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ブレスオブファイアIV うつろわざるもの - (2013/04/11 (木) 23:35:07) のソース

*ブレスオブファイアIV うつろわざるもの
【ぶれすおぶふぁいあ ふぉー うつろわざるもの】
|ジャンル|ロールプレイングゲーム|#amazon(B00005OULK)|
|対応機種|プレイステーション&br()Windows|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|発売日|【PS】2000年4月27日&br()【Win】2003年5月30日|~|
|定価|【PS】5,800円&br()【Win】2,800円|~|
|廉価版|PlayStation the Best:2002年9月12日/2,800円&br()Quality1980:2005年7月8日/1,980円(全て税抜)|~|
|配信|ゲームアーカイブス:2011年7月6日/600円|~|
|>|>|CENTER:''[[ブレスオブファイアシリーズ作品リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1133.html]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
『ブレスオブファイア』シリーズ第4作目。~
今作はリュウとフォウルの2人の主人公を交互に操作することでストーリーが進んでいく(フォウル編はほとんどイベントシーン扱いだが)。~
竜の設定の大幅な変更や、中国や東南アジア、中東を思わせるエスニック・オリエンタルな世界観など、これまでの作品とは大きく異なる雰囲気が特徴。

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**ストーリー
かつてヒトの手によって召喚され、役目を終えた後は「竜」となって世界を見守るうつろわざるもの――神――と呼ばれる存在がいる世界。そこには広大な泥の海によって隔てられた2つの大陸があった。~
西の大陸を支配するフォウ帝国と、東の大陸で共存する諸国は長期にわたって戦争を続け、疲弊し、そして暫しの休戦を迎える。~

一年後、戦場となった地を見舞うべく出立した東側連合の一国・ウィンディアの第一王女・エリーナが行方不明となる。~
東の大陸の国々は、帝国を刺激することを避けるため、前線への大規模な調査部隊の派遣を渋り、満足に調査を進めなかった。~
諸国の対応にしびれを切らしたエリーナの妹・ニーナは、エリーナとは相思相愛の幼馴染であるフーレン族の族長・クレイと共に姉の捜索に向かうことを決める。~
その道中、ニーナは記憶喪失の青年・リュウと出会い、行動を共にすることになる。~

時を同じくして。数百年前に一人でフォウ帝国を起こし、復活を予言して眠りについたファースト・エンペラー、フォウルが目覚めた。~
再び帝都へ向かおうとするフォウルだったが、時のフォウ帝国皇帝ユーミルは権力を手放す気はなく、フォウルの元へ刺客を差し向ける。~
完全な覚醒を遂げていないフォウルは、帝国の呪術師・ヨム将軍の策に翻弄され、深手を負いながら逃走する。

物語はリュウとフォウル、2つの存在の足取りを交互に追う形で進行する。~
「うつろうもの」たるヒトと、「うつろわざるもの」たる竜=神。その狭間にある2人がたどり着く結末とは……。

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**特徴
-''コンボシステム''
--連続で技を使用する場合、コンボが繋がり、無属性の物理攻撃に属性を付与したり、異なる属性の合成魔法が炸裂したり、同属性の技の威力を強化することが出来る。
--回復魔法にも反映されるため、弱い魔法も重ねがけすることで大きく体力を回復できる。

-''前衛・後衛に分かれた戦闘''
--今作では戦闘中でも、実際に攻撃を行いダメージを受ける前衛と、「控え」となる後衛の交代ができる。
--後衛のキャラはターンごとに少しずつHP・APが回復し、時間経過で攻撃力を上げる溜め技も決めやすくなる。最大MPが低いが非常に強力な魔法を使うマスターなど、このシステムを利用した戦術を立てることで真価を発揮するキャラもいる。
--後衛に下げることで発動する特殊能力も存在する。前述のコンボシステムと合わせることで戦術性が拡がり、低レベル攻略にも挑戦しやすい。

-''エスニック風の世界観・演出''
--元々ブレスシリーズは獣人種族が多いなどの独特の世界観がウリだが、本作ではそれがさらに際立っている。このおかげではまる人はとことんはまる。
--音楽もそれに合わせた民族調の曲、不思議なメロディー、陰鬱な曲調などが多く、世界観と絶妙にかみ合っている。エンディング曲「ゆめのすこしあと」は凄惨なストーリーの傷を癒す涙腺破壊兵器。

-''魅力的なキャラクター''
--キャラ造形と演出が上手く、ゲーム世界への更なる没入を誘う。
---シナリオ上で空気となるパーティメンバーがいない。シナリオ上の出番が過ぎたキャラも、キャンプ機能による会話を利用することで印象付けを忘れていない。能力面でもそれぞれに癖があり、交代システムと合わせることで存分に活躍させられる(癖を把握するまでは戸惑うキャラもいるが)。
---敵方や第三者的存在のキャラクターを含め、主人公たちと関わる面々には愛らしく、意地汚く、美しい存在が揃っている。

-''その他伝統の仕掛け''
--妖精のコロニー、釣り、伝承師システムは相変わらず健在。いずれも前作、前々作と比べて微妙な差異ながら完成度を上げている。
---特に釣りはルアーや餌、水深に魚との駆け引きなど、兎にも角にも「本当に釣りをしている」と思わせる仕掛けが多く、シリーズ最高傑作と評されている。''釣りコンに対応しているとは何事か。''
---報酬やメリットも大きく、それでいて無理に遊ぶ必要もないバランスがとられているのもポイントが高い。後にこの釣りの部分だけが携帯アプリで配信された事からも完成度と人気がわかるはず。
--カプコンらしくドット絵はかなりの高品質。雑魚モンスターすらぬるぬる動く。クオリティの高いアニメーションオープニングも必見。

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***PS有数の「鬱ゲー」として
鬱ゲー談義となると''ほぼ毎回''名が出る本作。ネタバレとなる部分が多く、ここでは多くを明かせないのが残念ではあるが、逆に言うとそれだけ深くストーリーに鬱要素がしみ込んでいるのである。~
ヒトのエゴ、普遍的なものの美しさをクローズアップしたシナリオこそ、前述した世界観関連と共に本作を名作づける重大なファクターなのだ。~

-''「虐殺・自己犠牲・拷問・生体兵器・報いの無い悪」。これでだいたいあってる。''
--仲間と共にエリーナを追い求めるリュウ編と、一人孤独に逃避行を続けるフォウル編のギャップが大きい。リュウ編にも鬱になるイベントはあるが、それでもまだ希望があるし、ところどころのコミカルなシーンで緩和されている。対するフォウル編はひたすらフォウルが追い込まれる、「上げて落とす」展開の繰り返し。
--人の苦しみを砲弾とし、着弾地点一帯を何人たりとも生きられない「生き地獄」に変えてしまう兵器・呪砲。劇中でその一撃が放たれる時こそ、キャラクターと共にプレイヤーも狂い笑いたくなるだろう。
---そしてその「砲弾」が描かれるシーンの、「俺たちは今まで何のために戦ってきたのか」と言いたくなるような絶望感もポイント。
--バッドエンディングの演出もまた、一筋縄ではいかない。それまで積み上げたものを自らの手で崩壊させる壮絶な展開が待っている。((ラスボスが人間に受けた仕打ちを考えると、一概にバッドとは言えない展開である。「ラスボスを含め、誰一人として救われない」という意味でなら間違いなくバッドだが))
---本作のラスボスは『ドラゴンクエストIV』のピサロ、『ライブ・ア・ライブ』の魔王オディオ、『テイルズ オブ ファンタジア』のダオスの「RPG三大不幸ラスボス」に次ぐ存在と評されている。この内の2人、ピサロとダオスは素直に同情するには色々と非があるため、本作のラスボスこそ魔王オディオと並ぶ不幸ラスボスであるという声は多い。((というより、今作のラスボスは悪いと言えることをやっていない。かつて人間と交わした約束(世界を滅ぼすといった類のものではない)を守ろうとしているだけであり、人間側の都合を押し付けられ続けた結果ラスボスになってしまった被害者と言える))

ただし、これらをフォローするコミカルなシーンも多く取り入れられているため、コテコテの鬱ゲーと身構えすぎると肩透かしを食うかもしれない。~
どちらかというと、鬱、コミカルといった要素が交じり合った先にある「良いも悪いも、なるようになる」という無常観こそが、本作の本質と言った方がよいかもしれない。劇中でも「プカプカ(なるようになる)」と評されるように…。

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***難点
-''細かいところに手が届いていないシステム''
--視点操作関係の出来が悪い。常時クォータービューで進行するのだが、おかげでポリゴンの死角が多くなっており、ストレスがたまる。
--戦闘終了後のリザルトが飛ばせない、コマンドのレスポンスが鈍い、長い攻撃ムービー(ボタンでカット出来るものもあるが、それでもカット可能タイミングまで微妙な待ち時間が発生する)など、少しずつテンポを削ぐ要素が積み重なっている。

-''多すぎるお使いイベント''
--「○○をしよう」→「それには△△しなければいけないから□□へいきなさい」という展開がかなり多い。個別のストーリーは深く興味深いものが多いのに、その繋ぎがワンパターンなのが惜しまれる。

-''多すぎるミニゲーム''
--ほとんどがシナリオ進行上、プレイを強制されるものばかり。苦手な人にはただただキツイ。
--そもそもやりこみを考えずに遊んだ場合は20~25時間でクリアできる程度のボリュームなのに一部のイベントがカットされているのはどうしたことか…。少しでもミニゲームを減らせばこうした事態は起こらなかったのではないだろうか。

-''低い難易度''
--一部手ごわい敵はいるものの、シリーズの他作品と比べると難易度が全体的に低い。コンボシステムや仲間入れ替えをあまり駆使しなくても充分突破できるバランスになっている。
---それらの要素をフル活用するとヌルさに一層拍車がかかる。

-''その他''
--終盤は物理攻撃に耐性を持つボスばかりが登場し、必然的に物理攻撃が使いづらくなる。
--制作中に容量が足りなくなり、一部のイベントがカットされることになった。問題はこの「一部のイベント」で、恐らくプレイヤーが最も断罪を望むであろう、とある存在がそのまま放置されるという何とも歯がゆい結末を迎えることになってしまっている。グッドエンディングもあっさりした描写にとどまる。
---とはいえこのことを「物事は常に丸く収まるとは限らない、本作の作風を逆に強調している」と評価する旨もある。

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**総評
「休戦の空白期」という時節の中、そこに渦巻く人のエゴと、取り返しのつかない痛手を受けながらも希望を捨てずに力強く生きようとあがく人々の交わり、そしてそれを遠くから見つめる超自然的な存在と、多くの要素が絡み合った深淵な物語が描かれている。~
シリーズを通して「重い」展開が目立つ『BOF』だが、本作はその中でも際立っている。様々な面で強い癖が目立つが、それを恐れずにプレイする価値はある。

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**その他
-ゲーム発売から8年後になって『うつろわざるもの~ブレスオブファイアIV~』と題したコミカライズが行われた。内容はほぼゲームのシナリオ通りで評価も上々。
-サウンドトラックに収録されている「ゆめのすこしあと」は、曲が終わったあと少し放置するとフォウルがこの曲の頭部分の替え歌を歌うボーナス(?)部分が収録されている。普通なら脱力するところだろうが、本編でフォウルが受けた扱いを考えると、また何とも言えない気持ちになれる。
-携帯アプリとして本作「IV」の外伝作品が何作がリリースされている。
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