐりながらの激戦となる。長丁場かつランダム性が高いので、一瞬たりとも気が抜けない。
-ステージ5
--超巨大戦艦との戦い。大量の赤雑魚が登場するためひたすらチェーンボーナスを狙うことになる。フルで繋ぎきれば1000万点以上の得点を稼げる。
-ステージ1
--「石のような物体」との最後の戦闘なのだが…''「一切のショットが使用不可能、60秒間敵の攻撃に耐え続けることでクリア」''という他に類を見ない構成となっている。
--SS版サターンモードではバックに声が流れる。これがまた意味深な内容となっている。
#endregion

 つまるところ、本作の示す「ゲームらしいゲーム」とは、''ゲームの黎明期から存在していた所謂「スコア稼ぎ」''のことを指している。そして効率の良いスコア稼ぎには「徹底したパターン構築」がつきもので、本作はそうしたスタイルを強制するゲームデザインとなっているのだ。~
 この遊び方を容認しないプレイヤーには本作を十分の一も楽しめないと言ってもいい。その代わり、この一点を中心に置いた難易度調整はまさに絶妙であり、本作によってスコア稼ぎの楽しさを知ったプレイヤーも数多い。勿論誰に対しても完璧なプレイを要求するわけではなく、ばっさり妥協して6面ボスが倒せるまで稼げればクリアは十分に可能である。~
 フランスのゲーム番組で特集された「シューティングゲームの歴史」でも本作は取り上げられ、''「10分遊ぶごとに新しい発見がある」''と評された。いかに本作のパターン性が練りこまれているかの証明と言えよう。

''その他特筆すべき事項''
-一際高品質な3Dグラフィック。グリグリ多関節で動くボスなどはトレジャーの十八番で、このゲームでは背景を映すカメラもグリグリ動く。「SSは3Dに弱い」という欠点を全く感じさせない。
-崎元仁によるBGM。メインテーマの変奏かつ曲数は少ないがクオリティは高い。中でも(内蔵音源であるにも関わらず)鐘の音が心地よいオーケストラ風の音色は極上。
-本作にこめられたメッセージ性。先に少し語っているが、詳細は[[こちら>http://www2.incl.ne.jp/~mo2/silvergun_message.html]]を参照。
--CD帯にもこれに関係したメッセージが書かれているため、マニアにとってはCD帯が欠品かどうかはかなり重要になっている。

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**欠点
''パズル性、パターン性が高いことによる弊害''
-簡単に味わえる爽快感は皆無。腰を据えて本気でプレイしないと楽しむのは難しい。
--敵配置を覚え、どの位置についてどのショットでどの敵を撃つかパターンを立て、実践する。STGとはこの試行錯誤が基本であり、また楽しむべき要素であるのだが、本作ではそれを突き詰めすぎて「シューティングパズル」と揶揄されるほどに至り、独特かつ非常に高いハードルの作品であるためシューターの間でも評価が分かれている。
---チェーンボーナスのために出現する敵キャラの2/3ほどを攻撃せず、弾幕に耐えながら見送らなければならない「シューティングゲームの爽快感をほとんど無視した内容」もストレスの原因。
-ある意味当然の末路ではあるが、AC版は理由は全くといっていいほどインカムが入らなかった。高いお金を払って基板を仕入れたものの全くウケなかったため、償却できたゲーセンも少なく、オペレーターからは非難の声も上がった。以下、その要因。
--当時のアーケードゲームは高インカムの格闘ゲームや音ゲーが主流で、STGは下火だったこと。
--高い難易度かつトライ&エラーを強制するゲーム性であったため、新規層の開拓がまったくできなかったこと。
---初プレイでは3分と保たずに瞬殺されるプレイヤーも多かった一方で、上級者のプレイ時間が非常に長い(ノーコンティニューで40分は遊べる)。華麗なパターンでスイスイ進む上級者のプレイはギャラリー受けは良かったのだが、あまりに難易度が高すぎたため「見るだけでおなかいっぱい」となってしまう。
---この極端なプレイ時間設定もハードルを上げる原因になったと思われる。「昔のゲームは1コインで長く遊ぶのがステータスだったから、その再現」と好意的に解釈するプレイヤーもいるが…。
--トドメに、AC版が稼動してすぐに「完全版」とも言えるSS版の移植発表がなされたこと(ST-V基板ゲームの早期移植はよくある事ではあったが)。

''演出に関する問題''
-AC版ではストーリーに関わる演出がことごとくカットされている。ステージにはサブタイトルが付いているのだが、何がEVASIONで何がVICTIMなのか全く分からない。エンディングでは、スタッフロールのバックにサターンモードのエンディング映像がスライドショーで表示されるが、やはり説明不足。
--サターンモードはサターンモードで、はん氏((ガンスターヒーローズやガーディアンヒーローズなどが代表作。))によるキャラクターデザインが硬派な世界観ブチ壊しとして不評意見も。さらにオープニングムービー(GONZOによるアニメ)は…。

''SS版の問題点''
-練習モードが若干不親切。ステージセレクトはできるが武器レベルの設定ができない。徹底的にやりこむならPARが必要。
-値段の暴騰。これはハード末期に発売され出荷数が少なく、またスタッフも他ハードへの移植を完全否定していたため。XBLA版が発売されたことによって沈静はしたが、かつては1万~2万近い値がつくこともあった。

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**総評
非常に面白いゲームであることは確かなのだが、一方で人を選ぶゲームでもある。~
ハード性能を限界まで使ったビジュアル面や、親指で押すボタン数の多いパッドを上手く生かした操作性、そしてセガサターンがハード競争で負け、ドリームキャストに移行しようとしていた時期に発売されたことも含め、まさにセガサターン専用ソフトと言えるゲーム。どちらかというと「SS用ソフトとして作っていたものをACに先行移植した」としたほうが合っているようにも思える。~
このゲームのパズル性・パターン重視の姿勢を残しつつ、武器を簡略化して遊びやすくしたものが同社の『[[斑鳩]]』と言える。~

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**その後の展開
-2011年9月にXBLAにて配信された。基本的にはSS版準拠なのだが、グラフィックのリファインやSS版の不備の解消(前述した練習モードの不備など)が施されている。
--斑鳩の実績を1つでも解除していると、チェーンボーナスが斑鳩のそれと同様になる「IKARUGAモード」が解禁される。こちらのモードでは敵を倒す機会が大きく増加するため、先に触れた爽快感の問題は大分解消される。ただしチェーンボーナスの最大値は25600点に下落するので、別のパターンを構築する必要がある。

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