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幻想水滸伝ティアクライス - (2012/09/22 (土) 02:42:22) のソース

*幻想水滸伝ティアクライス
【げんそうすいこでんてぃあくらいす】
|ジャンル|RPG|#amazon(B001ELJWG2)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|発売・開発元|コナミデジタルエンタテインメント|~|
|発売日|2008年12月18日|~|
|定価|5,500円|~|
|>|>|CENTER:''[[幻想水滸伝シリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1136.html]]''|

*概要
-幻想水滸伝シリーズの「新章」。
-世界観が一新され、百万世界という並行世界を舞台にした物語となった。作中で表には出ないが、設定上はこれまでのシリーズの紋章世界も百万世界に入っている。
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#contents(fromhere)
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*ストーリー
シトロ村の自警団の一員として活躍する主人公は、仲間達とともに東の丘の見回りに行ったとき、あるはずのない遺跡が出現していることに気がつく。だが、誰も前からあったと言って取り合ってくれない。そんな中、突如怪物が出現し、逃げ込んだ遺跡の中で一冊の書を見つける。それに触れた瞬間、108星が全滅するという奇妙な幻影を目にする。~
一方、大国・ジャナム帝国と勢力を伸ばす宗教「ひとつの道の協会」は領地を奪いあい戦争を行っていた……。~

*良い点
-主人公に台詞・ボイスがついた。本作のテーマかつ口癖の「やってみなけりゃわからねえ」を体現する熱血なキャラで、人気も高い。
-シリーズ恒例の、正規加入する味方だけで108人(108星)にも及ぶ仲間たち。108星に限らず、多数の登場人物たちが誰も活き活きと描かれている。目立つ人物ばかりではないが、地味な脇役たちにもちゃんと地味なりの魅力がある。
-40時間を越えるボリューム。ボイス、アニメムービーも豊富である。
--声優は小清水亜美、坂本真綾、鈴村健一といった人気声優から主題歌歌手・高杉さと美まで数多く取り揃えている。
-シリーズ初となる通信要素の導入。
-Elements Garden、岩田匡治らによる音楽も好評。
-シナリオはVの津川氏が担当している。
--IIのようなダークファンタジー色はあまりなく、戦記色も若干薄れたが、進めるにつれ幻水らしく重い展開になってくる。「不確定な未来」と「決まりきって安全な未来」との対立ともいえる。主人公達は不確定な未来を主張するジャナム帝国側についてひとつの道の協会と対立するのだが、どちらの勢力も一枚岩という訳にはいかない。ジャナム帝国はひとつの道の協会と対立するにあたってファラモンを完全に取り込もうと画策したり、魔導院で非道な実験を行ったりしている側面を持つ。一方のひとつの道の協会もその本心は不慮の事故による犠牲や安息の日々の喪失を防ぐことにある。
-百万世界の設定も、本作においては上手く演出・消化されている。似て異なった無数のパラレルワールドは、直接に描写されることこそないが物語上で重要な意味を持つ。
--各プレイヤーごとのデータもすべて百万世界の異なる一つと見做されており、wifi通信で間接的に交流できる。物語としての舞台設定を、システム面からも活用してみせた好例。
--ただし従来シリーズの紋章世界までが百万世界の一つと聞き、逆に嫌な予感を覚えたファンも一部にはいた。そしてその不安は、[[次回作にて証明されてしまう>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/1566.html]]。
---具体的に言えば、どんな世界設定でストーリーだろうと「百万世界の一つなんだから幻想水滸伝」と言い張れてしまうのである。これではドラクエだろうがポケモンだろうが幻想水滸伝だ。本作にはまだ幻想水滸伝らしさが残っており、さほど問題なかったのだが……。
-wifi通信では他のプレイヤーの世界へ仲間を派遣したり、逆に派遣されている異界の仲間を招待したりできる。仲間の派遣期間は実時間に依存して管理され、所定の期間が過ぎると元の世界に帰っていく。
--オマケ要素の域は出ないが、その範囲で楽しむ分には面白い。当然ながら派遣先にも同じ人物がいるわけで、同一人物同士をパーティーに入れると専用の協力攻撃も繰り出せる。
--もちろん自分が勧誘できていない仲間や、他のプレイヤーが育てた高レベルのキャラクターを迎え入れて楽しむのも一興。
--異世界の仲間を迎え入れている間だけ発生する独自のクエスト(依頼)もいくつかある。また、自分の世界の仲間が異世界へ行きたいと志願してくる依頼もある。
---どちらもあくまでサブイベントなので、ゲームの進行に大きな影響を与えたりはしない。……一部のやり込みプレイヤーにとってだけは頭痛の種だが。
--一部の交易品が通信を利用し他プレイヤーの世界と交流しなければ手に入らなかったり、とある特定のキャラクターを派遣するクエストが(派遣した側から見て)ほぼ失敗前提としか思えない設定だといった批判点はある。が、ほとんど重箱の隅と言っていい。後者には、失敗大前提で当然な理由もある。

*問題点
-シリーズ恒例のミニゲームや風呂・目安箱、戦争イベントがない。
-戦闘グラフィックが粗め。
-イベント戦が多い。
--終盤ではわざと戦闘に負けないと回収できない宝箱が存在している。
-中盤まで移動速度が遅い。
--これを解決するためにはとあるアイテムを入手して装備するか、とあるキャラを仲間にしなければならない。中盤以降のダンジョンは広いので速度が遅いとかなりストレスが溜まる。またアイテムは当然ながら、パーティーキャラのうち一人のアクセサリ枠を占有する。
--おまけに速度をフォローするアイテム自体が、長くて複雑な構造をしたダンジョンの深くて分かりにくい場所にある。それも一度は本編のイベントをクリアした後、もう一度戻ってきて探索しなおさなくては見つからない。ここにあると知っていなければ、自力で見つけることはかなり困難だろう。%%ぶっちゃけ知っていてすら面倒臭いのだが。%%
-戦闘メンバーが少ない。従来の6人ではなく、メイン4人+サポートメンバー1人になった。
-隊列と射程の概念が設定されている割に、イベントで強制加入して来るキャラの配置がいい加減。空いている場所へ適当に入るため、前衛タイプが後列に置かれ無力化していたり、ひ弱な子どもや魔法使いが前列に立っていたりする。その上しばしば、加わってすぐ強制戦闘へ突入する。
-セーブポイントが少なく、中断セーブ機能もない。
-星の印(キャラごとのスキルに相当する要素)が、あらかじめ専用のクリスタルで設定し装備させておかないと使えない。ストーリーの進展に応じ星の印は増えていくのだが、増えた印の能力をその度に確認し、いちいち設定し直す必要がある。自動的に割り振ってくれるような親切機能は一切なく、おまけに正規加入前の一時参戦中や加入直後のデフォルトは「すべて未装備」。
--強いて言うなら「ストーリーの経過によって一括でしか増減しない(個人のレベルアップ等は無関係)」、「一か所で全員分、パーティーにいない面子も含めて変更できる」と言った配慮はされている。
--魔法も技も特性もみんな印の効果扱いでくくられており、印を装備していないキャラは足手まといになりがち。また明らかに個人的な技能として描写されている能力も、システム上は星の印として扱われるため''正規加入後に装備してやるまで使えない''。
---魔法兵団の隊長が正規加入するまでは魔法を使えない(この状態で繰り返し強制加入してくる((ただし彼はさほど足手まといにならない。序盤であることに加え、魔法使いにしてはタフで前衛を任せることも不可能でなく、この時点ではまだ珍しい「杖による通常攻撃(魔法扱いでかつ射程無制限の飛び道具)」もできるため。)))、魔法戦士タイプの種族の勇者が強制加入中は完全に足手まとい、敵だったときに使ってきた技が味方になったら外れているなど、しばしば不自然でかつプレイヤー側にだけ不利な光景が発生している。
--こと面倒なのが、印の増えた中盤以降に加入してくる仲間たち。多数のスキルを設定してやらなければならないため、新たな仲間を試す意欲が削がれてしまう。
--終盤に、とある厄介な性質をもった敵に強いという触れ込みの一族が、その「特定の敵に対して有効な」スキルを装備せずに強制加入してくる。もちろん習得はしているし装備もできるのだが、多数の未装備スキルの中に埋もれている状態。そして、そのスキルが必要だということを示唆してすらくれない。いくらなんでも不親切。


*総評
-総合して「インターフェースやゲームバランスには欠点が多いものの、昨今では珍しい丁寧にシナリオを作り込む姿勢が評価された」と言ったところ。
--そのため、ある程度ゲーム性に関して妥協できるプレイヤーでなければ楽しめないかもしれない。
-[[同一の世界観を元にした次回作>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/1566.html]]が発表され、一時は期待が寄せられていたが…

*余談
-しばしば『ティアクライ''シ''ス』と誤記されるが、本作は''『ティアクライス』''である。